2019年4月29日(月・祝)東京・ベルサール高田馬場でキックボクシング大会『KNOCK OUT 2019 SPRING「THE FUTURE IS IN THE RING」』が開催された。
▼第6試合 KING OF KNOCK OUTライト級アジアトーナメント決勝戦&KING OF KNOCK OUTライト級タイトルマッチ 61.5kg契約 3分5R
〇ヨードレックペット・オー・ピティサック(タイ/KING OF KNOCK OUTライト級王者)
判定3-0 ※49-47、49-48、50-48
●チャンヒョン・リー(韓国・RAON GYM/挑戦者)
※ヨードレックペットがトーナメント優勝とタイトル初防衛に成功。
日本、タイ、韓国、モンゴルから8選手が集結したアジアトーナメント。今大会のメインではトーナメント決勝が行われ、優勝候補本命の現KING OF KNOCK OUTライト級王者ヨードレックペット・オー・ピティサック(タイ)と、RISEスーパーフェザー級王者チャンヒョン・リー(韓国)によるKNOCK OUT王者vs RISE王者の対決が実現した。
優勝者はアジアトーナメント優勝トロフィーだけでなく、ヨードレックペットが保持するKING OF KNOCK OUTライト級のベルトも手にすることになる。
ヨードレックペットは2018年4月に初代王者・森井洋介にTKO勝利し、第2代王者に。今回が初防衛戦となる。対するチャンヒョンも2月大会のトーナメント準決勝で森井にKO勝利し、決勝進出を決めていた。
試合は、1R序盤からチャンヒョンがパンチでプレッシャーをかけていき、強い右ローも蹴っていく。サウスポーのヨードレックペットはガードをガッチリと固めて左ミドル、右前蹴りを時折放つが完全に様子見。オープンスコアはジャッジ2名が10-9で攻めの姿勢を見せたチャンヒョンを支持、1名は10-10。
2R、チャンヒョンが強い右ローを蹴ればヨードレックペットは左ミドルを返す。パンチの打ち合いになるとヨードレックペットが前へ出ていき、左フックや左ヒジを繰り出す。パンチの回転力で勝るチャンヒョンだが圧力に下がらされ、左ローをもらう。ガードを固めてどんどん前に出るヨードレックペットが左ヒジを叩きつけ、左ミドルを蹴る。チャンヒョンは左ボディを打ち、右ストレートを叩き込むが、ヨードレックペットは顔に受けても気にせず前へ出てローを蹴る。オープンスコアは2名が10-10、1名が10-9でチャンヒョン。
3R、ボディの打ち合いからヒジの打ち合い、さらにローの蹴り合いとなる。チャンヒョンはパンチを回転させていき、前へ出るヨードレックペットに対して回り込んでパンチを出していく。しかし、どんどん前に出てくるヨードレックペットの左ストレートを被弾。チャンヒョンは右ローを徹底して蹴る。パンチを当てるチャンヒョンだが下がらないヨードレックペットが左ヒジの2連打。オープンスコアは三者とも10-9でヨードレックペットに。
4R、ヨードレックペットは強烈な左ローを連打、組み付くと左ヒジをクリーンヒット。左ローと左ミドルを蹴るヨードレックペットに対して回り込んでいくチャンヒョンだが、徐々に手が出なくなっている。チャンヒョンも蹴りに右ストレートを合わせるが、一発一発が重いヨードレックペットの左ロー、ヒジ打ちが目立つ。
5R、ヨードレックペットの重い左ミドル、左ローに下がるチャンヒョン。パンチとローを繰り出すが、ヨードレックペットの前進を止めるには至らない。残り1分、チャンヒョンがパンチのコンビネーションを繰り出すが力がなく、ヨードレックペットは銅タックルのようにして組み付きを多用。これにイエローカードが提示される。パンチを出して前に出るチャンヒョンに、ヨードレックペットが左ミドルを合わせて試合終了。
判定は3-0(49-47、49-48、50-48)でヨードレックペットが勝利し、現KING OF KNOCK OUTライト級王者が王座初防衛に成功。そしてライト級アジアトーナメント優勝を果たし、ダブルタイトルを獲得した。
優勝候補本命として見事優勝を果たしたヨードレックペットは、「チャンヒョンは超強いです。今回は日本で4試合目、一番危なかったです。また日本に来たいです。皆さん、よろしくお願いします」と勝利者インタビューに答えた。
ヨードレックペット「3、4Rで相手のパンチの重みが感じられなくなった」
「試合のプレッシャーはありました。相手はパンチが強いし、でも勝ててよかった。今回はローとボディで攻めようと考えていました。相手のローも痛かったけれどパンチが重いのが気になった。顔よりもボディブローの方が効きましたね。でも3Rから自分が勝つと感じられて4Rで勝利を確信しました。3、4Rで相手のパンチの重みが感じられなくなった。自分は普通に戦っていたんだけれど、時間が経つにつれて相手が弱くなっていきました。最初から判定になると思っていました。それは彼が強いから。トーナメントの3試合はどれも危ない試合があったし、強い相手で、どの試合も同じ難しさでした。特に防衛戦のプレッシャーはなかったです。普通に戦っていました。優勝賞金はとりあえず貯金します。次の目標はとりあえず次の試合で勝つこと。まだ次は決まってませんが、5月にタイで試合をすると思う。それと日本でもっと有名になりたいです。これからも応援してください」
▼スペシャルエキシビションマッチ 2分2R
石井一成(ウォーワンチャイ・プロモーション・ジャパン)
勝敗なし
名高・エイワスポーツジム(エイワスポーツジム)
キックボクシングの未来を担う石井一成(20=ウォーワンチャイ・プロモーション・ジャパン)と名高・エイワスポーツジム(18=エイワスポーツジム)が、第6試合で2分2Rのスペシャルエキシビションマッチを披露した。
当初、同大会のメインイベントで組まれていたKING OF KNOCK OUTフライ級タイトルマッチ、王者・石井一成vs挑戦者タネヨシホ(INNOVATION・直心会)が、タネの減量による体調不良でドクターストップ・中止になったことを受け、日本人初のラジャダムナン&ルンピニースタジアム認定統一ミニフライ級王者の吉成名高(エイワスポーツジム)が急きょ、エキシビションマッチ出場を決めた。
1R、ミドルとローのスピーディーな蹴り合いで場内をどよめかせる中、名高は片手倒立ハイキック=センチャイキックを見せる。さらに石井の軸足を払って転倒させるテクニックを見せた。
2Rもミドルとローの蹴り合い。石井が鋭いパンチを見せると名高もコンビネーションを回転させる。石井が名高にミドル連打を指示し、名高が左ミドルを連打。石井が同じ技を返そうとすると、名高は空気を読まずにボディへパンチを打つ。最後はセコンドからの「打ち合え、盛り上げろ」の声で名高がパンチを連打。石井も連打を返してエキシビションマッチを終えた。
石井はマイクを向けられると「今日はこのような結果になってしまい申し訳ありませんでした。急なオファーにも関わらず受けてくれた名高選手、ありがとうございます。(那須川天心や名高の活躍は)刺激しかないです。同級生の天心君と、2個下の彼はムエタイで盛り上げてくれているので、僕も負けられないと日々練習しています。(名高の二冠制覇は)めちゃめちゃ凄いですね。普通の人にはできないです。今日は本当はタイトルマッチで凄く練習してきて、リング上でぶっ倒してやりたかったけれど、それもできず。彼も体調を復活させてリングに戻ってくると思うので、そこはまた応援しましょう。僕も王者として格闘技界をを引っ張っていきます」と、タネを気遣うコメント。
名高は「今日は応援ありがとうございました。この話をいただいたときはびっくりしたんですが、大好きな一成選手とEXが出来て嬉しかったです。ムエタイの魅力はほかの格闘技にはない技の華麗さや美しさがあると思っています。6月1日に横浜文化体育館で本場のタイ人との対戦が決まっているので見に来てください。自分はまだミニフライ級で日本では盛んではない階級ですが、まだ身体が大きくなると思うのでいずれ日本の大きな舞台で戦えればと思っています」と語った。