フォラヤン「勝てば批判的な人を黙らせることができる」
一方で、青木との2度目の試合で王座陥落し、以降1勝4敗と負け越している37歳のフォラヤンは、公式インタビューで、3度目の対戦で“レジェンド”青木に勝つことで、王座への再挑戦のきっかけになること、そして「自身のレガシーになる」と語る。
フォラヤンは、「アオキとの3戦目は期待していたけど、こんなに早く実現するなんて思いもしなかった。アオキはここのところ絶好調だが、自分はスランプの最中だ。だから期待はしていたけど、こんなに早くとは思っていなかった」と、秋山成勲(※怪我で欠場)戦からの急な変更に戸惑いを隠さない。
と同時に、「アキヤマが欠場して、アオキが相手になると聞いた時はもちろん興奮した。アオキがこの階級でどのような位置につけているか分かっているから、自分のキャリアにとっては非常に重要な試合だ。もし勝てれば、ラバーマッチの勝利ということのみならず、世界タイトルへの再挑戦にも弾みがつくかもしれない」と、気持ちを切り替えている。
チーム・ラカイ陣営は、今のところ青木対策が「うまく行っている」という。
「正直に言うと、調整は大変だ。長い間、アキヤマ戦に向けて集中していたのに、急にアキヤマとはまったく違うスタイルのアオキに目を向けることになったからね。アキヤマは柔道がベースだけど、スタンドで打ち合ってくる相手として想定していた。それが、あらゆる意味で純粋なグラップラーであるアオキになった。これは自分たちにとって大きな動きだが、今のところうまくいっている」
2019年3月の前戦では、青木の左の蹴りに、フォラヤンも左前足で蹴り返した足を掴まれ、組み技の展開からテイクダウン、肩固めに敗れた。
「自分のキックを容易に考えすぎていた。シンヤにそれを利用されて、マットに寝かされた。彼と対戦する時は、寝かされたくはないのに、そうなってしまった。この展開は避けたい。シンヤは、チャンスが巡ってきたら、すごい相手だということを見落としてはいけない。彼が両手をロックした瞬間に、試合は終わる」と、青木の強いグラップリングを警戒する。
初戦同様に青木のテイクダウン狙いを切り続け、打撃のチャンスをいかに掴むか。グラウンドを避けること、グラウンドになったときにどう対処するか、その対策のディテールを練ってきたという。しかし、受け身になることは相手に組みのチャンスを多く与えることにもなる。
「シンヤのプランに対して、対策を練っているけど、彼のことだから、できるだけ早くグラウンド戦に持ち込もうとするんじゃないか。我々はグラウンド戦を避けるための策を練っているけど、万が一そうなってしまった時もどうすればいいかも具体的に考えている。また、スタンドになった時に、シンヤを攻撃する方法も考えている。フィニッシュのチャンスがあれば、できるだけそこを狙っていくのは間違いないけど、非常に予測不可能な競技だから、常にさまざまな状況に備えようとしている」
フォラヤンにとって、青木に勝利することは、単にレジェンド越えに収まらない。
「この試合は大きい。この競技のレジェンドで多くの人に慕われている相手との3戦目で勝てれば、自分のレガシーにとって大きな意味がある。それに加えて、シンヤがまだこの部門のトップ5に入っていることを考えると、勝てば、自分に批判的な人たちを黙らせることができるし、うまくいけば再び世界タイトル挑戦へ勢いづかせてくれるだろう」。