空手
インタビュー

【極真会館】100人組手に挑戦する世界王者・上田幹雄「どんなに苦しい状況でもそれを乗り越え必ず最後までやり遂げる」全世界にライブ配信も

2021/04/23 16:04

「特別な状況に置かれた者しか味わえない体験を通して成長できたら」

ーー100人組手に向けた予行練習を2月末に行ったとお聞きしましたが、どんな収穫がありましたか?

「まず2分間×100回を実際に体験してみたかったというのが予行練習の目的でした。それまでサンドバッグの打ち込みで50~70回の回数は普段の稽古でもやっていましたが、組手を交えた長い回数の稽古はやっていなかったので、組手とサンドバッグとトレッドミル走で合計2分×100回やりました。収穫は、肉体的なスタミナよりも精神的なスタミナが鍛えられたと思います。2分間フルで100回行い、短い休憩を挟みながらでも約6時間かかりました。しかし、実際に体験し、これだけ長いのかとか、次第に腕や関節が痛くなるなど、こういう変化が起こるのかということが感覚的に理解できたと思います」


ーーその2月末の予行練習以降の2カ月は、本番に向けてどのような稽古を続けていましたか?

「2月末に一度ピークに持っていったので、3月からは70パーセントくらいの出力で稽古を続けながら、技術面を高める内容に重点を置きました。試合の改定ルールにも応用できる足掛けであったり、押し技で相手を懐に入れない技術であったり、足捌きで相手の間合いを外す技術であったり。無駄な打ち合いをする必要はないし、無駄な動きをすれば当然スタミナが削られていきます。ただし、極真空手である以上、状況によって打ち合うことはどうしても避けられないでしょうし、そのときでも意地になって相手を打ち負かそうとするのではなく、先ほども言った“自分の組手を創り上げる意識”で対応できたらと思っています」


ーー精神的なプレッシャーも強いと思いますが、その辺りはいかがでしょう? 世界チャンピオンとして失敗は絶対に許されないとか、失敗したらどうしようとか…。

「自分が体験したことがないものなので、松井館長や増田章師範など偉大な諸先輩方の書物や映像を観ながら想像していくしかないのですが、絶対に完遂するんだと思って毎日を過ごしながらも、凄く楽しみな日と反対に凄く不安な日があったり、いろんな感情が湧いてきました。ただし、そういった不安定な感情も100人組手という『伝説の荒行』に挑むからこそ味わえるものだと思います。そう考えると100人組手そのものも大きな修行ですが、そこに至る過程も大事になってくるのではないかと。日々精進していく姿勢であるとか、不安を克服していく過程であるとか、特別な状況に置かれた者しか味わえない体験を通して成長できたらと思います」


ーー今回の挑戦を今後の空手人生にどう活かしていきたいと思っていますか?

「2023年の第13回世界大会で2連覇するためというのはもちろんですが、自分自身の目指している大山総裁や松井館長が創り上げてきた空手に一歩でも近づきたいというのが、100人組手に挑戦する一番大きな目的かもしれません。世の中が大変な状況であるにもかかわらず、こういった挑戦ができるのは多くの方々の協力や支えがあってのことだと感謝しています。また、今回の100人組手は『KYOKUSHIN ONLINE』を通じて世界中にライブ配信されるのですが、良いことも悪いことも全てありのままが映されると思います。どんなに苦しい状況でも何とかそれを乗り越え必ず最後までやり遂げて、観ていただいている方々に少しでも勇気や希望が与えられるような100人組手を目指したいと思っています」

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