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【BOM】第2部:梅野源治がキヨソンセンにリベンジ&初防衛、石井一成が三日月蹴りでKO勝ち、大崎孔稀が熱戦の末に福田海斗を破る

2021/04/11 21:04
BOM WAVE04 - Get Over The COVID-19 -第2 部2021年4月11日(日)神奈川・横浜大さん橋ホール ▼第11試合 BOMライト級(61.23kg)タイトルマッチ3分5R〇梅野源治(PHOENIX/王者)判定3-0 ※49-48×2、49-47×キヨソンセン ・フライスカイジム(FLYSKY GYM/挑戦者)※梅野が初防衛に成功。  梅野は2014年11月に日本人初のWBCムエタイ世界(スーパーフェザー級)王者となり、2016年10月にはヨードレックペット・オー・ピティサックを破り外国人として史上6人目のラジャダムナンスタジアム(ライト級)王者となった“日本ムエタイ界の至宝”。2019年は得意の首相撲とヒジ打ちを封印して『RISE』の世界トーナメントに出場し、決勝へ進出するも白鳥大珠にKO負け。その後はムエタイに復帰して1勝1敗、2021年2月にはRISEでノラシンからダウンを奪っての判定勝利を収めた。  対するキヨソンセンは、タイ在住時代はラジャダムナンとルンピニースタジアムで活躍。現在はFLYSKYGYMでトレーナーを務めながら日本の試合に出場している。2018年10月の『KNOCK OUT』では森井洋介と3分5Rを戦い抜いてドロー。延長戦でKO負けを喫しているが(トーナメントのため公式結果はドロー)、これは森井の対戦相手の欠場を受けて急遽1週間前に出場が決まったもの。危険なヒジ打ちを得意としており、ハイキック、右フック、ヒジ打ちなど多彩な技でのKO勝利が多い。  両者は2020年12月のBOMで対戦しており、2Rにキヨソンセンがヒジでカットを奪って梅野を流血させ、判定は3-0(49-47、49-48、50-48)でキヨソンセンが勝利している。今回は梅野が2019年12月に獲得したBOMライト級王座を懸けての再戦。梅野のリベンジなるか、それともキヨソンセンが返り討ちでタイトルを奪取するのか。  1R、前に出るのは梅野。得意の奥足への左ローと前足への右ローを蹴る。キヨソンセンもローを蹴るが、梅野はしっかりとスネでブロック。すぐに左ローを蹴る。キヨソンセンの左右フックもしっかりとブロックする。  2Rも梅野が前へ出て左奥足ローを蹴る。細かいパンチからロー、そして左ミドル。虚尊戦の右ローに右ストレートを合わせる梅野。前に出る梅野にローを蹴るキヨソンセンだが梅野は構わず前へ出てパンチを繰り出す。キヨソンセンの蹴り足をキャッチてコカし、右拳を突き上げてアピールする梅野。  3R、梅野はフェイントをかけながら左ミドルと左右ローを蹴る。首相撲でねじ伏せるように倒すキヨソンセン。梅野は前へ前へとプレッシャーをかけながら前蹴り、ヒザでボディを攻める。キヨソンセンも右ミドルで対抗し、左フックを見舞うが梅野は笑顔で“効いてないよ”のゼスチャーで挑発。 4R、キヨソンセンは梅野の左ミドルにも怯まず右フックを叩きつける。梅野は下がりながら左ミドルを当てていく。このラウンドは前に出るキヨソンセン。梅野の蹴り足をキャッチしての攻撃を連発し、左右フックで梅野を追い回す。梅野は前蹴り、右ストレート、右ミドルで対抗するが、蹴り足をキャッチされてかなりペースを乱された。  5Rも左右フックを振り回して襲い掛かるキヨソンセン。梅野も右フックを引っ掛けてキヨソンセンを転がし倒すラフファイト。前に出るキヨソンセンに梅野は右ストレート、左ミドル。キヨソンセンはその蹴り足をキャッチしてのフックを繰り出す。梅野は左ミドル3連打、キヨソンセンに“来い”とアピールする。  両者とも流し気味となり、残り30秒でキヨソンセンは諦めモード。両者ノーガードでリングを旋回して試合終了。判定3-0で梅野がリベンジ&初防衛に成功した。 [nextpage] ▼第10試合 BOM 53.00kg契約 3分5R〇イッセイ・ウォーワンチャイ(=石井一成/ウォー・ワンチャイ プロモーション)KO 4R 2分30秒 ※左三日月蹴り×サンチャイ・TEPPEN GYM(タイ/TEPPEN GYM/元ラジャダムナンスタジアム認定ライト級王者)  石井はジュニアキック出身で、アマチュアでは14冠王を達成。タイを主戦場に6連続KO勝利を飾り、2017年2月にはTrue4Uフライ級タイトルを高校生で獲得。2017年6月からは『KNOCK OUT』に参戦し、2018年12月、トーナメントを制してKING OF KNOCK OUT初代フライ級王座に就いた。WPMF世界フライ級王座、IBFムエタイ世界フライ級王座、BOMスーパーフライ級王座も保持し、那須川天心に対して“西の神童”と呼ばれている。2月の『NO KICK NO LIFE』では麗也を判定3-0で破った。戦績は32勝(16KO)10敗2分。  サンチャイは現在、那須川天心らが練習するTEPPEN GYMでトレーナーを務め、ムエタイ戦績は97勝(34KO)25敗3分。ラジャダムナンスタジアム認定ミニマム級王座のほかにS-1チャンピオンシップ102ポンド(46.26kg)王座にも就いたことがある。2019年4月の『REBELS』で老沼隆斗に判定2-0、2020年12月の『BOM』では大崎孔稀に判定2-1でそれぞれ惜敗している。  1R、ロープを背負うサンチャイは蹴り上げを多用。石井は右ローを蹴って様子を見る。ゆったりとしたリズムからいきなり速い右ストレートを放って前へ出るサンチャイ。石井も打ち合いに応じる。石井の右ローにサンチャイが右ストレートを合わせ、石井がバランスを崩す。  2R、サンチャイの右ストレートに左フックを合わせに行く石井。両者のスピードあるパンチが交錯。ロープを背負ったサンチャイに石井が右ストレートをクリーンヒット。左ボディも。サンチャイも負けじとフックを打ち返し、石井は飛びヒザ蹴りを発射する。  3R、前に出る石井は右ストレートで顔面とボディを狙うが、サンチャイはヒジを振り、タックルで石井をコカす。前に出てパンチをまとめにいく石井だが、サンチャイの蹴りと組みに連打が続かない。ローとヒジで倒しにかかる石井にサンチャイもヒジで抵抗。さらに組み付いて石井をねじ伏せる。  4R、石井の右ローに効いている反応をするサンチャイ。石井はフック、アッパーから右ロー、さらにパンチをまとめて左ボディでダウンを奪う。ガムシャラに右ヒジで抵抗するサンチャイをコーナーに詰めた石井がパンチを浴びせる。最後は石井が左三日月蹴りをグサリと突き刺し、鮮やかなKO勝ちを飾った。 [nextpage] ▼第9試合 BOMバンタム級(53.52kg)王座決定トーナメント決勝戦 3分5R×カイト・ウォー・ワンチャイ(=福田海斗/ウォー・ワンチャイ プロモーション)判定0-3 ※48-49、48-49、47-49〇大崎孔稀(OISHI GYM)※大崎が新王座に就く。  カイトはタイで活躍を続ける日本人選手。中学1年生でタイにてプロデビューし、タイで試合を重ねてルンピニーとラジャダムナンのランキングに何度も名を連ねる。2015年3月、WPMF世界フライ級王座獲得。同年11月には藤原敏男以来となる、日本人2人目のルンピニー&ラジャダムナン2大殿堂同時ランクインを果たし、12月にはタイ国プロムエタイ協会フライ級王座も獲得。同年の最優秀外国人選手に選ばれた。  2018年9月にTrue4Uスーパーフライ級王座を獲得、2019年10月には日本の『Suk Wanchai MuayThai Super Fight vol.6』でルンピニースタジアム認定スーパーフライ級王者ルンナライをKO撃破し、True4Uバンタム級王座を奪取するなど、本場タイのムエタイで最も活躍する日本人選手として知られる。新型コロナウイルスの影響でタイでの活動がままならず、2020年10月4日の『BOM』ではユットを圧倒KO、10月29日の『NO KICK NO LIFE』では馬渡亮太に大差の判定勝ちと国内で連戦した。  対する大崎はRISEスーパーフライ級王者・大崎一貴の弟で、23勝(16KO)5敗1無効試合という攻撃力の持ち主。パンチ、蹴り、ヒジ、ヒザいずれでもKOできる破壊力があり、タイ人と渡り合うテクニックも持っている。特にボディブローは強烈。RISEでは2020年9月大会で奥脇一哉を1R2分32秒、鮮やかなハイキックでKO。2021年1月には京介を2R37秒、カーフキックで仕留めている。  1R、互いにジャブを突く展開からカイトが前に出始める。ロープを背負う大崎だが、カーフ、左ハイ、右顔面前蹴りをヒットさせる。しかし、カイトは笑みを浮かべて“効いてないよ”とアピール。両者の距離はかなり近い。  2R、大崎はパンチを上に集めてのカーフキック。カイトのガードの隙間を縫うようなジャブを当て、ボディと右ストレートも。崩し合いでコカすのも大崎だ。ジャブを当てて回り込む大崎。カイトはヒジを狙うがジャブを被弾する。  3Rも大崎の周りで円を描くように回り込む大崎。ジャブ、カーフキックで攻撃し、前に出てくるカイトに右ヒジ。カイトも負けじとヒジを叩きつける。大崎は得意の左ボディ、左右の回転の速いパンチ。カイトも前へ出て左ミドル、組み付くとヒジ。終盤には首相撲からのヒザを繰り出して盛り返す。 4R、右ボディストレートを打つ大崎にカイトは右ハイを合わせに行く。プレッシャー疲れか、やや消耗が見える大崎をカイトは首をガッチリとロックしてのヒザ蹴り。大崎はワンツーを叩きつけるがカイトはブロックして首相撲からのヒザに持ち込む。大崎のワンツーがカイトの顔面を捉えるが、カイトも打ち返す。 5Rも前に出るカイトに大崎は下がりながらも左ミドル、ジャブ、ロー&カーフキック。カイトもジャブを突いてテンカオ。大崎はパンチの手数を増やし、カイトはテンカオで対抗。カイトは首相撲に捕まえるとヒザ蹴り。さらにヒジも。組んだ状態で巧みにヒジを当てるカイト。  熱戦の勝敗は判定に持ち込まれ、判定3-0で大崎が勝利。カイトを破る金星を得た。  マイクを持った大崎は「今回、相手が同じ名古屋の選手で中学生の時から一緒にタイへ行って練習していて。タイの第一線で活躍している選手なので試合が決まった時はめちゃくちゃ不安だったんですけれど、試合が決まってから会長や先輩がアドバイスとか作戦とかみんなで立ててくれて、そのおかげでジムのみんなで勝ち取ったベルトなのでこれからもムエタイでもキックボクシングでもトップを証明します」と、満面の笑顔で語った。 一方、敗れたカイトは「2Rに相手の右ストレートをもらってから、頭がぼーっとしてセコンドの声も聞こえなかったようです。実際、全く指示に反応していませんでした」という状態だったと、佐藤孝也キングムエ会長が明かした。 [nextpage] ▼第8試合 IMCインターコンチネンタル スーパーウェルター級(69.85kg)王座決定戦 3分5R×柿沼 慶(ポゴナクラブ)KO 3R 0分26秒 ※左ヒジ〇プライチュンポン(GTジム)※プライチュンポンが新王座に就く。  1R、サウスポーのプライチュンポンは序盤からヒジ狙い。柿沼が攻撃するたびに左ヒジを合わせに行く。徹底したヒジを打つプライチュンポンに柿沼はローで対抗。  2R、プライチュンポンはいきなりアグレッシブになって左ヒジの乱れ打ち。ブロックする柿沼だがダウンを奪われる。猛然と前に出るプライチュンポンに柿沼もヒジで応戦。コーナーで左ヒジの連打をもらった柿沼はダウン。さらに容赦なくヒジを叩きつけるプライチュンポンに圧倒される。  3Rが始まると同時にプライチュンポンは左ヒジの乱れ打ち。左の縦ヒジが炸裂し、柿沼は前へ倒れてレフェリーが即座にKOを宣告した。 [nextpage] ▼第7試合 BOMミドル級(72.50kg)王座決定トーナメント1回戦 3分5R×松島勲也(MSJキックボクシングジム)延長R 判定0-3 ※9-10×3〇J(TSK japan)※本戦の判定は49-48、48-48、48-48  1R、前に出るサウスポーの松島が左右ボディを強打、Jは下がりながらヒジや左フックを合わせようとする。松島の左右フックに脅かされるJだが、ブロックしてしのぐ。  2Rも前に出るのは松島。左右フックを警戒してガードを固めるJのボディを叩く。Jはステップで回り込んでの前蹴り。松島の消耗を待つ作戦か。松島のボディからの右縦ヒジでJは眉間がぱっくりと割れて流血。  3R,さらに前へ出る松島にヒジを狙うJ。松島は距離を詰めて左右フック、右ヒジ。Jもヒジで応戦する。松島の強い一打一打がJを捉えるが、Jも打ち返して乱戦模様に。  4Rも前に出て攻めるのは松島。Jはそこへジャブを合わせる。Jのパンチを被弾する場面が目立ってきた松島。Jのヒジで松島も流血する。  5R、松島が前へ出て組み付いてのヒザ蹴り。Jも前へ出てパンチを放つが、松島も打ち返していく。このラウンドは手数の多さが目立ったJ。本戦の判定はドローに。  延長R、Jの左右フックが松島を捉え、首相撲からのヒザ蹴りを連打。前に出るJ。流血した両者にドクターチェックが入り、再開するとJが左右フックで攻め込む。フックを打つ松島だがJの首相撲に捕まってヒザ蹴りの連打を喰う。消耗が見える松島はパンチが雑になり、逆にJのパンチをもらってしまう。 本戦はジャッジ1名が松島を支持していたが、延長Rは判定3-0でJ。逆転勝利に成功した。 [nextpage] ▼第6試合 BOMミドル級(72.50kg)王座決定トーナメント1回戦 3分5R〇喜多村誠(ホライズン・キックボクシングジム)KO 2R 2分01秒 ※右ストレート×大輝・FLYSKYGYM(FLYSKYGYM)  1R、大輝は左フック&左ジャブと前手を上手く使う。喜多村は左ローを狙い撃ち。  2R、左ジャブの差し合いで喜多村がヒット奪い、右ストレートで畳みかける。喜多村の左ハイをキャッチした大輝が足を払って前へ出ようとしたところへ喜多村が右ストレート。この一発がモロに入り、喜多村の一発KO勝ちとなった。 [nextpage] ▼第5試合 WMCインターコンチネンタル ウェルター級(66.68kg)王者決定戦 3分5R×誠(レンジャージム)判定0-3 ※48-49×3〇滝口幸成(チーム滝口)※滝口が王座に就く。  パンチで前に出るのは誠。滝口はロー、ミドルでそれを迎え撃つ。4Rはヒジの打ち合いもあるが、手数を増やしたのは滝口の方。5Rは再び前に出た誠が滝口の右ミドルをものともせずパンチとヒジで突進。滝口も右ミドルで応戦し、判定勝ちで王座に就いた。 [nextpage] ▼第4試合 WMC日本ウェルター級(66.68kg)3分3R〇KAZU(GT GYM)判定2-1 ※30-29、28-29、29-28×YOUTA(WSR西川口)  KAZUはサウスポー。両者1Rから組みの攻防でヒジとヒザを放つ。3Rは前に出たKAZUが左ストレート、左ヒジ、組んでのヒザで優勢に立ち、判定2-1で接戦を制した。 [nextpage] ▼第3試合 WMCスーパーフェザー級(58.97kg)次期挑戦者決定戦  3分3R〇堀口貴博(WSR三ノ輪)判定3-0 ※30-28、29-27、29-28×加藤雅也(TSK JAPAN)  1Rはローの蹴り合い。サウスポーの加藤は堀口のミドルを空振りさせるが、堀口はそのまま回転してのバックハンドブロー。  2Rは組みの展開となって両者ヒジを打ち合う。ヒザでは堀口が優勢。3R、加藤がボディへの前蹴りとヒジでアグレッシブに攻めたが、堀口のバックブローがついにヒット、ダウンを奪う。堀口は前蹴りで加藤を突き放し、判定勝利となった。 ▼第2試合 WMCライトフライ級(49.00kg)王座決定トーナメント 1回戦 3分3R〇天馬(WSR西川口)KO 2R 0分37秒 ※左フック×阿部秀虎(鷹虎ジム)  天馬はサウスポー。1Rから両者ともスピーディーな攻防を見せ好試合の予感。2Rもスピードのあるパンチと蹴りを交錯させる両者だが、天馬のノーモーションの左が冴える。最後は天馬がショートの左フックでKO勝ち。 ▼第1試合 WMC日本ライト級次期挑戦者決定戦(61.23kg)契約 3分3R延長1R〇羅向(ZERO)KO 1R 1分14秒 ※右フック×真吾(レンジャージム)  真吾は1R開始と同時にパンチの連打で襲い掛かる喧嘩ファイト。その勢いに押される羅向だがしっかり見てパンチとハイキックを返し、右フックで2度のダウンを奪ってKO勝ち。 ▼オープニングファイト WMC日本スーパーバンタム級(55.34kg) 3分3R×九十田真悟(GTジム)KO 2分2分53秒 ※右フック〇GANG-G(ゴリラジム)  パワフルな左右フックと左ボディでアグレッシブに攻めまくったGANG-Gが右フックで2度のダウンを奪ってKO勝ち。
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