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【ONE】北米に大反響のDJvs.モラエスのフィニッシュ、UFC王者スターリング「マイティマウスが大丈夫だといいけれど…」ヤンは「いいヒザ蹴りだった」

2021/04/08 21:04

試合前にDJが言っていた「戦いのなかに安全なポジションなんか無い」

 実は、このグラウンド状態での頭部へのヒザ蹴りについて、3月の『UFC 259』の試合後、DJ自身は、「(ユニファイドルールの)ダウンした相手へのグラウンド状態での頭部への蹴り禁止は修正した方がいい」とコメントをしている。

「そうすることで試合や動きも続くようになると思う。コーチが自分によく言ってくれるんだけど、『なぜ選手がグラウンドにヒザをついたときに、何ができるかな? 何はできないんだっけ? なんて考えなきゃならないんだよ』って。僕はそのことをよくよく考えるようにしてる。トレーニングしてくれるコーチがそういう考え方を示してくれることっていうのはすごく腑に落ちる」と、ダメージを受けた相手が、さらなる打撃を受けないようにルールを利用してマットにヒザや手を着くことに疑念を呈した。

「アルジャメインになんの他意もないけれど、アルジャメイン、もっと出来るやつなのに、なんでそんなポジションに行くんだよ。戦いのなかに安全なポジションなんか無いんだよ。助かろうとするためにそういうポジショニングすることは止めさせるべきだ。その方がよりこのスポーツにとって、可能性が広がって良いことだ」と、ONEでは可能な、グラウンドポジションでの頭部への蹴りについて、肯定していた。

 フィニッシュは、試合の流れのなかにあり、その瞬間だけを切り取っても見えてこないものもある。

 モラエスが序盤からヒットさせたカーフキックや、左右の蹴りは、DJをどんな心理状態にさせたか。

 試合後、DJは「距離を縮めようとしたんだ。彼の身体は大きいから、アドリアーノ・モラエスと対戦するのにあれが最大の壁だと分かっていたから」と、キックを受け、蹴り足を掴んで詰めに行った瞬間を振り返る。

 頭を下げて来たDJ。そこにモラエスは狙いすましたような近距離のアッパーを打ち込んだ。「安全なポジションは無い」というDJは、1Rにガードポジションを強いられ、劣勢になったこともあり、ダウン後すぐに上体を立てて左で脇を差しに行くと、モラエスはその頭を押さえつけて、ヒザ蹴りを叩き込んだ。

 試合後、敗者のDJは「すべて大丈夫。みんなでホテルに帰って来た。クソみたいな日だけど、オフィスで試合を観てくれ。3回、試合を観たけど残念な日だった。調子はいいと思っていたのに。長く格闘技をやっていれば、いつかこういう日が必ず来るのは分かっていたことだ。健康だし、気分もいい。これ(敗戦)もゲームのひとつだろ? 僕がやられた試合をまた見直して。応援してくれたファンのみんなありがとう。ONEもこの機会をありがとう。おめでとうモラエス、試合をしてくれてありがとう。また俺達も戻ってくるよ」とツイート。

 そして初防衛に成功した勝者は、カテウ・キビスらATT勢と歓喜のハグをかわすと「夢がかなった。毎日ATTで練習してきた成果だ。みんなに感謝したい。“俺たち”はやったよ! 彼はレジェンド。DJの試合を見て育ったんだ。完璧な戦略を立てて来たよ。彼が前に出てくるところに、いいアッパーカットも打てた。僕はベストじゃないけど異質だ。何て言っていいか分からないよ。とても興奮している。幸せだよ」とコメント。

 勝利直後、米国ATTに戻っている練習仲間の堀口恭司は「ナイス」と祝福のツイートを投稿している。

 さまざまなファイターやファンが語った、モラエスvs. DJのフィニッシュ。米国ではなくシンガポールで行われた“ユニファイド”ではない“異質”のONEルールは、北米に大きな反響を起こしたことは間違いない。

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