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レポート

【Krush】壬生狼一輝が王座奪取、吉岡ビギンは体重超過の減点が響く。大沢文也は川崎真一朗を振り切る。大岩龍矢が終了間際に執念のKO勝ち

2021/03/27 21:03
Krush.1232021年3月27日(土)東京・後楽園ホール ▼メインイベント(第7試合)Krushバンタム級タイトルマッチ 3分3R延長1R×吉岡ビギン(team ALL-WIN/王者)判定0-2 ※28-29、28-28、28-29〇壬生狼一輝(力道場静岡/挑戦者)※壬生狼が第7代王座に就く。吉岡は初防衛に失敗。  吉岡は12勝(1KO)1敗2分の戦績を持ち、2020年3月大会では第4代王者・晃貴から合計3度のダウンを奪って判定勝ち。昨年開催された「第6代Krushバンタム級王座決定トーナメント」では池田幸司、黒田斗真、橋本実生に勝利して第6代王座に就いた。  壬生狼は2020年8月の『Krush-EX 2020 vol.1』でK-1 JAPAN GROUP初参戦。出場選手の負傷欠場を受けた大会直前の代打オファーながらKRESTの新鋭・倉田永輝から左ボディ、左フック、右ローを中心としたアグレッシブな手数で判定勝利を収めた。その勢いで11月のK-1福岡大会に参戦、第4代Krushバンタム級王者・晃貴を破る番狂わせ。2021年1月には3戦全勝の松本日向を破り、今回のタイトル挑戦にわずか4戦目で辿り着いた。戦績は9勝(2KO)無敗。 吉岡が前日計量で既定の体重をクリアできなかったため、王座ははく奪。壬生狼が勝った場合のみ新王者として認定される。また、吉岡にはファイトマネーの30%没収、10オンスのグローブハンデ(壬生狼は本来の8オンス)、第1Rは減点2からの試合開始となった。  1R、壬生狼は右カーフキックを蹴りながら回り込む。吉岡はプレスをかけながら左ロー、右フック。吉岡のパンチが強打されるが、グローブハンデが響いているか壬生狼はダメージを感じさせない。ならばと吉岡は左ミドル。左フックを顔面とボディへ叩き込む。  2Rもプレスをかけるのは吉岡。壬生狼はロープ伝いにリングを回り込む。吉岡はガードの上からでも強いワンツー、ハイキックを打つ。壬生狼はジャブ、左フックで応戦するが吉岡のパワフルさが目立つ。吉岡の左フックに左フックを合わせる壬生狼。  3R、ジャブの相打ちから吉岡が左右フックとヒザ蹴り。両者ともパンチからローのコンビネーションを繰り出し、吉岡は左フックを叩きつける。壬生狼は右ローとジャブ。壬生狼の左フックをもらうとすかさず打ち返す吉岡。左フックが大振りになる吉岡に壬生狼は派手さはないがコンパクトにパンチをヒットさせる。  判定はジャッジ1名がドローだったが、吉岡の減点が響き判定2-0で壬生狼が王座奪取。第7代王者となった。「静岡に行って1年でバンタム級のベルトを巻くことができたのは、力道場の先生とみんなのおかげだと思っています。まだまですがこれからもよろしくお願いします」と、声を詰まらせながらお礼を述べる壬生狼。 (写真)力道場静岡の深澤史和会長(右)と共に選手育成に励んでいた真・足関十段こと花井岳文が2019年に他界。花井のパネルを持ってチャンピオンになった壬生狼と共に並んだ そして「もうそろそろK-1さん、K-1のバンタム級トーナメントを開いていいと思うので、役者は揃っていると思うので開いてください」とK-1バンタム級新設をアピールし、「皆さん最後にご唱和ください。やる気、元気、一輝!」と恒例のキャッチフレーズを叫んだ。 [nextpage] ▼セミファイナル(第6試合)Krushライト級 3分3R延長1R〇大沢文也(TANG TANG FIGHT CLUB/team JOKER)延長R 判定3-0 ※10-9×3×川崎真一朗(月心会ラスカルジム)※本戦の判定は30-30×2、29-29。  大沢は小学生の時から始めたボクシングで優れたテクニックを持つベテラン選手で、2018年9月にはKrushライト級王座に挑戦してタイトル奪取ならずも、同年12月の「K-1ライト級世界最強決定トーナメント」では準優勝を果たした。7月のKrushで蓮實光にKO負け、12月のK-1では瓦田脩二に延長戦で判定負けし、現在連敗中。戦績は25勝(3KO)18敗3分。  川崎は2017年10月からKrushに参戦し、当初は連敗したもののその後は3連勝。力強い右ストレートで波に乗るかと思われたが、2019年8月、2020年1月と連敗を喫してしまった。これが1年2カ月ぶりの復帰戦となる。戦績は9勝(6KO)6敗。  1R開始すぐ、サウスポーの大沢の左ローがローブローとなり、試合中断。インターバル後、試合再開。大沢は軽快なフットワークと左右に構えをスイッチ、得意のパンチではなく蹴りを多用する。川崎は右カーフキック。  2Rも大沢は軽快なフットワーク。出入りしてパンチを打つ。しかし、またもローがローブローとなり、川崎はうずくまる。再開後、大沢は右ボディ、左ミドル。フットワークで動きながら左右に構えを変えるため川崎はなかなか手が出ない。  3Rは川崎が前に出る。コーナーを背負う大沢に飛びヒザ蹴り、ワンツー。大沢はジャブを突いて対抗。前に出る川崎が攻めの姿勢を見せたが両者とも決め手なくドロー。延長戦へ突入する。  ジャブを突いて前に出る川崎は右カーフキックも。大沢もジャブを突き、飛び込んでのボディと右ロー。両手を前に出して“打ってこい”と挑発する大沢だが川崎はのらない。大沢が左ボディで快音を響かせ、右ローにつなぐ。この攻撃を何度か見せ、川崎のパンチはかわして判定勝ち。大沢が連敗から脱出した。 [nextpage] ▼第5試合 Krushスーパー・フェザー級 3分3R延長1R〇大岩龍矢(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)KO 3R 3分06秒 ※右フック×山本直樹(優弥道場)  大岩は幼少期に空手を学び、中学・高校時代はラグビーで活躍して愛知県代表にも選ばれたアスリート。大学在学中にキックボクシングを始め、卒業後にプロデビュー。重いパンチを武器にスタウロス・エグザコスティディスと芦澤竜誠に勝利。しかし、2020年7月にKrushスーパー・フェザー級王者レオナ・ペタスに挑戦したが判定で敗れ、11月のK-1福岡大会では朝久裕貴にも判定で敗れて連敗中。戦績は18勝(6KO)8敗。  山本はK-1 WORLD MAXで活躍した山本優弥の弟で、2015年4月にプロデビュー。兄と同じくパンチ&ミドルキックのスタイルで戦績は11勝(3KO)7敗1分。2019年12月、レオナ・ペタスが保持するKrushスーパー・フェザー級王座に挑戦したが2R2分8秒、KOで敗れ王座獲得ならず。2020年3月の再起戦では佐野天馬を延長戦の末に降し、9月に中島千博から勝利も12月のK-1両国大会では村越優汰(湘南格闘クラブ)にダウンを奪われ敗れた。戦績は11勝(3KO)8敗1分。  1R、山本はミドルを蹴りつつ右のカーフキックを命中。2発目で大岩がバランスを崩す。大岩はそれでも前へ出て右フックを振るっていくが、山本は前蹴り、左ミドル。大岩はロープに追い詰めての右フック。カーフを蹴らせないようにロープに詰めてパンチを見舞う。  2Rになると大岩がカーフキックで逆襲。すると山本はカカトでふくらはぎを蹴る。山本は左三日月蹴りも。両者アッパーを狙い合う中、大岩がフルスイングの右フック3連打で3発目をしっかり当ててダウンを奪う。立ち上がった山本へ右フックを連打する大岩だが、山本はなんとか耐えた。  3R開始すぐ、山本はヒザで大岩のアゴを突き上げ、前蹴りで突き飛ばす。山本は右ストレートから左アッパー、そしてまたもヒザをアゴに突き上げる。大岩も負けじと左右フック。山本は左ボディと顔面ヒザで対抗する。さらに打ち合いの中でハイキックをヒットさせる山本だがタフな大岩は倒れない。逆にラッシュする山本へフルスイングの右フックカウンターを叩き込んで試合終了直前にダウンを奪い、KO勝ちした。  大岩はマイクを持つと「最後は気持ちが折れそうになったんですが、やっぱりKrush、K-1はKOじゃないとダメですね。どんどん強くなっていくので俺はこんなもんじゃない」とアピールした。 [nextpage] ▼第4試合 Krushスーパー・フェザー級 3分3R延長1R×SATORU成合(K-1ジム総本部チームペガサス)KO 2R 1分39秒 ※左右連打〇西元也史(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)  成合はまだキャリアは浅いながらも4勝(3KO) 3敗でKO率は高い。2019年12月に元Krush王者・島野浩太朗に敗れはしたものの、場内熱狂の打ち合いを展開して名を挙げた。2020年11月のK-1ではベテランの山本真弘から勝利を奪っている。4勝(3KO)3敗。  西元は伝統派空手をバックボーンに持ち、2019年9月大会からKrushに初参戦。友尊をハイキックでKOするインパクト大のKrushデビューを飾ったが、1朝久泰央、松本涼雅、TETSUに泥沼の3連敗。戦績は9勝(9KO)6敗2分。  1R、蹴ってくる成合に西元は左ジャブ、左フック、右ストレートと強打を打ち込む。成合が片足を上げたところでタイミングよく西元の左フックが入り、これがダウンとなる。西元は前へ出て強打を振るっていくが、ロープを背負った成合の左フックがアゴに入り、グラついた西元が打ち合いに来たところで成合が左フックでダウンを奪い返す。  2Rはジャブを多用する西元。前に出る西元に成合はロープを背負いながらも、右フックとジャブをしっかり当てる。成合がリズムに乗って来たかに見えたが、左ストレートに西元の右クロスを喰らってダウン。西元が強打でラッシュをかけると成合は顔面にパンチを受けて棒立ちとなり、レフェリーが試合をストップした。  マイクを持った西元は「時間はかかりましたけれど、これで10勝10KOです。マジで僕はこんなもんじゃないので絶対にチャンピオンになります。これがKrushでしょう」と逆転KO勝利を喜んだ。 ▼第3試合 Krushライト級 3分3R延長1R×SEIYA(MAD MAX GYM)判定0-2 ※29-30、30-30、29-30〇竜樹(WSRフェアテックス三ノ輪)  SEIYAは2015年8月からKrushに参戦し、2016年8月からは5連勝を飾った。2019年12月の『K-1』で負傷欠場した選手の代役として篠原悠人と対戦するはずだったが、計量オーバーで試合は中止に。6月のKrushでは弘輝にTKO負け、2020年9月のK-1では瓦田脩二に判定負けと連敗中で再起を懸ける。戦績は9勝(3KO)4敗。  竜樹は3勝(1KO)4敗3分の新鋭で、2018年11月にK-1 JAPAN GROUP初参戦で2連勝するも、2020年11月のK-1福岡大会で水町浩に延長戦で判定負け。WSRフェアテックス九州からWSRフェアテックス三ノ輪に所属を変えての試合に臨む。  1R、SEIYAは右ロー&カーフを連発。さらにジャブ。竜樹は右ミドルを蹴るが手数が少なく、そのまま終わるかと思いきや飛び込んでの右ストレートをヒット。そこから前へ出始め、右ミドルを蹴る。  2Rも手数が多いのはSEIYA。時折構えをスイッチしながら左右ミドル&ロー、ジャブを打つ。竜樹は前へ出て左右フックを打ち手数を徐々に増やしていく。  3Rはミドルの蹴り合い、右ストレートの打ち合いとなり、最後は足を止めてSEIYAが打ち合いに行ったが、要所要所でしっかり攻撃を当てに行った竜樹が判定2-0で勝利した。 [nextpage] ▼第2試合 Krush女子フライ級 2分3R延長1R×ファエゼ・ウィラサクレック(WSRフェアテックス・イラン/WKNアマチュア アジア女子-57kg級優勝)判定0-3 ※28-30×2、27-30〇RAN(MONKEY☆MAGIC KICKBOXING STUDIO)  新たにイランから参戦(女子は初)するファエゼはWKNアマチュア アジア女子-57kg級優勝、WMFアマチュア2018・2019女子-57kg級準優勝、WACアマチュア2015女子-57kg級3位などの実績を持つ35歳。戦績は6勝(4KO)3敗。  RANもKrush初参戦で、第7回K-1アマチュア全日本大会チャレンジBクラス女子-55kg優勝。2020年2月の『RISE GIRLS POWER』でAKARIとの女子高生対決に敗れたが、9月の同大会ではAYAに判定勝ちしている。戦績は3勝4敗の18歳。  1R、RANの右フックがよく当たり、サイドキックで距離をとる。ファエゼはジャブを突くもRANのパンチをもらってしまう。  2R、RANの左を見せてからの右フックをモロに喰らい、ファエゼはヒザが折れる。リズムに乗るRANは右フックをヒットさせていく。  3R、ファエゼは前へ出て打ち合いに行くが、ガードが甘く逆にRANのパンチをもらう。打ち合いは手数ではファエゼだが、有効打はRAN。判定3-0で元気のあるファイトを見せたRANが勝利した。 ▼第1試合 Krushフェザー級 3分3R延長1R×林 京平(湘南格闘クラブ/Bigbangライト級王者)KO 1R 1分47秒 ※左フック〇國枝悠太(二刃会)  1R、國枝が飛び込んでの左フックからの右フックでダウンを奪う。立ち上がった林は左右フックで対抗するが、國枝は左右フックで一気呵成に襲い掛かる。左フックを打ってきた林に左フックでダウンを追加する國枝。林は立ち上がるも足元がフラフラで、レフェリーがストップした。、 ▼プレリミナリーファイト第2試合 女子-53kg契約 2分3R×小澤聡子(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)判定0-3 ※28-30×2、27-30〇池内紀子(POWER OF DREAM)  池内がワンツー、左右のヒザ蹴り、左右のボディとデビュー戦離れした動き。2Rも同じ展開が続くが、小澤がスピードに慣れてきたか左右ローをコツコツ当て、右ストレートをヒットさせる。3Rには池内が左右ミドルと左右フックの攻撃を止めず、右フックを2度クリーンヒットさせて粘る小澤から判定勝ちした。 ▼プレリミナリーファイト第1試合 -56kg契約 3分3R〇渚(K-1ジム五反田チームキングス/第33回K-1アマチュア チャレンジAクラス -60kg優勝)TKO 2R 1分20秒×輝久(月心会チーム侍/K-1カレッジ2020 -55kg王者)  ロー主体の渚にサウスポーの輝久は左ストレートを合わせに行く。渚のローキックが2度ローブローとなり、2Rにまたもローブローかと思われたが、組み合った時に輝久が肩を脱臼した疑いで試合続行不可能となり、渚のTKO勝ちとなった。
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