顔を腫らし、涙を流しながら、ベルトへの思いを語った浅倉
2021年3月21日(日)名古屋・日本ガイシホールにて「Yogibo presents RIZIN.27」が、4,558人の観衆を集めて開催された。
メインイベントの第14試合では、女子スーパーアトム級(49.0kg)タイトルマッチ(5分3R・ヒジあり)が行われ、王者・浜崎朱加(AACC)に、浅倉カンナ(パラエストラ松戸)が挑戦。判定2-1で浜崎が初防衛に成功した。試合後、敗者・浅倉がインタビューに応じた。
2018年12月31日以来の再戦に敗れた浅倉は、「浜崎さんの動画も何回も見てチームで話していて、1Rの前半から(浜崎が仕掛けて)くるから、後半で盛り返そうという作戦通りに行ったけど、1Rの勢いが想像以上に強くて印象を取られた」と涙を流しながら振り返った。
また、前日の修斗で王座防衛した岡田遼から「『お前もベルトを鶴屋先生のところに持ってこいよ』と言われた」ことを明かし、「お手本のような試合をしてくれたんですけど、そこを繋ぎきれなかったのはすごく悔しい」と唇を噛むと、「でもやっぱり、扇久保(博正)さんも岡田さんもベルトを簡単には獲ってきていないので……(涙を流しながら)負けてからまたベルトまで挑戦してたどり着いて獲ってこそ、ベルトの価値が上がるのかな、と思います」と前を向いた。
テイクダウンに行くのが(腕を取られて)怖かったけど、得意の部分は自信を持って行こうと
──試合を終えた率直な感想を教えてください。
「うーん……そうですね。(涙ぐみながら)今回、ほんとうにベルトを獲れると思ってやってきたので、まだベルトが遠くなってしまったなって思ったんですけど、でもここまでこうやって練習を追い込めたのも、あの浜崎さんがいてくれたからだと思うので、そこは本当に感謝したいです」
──対戦を終えて相手の印象というのは違いましたか。
「そうですね。やっぱり、2年ちょっと経ってもまだ越せてなかったので、もっと超えてさらに強くならなきゃなっていう思いでまた頑張ります」
──今回のタイトルマッチ、今回の大会が女子格闘技というのが大きくテーマにあって、試合を終えてどうしたいという思いはありますか。
「ほんとうはやっぱチャンピオンになって『自分が引っ張っていきます』って堂々と言いたかったんですけど、まだ浜崎さんが上にいるので、そうですね、ここからまた自分が一気に駆け上がって、自分がどんどん引っ張っていけるようになりたいです」
──今後の展望を教えてください。
「ベルトを取れなかったのが、やっぱリベンジとベルトがかかっていたんですけど、それが出来なかったので……リベンジというよりも、まずはベルトを取りたいなって今は思いますけど、浜崎さんがまたベルトを持っていたら、そのときはまたベルトをかけて対戦したいなと思います」
──試合が終わった直後は、判定でどうなると考えていましたか。
「最初の印象がやっぱり良くなかったと思うんで、でもギリギリ取ったかなって、セコンドも、鶴屋(浩)先生が最後に『胸を張れ』って言ってたんで、取ったかなと思ってたんですけど、まあほんとギリギリの勝負だったと思うんで……まあ、仕方ないなっていうふうに思いますね」
──序盤かなり攻めこまれましたが、3ラウンド通しての試合運びの中で、中盤から盛り返してたと思うんですが、ご自身の中で、作戦で出来たこと・出来なかったことをどのように考えていますか。
「やっぱり浜崎さんの動画も何回も見てチームで話していて、最初のやっぱり1Rの前半から(浜崎が仕掛けて)くるから、後半で盛り返そうという作戦だったんで、作戦通りに行ったんですけど、本当、1Rの勢いがやっぱり想像以上に強かったんで、そこでちょっと印象を取られちゃったかなと思うんですけど、まあ後半追い上げたのは作戦通りだったんで、そこはうまくハマったなっていう感じです」
──クラッチを組んでのテイクダウン、そして相手のアームロックはほとんど防いでいたかと思います。
「そうですね。あの、今回テイクダウン行くのが(腕を取られて)怖いなと思ったんですけど、やっぱ自分の得意の部分なんで、そこは自信を持って行こうと思ってたんで、思ったよりテイクダウンも取れたし、アームロックとかも、いつも(鶴屋)怜とか、岡田(遼・修斗バンタム級世界王者)さんとかが寝技の練習をしてくれていたので、対策は出来ていました」
──昨日の修斗での岡田選手に続いて勝ちたかった?
「そうですね、もう本当、『お前もベルトを鶴屋先生のところに持ってこいよ』って言われて。お手本のような試合をしてくれたんですけど、そこを繋ぎきれなかったのはすごい悔しいんですけど、でもやっぱり、扇久保(博正)さんも岡田さんもベルトを簡単には獲ってきていないので、なんかやっぱりこういう……(涙を流しながら)負けてからまたベルトまで挑戦して、たどり着いてこそ獲ったベルトの価値が上がるのかな、と思います」
──あと1歩届かなかったところがどこにあると考えますか。
「1Rの前半のいいショートを(もらったこと)。あと後半にやっぱり……判定が2-1だったので“ああしておけばよかった、こうしておけばよかった”というのはいっぱいあるんですけど、これが結果なので、もっと強くなります」
──昨年から打撃の強化を挙げていましたが手応えはいかがでしたか。
「今回はあまり感じなかったですね。やっぱり自分も打撃練習ではうまく出来て自信を持って戦おうと思ってたんですけど、やっぱ浜崎さんのが一歩上だったなって思うので全然満足は出来てないですね」
──浜崎選手が「試合前は煽っていたけど、浅倉選手が強くなっていて嬉しい」と話しましたが、どのように感じていましたか。
「最初は本当にそう思っているんだろうなと思っていたんですけど、自分を奮い立たせるために煽ってくれてるのかなとも思っていて、試合後に一番に『煽ってごめんね』と言われました。強い人ってそうなんだな、と思いました」
──1Rから目を腫らせていましたが、見えていましたか。
「感覚的に腫れてるなとは思ったんですけど、あまり気にならなかったです」
──作戦はどのくらい遂行できましたか。
「やってきたことは本当、7割8割は出来たんですけど、これが10割出来たと満足していたら、次に行けないので。やっぱり試合と練習って全然違うので、試合でうまく出せなかったこともまだあるので、そこは今後の課題としてまた練習していきたいなと思ってます」
──2年前の自分と王者との距離は?
「ほんとうにこの2年半、何もやってなかったわけじゃないので、少しは縮まったんじゃないかなと思うんですけど、浜崎さんを倒して満足してちゃいけないと思うんで、その先を見て自分は倒した後が大事だと思うんで、まだ遠くなっちゃいましたけど、そこまで上がって行きたいと思います」
──浜崎選手が3戦目について、浅倉選手から『それまで負けないでください』って言われたと。浅倉選手は3度目についてどう考えていますか。
「そうですね。1回目で負けた時も『またベルトを持ったまま挑戦させてください』って言ってて、もう1回、ベルトをかけてまた負けてしまったので……、もしやるなら、ベルトをかけてリベンジもかけて戦いたいなと思います。『あと10年はやるよ』って言われました(笑)」
──今後、いつ再始動されますか。
「怪我の具合とかにもよると思うんですけど、一旦ちょっと……(涙が流れ)ここまで本当に全力でやってきたので……自分の怪我も治ってからもう一回……」
──ライブ配信では、3度目の試合を望むファンの声も多いようです。
「再戦したいって言ってはいるんですけど、まだ終わったばかりなので……いつになるかとか全然分からないんですけど、浜崎さんがいてこそ、今日のこの試合まですごい楽しかったし、目標の選手がいるって、ほんとうにありがたいことなんで、またベルトをかけて、試合が出来れば、ほんとう嬉しいなと思います」