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【修斗】岡田遼が大塚隆史に判定勝ちで初防衛、平良達郎が前田吉朗を61秒失神チョークで極める

2021/03/20 16:03
 3月20日(土)後楽園ホールにて、サステイン主催プロフェッショナル修斗公式戦「PROFESSIONAL SHOOTO 2021 Vol.2 Supported by ONEChampionship」が開催。ABEMAにて生配信された。 ▼第7試合 世界バンタム級チャンピオンシップ 5分5R○岡田 遼(王者・初防衛戦/パラエストラ千葉)[判定3-0] ※49-46, 48-47,50-45×大塚隆史(挑戦者・同級1位/T-GRIP TOKYO) 「修斗! 修斗! うるせーな」──ビッグマウス全開の大塚隆史が、僅か2戦目で世界のベルトに王手をかけた。  2020年11月、DEEPを主戦場に日本軽量級のトップファイターとして長年活躍してきた大塚が修斗に初参戦。初戦で“怪物”安藤達也を相手に1R TKO勝利をおさめ、一夜にして世界ランキング1位に君臨。最も選手層が厚く、強豪ひしめく修斗バンタム級のトップコンテンダーに躍り出た。  試合後、「修斗修斗うるせーし。安藤選手、ランキング1位で環太平洋王者。環太平洋は興味ないんで、佐藤将光選手と岡田(遼)選手、どっちか出来ますか? いつでもやれるんで。ベルトは賭けなくてノンタイトルでもいいんで」と王者との対戦をアピールしていた大塚。その後、12月に佐藤将光がタイトルを返上し、暫定王者の岡田遼(パラエストラ千葉)が正規王者となっていた。  大塚の言葉に黙っていなかったのが、その岡田遼だ。修斗に全てを捧げ、一途に修斗愛を邁進する岡田にとって、「ベルトなんかどうでもいいから俺と戦え」と言う大塚の振る舞いは許し難き蛮行。“暫定”が取れ、文字通り修斗の世界王者となった岡田の愛が勝つか? その岡田を嘲笑い、暴君の様に振る舞う大塚が2戦目で天下を獲るか?  岡田は2019年9月に安藤達也と判定1-1ドローで環太平洋王座防衛。2020年5月に、現在RIZINに参戦中の倉本一真を2R KOに下し、暫定王者となっていた。今回は、10カ月ぶりの試合となる。同じ安藤を1Rで下している大塚だが、2分12秒、ローキックによる安藤の負傷TKOのため、8カ月ぶりの試合で凌ぎ合いを見せてはいない。互いの信念がぶつかり合うイデオロギー闘争は、どちらが最後にベルトを巻くか。  岡田陣営には鶴屋浩代表、扇久保、松根良太の姿も。大塚のセコンドには北岡悟がつく。  1R、サウスポー構えから入る岡田は右ジャブ。互いにローの蹴り合いから。右のカーフは岡田、大塚はインロー。そして右の三日月蹴りを刺す。ニータップからテイクダウン狙いの大塚を切り返しダブルレッグは大塚。金網背に座る大塚、ブレーク。岡田の右ローにダブルレッグテイクダウンは大塚。ブザー。  2R、右カーフは岡田。前足を入れ替える大塚。岡田は左右の蹴りを歩いて当てる。その入りに右ストレートを狙う大塚だが、逆に岡田が金網に詰めて右ストレート! 押し戻す大塚はインロー。岡田のラウンドに。  3R、中央でダブルレッグテイクダウンは大塚も金網まで走り自陣でブレークを待つ岡田。左右スイッチし、サウスポーから左ミドル、オーソドックス構えから右カーフの岡田。大塚も入りに右を当てるが、岡田の打ち下ろしの右に腰を落とす。  4R、右のカーフを効かせる岡田。大塚の足が流れ気味に。詰める岡田の前蹴りが金的に入り、大塚が座り込む。中断。再開。互いに右のカーフ狙いから、スイッチし左ミドルを当てる岡田。大塚は接近戦で左右を振り、近づきニータップも二度のテイクダウントライを岡田は切る、  5R、四つから大内刈テイクダウン狙いの大塚を切り返して小外でテイクダウン、上を取る岡田! しかし下から大塚も足を手繰り立ち上がり。さらにバックコントロールし、岡田を投げるが、岡田も立ち上がり小外刈でテイクダウン。  大塚のテイクダウンから立ち上がり、右カーフ、スイッチしての左の蹴り、ジャブ&ストレートをヒットさせるなど、距離をコントロールし、ケージレスリングでも優った岡田が判定3-0(49-46, 48-47,50-45)で勝利。王座初防衛に成功した。  試合後、岡田はマイクを持ち、「大塚選手、俺がこの団体の王様だ。今日はたくさんのエンターテインメントから選んでいただいて、ありがとうございます。修斗を一番愛している岡田とやって盛り上がるのは、修斗を愛していない大塚選手でした。ほんとうに強い選手でした。もし彼のホームのDEEPでやつったら五分五分です。でも修斗でやったら絶対に勝ちます。なぜなら、俺の方が修斗を愛しているから!」と、ケージの真ん中で再び修斗愛を叫んだ。 [nextpage] ▼第6試合 61.2kg契約 5分3R○平良達郎(世界フライ級1位/THEパラエストラ沖縄)[1R 1分01秒 リアネイキドチョーク]×前田吉朗(世界フライ級5位/パンクラス大阪稲垣組)  デビューから現在まで無傷の7連勝。新世代の旗手・平良達郎と“浪速のヒットマン”前田吉朗との一戦が決定。  平良の出稽古先の先輩でもある扇久保博正が王座返上により、平良はこの試合に勝てば、正規王者となった福田龍彌への挑戦権を不動のものとするだろう。しかし、世界各国で50戦以上を戦い抜きPANCRASE、DEEP両団体のベルトを巻いた前田吉朗はあなどれない。  平良は2020年11月の前戦で前田にとって弟分とも言える清水清隆(※前田は東京出稽古でTRIBE TOKYO M.M.A.を拠点としている)と対戦し、長い打撃と組んでもバックを奪うなど、判定3-0で勝利しており、前田にとっては、その敵を取る気持ちもあるだろう。  2020年7月大会では福田が前田に3R TKO勝ちしていることもあり、平良にとっては王者との距離を測る試合にもなる。  ジャパニーズMMA歴戦の兵が、平良達郎の前に大きく立ちはだかるか。それとも“スーパーノヴァ”平良が8連勝で王座挑戦を決めるか。  1R、一回り大きな身体、サウスポーの前田は一旦頭を下げて右をヒット、そこに平良もワンツーを振る。前田の左の蹴りと平良の右ヒザが交錯、首をつかみ引き込み気味になった前田のスイープ狙いを潰し、立ち上がり際にすぐにバックに回った平良は素早く胴に足を巻き、スタンドバックからリアネイキドチョーク狙い、グラウンドに引き込むと、後ろ手を剥がそうとする前田に、電光石火のリアネイキドチョークを極めると、前田は失神。平良が61秒、一本勝ちを決めた。  試合後、平良は「僕にはもうタイトルマッチしかないと思います。修斗のベルトを獲ることをアマチュア修斗から考えてきました。お願いします! メインの岡田さんに繋げられたと思います」と師匠の松根とともに出稽古してきたパラエストラ千葉ネットワークの先輩にエールを送った。 [nextpage] ▼第5試合 65.8kg契約 5分3R×魚井フルスイング(和術慧舟會HEARTS)[判定0-3] ※27-30×2, 26-30○後藤丈治(TRIBE TOKYO M.M.A.)  そしてもう一試合、KO決着必至のカードが実現。約1年振りに修斗に帰ってきた魚井フルスイングと後藤丈治のハードパンチャー同士の一戦が決定した。  2019年8月にRIZINに初参戦し、ハワイが誇る強打者カナ・ハヤットとの打撃戦を制し、地元神戸で凱旋勝利を収めた魚井だが、その後、MMAで3連敗。修斗で田丸匠にスプリット判定負け、手塚基伸に負傷TKO負け、RIZINで元谷友貴に一本負けと苦しい試合が続いている。2020年11月にはRISEで“人獣”中村寛にKO負けを喫しており、7カ月ぶりのMMAで白星を掴めるか。  対する後藤は、2020年4月に開催された「Road to ONE:2nd」で元環太平洋王者・祖根寿麻を1R ニンジャチョークで極めて、MMA5連勝をマークするも、修斗初参戦となった9月の藤井伸樹戦では判定負け。しかし、12月の「TTF Challenge 09」では服部賢大を左ストレートからのパウンドでTKO。再起を飾っている。  サウスポーからジャブ、ロー、組みと丁寧に上下に散らしながら相手にプレッシャーをかけ左ストレートを的確に当てる後藤と、射程圏内に入った獲物を一撃で仕留めきるフルスイングが信条の魚井。フィニッシュまでの組み立ては全く異なるが当たれば必倒のマッチアップだ。拳が交錯する刹那に終わりが来るゾクゾクするカードが実現することとなった。  1R、ともにサウスポー構え。前足の右ミドルハイ、左ロー、ミドル、さらに左ストレートで魚井に尻餅をつかせる後藤! 魚井も左ロングフックに、ストレートも狙い応戦。近づけばボディを狙う。  2R、常に圧力をかけて左ロー、右ジャブを当てる後藤。魚井も右ジャブのダブルを打つが、圧力に回り、手数が減る。  3R、後藤の左ローにカウンターを狙う魚井だが単発に。「左で終わるな」のコーナーの声だが、魚井も踏み込めず。後藤が左右の蹴りで詰めてブザー。  判定3-0(30-27×2. 30-26)で勝利した後藤は、「消極的に見える試合だったかもしれませんが魚井選手との神経戦でした。これからランキング戦もあると思いますが、何があっても負け惜しみとか言い訳をせず、絶対にチャンピオンになります」とマイクで語った。 [nextpage] ▼第4試合 77.1kg契約 5分2R×宮路智之(パラエストラ松戸)[2R 3分18秒 TKO]○菅原和政(マスタージャパン福岡)  2019年より主戦場を修斗に移し、KO、一本勝ちと2連勝を飾った宮路智之(パラエストラ松戸)が約7カ月振りに参戦。前戦の飯田健夫(フリー)戦では両者共に攻め疲れを見せドローとなったが、最後まで諦めずに戦う姿勢に関係者には評価の高い一戦となった。  その宮路の対戦相手は久々の修斗出場となる菅原和政(マスタージャパン福岡)。現在は師である元世界王者・弘中邦佳が主宰するマスタージャパン福岡に籍を置き、2019年6月には3年7カ月ぶりに福岡での「闘裸男24」で復帰。久保昌弘にリアネイキドチョークで一本勝ちを収め、2019年11月にはリトアniアの「King of Kings」にも出場(2R TKO負け)している。今回は、修斗後楽園大会でその経験を生かすことが出来るか。  1R、ともにサウスポー構え。ジャブ&左ローをカーフで突く宮路。菅原は後ろ廻し蹴りを腹に当てると、詰めてクリンチボクシングから左も当てる。2R、宮路のローブローに菅原が中断。再開。長いワンツーを当てる宮路だが、菅原は左を当てて右ミドル、さらに詰めると、首相撲ヒザ蹴り、さらに左ストレートを当ててTKO。 [nextpage] ▼第3試合 77.1kg契約 5分2R○マックス・ザ・ボディ(BRAVE)[判定3-0] ※20-18×3×上原 平(リバーサルジム横浜グランドスラム)  さらに中量級注目のカードが決定。元世界王者・勝村周一朗の秘蔵っ子、24歳の新鋭、上原平(リバーサルジム横浜グランドスラム)が、修斗初勝利を目指す“カメルーンヘラクレス”マックス・ザ・ボディ(BRAVE)と対戦する。  ライト級はRIZIN参戦中の川名雄生を頂点に、環太平洋王者キャプテン☆アフリカ、“豪腕”太尊伸光がトップグループを形成しており、そこに田中有、長田拓也、岡野裕城が続く中、“18歳の二刀流”西川大和(西川道場)が破竹の4連勝で猛追している状況だ。  サバイバルマッチで頭一つ抜けるためには、とにもかくにも勝利しがない。4選手ともにランキング入りを目指す、重要な一戦となった。  1R、マックスのケージまでの押し込みに下がりながらサウスポー構えで右を当てる上原。しかしマックスはボディロックテイクダウン。サイド奪うも上原は立ち上がる。  2Rも押し込み、ケージクリンチボクシングはマックス。ブレークもなおも押し込むマックスに首を抱える上原。しかし首を立てるマックス。いったんは体を入れ替える上原だがブレーク。右一本を差してテイクダウンはマックス! サイドからハーフに戻す上原だが、マックスはこつこつとパウンド。ブザー。 [nextpage] ▼第2試合 インフィニティリーグ2020 バンタム級 5分2R○野尻定由(勝ち点1/赤崎道場A-SPIRIT)[2R 4分37秒 リアネイキドチョーク]×一條貴洋(勝ち点1/ブレイブハート)  野尻定由は、2019年3月の奥平季之戦で2R KO勝利以降、6月に堀川55滉介にTKO勝ち。9月には「ONE: Road to Century」にも出場し、前田浩平にギロチンチョークで一本勝ち。12月に林宏仲にKO勝利で4連勝。2021年1月に1年1カ月ぶりの試合で小野島恒太と対戦し、判定1-1ドローとなっている。  一條は、2月大会で石井逸人に判定負け。11月大会でよしずみと判定ドローで勝ち点0。「1ラウンドで何がなんでもフィニッシュしたい。東北人は諦めが悪いんです」と勝負をかける。  1R、野尻のダブルレッグからがぶる一條もドライブしテイクダウンは野尻。互いにスクランブルからバックの奪い合いも上を取る野尻。一條もラウンド最後にバックに回る。2R、ギロチンから後方に回す野尻、小手巻き払い腰もバック奪う一條。正対する野尻。スタンドで右を当てる一條! しかし野尻が際を制し、テイクダウンからリアネイキドチョークを極めた。 [nextpage] ▼第1試合 61.2kg契約 5分2R×輝龍(roots)[1R 0分42秒 ヒールフック]○高橋SUBMISSION雄己(和術慧舟會HEARTS)  輝龍は、2018年10月から奥平季之、牧ヶ谷篤、代輔に3連勝も、2020年は1月に小堀貴広に判定負け。3月にも秋山翼に判定負けと2連敗中。1年5カ月ぶりの白星を掴めるか。  対する高橋は、2019年12月に大城匡史にフットチョークで一本勝ち。2020年2月に牧ヶ谷篤戦が決まるもコロナ禍でキャンセルとなっている。  1R、いきなり高橋がスライディングで足を手繰り、サドルロック、ヒールフックへ。電光石火の一本勝ち。
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