キムラロックを極める大島(C)ゴング格闘技
2021年3月7日(日)東京・後楽園ホールにて『skyticket Presents DEEP JEWELS 32~アトム級GP2021開幕戦~』が開催された。
Skyticket Presents DEEP JEWELS 32~アトム級GP2021開幕戦~
▼第8試合 メインイベント DEEP JEWELSアトム級(47.6㎏)GP一回戦 5分2R
○大島沙緒里(AACC)47.50kg
[1R 0分45秒 キムラロック]
×富松恵美(パラエストラ松戸)47.60kg
※大島が準決勝進出
大島
「富松選手は強い選手だと十分分かっていますが、これから勝ち上がって行くためにもこの試合は絶対に落とせないので、しっかり勝ちに行きます」
富松
「富松は「久々に47.6kgの試合で。アトム級なんですけれどだいぶ違う体重でやっていたので禁酒がきつかったです。2日前くらいから(笑)。
今回アトム級トーナメントということで私がずっと辞めたいのに辞められない理由が正規チャンピオンになるってことで、そのチャンスがまた来たということで。しかも初戦がDEEPミクロ級王者の大島選手ってことで、チャンピオンになるからには強い人を倒して、誰も文句を言わないチャンピオンになりたいので大島選手をしっかり倒していきます
それとウチのジムの浅倉カンナと、RIZINのベルトとDEEP JEWELSのベルト、二冠を2人で獲って2人でチャンピオンになるという目標を掲げていますので、必ずそれをクリアーして、私もベルトを獲って頑張ります。まずは強敵・大島さんを倒したいと思います」
2021年3月7日(日)東京・後楽園ホール『skyticket Presents DEEP JEWELS 32~アトム級GP2021開幕戦~』から、前王者・前澤智が引退のため返上した第7代DEEP JEWELSアトム級(-47.6kg)王座を8名の選手が争う「アトム級GP2021」が開幕した。
出場選手の中で唯一人の現役タイトルホルダーが大島沙緒里(AACC)だ。“さおりん”こと大島は、3歳から始めた柔道歴は21年を数え、2019年の全日本アマチュア修斗で圧倒的な強さで優勝。2020年1月には修斗女子初代スーパーアトム級王座決定トーナメントに抜擢され、一回戦でKO勝ち、5月の準決勝では元DEEP JEWELSアトム級王者の黒部三奈相手に敗れはしたものの、新人離れした才能を発揮した。
2020年7月の『DEEP JEWELS 29』では柔術出身のさくらとの寝技合戦をアームロックで制してさくらにプロ初黒星を付け、9月の『DEEP』ではしなしさとこが返上したDEEP女子ミクロ級王者決定戦をにっせーと争い、1R2分10秒、ハンマーロックによるTKO勝ちでプロわずか4戦目にして王座に就いた。しかし2020年12月、今回のGP優勝候補であるパク・シウに判定3-0で敗れた。
「正直、前回負けてしまったので出る事は凄く悩みました。でもこのようなチャンスは普通であればこないと思うので、挑戦させてもらうことにしました」と、ためらいもあったが挑戦することを選んだ、と大島。
1月31日に選手参加で行われたトーナメント組み合わせ抽選会では5番を引き、まだ誰もいなかった第4試合の赤コーナーを選んだ。そして6番を引いた富松恵美(パラエストラ松戸)がその隣、第4試合の青コーナーを選び対戦が決まった。
「前の4人がもう決まっていたので、第1試合にするか、第4試合にするかという選択肢しかなかったので、試合が無くなってはしまいましたが(同門の)本野美樹(当初はメインイベントでタイトルマッチの予定だったが怪我で欠場)の前になる第4試合を選んで勝って、繋げられればと考えていました」と、その位置を選んだ理由を話す。
ベテランの富松の印象は「立っても寝てもできるオールマイティーな選手だと思います」と評し、トーナメント全体では「ミクロ級の選手もいるので、この中でもやっぱり負けられないなと思いました」と、一階級上でのトーナメントでもミクロ級王者としての誇りを胸に戦う。
優勝への意気込みを聞くと大島は「優勝は目指していますが、まずは1回戦。目の前の試合を全力で戦って、まずは5月の準決勝への挑戦権を得ます」と、目の前の試合にひとつひとつ勝っていくだけだとする。
そして「12月の試合では途中からスピードが落ちてしまいました。その面でフィジカルやスタミナ等のトレーニングを増やし、打撃も練習しています。練習してきたことを活かして勝ちに行きます!」と、前回の試合での反省点を克服して、ベテランであり元DEEP JEWELSアトム級暫定王者の富松を“喰う”と宣言した。
対する富松は、2006年10月にプロデビューした、参加メンバー中一番の大ベテラン。2014年2月にはDEEP JEWELSライト級暫定王者となったが、今回のトーナメント出場にあたっては複雑な想いもある。
「正規チャンピオンになるチャンスが来た! と、嬉しいのと反面、コロナ禍による自粛で韓流ドラマを観たりする事にハマり、歳により身体の不調もあり、出場を悩みましたが、若者に負けられないし、リベンジしたい選手もいるし、暫定じゃなく正規チャンピオンになるラストチャンスと思い奮い立ちました」と、トーナメント出場を決めた理由を話す富松。タイトルは獲ったものの“暫定”というのがずっと心に引っかかっていたのだという。
トーナメントの組み合わせ抽選会では、自ら進んで大島との対戦を選んだ。その理由は「どうせチャンピオンになるなら、強い人を倒したいという気持ちと、戦った事がないというところから選びました」と、大島がベルトを持っているためと初対戦ということから。大島の印象を聞くと「優しいけど、強いお母さん! 私より全然若いけど(涙)」との答えが帰って来た。
出場選手全員を見て「8人集めてくれたのはさすが! ですね…」と8人も揃ったことを喜び、「そりゃあ出るからには勝って、優勝して、ベルト巻いて、賞金頂きます! ゴールドジムでのウエイトも欠かしてません! 筋肉は嘘をつかない!」と、ウエイトトレーニングで鍛えたパワーで新鋭たちを迎え撃つ。そして最後に「私の生き様の試合を是非会場まで観戦に来てください」とメッセージを送った。
1R、大島がシングルレッグから小外がけテイクダウン、すぐにバックに回る大島に、防御し立ち上がる富松のシングルレッグに大島は手首を掴みキムラクラッチに。そのまま後方に回して富松を寝かせて、上からキムラロックを極めた。
試合後、大島はマット上で「前回、パク・シウ選手に負けてすごく怖くて、AACCでも阿部さんに最後の調整まで、しっかり休めと言われるまで調子が悪くて……今日勝てて良かったです。私は1年前にここでデビューして、ベルトも獲った思い出深い場所です。この後楽園ホールで、5月、本野選手も伊澤選手と戦います。ぜひこの後楽園ホールに来て応援よろしくお願いします」と5月準決勝もアピールした。