キックボクシング
レポート

【RISE】大崎一貴が一航の蹴りに苦戦も勝利もぎ取る、“門番”風音がHIROYUKIをダウンさせて撃退、良星がカーフキックでダウンを奪って再起戦に勝利

2021/02/23 19:02
RISE1462021年2月23日(火)東京・後楽園ホール ▼メインイベント(第8試合)Super fight!スーパーフライ級(-53kg) 3分3R延長1R〇大崎一貴(OISHI GYM/第2代RISEスーパーフライ級王者、初代WMC日本フライ級王者、LPNJフライ級王者)判定2-0 ※29-28、29-29、30-28×一航(新興ムエタイジム/WBCムエタイ日本統一バンタム級王者、NJKFバンタム級王者、WMCムエタイ日本バンタム級王者)  大崎はタイ・ルンピニースタジアムで8連続KO勝利を飾り、同スタジアム王座に挑戦したこともある。2018年には「KING OF KNOCK OUT初代フライ級(51kg)王座決定トーナメント」で準優勝。RISEには2020年2月に初参戦し、9月に田丸辰を破って王座を奪取。11月にはメインイベントでSB日本バンタム級王者・川上叶と王者対決を行い、勝利を収めている。今回はそれに続いての王者対決となった。現在4連勝中で戦績は32勝(17KO)5敗2分1無効試合。  対する一航は2019年4月の『BOM』でWMC日本バンタム級王座、11月の『NJKF』でNJKF同級王座を獲得して高校生二冠王者を達成すると、2020年9月にはINNOVATION三階級王者の岩浪悠弥とWBCムエタイ日本統一王座を懸けて対戦。チェアマン判定で王座を獲得して三冠王となった。普段はムエタイスタイルで戦うだけに、RISEルールにどこまで適応できるかがカギとなる。パンチとヒジ打ち(RISEルールでは禁止)が得意。  1R、大崎はガードを固めて前に出ると左ボディと右ロー。一航は左ミドルを蹴るが、大崎は独特のリズムで入り込むと左ボディを打ち、ショートの左右フック連打をまとめ、右アッパーも打つ。終盤は一航も左ボディを打ち、右ミドルを蹴る。  2R、大崎は上から振り下ろすような右フックと右カーフキック。一航も左ボディを打ち返して右ミドルを蹴る。巧みに距離を詰めてパンチの距離にする大崎は連打をまとめ、その中で強い右ストレートを放って一航をグラつかせる。一航はコーナーに追い込まれてこのラウンドを凌いだ。 3R、一航は左ミドルを蹴るが大崎がどんどん間合いを詰めてパンチを打ち込む。一航も打ち合うが大崎は右カーフキック。一航がパンチの連打とヒザ蹴り、大崎の左肩と脇は一航の右ミドルで真っ赤に内出血。それでも大崎は攻撃の手を休めず接近戦で左ボディ、左フックを打つ。一航も細かくパンチを出して蹴りに繋げ、両者手を出し合う中で試合終了。  判定3-0で大崎がRISE王者の意地を見せた。大崎はマイクを持つと「今日はKOとかダウンが多くて、僕がメインでしっかり締めないといけなかったんですが、一航選手は気持ちも身体も強くて、今までやって来た中で蹴りが一番強かったです。今年は53kgトーナメントに出られるようにしっかり練習してしっかり勝ちを積み重ねて、今年は僕が53kgトーナメントで優勝して僕がベルトを獲ります」と、53kg最強の座は渡さないと宣言した。 [nextpage] ▼セミファイナル(第7試合)スーパーフライ級(-53kg)3分3R延長1R×HIROYUKI(RIKIX/元新日本キックボクシング協会バンタム級&フライ級王者)判定0-3 ※28-29、28-30、28-30〇風音(TEAM TEPPEN/同級4位)  HIROYUKIは目の良さと身体能力の高さを活かし、打たせずに打つ試合が持ち味。時折、派手な蹴り技も見せる。新日本キックボクシング協会の第6代日本フライ級王者&第12代日本バンタム級王者で、近年では他団体選手との試合を望んで実現させてきた。2020年8月の『ジャパンキックボクシング協会』ではジャパンキック フライ級王者・石川直樹にカーフキックでKO勝ち。10月の『NO KICK NO LIFE』では花岡竜と引き分け、2021年1月の『JAPAN KICKBOXING INNOVATION 認定 第7回岡山ジム主催興行』ではMASAKINGを右ストレートでKOに仕留めている。  対する風音は、プロキャリア前半は関西を中心に活躍し、2019年3月にTEAM TEPPENに移籍。同年9月には元新日本キックボクシング協会フライ級王者の麗也からTKO勝利、11月には元NJKFフライ級王者の松谷桐に判定勝利を収め5連勝をマークしていたが、昨年2月の大崎一貴戦で2度のダウンを奪われ連勝がストップ。今回が1年ぶりの試合でまたしても他団体王者を迎えることになった。  1R、HIROYUKIは右カーフキックも交えながら前蹴り、右ミドル、右ハイと蹴りを放っていく。風音はパンチのコンビネーションを繰り出し、HIROYUKIが打ってくると打ち合いを挑む。右ミドルの蹴り合い、ワンツーの打ち合いがあって初回終了。  2R、風音が打ってくるところへ右ストレートのカウンターから左フックを決めるHIROYUKI。ヒットしなかったが、パンチのカウンターに危険な顔面ヒザ蹴りも。風音はワンツーのラッシュで攻め込み、大半をブロックされるもHIROYUKIの右ストレートに右ストレートのカウンターでダウンを奪う。HIROYUKIがダウンを取り戻そうとここからは一気に打ち合い。  3R、HIROYUKIが左フックをヒット。風音はヒザ蹴りで反撃。左フックの相打ち、両者とも打ち合いながら相手のパンチへのカウンターを狙う。右ストレート、左フックが危険な交錯。打ち合いを仕掛けていく風音にHIROYUKIも応える。両者パンチをもらい、危ない場面はあるが打ち返す。  最後まで打ち合った一戦は、判定3-0でダウンを奪った風音が勝利した。  風音はマイクを持つと「判定やったんですけれど、勝つ瞬間は待ちに待ったというか。勝つ瞬間を早く味わいたかったんですよ。感謝しかないです。その感謝を返せるのは戦って勝つことでしかできないので、それで返させてもらいます。トーナメントも出たいし、ベルトにも絡ませて欲しい。そこまで僕はのし上がる」と、再スタートを切った。 [nextpage] ▼第6試合 バンタム級(-55kg) 3分3R延長1R〇良星(Team Bull/同級2位、第4代Bigbangスーパーバンタム級王者)判定3-0 ※30-27×3×内藤啓人(BELLWOOD FIGHT TEAM/SB日本バンタム級4位)  良星はスピードとスタミナを活かした常に動き回るアグレッシブなスタイルで“ノンストップ・ハイスピードバトル”を展開し、会場を常に沸かせるRISEの元気印。得意技はハイキック。2018年7月に鈴木真彦に敗れて以降は破竹の7連勝(3KO)を飾っていたが、2020年1月に鈴木とのタイトルマッチ再戦で敗れて王座奪取ならず。8月の再起戦ではMAキックボクシング連盟日本スーパーバンタム級王者・戸井田大輝に判定勝ちしたが、9月の『RIZIN』で江幡睦に2度のダウンを奪われ判定負け。眼窩底骨折を負い出場が決まっていた11月のDoAトーナメントを欠場した。  内藤は内藤3兄弟の三男で、7月に匠朗を相手にKO勝利を飾り、3連敗後に連勝と波に乗ったかに思えたが、12月に有井渚海に判定負け。今回は知花デビットの欠場で急遽の参戦となった。  1R、良星は飛び込むと右ストレート、右ロー、そして一気に攻撃をまとめる。良星はカーフキックも蹴り、内藤のパンチを潜り込むようにしてかわすとそこからアッパーを突き上げ、ハイキックも蹴る。  2R、良星は右ミドルを蹴って内藤がキャッチするとすかさず右フック。スピードのある攻め込みを見せていた良星だったが、ここで内藤がカーフキック。2発で良星の動きが鈍り、足が流れる。それでも良星は手数を止めず、パンチと蹴りのコンビネーション。  3Rも蹴り足をキャッチしてのパンチを見せる良星が右カーフキック。これで足にダメージを負った内藤へ良星がパンチのラッシュをかけてダウンを奪う。内藤も左右ワンツー連打で前へ出てカーフを蹴らせないようにする。両者ともカーフを蹴り合い、左右フックで打ち合う。良星はしんどそうな表情を見せるが、手数は止まらない。内藤も打ち返す。かわして打つ、という動作を見せる良星の方が印象はいいか。  熱戦の勝敗は判定に持ち込まれ、ダウンを奪った良星が判定3-0で再起戦を勝利で飾った。  良星はマイクを持つと「昨年9月にRIZINで負けてから怪我をしてしまって半年間空いてしまいましたが、こうしてまたRISEの舞台に戻ってきました。去年いろいろあって所属していたジムがなくなってしまったんですが、残っていた子たちとジムを結成して新たにRISEのベルトを獲りに来ました。僕がトップとしてやっているので、手本になるような試合、練習、私生活をしていきたいと思います。まだまだ子供ですが恥じないようなチームを作り、自分も選手としてまだまだ頑張っていきます」と語った。 [nextpage] ▼第5試合 スーパーフェザー級(-60kg) 3分3R延長1R×竹内皇貴(チームドラゴン/同級4位)KO 2R 2分54秒 ※右ストレート〇石月祐作(KAGAYAKI/同級5位、DBSスーパーフェザー級王者、KROSS×OVER同級王者)  竹内はまるでリングに根が生えたように決して下がらず、その場で打ち合う真っ向勝負のスタイル。RISEでの試合はこれが約1年ぶりとなる。  石月は昨年8月に自身と所属ジム初タイトル獲得となったDBS日本ムエタイスーパーフェザー級王座を奪取すると、10月にはKROSS×OVER同級王座も判定勝利で獲得。二冠王となって、2019年11月以来のRISE参戦を果たす。師匠は伊藤隆RISE代表の現役時代、天敵ともいえる存在だった元MA日本キックボクシング連盟ウェルター級王者・伊達皇輝。  1R、前に出るのは石月。ジャブから左右ボディで攻める。サウスポーの竹内は左ミドルを蹴っていき、石月のパンチコンビネーションにはガードを固める。石月はどんどん左ボディを攻めていき、それをフェイントに左フックも。竹内はパワフルな左ミドルと左ヒザ蹴りで対抗。石月の動きを鈍らせる。  2R、石月も右ミドルを放ち、竹内の左ミドルの蹴り合いに。その中で石月が右ストレートをヒザ蹴りのカウンターで打ち、ダウンを奪う。立ち上がるも石月の右ストレート、右フックを浴びる竹内。石月は右ボディから左右フック。鼻血を出しながらも左ミドルを返し、右フックを打ち返す竹内だが、石月がコーナーへ追い詰めて右ストレートを連打すると竹内は何発もまともに浴び、コーナーで崩れ落ちだ。本日2人目の担架となった。  石月は「まだまだ未熟ですがスーパーフェザー級を盛り上げていく一人になりたいので、どんどん強いヤツとやらせてください。よろしくお願いします」とマイクアピールした。 [nextpage] ▼第4試合ライト級(-63kg) 3分3R△山畑雄摩(心将塾/DEEP☆KICK-63kg王者、NJKFライト級1位)ドロー 判定1-1 ※30-29、29-29、29-30△大石健作(TEAM TEPPEN/DEEP☆KICK-63kg4位)  山畑は昨年9月のDEEP☆KICK王座戴冠時にRISE参戦を目標に掲げており、念願の初参戦が叶った。2020年11月の『RIZIN.25』では大雅と対戦し、判定3-0で敗れている。  その山畑に対する大石は日本拳法がベースで、プロキックボクサーの他に株トレーダーの顔も持つ28歳。3連続KO勝利で勢いに乗るも、2020年12月にNKB王者の高橋聖人に判定負けを喫し連勝がストップしている。両者は昨年12月にSNSで舌戦を繰り広げており、リング上での激しい戦いにも期待したいところだ。  1R、サウスポー同士。山畑は左右ローキックで大石の前足を狙い撃ち。大石は前後のステップから飛び込んでパンチのコンビネーションやハイキックを繰り出す。的確に捉えたのは大畑のローキックか。  2Rも山畑は大石のパンチをほとんどブロックしてローを的確に当てていく。ならばと大石は左ミドル。中盤を過ぎると大畑もブロックを緩めてパンチの打ち合い、蹴り合いに出る。大石は待っていましたとばかりにジャンプしての蹴りを放つ。  3R、大石がカーフキックを蹴ると山畑は転倒。そこから大石はカーフを狙い撃ち。大石はパンチで倒したいのかパンチ中心の攻撃を繰り出すが、再び山畑がブロックを固めてローを蹴り始める。そのまま勝敗は判定にもつれ込み、三者三様のドローとなった。DEEP☆KICKのタイトルマッチにて再戦という流れとなるのか。 [nextpage] ▼第3試合 フェザー級(-57.5kg) 3分3R×周葉(TARGET SHIBUYA)KO 1R 1分52秒 ※左ハイキック〇都筑海杜(キックボクシングジム3K/and lab/第20回、21回オープントーナメントグランドチャンピオン決定戦優勝)  周葉は26歳でプロデビューし、戦績は1勝(1KO)1敗。今回が1年3カ月ぶりの3戦目となる。都筑はK-1やKrushで活躍する近藤三兄弟(大成・拳成・魁成)のジム3KからRISEに初参戦。戦績は1戦1勝。  1R開始と同時に放った周葉の右ローがサウスポーの都筑のローブローに。いきなりの中断。再開後、左ストレート、ワンツーからつかんでのヒザ蹴りとスピードのある攻撃を見せる都筑。今度は都筑の左ローがローブローとなり、試合中断。  再開直後、都筑の左ハイキックが鮮やかにクリーンヒット。バッタリ倒れた周葉は一直線に身体が伸び、そのまま担架で運ばれた。 [nextpage] ▼第2試合 ライト級(-63kg) 3分3R×久保田有哉(TARGET)判定0-3 ※26-30、25-30、25-30〇藤井重綺(トイカツ道場)  1R、藤井がパワフルな左ボディ、左フック、右アッパー、右ストレートを次々と決め、場内からはどよめきが起こる。久保田はワンツーを伸ばすが、藤井に届かない。  しかし2R、久保田が前に出てワンツーとローで攻め込むと、目立ったヒットはないものの藤井の手数が減る。どんどん前へ出て攻撃を放つ久保田に藤井もフックを打ち返すが、手数はかなり少ない。それでもヒットを奪うのは藤井の方。  3Rは両者至近距離での打ち合い。上手く打ち分けるのは藤井だが、久保田はヒザ蹴りも混ぜて手数も多い。この押し合いの展開の中で、残り1分30秒のところで藤井が左フックをヒットさせてダウンを奪い、食い下がる久保田に藤井はパンチを出しながら下がり、久保田のパンチはかわして判定勝ちした。 ▼第1試合 スーパーフライ級(-53kg) 3分3R×穂波 楓(JOKER GYM)判定0-3 ※27-30、26-30×2〇彪司(=ひゅうが/TEAM TEPPEN/JAPAN CUP 2019 -55kg級優勝・大会MVP)  1R、長身の彪司が前へ出て穂波がステップを使って動き回る。彪司の打ち下ろしのワンツーが決まって吹っ飛ぶ穂波。  2R序盤は両者とも見合い、レフェリーから注意を受ける。彪司がヒザ蹴りと左フックで穂波をグラつかせ、ロープを背負わせる。穂波は意を決してコーナーで足を止めて打ち合いを挑んだが、彪司の左右の連打でダウンを喫する。  3R、彪司が左右連打からのヒザ蹴りを見せ、“来い”とカモンゼスチャー。穂波は左右フックを放つが、彪司の圧力に下がる展開が続く。思い切った左フックがかすめる場面もあったが、彪司のリーチを克服するには至らず。彪司の判定勝ちとなった。
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