NKB日本キックボクシング連盟「必勝シリーズvol.1」2021年2月20日(土)東京・後楽園ホール▼第11試合 メインイベント 60kg契約 3分5R〇高橋 亮(真門ジム/NKBフェザー級王者)TKO 4R 0分48秒 ※左ハイキック×山浦俊一(新興ムエタイジム/WBCムエタイ日本統一スーパーフェザー級王者、元NJKFスーパーフェザー級王者)
高橋は“高橋三兄弟”の次男で、近年は『KNOCK OUT』にも参戦。2017年12月には小笠原瑛作からダウンを奪って引き分け、2018年5月には宮元啓介、9月には瀧澤博人から勝利を奪い、2019年6月にはホームのNKBでバンタム級に続いてフェザー級のタイトルも奪い、2階級制覇に成功。10月には大ベテランの国崇にもTKO勝利。2020年は「ジャパンシフトランド杯59kgトーナメント」で決勝へ進出したが、村田裕俊に延長戦で敗れて優勝を逃した。今回は61kgで初の試合を行う。サウスポーで戦績は20勝(8KO)7敗2分。
山浦は15歳でプロデビューするも16歳から21歳まで現役を離れ、22歳で復帰。2019年9月にNJKFスーパーフェザー級王座を奪取している。2020年12月にWBCムエタイ日本スーパーフェザー級王者・葵拳士郎(マイウェイジム)に挑戦し、判定3-0で王座を奪取した。2019年2月には高橋三兄弟の三男・高橋聖人と対戦し、ダウンを奪われて判定負けしており、高橋兄弟へのリベンジ戦という図式も。戦績は12勝(2KO)8敗2分。
1R、圧力をかけて前に出るのはサウスポーの高橋。強烈な左ロー、前蹴り、左ミドルを放つ。三浦は右ミドルを返し、高橋の蹴りをキャッチしての左右フックも見せた。
2Rも強い左ローを蹴る高橋はいきなりの左ハイ。さらに左ローを蹴っての左ミドル、そしていきなりの左ストレートと攻撃を散らして相手の意表を突く。三浦もローを蹴るが手数が少ない。
3R、高橋は左、三浦は右を狙い合って相手の空振りを誘う展開。待つ時間が増えてそのまま終わるかと思いきや、残り10秒のところで高橋の左三日月蹴りが突き刺さってダウンを奪う。
4R、三浦はパンチを出しつつ高橋をコカしていくが、高橋は前蹴りで吹っ飛ばした後、今度は左フックを放ってきた三浦に左ハイキックを炸裂させて三浦はバッタリと倒れる。レフェリーが即座に試合をストップし、高橋のTKO勝ちとなった。
高橋はマイクを持つと「2021年のNKB、いいスタートを切れたんじゃないですか。めっちゃ言いたいことがある。このカードが組まれた時に聖人が勝っている相手なのでめちゃナメられていると思った。でも(前回)負けて文句が言える立場じゃないので。僕の一番の目標は大晦日の舞台で試合をすることなので、大晦日の試合ができるように応援してください。それと三浦選手、悔しくてリベンジしたいのだったら緑のベルト、WBCのベルトを懸けてやってくれるんだったら考える。僕はどのリングで戦ってもNKB出身なのは変わらないので、渡邊代表、どんどんやらせてください」とアピールした。(写真)フィニッシュとなった高橋の左ハイキック 試合後、高橋は「今日のテーマはレベルの違いを見せることでした。最終的にKOで締められてレベルの違いを見せられたと思います。本当はローで1・2回ダウンを取りたかったんですが、思っていたより反応が良くて効かせられると思ったんですができなかったですね。足、腹、顔、全部効かせてやろうと思っていました。腹が効いたので絶対にハイキックが入ると思って。ボディのフェイントをしてからハイを蹴りました」と、圧倒するとのテーマを達成できたと振り返った。
「(弟の聖人に負けている相手なので)最初は断ろうと思ったんですが、村田戦で負けているので発言権はないので倒して勝って言いたいことを言わせてもらおうと思って受けました」と言い、「また山浦選手がやりたいなら今度はWBCのベルトを懸けてくれるならやります。真門ジムにフェザー級の後輩がいて、僕がNKBフェザー級のベルトを返さない限り獲れないので、その枠を譲らないといけない。だから別のベルトが欲しい。いろいろ挑戦していきたいですね」と、NKBフェザー級王座は後輩に譲って別のタイトルを獲りたいとした。
また、RIZIN大晦日大会への出場アピールは「一番の目標はそこ。大晦日の舞台で試合をするのが格闘家の夢なのでそれは叶えたいです、絶対に。でもまだその舞台に立てるレベルにいないので、そういう選手になりたいのでいろいろな団体のオファーを待っています」と、大晦日を目指していきたいと語った。
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▼第10試合 ミネルヴァライトフライ級タイトルマッチ 3分3R△sasori(テツジム/PRIMA GOLD/ミネルヴァライトフライ級王者)ドロー 判定1-1 ※29-30、30-29、29-29△喜多村美紀(テツジム/ミネルヴァライトフライ級1位・挑戦者)※sasoriが初防衛に成功。
sasoriは2019年9月、ミネルヴァ王座を獲得。2020年2月にはシュートボクシングに参戦し、5勝3KO無敗の快進撃を続けていた女神と対戦。サウスポーから繰り出す左ボディ&左フックを中心に、パンチを全く止めずに打ち合いへ行くアグレッシブなファイトスタイルで女神からダウンを奪い、延長戦で判定勝ち。7月にはRISEに初参戦すると寺山日葵に延長戦で敗れるも大きなインパクトを残した。10月に開幕した「RISE GIRLS POWER QUEEN of QUEENS 2020」では、独特のキャラクターで大ブレイクを果たし、11月の準決勝へ進出するも寺山との再戦で判定2-1の惜敗。戦績は10勝(1KO)4敗2分。
喜多村は、“魔人”と呼ばれ90年代に活躍したキックボクサーであるガルーダ・テツの弟子。約7年のアマチュアキックでの下積み時代を経て、2015年、29歳にしてプロデビュー。遅咲きながらもメキメキと頭角を現し、これまでに小林愛三、寺山日葵などのトップ選手と対戦経験がある。ガルーダ・テツ譲りの決して折れないファイトスピリット、テクニックに定評がある。戦績は9勝9敗3分。
両者はテツジムの同門(ただしsasoriはテツジム姫路支部所属)だが、2019年9月にミネルヴァ・ライトフライ級王座決定戦で対戦し、勝利したsasoriが王座に就いている。
1R、喜多村はサウスポーのsasoriの前足の外側にポジショニングしての右ストレートを狙う。この右をもらうsasoriだったが、狙いを呼んだか返しの左ストレートを当てていき、終盤30秒では前に出て連打を見せる。
2R、笑うsasoriが前へ出る。喜多村は左右フック、ワンツーを繰り出し、ミドルを空振りしてのバックハンドブローをヒットさせる。喜多村は右ストレート、sasoriは左ストレートを繰り出すが、互いにスウェーでかわして空振りを誘ってのパンチを返す。sasoriが喜多村の右を真正面からもらう場面も。
途中経過はジャッジ2名が20-19で青コーナーの喜多村、1名が20-19で赤コーナーを指示してここまで喜多村がリード。
3R、喜多村は右、sasoriは左を顔面とボディへ打ち分けるが、喜多村の右が連続ヒット。下がるsasoriを追いかける喜多村だが、sasoriも反撃して今度は左を顔面とボディへ打ち込んでいく。喜多村も一歩も退かずに足を止めて打ち合い、両者その場で足を止めての打ち合いを展開。
判定は三者三様のドロー。sasoriが苦しい試合ながらドロー防衛に成功した。
試合後のコメント(セコンドの飛竜会長に耳打ちするいつものスタイル)でsasoriは「ちょっと調子に乗ってカップ焼きそばの湯切りして申し訳ない。ドローという結果ですいません」と謝る。カップ焼きそばの湯切りとは、入場時にsasoriが自軍コーナー下で行ったパフォーマンス。
「得意料理がカップ焼きそばの湯切りなので、皆さんに見ていただきたいとのことでした。いや、僕は止めたんですが本人がどうしてもすると言うもので…」と言い訳する飛竜会長。ドローという結果には「ドロー(どうも)もすいません。初めの湯切りで気が抜けてしまったのが失敗でした」と苦戦した理由もそこにあるという。
喜多村に関しては「前回に比べても格段にレベルが上がっていた」と評価したが、「(右ストレートは)ギリギリで見切っていたので大丈夫でした」とクリーンヒットはしていなかったとした。3R前のオープンスコアではsasoriが2-1で負けていたが「そうでしたか。聞いていませんでした」とのこと。
「久しぶりの出場で何でも(N)かんでも(K)ぶっこみすぎ(B)のNKB最高!」というsasoriは「何でもかんでもぶっこむNKBなのでどの団体からのオファーでも躊躇せず受けます」と、今年も様々な団体で活躍したいと言い、RISE王者・寺山日葵との再戦について聞かれると「もちろんしたい。あと、カップ焼きそばの湯切り対決をしたい」と希望した。また、TEPPEN GYMで出稽古した感想を聞かれると「那須川天心選手に会えて嬉しかった」とニヤリ。
そして今年の目標を聞かれると「今年こそは私を振った相手に復讐したい。今年こそはシバきます」と最後までキャラを貫いた。
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▼第9試合 ライト級 3分3R〇棚橋賢二郎(拳心館/NKBライト級1位)TKO 1R 2分59秒 ※右フック×藤野伸哉(RIKIX/WMC日本スーパーフェザー級2位)
棚橋はパワフルな左右フックをフルスイングする一発KO狙いのスタイルで、戦績は8勝(6KO)5敗1分。藤野はオールラウンダーでWMC日本ランカー、戦績は12勝(3KO)6敗2分け。
序盤は棚橋の左右フックに藤野がワンツーを返す。ラスト30秒のコール後、棚橋が右フックでダウンを奪う。その後の左右フック連打で右フックをなぎ倒すようにヒットさせ、レフェリーがストップ。棚橋のTKO勝ちとなった。
▼第8試合 ウェルター級 3分3R〇笹谷 淳(TEAM COMRADE/NKBウェルター級3位)判定3-0 ※30-27×3×ちさとkiss Me!(安曇野キックの会)
2002年11月デビューで45歳のベテラン笹谷と、2005年8月デビューの38歳ちさとの熟年対決。笹谷は26勝(8KO)28敗1分、ちさとは4勝(1KO)21敗3分の戦績。
1R、サウスポーの笹谷はローから組み付くとコーナーへ押し込み、得意のヒジで早くもカットを奪う。ドクターチェック後も左ストレートから左ヒジを見舞う笹谷。
2R、前に出る笹谷が左ミドル、左ローから組んでのヒジ。ちさとは組まれて体力を削られたか、息が荒く動きもスローモーに。そこへ笹谷が左ハイ。
3R、左ストレートで攻める笹谷は完全にバテたちさとを何度もコカす。そのまま展開は変わらず笹谷がフルマークの判定勝ちを収めた。
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▼第7試合 57kg契約 3分3R〇海老原竜二(神武館/NKBバンタム級4位)判定3-0 ※29-28×2、29-27×ベンツ飯田(Team Aimhigh)
1R、サウスポーの海老原は左ミドルからの左ストレートを伸ばす。飯田は右インロー。初回は両者とも様子見。
2Rも同じ展開の中、飯田が右ミドルを蹴ってパンチにつなぐと流れが傾く。海老原もパンチを繰り出すがかわされる。
3R、飯田がパンチ&前蹴りから左ハイをヒット。海老原が左右フックを振り回して前へ出ると飯田も足を止めて打ち合う。互いに右フックをもらう中、飯田はタイミングのいい前蹴りで海老原を下がらせる。
海老原のローが2度連続ローブローになった直後、飯田が不用意に左ローを出したところで海老原が左ストレートを合わせ、ダウンを奪う。最後は足を止めての打ち合いとなり、海老原が左ハイをヒットさせて終了。海老原の判定勝ちとなった。
▼第6試合 58.5kg契約 3分3R〇矢吹翔太(フリー)※中田ユウジ(STRUGGLE)欠場のため判定2-1 ※29-28、29-30、29-28×半澤信也(トイカツ道場)
当初、半澤と対戦予定だった中田ユウジ(STRUGGLE)が肝機能障害からの発熱で急遽欠場となったために、矢吹が代替出場となった。しかし、矢吹は計量でクリアーできず、減点1からのスタート。
1Rから組み付く矢吹はヒジを乱れ打ちしカットに成功。2度のドクターチェックが入る。2R以降も、半澤は右ストレートを当てるものの、矢吹は執拗な組んでの攻防に徹底する。僅差の判定で矢吹が勝利した。
▼第5試合 53.52kg契約 3分3R〇志門(テツジム)判定3-0 ※30-29、30-28、30-28×ナカムランチャイ・ケンタ(team AKATSUKI)
1Rから慎重な出だしの両者。パンチで前に出る志門に、中村は左ミドル。2R、左ロー、右ストレートの志門に、中村は右ストレートを出しながら前に出るが決定打はない。3R、右ストレートを何度も当てる志門はバックブローを交ぜて一気にラッシュ。中村もパンチを返すが、志門がペースを握る展開となり判定勝ち。
▼第4試合 59.0kg契約 3分3R〇山本太一(ケーアクティブ)TKO 3R2分53秒×源樹(リバティジム)
1R、源樹が下がり、山本が左ミドルで追い込み、左ストレートでダウンを奪う。2Rも左ミドルで追い込む山本が左ストレートを当てぐらつかせて2度目のダウンを奪う。3R、追い込まれながらも右ストレートを当てた源樹だが、山本が左ストレートからのパンチ連打で防戦一方に追い込んだところで、レフェリーがストップした。
▼第3試合 54.5kg契約 3分3R〇SHU(D-BLAZE)判定3-0 ※三者とも30-28×幸太(八王子FSG)
1R、右インローと右ミドル連打でSHUが追い込む展開。変わらず右インローと右ミドルで前に出るSHUに、幸太は左ストレートを返すがSHU優勢。3Rには、ガードの下がった幸太に、SHUが右ハイもヒットさせる。判定でSHUが判定勝ち。
▼第2試合 ミドル級 3分3R〇渡部貴大(渡邉ジム)KO 3R 1分56秒×畑澤貴士(八王子FSG)
お互いに右ローを連打、渡部が連発で右ストレートを当てる。2Rも右ローの畑澤に、渡部は組んでのヒザを当て優勢。3R、組んでのヒザ蹴りを顔面にぶち当てた渡部がKO勝ち。
▼第1試合 アマチュア特別試合 50kg契約 2分3R〇伊藤千飛(真門伊藤道場)判定3‐0 ※30-29、30-29、30-27×藤井 昴(治政館江戸川道場)
昨年7月のDEEP KICKで東西ジュニア最強対決と銘打たれた那須川天心の弟、那須川龍心との一戦を制した伊藤が参戦、NJKFジュニア三階級王者の藤井と対戦した。
大会にかかれていたパンフレット“西の神童・蹴らない千飛”の異名通り、伊藤は1Rからパンチのみの勝負。接近戦の打ち合いでは左ボディ、右ストレートと次々と当てていく。藤井は前蹴り、右ミドルと蹴りからパンチにつないで応戦するが、パンチのヒット数で上回る伊藤が判定勝ちした。