MMA
レポート

【UFC】佐藤天がバエザに一本負け、バエザは10連勝。アンソニー・スミスがデビン・クラークに一本勝ち

2020/11/29 10:11

【セミメインイベント】

▼ウェルター級 5分3R
○ミゲル・バエザ(米国)171lbs/77.56kg
[2R 4分28秒 肩固め]

×佐藤 天(日本)170lbs/77.11kg

 MMA16勝3敗(11KO・TKO)の佐藤はUFC4戦目(2勝1敗)。バエザはMMA9戦無敗(UFC2勝、7KO)。

 2019年4月にベン・サンダースに2R TKO勝ちでUFCデビュー戦を白星スタートした佐藤は、同9月に、ベラル・ムハメドに3Rチョークで一本負け(※現在ムハメドはUFC3連勝中)。2020年6月には、新型コロナウイルスの影響で対戦相手が三転四転するなか、ジェイソン・ウィットを1R、わずか48秒でTKOに下している(※UFC参戦の日本人UFCファイター史上最短勝利)。

 2020年8月にも同じラスベガスでダニエル・ロドリゲスを相手に試合に臨む予定だった佐藤だが、計量をパスしたものの、その後のドクターチェックで2週間前に発症したという帯状疱疹の跡が見つかりドクターストップ。3カ月の間を置き、今回がオクタゴン4試合目となる。

対するバエザは2019年ダナ・ホワイトのコンテンダーシリーズ出身。UFCでは2019年10月にヘクター・アルダナに2R TKO勝ち。2020年5月にマット・ブラウンに2R TKO勝利を収めている。

 バエザがカウンターの左フックで沈めたブラウンは、佐藤が勝利しているサンダースに2R TKO勝利しており、UFCランキング入りを目指す両者にとって競り合いのマッチメークとなっている。

 サウスポー構えの佐藤に対し、オーソドックス構えのバエザは、初戦のアルダナ戦では、遠い間合いからの右ハイ、右ローと上下に蹴り分け、右カーフキックを効かせてダウンを奪いパウンドアウト。

 2戦目のマット・ブラウン戦でも右のカーフを効かせ、ブラウンの左右を浴びながらもシャープなワンツーで1Rからダウンを奪取。2Rもブラウンの左の入りに右から左の返しを当てると、右前蹴り、右カーフを効かせて、ブラウンの左にカウンターの左フックでダウンを奪い、パウンド1発。KOに下している。

 左右のどちらもカウンターが巧みなバエザは、コンテンダーシリーズでは、サウスポー構えのヴィクター・レイナの左フックにカウンターの右でダウンを奪っており、ともに位置取りが重要な試合となってくる。また、相手の頭を下げさせるがぶりの動きを得意とし、首相撲からのヒザ蹴りにも注意が必要だ。

 組み技では、金網まで這い立とうとしたレイナにバックテイクを選択しているバエザは、引き落としからのアナコンダチョークも狙っているが、極めには至らず、逆に後半にレイナの反撃を許している。

 バエザのカーフはサウスポー構えの佐藤には遠いが、リーチがあり左右どちらも破壊力があるパンチ、そして柔術黒帯のグラウンドとウェルラウンダーの強豪を相手にする佐藤。上位を目指す佐藤にとっては、今回の契約最終試合でスタンドで主導権を握り、ケージレスリングでも優位に立ちたいところだ。

 1R、サウスポー構えの佐藤、オーソドックス構えのバエザ。遠い間合いを取るバエザ。中央を取る佐藤から圧力をかける。大きな右オーバーハンドはバエザもかわす佐藤。左から右を打ち込み離れる。

 右のミドルはバエザ。詰める佐藤に前蹴りで牽制する。右の蹴りから右で前に出るバエザ! さらにガード上に鋭い右ハイを打つ。さらに右ミドル、ハイ。ブロックする佐藤は右が交錯。左ボディストレートを狙う。

 バエザの右に組みに行った佐藤。四つに持ち込むが、バエザの右ヒザが股間に入りローブローに。中断。立ったまま跳んで回復させる佐藤、再開。

 長い右ミドルのダブルはバエザ。さらに左ボディ狙いも。さらに右ストレート! 下がる佐藤に詰めるバエザは足を滑らせる。右ミドルはかわす佐藤は右に動きながら左ストレートを狙う。右ハイをガードした佐藤は右ジャブを突くと、バエザがバランスを崩す。右の攻撃を当てたバエザのラウンドか。

 2R、外足の取り合い。リーチあるバエザは右ミドルを突く。さらにスーパーマンパンチ狙い。右ボディストレートも。迎撃する佐藤も左ストレートで入るが足を滑らせる。右ミドルハイをガードする佐藤。いきなりの左ストレートを2度。ブロックするバエザは入りに合わせて右をカウンターで当てる。右ジャブを突いてから左ストレートは佐藤! しかしバエザは右ミドル! 右ボディストレート、ワンツーに佐藤は下がる。

 シングルレッグからハイクラッチで持ち上げテイクダウンはバエザ! 背後からリアネイキドチョーク、正対する佐藤だがバックマウントを奪われている。半身で凌ぐ佐藤だが、バエザは正面を向かせて肩固めへ。佐藤がタップした。バエザはMMA無傷の10連勝をマーク。

 試合後、バエザは公式インタビューに、「彼はサウスポーだ。それを一番の武器にこれまで相手をフィニッシュしてきている。だから、とにかく腕、頭、ボディを攻めていった。左を打てないように封じ込めたかったんだ」と佐藤の左を研究していたことを明かした。

 さらに、「自分は正しいことをしたと思っている。勝ち続けて、もっともっと成長している。正しい方向に進んでいるという実感もある。この階級が俺をどう思っているか? どうだろうね、俺は彼らじゃないから。自分の試合全体で多様性を見せられたはずだ。他のファイターにしてみればいろいろと思うところがあるんじゃないかな。自分には素晴らしいコーチがついていてくれるし、チームも俺を信じてくれている。俺はただチームを信じる。彼らは耐えれば俺のものになるって言い続けてくれた」とチームメイトへの信頼を語った。

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