2020年10月9日、ONE Championshipが本拠地「シンガポール」にて無観客&ライブ配信の大会を再開。パンデミック後、初めて国境を越えて戦うファイターが出場する大会で、ONEフライ級トップコンテンダー同士の対戦がコメインイベントで行われた。
この試合で豪州のリース・マクラーレンが決めたボディへのヒザ蹴りがファイター・関係者の間で話題となっている。
欧州グラップリング王者に3度輝いたアレクシ・トイヴォネン(フィンランド/Evolve MMA)を相手にしたマクラーレンは、グラップラーながら、序盤からカーフキックを効かせるなど打撃戦でリード。
サウスポー構えにスイッチしての左ミドル、さらにオーソドックス構えに戻して左レバーブローを当てると、左から右のワンツーを当ててトイヴォネンを金網に詰め、組みに。
テイクダウンされまいとすかさず両脇を差し上げたトイヴォネンに対し、両脇を差し上げられながらも右に置いていた頭をトイヴォネンの首の左に置き変えて首もとに着けたマクラーレンは、同時に右腕をトイヴォネンの首後ろで抱き、首相撲で引き寄せながら空いたボディに右のヒザ蹴り!
この1発でトイヴォネンが「ウオッ」とうめき声とともに腹を押さえて倒れ、マクラーレンは追撃のパウンド1発、1R 4分18秒、衝撃のKO勝ちを決めた。
アドリアーノ・モラエス(ブラジル)を王者とするONEフライ級公式ランキングで5位。次期挑戦者にして1位はフライ級GP優勝のデメトリアス・ジョンソン(米国)で、以降、2位のダニー・キンガド(フィリピン) 、3位のカイラット・アクメトフ(フィリピン) 、4位の若松佑弥(日本)と実力的に肩を並べているのがマクラーレンといえる。
ONEでアナトポン・ブンラッド、ジアニ・スッバ、和田竜光に3連勝後、アクメトフに判定負け、キンガドにもスプリット判定で敗れたが、2019年12月にグルダージャン・マンガットにリアネイキドチョークで一本勝ちし、再起を遂げている。
その後、3カ月ほどロックダウンされ、州境も閉鎖された豪州クイーンズランドで過ごしてきたマクラーレンは、ロックダウン解除後、MMA7勝無敗の茶帯ノーギ欧州王者を想定してこの1カ月間半を過ごしてきた。
そこには、2019年7月のONEデビュー戦で藤沢彰博に1R リアネイキドチョークで一本勝ちしている新たなグラップラーを相手に、遅れを取ることは出来ないという強い意志があった。
強いグラップリングと打撃を融合させ「ベルトに挑戦する力があることを証明した」マクラーレンは、上位ランクにいる日本の“リトルピラニア”若松佑弥、ABEMAでゲスト解説を務めた仙三にとっても、上に上がるために避けては通れない相手となりそうだ。