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【UFC】無敗対決を制しアデサニヤが2度目の王座防衛! ブラホヴィッチがライトヘビー級新王者に。フライ級で新星ロイバルがカラフランスに一本勝ち!=UFC 253

2020/09/27 12:09
 2020年9月26日(日本時間27日)、アラブ首長国連邦アブダビの「UFC Fight Island」で『UFC253』が開催された。  メインイベントでは、UFC世界ミドル級選手権試合として、王者のイズラエル・アデサニヤ(ナイジェリア)と同級2位のパウロ・コスタ(ブラジル)が無敗同士の対戦。  試合前から柔術黒帯のコスタがアデサニヤを挑発するなど、舌戦が繰り広げられた同試合。アデサニヤはコスタの足にカーフキックを集中砲火し、これが効き始めると左ハイでコスタを出血させ、コンビネーションから左フックでコスタからダウンを奪い、マウントからのパウンド&ヒジでレフェリーを呼び込み、2R TKO勝ちを決めた。  2度目の王座防衛に成功したアデサニヤは、「これが本当の戦いだ。EA Sportsのゲームで遊んでいるんじゃない。本気でやっているんだ。だから自分が何を言っているのかちゃんと分かっている。ちょっと情けない試合運びだったかもしれないけど、どんな退屈な試合をしても勝ってみせる。俺が最強だから。俺は犬なんだ。やりたいことをやっているだけさ」とコメント。この勝利でアデサニヤはMMA20勝無敗、UFC9連勝となった。  コ・メインイベントでは、ジョン・ジョーンズのタイトル返上を受けて、ライトヘビー級1位のドミニク・レイエス(米国)と、3位のヤン・ブラホヴィッチ(ポーランド)がライトヘビー級王座決定戦に臨んだ。  試合は、左ミドルを効かせるなど、スタンドの打撃で優位に立ったブラホビッチが完璧なカウンターの左フックでレイエスを2Rにダウンを奪い、パウンドアウトした。試合後ブラホビッチは満面の笑顔で、「長い旅路だった。トップにいたことも負けたこともあった。だけど自分のスキルやパワーを信じ続けた。やっとチャンピオンになれた。まだ信じられないけど、やってのけたんだ。これは夢じゃないよね?本当だよね。ポーランド人ならではのパワーを証明することができた」とベルトを肩に置いて語った。 UFC 253: Adesanya vs. Costa 2020年9月26日(日本時間27日)アブダビ UFC Fight Island ▼UFC世界ミドル級選手権試合 5分5R〇イズラエル・アデサニヤ(ナイジェリア)[2R 3分59秒 TKO] ※左フック×パウロ・コスタ(ブラジル)※アデサニヤが2度目の王座防衛に成功  メインイベントのミドル級タイトルマッチは、19戦全勝の王者イズラエル・アデサニヤと、13戦全勝の挑戦者パウロ・コスタによる全勝対決。  両者ともにKO率が高いストライカー同士。アデサニヤは長い手足を駆使した蹴りも含めた変則的な打撃の使い手で、コスタはインファイトでKOを狙う正統派のハードパンチャーだ。  キックボクシング出身のアデサニヤは自分の距離で試合を進め、相手を中に入れない技術が高い。ロバート・ウィテカーとのミドル級王座統一戦では一見、崩れた体勢からでも強い打撃を打っている。対戦相手にとっては下手に踏み込みにくいところ。  コスタは相手の出方を見るのではなく、自分から手を出して距離を潰して強いパンチを叩き込む。打撃でのKO勝利が多いが、柔術黒帯の組み力を利して、思い切り打っていくことも出来る。  アデサニヤとコスタの両者はヨエル・ロメロと対戦経験があり、コスタはロメロに真っ向勝負で勝利。アデサニヤはポイントを取っての判定勝利。アデサニヤは離れた距離で戦い、なおかつ相手にも中に入らせないようなプレッシャーをかける。コスタはいかに距離を潰しにいくか。  1R、ともにオーソドックス構え。アデサニヤが先に右ロー、カーフキックを打つ。コスタも右ローを返す。右の蹴りのフェイントはアデサニヤ。コスタは左ミドルハイをガード上にヒット! アデサニヤは右ローを再び当てる。  コスタの右ミドルをキャッチするアデサニヤ。ノーガードで後ろ手に両手を組み挑発するコスタ。アデサニヤは左インローを当てる。じりじりと詰めるコスタ。アデサニヤの左の打ち終わりに詰めるコスタだが、アデサニヤも素早くサイドに回りバックステップ。  前手争いからアデサニヤは右のカーフキックを当てると、左ミドル! 詰めるコスタは打ち合いを誘うが、アデサニヤは巧みに捌く。  2R、先に右ローはアデサニヤ。さらに戻しの早い右ロー! 前足を赤く腫れさせるコスタも右ローをダブルで返す。アデサニヤは左ジャブでコスタの顎を上げさせる。スイッチしてフェイント、左ミドルをヒットさせるアデサニヤ! さらに右ロー。詰めてきたコスタに左ハイをブロック上に当てる!   前に出始めたアデサニヤ。右ロー、さらに右の関節蹴り。左手を上に上げてフェイントすると、左ジャブ。コスタは左フックで前に出るが足がついていかない。右ミドルも蹴り足を取られたコスタ。そこをアデサニヤは攻める。  アデサニヤは左ハイでコスタをカットさせると、左ジャブを当て、コスタの左ジャブをかわして左フック! テンプルにもらったコスタがダウンし、アデサニヤがマウントでパウンド&ヒジ! レフェリーが間に入った。アデサニヤが2度目の王座防衛に成功。  MMA20勝無敗、UFC9連勝のアデサニヤは、ケージの中で勝利のブレイクダンス。さらに、ケージのなかで「どんな退屈な試合をしても勝ってみせる。俺が最強だから」とアンチに向けて、余裕のポーズを見せた。  続けて「ダナにも言ったけど、体重を合わせられなかったら30%の罰金は甘い。90%は取るべきだ」と体重超過を厳しく非難。  今後について、「アンデウソン・シウバが素晴らしい戦績を残した。それを追って越えなければならない。ジャレッドキャノニアはいいヤツだ。ロバート・ウィテカーを倒せたら次が君が相手だ。シティキックボクシングのみんなありがとう。世界中で見ているみんな、子犬たちによろしくね」と、シティキックボクシング勢への感謝と次なる対戦相手を指名した。 [nextpage] ▼UFC世界ライトヘビー級王座決定戦 5分5R〇ヤン・ブラホヴィッチ(ポーランド)[2R 4分36秒 TKO]×ドミニク・レイエス(米国)※ブラホヴィッチが新王者に。  ジョン・ジョーンズのタイトル返上を受けて、ライトヘビー級1位のドミニク・レイエスと、3位のヤン・ブラホヴィッチがライトヘビー級王座決定戦に臨む。  MMA12勝1敗のレイエスは、2月の前戦でジョーンズの王座に挑戦し打撃で攻勢に立つも、レスリングでコントロールされて判定負け。MMA初黒星を喫した。  対するブラホヴィッチはMMA26勝8敗。キックボクシングと柔術をバックボーンに持ち、2月の前戦では、コーリー・アンダーソンに1R KO勝ちで王座挑戦を決めた。  1R、サウスポー構えから左ストレートを当てるレイエス! オーソドックス構えのブラホヴィッチはクラウチングで圧力をかける。左ハイ・前蹴りで牽制するレイエス。ブラホヴィッチの右ミドルに、左ミドルを蹴り返す。  ワンツーから前進し左ミドルに繋ぐブラホヴィッチ。下がりながらブロッキングするレイエスはカウンターを狙う。ブラホヴィッチの強烈な左ミドルでレイエスは右脇腹を赤く腫らせる。  2Rも先に詰めるのはブラホヴィッチ。左の蹴りを避けてか左回りのレイエス。しかし一転、右の外足を取るとワンツー。しかしブラホヴィッチはブロックの上に左右フック。レイエスの右ジャブ、左ハイをかわす。左ミドルを当てるレイエス。しかし大きな右を振って歩いて、左ミドルをまたも当てるブラホヴィッチ!  詰めるブラホヴィッチは、右アッパーから返しの左フック! さらに前進して右ストレートを効かせると、打ち返しにきたレイエスにカウンターの左フック! 後方に倒れたレイエスにブラホヴィッチは中腰で3発パウンド、すぐにレフェリーが間に入った。   UFC4連勝でポーランド男子選手として初のUFC世界王者に輝いた37歳ブラホヴィッチは、ケージの中でベルトを腰に巻くと、「ジョン・ジョーンズ、どこにいるんだ。ポーランドでこうして待っているからな。自分にとって何も新しいことは無い。大ごとじゃない。でもベルトを巻けたことはとても嬉しいよ」と王座を返上したJJに呼び掛けた。  さらに「レイエス戦に向けてしっかり準備をしてきた。サウスポー構えだろうが、どんな構えでも対応できるようにやってきたんだ。皆さんありがとう。ポーランド、世界中のファン、みんな僕にエナジーを与えてくれてありがとう」とポーランド語、続けて英語で感謝の言葉を述べた。 [nextpage] ▼フライ級 5分3R〇ブランドン・ロイバル(米国)[2R 0分48秒 ギロチンチョーク]×カイ・カラ・フランス(ニュージーランド)  フライ級7位のカラフランス、9位のロイヴァル。カラフランスはMMA21勝8敗。2016年12月にRIZINで現ONEファイターに和田竜光と対戦。和田にカーフキックを効かされ判定負け。UFCでは4勝1敗で、2位のブランドン・モレノにしか敗れていない。フライ級ながら21勝中9KOを誇る。  LFAからUFC入りしたロイヴァルはMMA11勝4敗。5月の緊急参戦でUFC初参戦。強豪ティム・エリオットを肩固めで極める衝撃デビューを果たした。  1R、フライ級で175cmの長身のロイバルはサウスポー構え。オーソドックス構えのカラフランス。ロイバルの左ハイに右ローを合わせ、尻餅をつかせるカラフランス。さらに右ストレート! しかし詰めたカラフランスにロイバルはバックヒジを当ててダウンを奪う。  しかし、スクランブルで上になるカラフランス。下のロバルはフットチョーク、オモプラッタでスイープし上を取ると、ハーフからパスガード。亀になるカラフランスのバックを取ろうとするが、足をかけさせないカラフランスが立って離れる。  ロイバルの左ハイをかわすカラフランス。テイクダウン狙いのカラフランスにロイバルはギロチンチョーク、三角絞めからの草刈りで立ち上がる。  カラフランスの頭を下げたパンチにヒザを打つロイバル。右で差して体を入れ替えるカラフランス。  2R、ロイバルの圧力にダブルレッグに入るカラフランス。首を外に出してあげるが、そこにギロチンチョークはロイバル。カラフランスはテイクダウンにはいかず持ち上げるが、引き込むロイバルはアームインギロチンをクローズドガードに入れて極めた。  LFA出身のロイバルはこれで12勝中8つの一本勝ち。フライ級でマネル・ケイプはこの男に果たして勝てるのか?  ロイバルは試合後、「もっといい流れで出来ればよかったけど、最後は1Rの失敗を払拭できた。もっとパンチを出したかったけど、カラフランスのパンチが強かった。今日は自分の強さを証明できたと思う。年内でできればトップ5と戦いたい」と語った。  また、バックステージでは、「今日の見せ場をここで作ることができた。もっと大きなショー、もっと良い試合、もっと多くのファイトマネー。大きければ大きいほどいいんだ。ここにいるのは夢のようだ。今までで最高の経験だよ」と今後のビッグマッチに意欲を見せた。 [nextpage] ▼女子バンタム級 5分3R〇ケトレン・ヴィエラ(ブラジル)[判定3-0] ※29-28×3×シジャラ・ユーバンクス(米国)  女子バンタム級7位のケトレン・ヴィエラが同級13位のシジャラ・ユーバンクスを最初の2Rで圧倒。3Rは打ち合いとなったが、有効打を多くヒットし試合をコントロールしたヴィエラが判定勝ちした。  勝者は「誰とでも対戦する準備ができている。まだこれからもっと強くなるし、世界最強のファイターとも闘える」と自信を見せた。 ▼フェザー級 5分3R〇ハキーム・ダオドゥ(カナダ)[判定3-0] ※29-28×2, 30-27×ズバイラ・ツフゴフ(ロシア)※ダオドゥは5連勝  5連勝を決めたダオドゥは試合後、「自分自身に厳しくなければならない。約束通りKOで勝利するべきだった。ジムに戻ってライバルたちに置いて行かれないようにトレーニングを積むよ」と勝利にも奢ることなく語った。 [nextpage] 【プレリミナリー】 ▼ライト級 5分3R〇ブラッド・リデル(ニュージーランド)[判定3-0] ※29-28×3×アレックス・ダ・シウバ(ブラジル) ▼ウェルター級 5分3R〇ジェイク・マシューズ(豪州)[判定3-0] ※30-26×3×ディエゴ・サンチェス(米国) ▼フェザー級 5分3R〇ルドヴィト・クレイン(スロバキア)[1R 1分16秒 KO] ※左ハイ→連打からパウンド×シェーン・ヤング(ニュージーランド) ▼ライトヘビー級 5分3R〇ウィリアム・ナイト(米国)[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×アレクサ・カムール(米国) ▼ヘビー級 5分3R〇フアン・エスピーノ(スペイン)[1R 3分48秒 スカーフホールド]×ジェフ・ヒューズ(米国) ▼ライトヘビー級 5分3R〇ダニーロ・マルケス(ブラジル)[判定3-0] ※29-28×2, 30-27×カディ・イブラギモフ(ロシア)
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