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インタビュー

【UFC】日本人UFCファイター同時出場対談! 佐藤天「本当の意味でUFCファイターの仲間入りを果たしたい」× 魅津希「勝って佐藤選手に繋げたい」=8.22「UFC」

2020/08/19 10:08
【UFC】日本人UFCファイター同時出場対談! 佐藤天「本当の意味でUFCファイターの仲間入りを果たしたい」× 魅津希「勝って佐藤選手に繋げたい」=8.22「UFC」

(C)On The Road Management/Zuffa LLC

 2020年8月22日(日本時間23日)、米国ラスベガスで無観客で開催される「UFC Fight Night: Munhoz vs. Edgar」に、ウェルター級の佐藤天(サンフォードMMA)と、女子ストロー級の魅津希(LAW MMA)が揃って出場する。

 現在、世界最高峰のMMA(総合格闘技)団体UFCと契約している日本人選手は佐藤天と魅津希、村田夏南子(試合未定)の3選手のみ。佐藤はオクタゴンで2勝1敗、そして魅津希は1勝と白星を先行させている。

 新型コロナウイルスの感染が世界で拡大するなか、佐藤はフロリダで、魅津希はニューヨークでロックダウンを経験しながらも、米国に留まり練習をすることを選択し、試合の機会を得た。

 次々と興行が中止となるなか、いち早く大会開催を宣言し、コロナ禍の格闘技興行の在り方を示したUFCで、世界と伍する佐藤と魅津希は、何を思い日々を闘ってきたのか。試合直前の初対談を一挙、全文掲載する!

佐藤「『行けるけど行かない』のと『行けない』のは違う」

──いよいよ、佐藤天選手、魅津希選手の日本人2選手が揃い踏みとなる8月22日(日本時間23日)の「UFC Fight Night: Munhoz vs. Edgar」まであと10日(対談収録は13日)と迫りました。今回は、日本人で3人のみ(もう1人はUFCと契約もまだ試合を行っていない村田夏南子)UFCファイターのなかで、このコロナ禍も米国に残り、練習を行ってきた両選手に対談を行っていただきます。佐藤選手はフロリダから、魅津希選手にはニューヨークからZOOMを繋いでもらいました。まずは現在、試合直前の練習状況をそれぞれ教えてください。

魅津希 今日はちょっとハードにスパーリングをやって、あとはクールダウンして体重調整くらいとなります。一応、追い込みの最終日は今日なんですけど、明日クラウディア・ガデーリャ(UFC女子ストロー級6位)とスパーリングがあるので、調子が良ければ3ラウンドやっちゃおうかなという感じです。

佐藤 自分は昨日(試合11日前)で試合前のスパーリングはもう全部終わって、今日はレスリングをいつもどおりハードにやって、夕方、試合前のコンディショニングトレーニングや息上げなどをやって終わりという感じです。あと、今週はもうちょっと息上げとかもやりながら、少し強度を落としつつ、仕上げていくという感じですかね。先週までは、火曜日と木曜日は1日3回練習してたんですけど、早朝にトレーニングして、昼間技術練習して、夜スパーリングみたいな感じで。他の日は大体二部練習って感じです。

魅津希 佐藤選手、3部練してたんですか!?

佐藤 そうですね。火曜日と木曜は3部練ですね。朝7時とか7時半から最初のトレーニングをやるんです。朝は1時間くらいでさっと終わらせて、そのまま午前練習に行って、夕方もやるって感じですね。ただ、他の日は2部練習ですし、水曜日と土曜日は1部練習のみで集中して詰めてやっています。

魅津希 練習の合間は家に帰るんですか?

佐藤 帰ります。まあ、近いんで。

魅津希 なるほどー、私けっこう練習場所から自宅が遠かったりするんですよ。歩き&電車で1時間半とかかかっちゃうんで。それに新型コロナウイルスの感染が拡大してからは、すぐ家に帰れみたいな感じになっていたので、もう本当に1部練しかほとんどやってないですね。それでガッと集中してやって終わるという形です。月曜から土曜日まで全部一緒で、昼頃に行って夕方5時とか6時くらいに帰ってくる感じですね。

佐藤 こっちも今までは夕方にやっていて、そのままその夜にドリル練習っていうパターンが多かったんですけど、コロナでジムに人がいない時間帯の朝方にトレーニングをやっておこうということで、今は早朝にほとんどシフトしつつあって、それで火曜日と木曜日は早起きしないといけないんです。

魅津希 眠くないですか(笑)。

佐藤 眠いです。6時から6時半には起きてないといけないので。けっこう眠いですね。

魅津希:私はゆっくり起きますね。大体ゴロゴロしてると8時とか9時で、ごはん食べてゆっくり昼に行くって感じです。

佐藤 魅津希選手がいるニューヨークと比べて、フロリダはコロナの規制が緩いというのもありますね。もちろん、3週間くらいロックダウンがあったんですけど、今はタイムスケジュールが変わった以外は自由に練習が出来ていて、コロナ前とそんなに変わらない生活が自分は出来ています。

――フロリダはIMGアカデミーを拠点とする錦織圭選手が陽性になるなど、全米で2番目に感染者が多くなりましたが、「あまり街自体は危機感がない様子。店も通常通り」というインタビューを見ました。一方のニューヨークは、新規の感染者数がピーク時は1日6000人超になりましたが、現在は100人以下に抑えられているとも聞きます。8月24日以降には州内のスポーツジムの営業再開も許可される(利用者は常時マスク着用、入場できるのは従来の3分の1の人数)そうですね。

魅津希 そうですね。最近だと、レストランがずっと閉鎖されてたんですけど、店内じゃなくて外で食べるならいいという感じになってきています。お店の人が外でベンチとか椅子とかを並べはじめて、外食できる形にはなってるんですけど、私も感染したくはないので、もうみんながみんな出ないでって(笑)。地下鉄とか電車も使わないと練習に行けないので。私のジム(LAW=ロンゴ&ウェイドマンMMA)では、大人数が集まらないようにしていて、自分のコーナーマンでセコンドについてくれる人は毎回来てくれるんですけど、あとは少人数単位でちらほら入れ替わりでやっています。最近はずっとチームメイトとはあまり会っていないですね。

佐藤 自分のジム(サンフォードMMA=ハードノックス365)は、3月の時点では少人数でプライベートレッスンとか、コーチが見てくれていたんですけど、今は普通にみんな集まってやっていますね。フロリダも感染者が増えているので、検温とか検査はしっかり徹底して準備して、チームメイトや家族以外とは接触しないようにして、それでももしなってしまったら、それはもう誰のせいでもないからやっていこうという感じで、そこらへんはチームで信頼してやっていくものなので。

――なるほど。同じ米国でも広大ですから地域によって状況が異なるし、管轄する各州のアスレチックコミッションによって対応が異なるようですね。ところで、今回のお二人の対談は、同じ米国在住ということと、同じシュウ・ヒラタさんのマネージメント(On The Road Management)所属ということ以外に、お二人とも巧みな“ジャブ使い”だなと感じていました。

魅津希 ああー。でも佐藤さんはジャブよりもストレートのほうが一番光っていると思います。

佐藤 やっぱりストレートで決めるんですけど、ジャブで試合は作ります。なので、一番大事にしているのはジャブですかね。

魅津希 なるほどー。ジャブかあ。私より弟(井上直樹)の方が上手いかもしれません。

佐藤 お二人とも上手ですよね。

魅津希 佐藤選手こそきれいな戦い方ですよね。私いつも「野蛮だね」って言われるんですよ、うちの弟からも(苦笑)。

佐藤 行くべきときに行けるというのは強みですよ。自分は日本にいるとき、ボクシングジムに通って勉強してきたのですが、とても参考にさせていただいたのは、あるボクサーのステップの踏み方でした。きれいに戦う方だったので、そういう影響もあるのかなと思っています。

魅津希 私の戦い方はきれいじゃないってこと?(笑)

佐藤 いやいや、きれいですよ(笑)。もともと寝技が強いなという印象はあったんですけど、初めて試合を見たときに、正直、日本の女子選手でこれだけ打撃が出来る人がいるんだという驚きがありました。時にガチャッと行っても、基礎を分かっていて好戦的に行くのは全然いいと思うので。

――魅津希選手にはその打撃の基礎を念頭に置いたワイルドな部分と冷静な部分があると。

魅津希 え、私はいつも冷静ですよ(笑)。

佐藤 頭の中は冷静なんですよね。

魅津希 そうなんです。ただ、気持ちは野蛮(笑)。ぶっ倒してやろうっていう。

佐藤 たぶんどっかで喧嘩できるマインドがないと。男子の選手はそこで行ける選手がけっこういますけど、日本の女子選手は海外選手に比べ、やっぱり喧嘩できない選手が多い。行ける・行けないというのは大事で、「行けるけど行かない」のと、単に「行けない」のとでは全然意味が違う。「行けるけど行かない」時があり、「行くときは行ける」というのがすごく大事なのかなと思います。

魅津希 そこの部分は、日本人選手が打撃の練習をあんまりしてないってことなんでしょうかね?

佐藤 技術的なことで言うと、位置取りだったり、距離感とかをどう作っていくかという基礎が分かっていないんじゃないかなと。総合とボクシング、キックでは距離が異なるにしても、相手に当てさせず、自分だけ当てるという「作り方の基礎」としては、総合もキックもおそらく一緒なので、そこを理解しながら、総合のスタイルを手に入れれば、すごくいい打撃になるんじゃないかと思います。

 こっちでは打撃のドリル練習も多いですけど、やっぱり細かいですよね。位置取り一つとっても、ステップは戻りまでセットですし。海外の選手でも、形はきれいじゃなくても、そこの基礎の頭がある。頭がなくても、それが身体に染み込ませてあるから、試合で差が出る。形はきれいだけど、その基礎を知らないという人が多いですよね。もったいないなという人もすごいたくさんいると思います。

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