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【ONE】ロッタンがペッダムに勝利し王座防衛、ペットモラコットがヨードセングライに判定勝ち、シッティチャイがONE初陣敗れる。スタンプがMMAで快勝!

2020/07/31 12:07
「ONE: NO SURRENDER」2020年7月31日(金・現地時間)タイ・バンコク ▼メインイベント(第6試合)ONEフライ級ムエタイ世界タイトルマッチ 3分5R〇ロッタン・ジットムアンノン(タイ/王者)判定2-0×ペッダム・ペッティンディーアカデミー(タイ/挑戦者)※ロッタンが3度目の防衛に成功。  ロッタンは2018年6月、RISEに初来日して那須川天心と激闘を展開。延長R判定で敗れるも、そのアグレッシブなファイトで一躍人気者となった。ONEには同年9月から参戦し、2019年8月にONEムエタイ世界フライ級王座を奪取。2020年1月には2度目の防衛に成功している。  ペッダムは元ONEキックボクシング・フライ級王者。ジョシュ・トナー、工藤政英をKOし、2019年5月にはエリアス・マムーディにテクニカル判定で勝利。ONEキックの同級王座を獲得したが、8月のイリアス・エナッシとの初防衛戦で王座陥落。2020年1月にはMOMOTAROを首相撲&ヒザ蹴りで削っての判定勝ちを収めている。  1R、サウスポーのペッダムはジャブ、左ミドルと前蹴りで距離をとる。ロッタンは左右ロー。残り40秒でロッタンが連打を回転させたが、両者様子見に終始した。  2R、ペッダムは前足を上げ下げして前蹴りのフェイントを混ぜながら、1Rと同じくジャブ、前蹴り、左ミドルで距離をとる。ロッタンが入って来ると首相撲。ロッタンは鋭い踏み込みからアッパーを交えての3連打、さらにヒジ打ち。  左ボディも叩き込むと首相撲でペッダムを投げ捨てるように転倒させる。ペッダムの左ヒジの直後に返したロッタンの左フックがクリーンヒット。攻撃をまとめ、次の攻撃をまとめると右フックもヒットさせて優勢を印象付ける。  3R、圧力を強めて前へ出るロッタンが右ストレート、左フック。右ローを強く蹴り、、ペッダムが左ミドルを蹴って来るとしっかりスネブロックしながら前へ出て右ストレートを放つ。後退しながらも左ミドルでロッタンの右腕を蹴るペッダム。  しかしロッタンは前へ出て左右フックを回転させていく。ロッタンの左ボディからの左フックが鋭く決まり、コーナーを背負ったペッダムには右ストレート。完璧にロッタンがペースを握った。  4R、連打で入り込んでの右フック、右ヒジを繰り出すロッタン。ペッダムも打ち合いに応じるがロッタンの攻撃の回転が速い。左ミドルをもらいながらも前へ出て左右フックを見舞うロッタン。ペッダムのミドルをキャッチして左ボディをめり込ませ、さらに左右フック。ペッダムはロッタンを抱え込んでしのぐ。ペッダムには消耗が見える。  5Rも右ストレートから飛び込むロッタン。もはやペッダムのジャブ、左ミドルは防波堤にならない。両者組みの展開が増え、ロッタンが下がり始めてペッダムが左ミドルを蹴りながら前へ出るが、ロッタンの左フックがカウンターでさく裂。その後も下がって相手を見ながら、ポイントを失わない戦いに徹したロッタンが判定勝ち。圧倒的な強さを発揮して3度目の防衛に成功した。 [nextpage] ▼コ―メインイベント(第5試合)ONEフェザー級ムエタイ世界タイトルマッチ 3分5R〇ペットモラコット・ペッティンディーアカデミー(タイ/王者)判定2-0×ヨードセングライ・フェアテックス(タイ/挑戦者)※ペットモラコットが初防衛に成功。   ペットモラコットはタイのビッグマッチ常連の超一流選手として活躍し、ルンピニースタジアムではミニフライ級王座とスーパーフェザー級王座に就いた。2015年4月には初来日し、梅野源治の挑戦を退けている。ONEではジョルジオ・ペトロシアンと2度対戦、1度目は首相撲&ヒザ蹴りを多用したペットモラコットが判定勝利を収めたが、「試合中に複数の違反であるクリンチ行為が発生した」との理由からノーコンテストとなり、7月の再戦では判定負け。しかし、2020年2月にポンシリ・PK センチャイムエタイジムと初代ONEフェザー級ムエタイ世界王座を争い、判定勝ちで王座に就いた。今回が初防衛戦の26歳。  挑戦者のヨードセングライは長きにわたってムエタイ重量級で活躍する“ムエタイの生ける伝説”。ムエタイの殿堂ルンピニースタジアムではフライ級(50.80kg以下)王座とウェルター級王座(66.68kg以下)を制し、、2005年頃から70kg前後で世界各地に招聘されて試合をしている人気者となった。勝ち星は200を超える。ONEには2018年12月に引退宣言を撤回して参戦、2019年3月のONE日本大会ではアンディ・サワーにTKO勝ち。同年5月にはフェザー級キックボクシングワールドグランプリの準々決勝で敗退したが、35歳にしてまだまだ一線級の実力を保持している。  1R、両者サウスポー。ヨードセングライは左ロー、ペットモラコットは右ローと右ミドルで様子を見る。ヨードセングライは圧力をかけて前へ出るが、ペットモラコットはジャブで押し戻す。さらに長いリーチからのワンツー。ヨードセングライは入り込んでの左右フックから左ヒジ。ペットモラコットも左ストレートからのヒジを見舞うが、ヨードセングライはガードの隙間を縫うような右アッパーの連打をねじ込む。  2Rもジャブ、ワンツー、左ミドルで距離をとろうとするペットモラコット。ヨードセングライは攻撃を受けながらも入り込み、パンチの連打。ペットモラコットはヨードセングライの左ミドルをキャッチすると左ストレートの連打を見舞う。ペットモラコットのジャブが立て続けにヒットし、グラっとするヨードセングライだが前へ出て連打を放つ。ペットモラコットのペースで進んだが、ラウンド終了間際、ヨードセングライが左ヒジでカットを奪う。  3Rもジャブを多用し、左ストレートを命中させるペットモラコット。左目上の傷から血が流れ、目を気にする。前に出るヨードセングライが飛び込んでの左ストレートをヒット。前に出るヨードセングライ、ジャブを出しながら距離をとるペットモラコットは左ヒジも見舞う。アグレッシブに攻めるヨードセングライだが、ペットモラコットの長いリーチに阻まれる。  4R、ペットモラコットはいきなり組んでのヒザ蹴り、蹴り足をキャッチしてのストレート。ペットモラコットの左が何度もヨードセングライの顔面を捉える。さらに組みを多用して ヨードセングライのパンチを殺すペットモラコット。手数は少ないが、ヨードセングライの攻撃はかわし、左ストレートを命中させていった。  5Rもいきなり組みに行くペットモラコット。左ストレートから入って首相撲に持ち込み、ヨードセングライのパンチを殺す。ヨードセングライは組み際にヒジを放つがダメージを与えるまでには至らない。前に出て左ミドルを蹴るヨードセングライだが、守りに入ったペットモラコットを崩すことはできず、最後は両者が流して試合終了。ペットモラコットが巧みな試合運びで勝利し、初防衛に成功した。 [nextpage] ▼第4試合 ONEフェザー級 キックボクシング 3分3R×シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)[判定0-3]〇スーパーボン・バンチャメーク(タイ)  スーパーボンはバンチャメークジムでブアカーオの弟子にあたり、クンルンファイトで2016年世界トーナメントを制して世界にその名を轟かせた。あらゆる体勢から繰り出すミドル&ハイキックを得意とし、首相撲でも強さを発揮するテクニシャン。  シッティチャイはプロ160戦と鉄人的な戦歴を持つ現役のムエタイレジェンド。キックボクシングとムエタイを合わせ、世界王者に9回輝く。過去10年間に渡り、キックボクシングとムエタイで、最も圧倒的な強さを誇る選手の1人として評価を築き上げてきており、ジャバル・アスケロフ、アンディ・サワー、ソーグロー・ ペッティンディーアカデミー、エンリコ・ケールなど、数々の世界トップクラスのストライカーを倒している。  特に、元K-1王者のマラット・グレゴリアンには4勝1敗と大きく勝ち越している強豪中の強豪だ。ペトロシアンと並ぶ70kg級世界最強の一角である。  両者は2016年1月と9月にクンルンファイトで対戦し、1度目はシッティチャイがKO勝ち、2度目はスーパーボンが完封しての判定勝ちとなっている。  1R、まずはスーパーボンが右ハイを2発、サウスポーのシッティチャイは左ミドルを返す。右ミドル中心のスーパーボンに対し、シッティチャイはパンチとヒザを駆使し、ボディへの左ストレートを多く出す。お互いのスネブロックを掻い潜るようなミドルの蹴り合いが見られた。  2R、スーパーボンは右のミドルハイを連発し、シッティチャイが左ミドルを返すとお互いにスピードのあるミドルの蹴り合い。シッティチャイは左ボディストレートからの右フックをヒットさせるが、スーパーボンはすぐ前蹴りで突き飛ばす。スーパーボンが徐々に距離感を掴み始め、シッティチャイの攻撃は受けずに右ストレート、前蹴り、右ミドル、テンカオを当てていく。  3Rもミドルの蹴り合いで蹴り返しの展開が続く。右ミドルを巧みに当てていくスーパーボン、すぐにパンチもフォローする。左ミドルをスウェーでかわしての右ミドル、打ち終わりを見ての右ストレートと少しずつ上回るスーパーボン。ミドルの蹴り合いでもスーパーボンが蹴って終わる。判定はその通り、スーパーボンが判定勝利した。 [nextpage] ▼第3試合 MMA 女子アトム級 5分3R○スタンプ・フェアテックス(タイ/ONE女子ムエタイアトム級世界王者)[1R TKO] ※パウンド×スニーサ・スリセン(タイ)  22歳のスタンプは2020年2月のシンガポール大会にて、ONEアトム級(52.2kg)キックボクシングルールで日系米国人のジャネット・トッドにスプリット判定で敗れ、キック王座から陥落。今回が5カ月ぶりの再起戦で、2020年1月大会以来、約半年ぶりとなるMMAルールに臨む。  対戦相手のスニーサは19歳。スタンプとはかつてフェアテックスで練習を共にしていたことがあったという。タイのMMA大会『FMD』に参戦し、3戦3勝。オーソドックス構えで右ミドルが強く、身長155cmの低い重心で腰は強い。  首相撲から見事な首投げ、大外刈、さらにパワフルなダブルレッグも決めているが、これまでスタンプが戦ってきた相手とは実力差がありそうだ。  リングでのMMA。1R、ともにオーソドックス構え。右ロー、右ミドル、左ハイを当てるスタンプ。さらに首相撲からヒザを連打。スリセンもヒザを撃ち返すがスタンプのヒザがスリセンの腹を突く。  押し込みコーナーで首投げを狙うスリセンだが、正対するスタンプ。ブレーク。距離を取るスタンプは右ミドルから左右ワンツー。打ち返すスリセンだが、近づけばスタンプは首相撲からヒザを突きボディロックから後方にテイクダウン。  サイドを奪うと後ろ手に右手をしばり空いた手でパウンド。うつ伏せになりながら首を抱えるスリセンだが、バックマウントからパウンドを浴び続けるスリセンを見て、レフェリーが間に入った。  スタンプはプロMMA5戦無敗に。解説席の平田樹は実力差のある対戦に「なんだよ!!  わかんねーじゃん!」とツイート。ABEMAでの放送では「早く戦いたい。身体がうずうずしてくる」と対戦を望んだ。 (C)ABEMA [nextpage] ▼第2試合 MMA キャッチウェイト67kg 5分3R×マーク・フェアテックス・アベラルド(ニュージーランド)[2R リアネイキドチョーク]○ファブリジオ・アンドラージ(ブラジル)  19勝7敗のアベラルドは空手出身。2019年2月に竹中大地を右ヒジでカットさせ逆転のTKO勝ちを収めている。3勝2敗のアンドラージはKunlun FightやWLFで2連勝中だ。今回がONEデビュー戦。  1R、オーソドックス構えのアベラルドはシングルレッグへ。すぐ立つ長身のアンドラージ。組みで右で差し返して離れると左の三日月蹴りを当てる。左ハイをアゴ先に当てる。  2R、アベラルドのシングルレッグを切るアンドラージはバックに回りリアネイキドチョーク! 両足もフックし、タップを奪った。アンドラージはONE初陣で今後が期待される強さを見せた。 [nextpage] ▼第1試合 ONEスーパーシリーズ ムエタイ フライ級(-61.2kg) 3分3R×パンパヤック・ジットムアンノン(タイ/ONEムエタイ世界フライ級1位)判定0-3〇スーパーレック・ギャットムー9(タイ/ONEムエタイ世界フライ級2位)  パンパヤックは16歳でラジャダムナンスタジアムのミニフライ級王者になると、ラジャダムナンのライトフライ級王座、ルンピニーのバンタム級とフェザー級王座を獲得して4階級制覇。2013年から2015年まで、タイ国スポーツマスコミ協会が選定するムエタイMVPを3年連続受賞という前人未到の記録を打ち立てた。  スーパーレックはベテランの域に達した名選手で、ルンピニーのフライ&バンタム級王座のほか数多くのタイトルを獲得。2017年6月、2018年8月と2度来日経験があり、ヤスユキにハイキックでKO勝ち、小川翔にヒジによるカットでTKO勝ちと圧倒的な強さを見せつけた。  両者はムエタイで過去6戦して4勝1敗1分とパンパヤックが大きく勝ち越している。  1R、パンパヤックがサウスポーからの左ミドルでスタート。スーパーレックはすかさず右ミドルを返す。パンパヤックは左ミドルを蹴ったところ左足を痛めたか、スーパーレックのワンツー、右ローでコーナーへ後退。前に出るのはスーパーレック、積極的にパンチを打ち込んでは右ローにつなぐ。  2Rもワンツーから右ローにつなぐスーパーレック。パンパヤックは左ミドルを返すが、スーパーレックのアグレッシブが目立つ。パンパヤックが左ストレートを繰り出すとスーパーレックは右ミドルを蹴る。パンパヤックは左ストレートのカウンターを狙う。左と右のミドルの蹴り合いがあったラウンド終了。  3Rもミドルの蹴り合い。パンパヤックはしっかりとスネでスーパーレックの右ミドルをブロックする。スーパーレックは飛び込んでのヒジ打ちを見せ、その後もパンチから組みに行く。パンパヤックはやはり左足を痛めているのか、左ミドルを蹴った足を着地させるとバランスを崩す。スーパーレックは右ミドル、右ローを蹴っていき、左へ回りながら待ちの姿勢。パンパヤックはパンチで入り込むがスーパーレックは流し気味で試合を終えた。  判定は3-0でスーパーレックが勝利を収めた。
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