MMA
コラム

プロMMA3戦、永井佑虎に起きたこと──頭部の怪我で引退した永井と練習相手の石渡伸太郎が事故防止を呼び掛ける

2020/07/04 04:07

119番で「脳内出血の疑いがあります」

 永井はスパーリング後に意識を失った。その異変に最初に気づいて動いたのは石渡だった。

「確か3ラウンドほどやって、スパーリングではパンチも入ったのですが永井がダウンすることもなく、ただ、終了のブザーが鳴った後、永井が泣きながら殴って来たんです。悔し涙は見たりするけど、ブザー後に殴ってくることなんてなかったから、『悔しかったの?』と聞くと『わかんないっす』。『なんで泣いてるの?』『わかんないっす』と、会話にならない状態だったので、おかしいなと思い、一度落ち着かせるために座らせると、『頭がとても痛い』と。目を見ると、ほんの少し眼球の動きが変なようにも感じました。それで、すぐに救急車を呼びました。

 この時点で万が一があったらいけないと思い、119番で『脳内出血の疑いがあります』と伝えてもらいました。もしそうなら“時間の勝負”とも聞いていたので。でも、そのときはまだ彼とも会話が出来ていたので、“まあ、そんな訳はないかな”と半分思ってる自分もいました。でも、脳内出血の可能性も考えて、アイス枕を頭の下に入れたりもしました。

 5分ほどで救急車が到着し、血圧などを測っているときは、まだ救急隊員の方も慌ただしくはなかったのですが、搬送の準備をしているうちに、どんどん永井の意識が遠くなっていって、ガクガク震えて痙攣し、バタバタ暴れ始めました。『いま救急車が来ているから落ち着いて』と手を握って声をかけると聞こえているようで、手を握り返して意識を保とうとして少し落ち着くのですが、隊員の方が『意識レベル』が危険な状態であることを報告しているときに、失神してしまい、すぐに搬送となりました。

 幸いにもICUがある病院が近くにあって受け容れてもらえて。病院でドクターの方が来て、『命の危険があるので緊急手術になります。開頭手術をします』と言われたときは、“ウソだろ?”と、現実なのか分からないくらい混乱しました」(石渡)

 倒れた後の永井の記憶は、病院のなかでのものだ。

「手術中に一度、明るい天井を見た記憶があり、次に起きたらナースステーションでした。そこで“病院で手術したんだ”と分かりました」

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