宇野(左)と鈴木、注目の絡みは試合開始後すぐに訪れた。「鈴木さんは凄いオーラがあってパワーがありました」(宇野)
1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去6月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。第27回目は2001年6月10日、ZEPP TOKYOで開催された組み技大会『the CONTENDERS Millennium-1』より、大会プロデューサーでもある宇野薫(和術慧舟會東京本部)が、鈴木みのる(パンクラス横浜)にタッグマッチで挑戦。
(写真)4人の中でただ一人、レスリングベースではない高瀬だったが首相撲で伊藤をぶん回す
「DUBLES」と名付けられたグラップリング・タッグマッチ(試合時間10分、2本先取したチームが勝ち)で、豪華な顔合わせが実現した。大会プロデューサーでもある宇野が高瀬大樹(和術慧舟會東京本部)とタッグを組み、鈴木みのる&伊藤崇文(共にパンクラス横浜)組と対戦した。
宇野と鈴木の横浜高校レスリング部OB対決はもちろん、このタッグマッチの4通りの組み合わせはどれを取っても新鮮。そして、顔見せ程度の絡みになるのではないか…という大方の予想を裏切ったガチンコのぶつかり合いは、場内を大いに沸かせた。
(写真)タックルで伊藤をテイクダウンした宇野が、すかさずバックに回ってチョークの体勢に
序盤に鈴木がスタンドのフロントチョークで軽量の宇野を釣り上げた瞬間には場内から悲鳴もあがったが、その後は終始、慧舟會側のペースで試合は進む。
まずは高瀬が伊藤をチョークに捕らえ、「完全に極まっていた」(高瀬)というほどの入り具合。しかし、これはタッグマッチならではのルールである“タッチ”で逃げられた。
(写真)両チームにポイントはなく、時間切れドローとなった
試合終盤には、今度は宇野のチョークが伊藤の喉元を捕らえる。伊藤は宇野を背負ったまま鈴木とタッチしようと2、3歩歩いたが、あと少しのところで崩れ落ちた。この試合の名場面である。しかし、これは伊藤がしばらく耐え続け、タイムアップとなった。
宇野と鈴木の原点である横浜高校のレスリング部が廃部となり、当日、2人は恩師を会場に招いていた。鈴木は「宇野との絡みを見せてあげられたらと思って」、宇野は「いい試合を見せられてとてもよかったと思います」と振り返った。