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2018年11月17日、RISEデビュー戦で現RISEフェザー級王者の工藤政英を撃破して、そのポテンシャルの高さを見せつけた志朗。2019年3月10日の「RISE WORLD SERIES -58㎏級トーナメント」一回戦では、未知の強豪ウラジスラフ・ミキータスと激突する。現在ルンピニースタジアムの第一線で活躍中の志朗は「長身のウクライナ人を倒す武器を用意している」と宣言した。
また、-58㎏級トーナメントには日本でもその名が定着しているムエタイの強豪スアキム・PKセンチャイムエタイジムが参戦。ブラジル・シュートボクセのタリソン・ゴメス・フェレイラと対戦する。
スアキムは、2017年11月のラジャダムナンスタジアム「スック ワンミッチャイ」でペッダムに勝利し、2018年1月にナワポンにもKO勝利。本来スーパーバンタム級の選手でありながら、国内に敵がおらず、スーパーフェザー級以上の階級で勝利をおさめてきた。2018年2月12日「KNOCK OUT FIRST IMPACT」で那須川天心と対戦し判定負けも、那須川を大いに苦しめている。
2018年11月の両国大会でRISEに初登場。イグナシオ・カプロンチを撃破し、今回のWORLD SERIES参戦の切符を手に入れた。その後、2018年12月26日にはロッタンに勝っているルンキットと再戦。スアキムが判定3-0(49-48×3)でルンキットを降し、1勝1敗の五分に戻し、RISE世界トーナメント制覇へ弾みをつけている。
誰もが認めるムエタイの強豪は、今回が3度目の来日となるが、本人の気になるところは対戦相手よりも……
志朗「なぜRISEは2戦続けてやりづらい相手をぶつけてくるのか?」
──出場メンバーが決まった時点で、どんな対戦カードを予想していましたか?
志朗 -58㎏級トーナメントには3名くらいの日本人選手が出場すると思ったけど、結局は那須川選手と僕のふたり。世界トーナメントをうたっているので世界中のトップが集まると思っていたので、誰と当たっても激しい闘いになると予想していました。
──初来日となるウラジスラフ・ミキータス選手の印象は?
志朗 工藤選手もそうだったけど、ミキータス選手もやりづらいタイプだと思う。だから組み合わせが決まった時点で、「なぜRISEは2戦続けてやりづらい相手をぶつけてくるのか?」と思いました(微笑)。試合映像を見る限り、細くて背が高い。結構パンチでガンガン来るタイプ。ベースはムエタイという話だけど、パンチでも結構打ち合っていた。
──私もネットに上がっていた試合映像を見たけど、シュートボクシングのようなロングスパッツを履いたり、パンタロンを履いての試合にも出ていました。
志朗 そうなんですよ。タイでも練習しているみたいだけど、全部が全部ムエタイというわけではない。
──タイで東欧系の選手と一緒に練習したり、試合をしたことは?
志朗 一度もないですね。
──自分より身長が高く、リーチが長いところは意識する?
志朗 はい。しっかりと対策を立てなければダメだと思います。
──試合映像を見る限り、ヒザ蹴りやアッパーを得意とする選手ですね。
志朗 そうですね。ただ、ヒザ蹴りは組み付いてからのものなので、RISEだと有効ではない。自分の距離を掴めた時点で勝負は見えてくると思います。
──過去にミキータス選手のようなタイプと闘ったことは?
志朗 タイでも(この階級だと)180㎝くらいの選手も結構多いので、闘いづらいことは確かだけど、経験がないわけではない。自分のローキックやパンチは当てやすいと感じています。
──東ヨーロッパ系らしく、ミキータス選手はアマチュアムエタイでも数々の実績を残しています。
志朗 ミキータス選手が主戦場にしているアマチュアムエタイの国際大会にはタイから陸軍系の(プロの)現役王者も出ている。かつてのゲーオもそうだし、ブアカーオのジムもプロの強い選手を送り込んでいる。そういうところでミキータス選手は勝っているので、普通に強いと思いますね。
──日本人が考えるアマチュアではなく、プロとアマチュアが混在する世界で揉まれた選手だというわけですね。
志朗 ウクライナはアマチュアボクシングが盛んなイメージもある(※北京とロンドンの五輪を連覇。プロ転向後、史上最速で3階級制覇を成し遂げたワシル・ロマチェンコもウクライナ出身)。ミキータス選手はレベルが高い選手だと思いますね。
──RISEルールで闘うのは今回が2回目。昨年の工藤政英戦で一度経験しているというのは大きい?
志朗 どんなシチュエーションになったらレフェリーから注意を受けるのかがわかったのでも全然違いますね。自分が対応できるルールだと思いました。それに近い距離でできる技もわかった。自分が得意なムエタイスタイルとRISEルールをどうやって組み立てればいいのか。少しだけ見えた気がします。
──どんな試合をイメージする?
志朗 前回の工藤戦は判定勝ちだったので、今回はKOで勝ちたい。そのためにいくつか身長が高い相手用のテクニックも用意しています。うまく決まれば、倒せると思います。(聞き手・布施鋼治)
◆志朗(Shiro)
1993年6月23日(25歳)埼玉県出身。
ISKAムエタイ世界バンタム級王者
初代ランシットスタジアム認定
インターナショナル・バンタム級王者
32戦23勝5敗4分(10KO)。165cm
BeWELLキックボクシングジム所属
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スアキム・PKセンチャイムエタイジム「RISEのルールに慣れてしまったらタイでは勝てなくなってしまう。RISEでも僕はムエタイスタイルで戦います」
スアキム 試合の映像は見ましたが特に何も感じませんでした。問題ないと思います。
──ブラジル人と戦うのは初めて?
──特に気をつける所は?
スアキム 試合で気をつけるところはないですが。日本が寒いかどうかが心配ですね。
──2018年11月にRISEに参戦済みです。RISEルールに慣れれば誰にも負けない自信がある?
スアキム RISEのルールに慣れてしまったら、タイでは勝てなくなってしまうと思います。RISEの選手はリングをクルクル回って戦います。これをムエタイでやってしまったらニィーヤンリオ(逃げるだけ)と言われてしまい。ムエタイでは負けになります。RISEでも僕はムエタイスタイルで戦います。
──優勝賞金で子供に何を買ってあげますか?
スアキム 分からないです。奥さんに全て渡しますから。
──ムエタイファンに誓いの言葉をお願いします。
スアキム こんにちは、スアキムPKセンチャイムエタイジムです。このようなチャンスを頂きありがとうございます。僕の田舎は本当に貧しいです。僕が勝って家族を助けます。
◆スアキム・PKセンチャイムエタイジム
(Serkim PK Saenchai Muay Thai Gym)
1995年8月15日(23歳)タイ出身。
ルンピニースタジアム認定スーパーフェザー級王者
130戦104勝23敗3分。172cm。
PKセンチャイムエタイジム所属