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インタビュー

【RIZIN】地上波で放送されなかった朝倉未来の言葉「喧嘩とは全く違う」リング上の輝き

2020/05/05 13:05

誇れる戦いをしてください

「何ひとつ怖いものが無かった僕ですけど、少年院の生活は“地獄”。喧嘩三昧の頃と生活が真逆だった。何ひとつルールを守らなかった自分が、7時に起きて9時に寝る規則正しい生活になり、特にキツかったのは、私語が一切禁止なこと。プライベートに関することは一切喋ってはいけない。自由に話すことも私語で笑うことも禁止。規律を破ると、2週間、時計もないベッドとトイレしかない場所で、目をつぶって座禅をさせられる。皆さんが思っている以上に少年院はキツい場所です」

 1年4カ月の少年院での生活で、未来の気持ちに変化が起きたのは、母親から毎月送られてくる手紙と、弟の海も含めた家族の面会。そして地元の友人の言葉だった。

「親と一緒に暮らしてなかったですけど、母親は毎月手紙と──少年院まで遠かったんですけど──毎月、家族で一緒に面会に来てくれました。地元の友達も心配していると聞いて、心配されているなと感じ、しっかりしないとなって。実際に書いてもらっている手紙は嬉しくて。何だろう……『いろんな才能を持っているから、ちゃんとしたら良い道で成功できるよ』とか信じてくれている感じがありました」と、未来は少しだけ言葉を詰まらせながら語っている。

「僕が捕まったとき母親は『自分の育て方が悪かった』と泣いていたそうです。自分を責めていた。悪い集団と縁を切らせるために、僕を北海道に送ることも考えていたらしいです。こういった出来事で、だんだん気持ちが変わっていきました。“大切な人を泣かせてまでヤンチャする意味って何?”と。僕はいままで自由にやりたいようにやってきました。でも自分がやってきたことで、親が泣いているのを見たときに、自由をはき違えていたんだなと気づきました。そして、地元の友達は常に僕を気にしていてくれて、変わらない態度で接してくれた。それが嬉しかった」

 1年4カ月後に出院。

「今になって思うと、少年院でいろんなことを勉強し、少年院に入ってなければ極道の世界に行っていたのかもしれないし、いろんなことを考えると、ここで捕まってよかったと思います。普通の人が勉強している間に僕は自由に遊んでいたんで、(少年院で)すごく勉強とかも出来たことは良かった」

「少年院で立ち止まれたことが良かった」という未来は、出院し、総合格闘技と出会う。

 友人の“岡くん”から「『THE OUTSIDER』っていう大会があるから出てみなよって勧められて。不良の一番を決めるなんて僕に持って来いだなって。今から思うと、僕に喧嘩を止めさせるために勧めてくれたのかなって」と、総合格闘技に取り組むようになったきっかけを語った未来。

「大会に出るために格闘技の道場に通うことにした」未来は、禅道会豊橋道場に入門。「本気で練習に励む格闘家とスパーリングしたら、ボコボコにされました。打撃は強かったですけど、寝技とかはやったことなかったんで、何回も絞められてコテンパンにやられました。それがとにかく悔しくて、いままで喧嘩していた時間をすべてトレーニングに費やしました」と、道場で洗礼を浴び、本格的に総合格闘技の練習に取り組んだことを明かす。

 そして、格闘家デビュー。

「今までと同じように喧嘩に行くくらいのつもりで試合に行きましたが、試合に勝ったときに、大歓声を浴びたときに、喧嘩では味わえない達成感を感じました」と、未来は初リングを振り返る。

「喧嘩しているときは暗闇の公園とかでやっていて、2、3人が見ているくらいで、ほんとうに“自己満”でやっていたんですけど、リングの上で(相手を)倒したときに、いろんな人がこう喜んで……くれた。僕の親も観戦に来てくれて、喧嘩だったら喜んではくれないでしょうけど、試合に勝ったときに涙を流して喜んでくれました。『良かったね』と」。

 ルールのなかで戦うことが、初めて他者を喜ばせることに繋がった未来は、「喧嘩」とは異なるリングの戦いをこう表現する。

「格闘技の試合でも(親は)心配はしていると思うけど、喧嘩をするよりはいい。デビュー戦とかは小さな会場でやっていたんですけど、“ああ、こんなに気持ちいいんだ”って感じでした。すごく明るく見えるんですよ、リングの上って。全く違いますね、喧嘩とは」

 それまでヤンチャしていたエネルギーを格闘技に注ぎ込んだ結果、THE OUTSIDER史上初の二階級(60-65kg級・65-70kg級)王者に。その後、海外ROAD FCを経て、DEEP、RIZINでの8連勝の活躍、そしてYouTuberとしての成功は、既報の通りだ。

 未来は「ヤンチャしている皆さんへ、心から感じることがあります」といまを生きる人に向けて語る。

「僕はずっと自由を求めていて、自由をはき違えていた。それは喧嘩とか法律を守らない自由で、親とか仲間とか誰かを悲しませている。無責任な自由だった。周りを悲しませずに出来る自由、やりたいことを見つけるのが大事だなと思いました」と、周囲に迷惑をかけずにやりたいことを見つけることの大切さを説くと、続けて、「僕はずっと不良の世界を見てきて、不良って負けず嫌いの人が多い。結構、方向性を変えれば成功する人は多いと思うんですよね。やる前から無理と思っている人が多いですけど、やってみてはどうかなと。何でもやる前から諦めずに、何でもできると思って挑戦してみてほしい」と、負けず嫌いの力を活かして、人生に挑戦することを勧めた。

 最後に、「誰しも皆、人生というリングで戦っています。そこで皆、誇れる戦いをしてください。僕がリングの上で歓声を浴びたような感覚を皆さんにも味わってもらいたいんです。だから挑戦することを止めないでください。大切な人が喜んでくれる“何か”を見つけて、全力でエネルギーを注ぎ込もう」と、大切な人が喜んでくれる“何か”を見つけ、全力を注ぐこと──他者の喜びが自身の喜びにもなることを語った未来。

 その“しくじり”と教訓を出演者として直に聞いた伊集院光は、「僕は昔もいまもヤンキーが嫌いです。とても嫌だなと思ったことがあるし、そういう人がいることで生きにくいと思ったこともあります。少年院に入ってハクがついたと思って出てくる人もいると思う。でも(朝倉)先生を見ていると、ちゃんと(少年院が社会復帰の施設として)機能してるんだって初めて分かった。次にアウトレイジに行く勲章にする人もいるんだと思う。でもこういう人がいるんだっていうことがたぶん、少年院の先生たちもすごい頑張ろうと思える。ヤンチャな人たちにこの授業を身に付けてほしい。少年院の授業で見てほしい」と、未来の更生について語っている。

 大晦日の試合前には、実際に在院者の前で講演も行っている未来。今回同様に「夢を見つけ、かなえること」の大切さを語りながらも、口当たりのいい言葉だけを語ってはいない。

「ここにいる何人かは絶対また捕まると思っています」と5人に1人という「再犯率の高さ」を挙げ、「『皆さんはまた捕まる』っていう僕の言葉を5年、10年覚えておいてほしいです。ほんとうの意味で忘れていい時まで。また入っていたら僕は笑う」と突き放している。同時に、「でも何か夢を見つけてかなえていたら、僕の前に報告に来てもらえたら、一緒にお酒でも飲みながら、聞きたいですね、その話を」と、夢をかなえることの難しさと、それでも行動に移すことの大切さを実体験をもとに説いている。

 人生というリングで輝く“第二の朝倉未来”は現れるか。『しくじり先生』はABEMAビデオにて視聴が可能だ。

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表紙は10.2「RIZIN LANDMARK」で対戦する朝倉未来×萩原京平。創刊35周年企画として「王者たちが選ぶ、魂が震えた名勝負」を78選手が語る! また「コロナ禍のJ-MMA」では各団体代表が登場。
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