パンチで一気に畳みかけるHIROYA(右)。15歳にしてその技術、気の強さ、才能に誰もが驚いた
1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去4月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。56回目は2007年4月4日に神奈川・横浜アリーナにて開催された『K-1 WORLD MAX 2007~世界最終選抜~』の“第0試合”で、15歳にしてプロデビュー戦を行ったHIROYA(フリー)。
ジュニアキックで活躍し、タイのアマチュア大会でも結果を出していたHIROYAが魔裟斗の元を訪れたのは2006年9月。「僕の技術を見てください」と直談判し、実際に披露したところその技術の高さに驚いた魔裟斗が谷川貞治K-1プロデューサーに報告。K-1参戦が決定した。
まず、2007年2月にアマチュアルールで試合を行い、TKO勝ちを収めた。当時15歳。史上最年少のK-1戦士としてマスコミから大きな注目を集めた。
中学を卒業した4月、今度はヘッドギア無しの60kg契約(グローブのみ10オンス)でプロデビュー戦が決定。対戦相手は新空手K-3トーナメントなどで活躍する25歳の西村憲孝(KSS健生館)に決まった。「自分らしさを見せられると思います。心配もありますが、怖いという気持ちはありません」と、HIROYAは戦前にコメント。
前日記者会見では、一緒に出席した魔裟斗がHIROYAについてのコメントを求められ「俺を目指しているっていうのが、まず可愛い」と笑い、「まだ15歳だからあと5年ぐらい頑張ってほしい。やるからにはMAXの頂点を目指して、俺が辞める頃にはHIROYAがMAXを背負って立つようになってくれればいい」と大きな期待を寄せた。HIROYAは憧れの魔裟斗と「同じリングに立てるのが嬉しい」とあどけなさ前回のコメント。
試合は1R、上背で優る西村がパンチで前へ出ていく。HIROYAは下がりながら右ローを蹴り、ジャブを出して右へ回り込む。ワンツー、右ストレートと左ボディからの右ハイと、コンビネーションを繰り出していくHIROYA。右ストレートのカウンターを入れて強い右ローを蹴ると、西村の動きがみるみるうちに悪くなっていく。
そして、パンチでバランスを崩し、前のめりになった西村へ右ロー。明らかにダメージを感じさせる西村へパンチの連打を放ち、右ローからの右フックでダウンを奪った。右ストレート2連打からの右ローでダウンを追加したHIROYAは、パンチの連打から右ローへつなげるラッシュで畳みかけ、右ローからの右フックで3度目のダウンを奪いKO勝ち。1R2分47秒だった。
翌日の一夜明け記者会見では、ブアカーオが「精神力も才能もある選手」、アンディ・サワーが「彼は本当に強くて将来性がある選手。5年後にはMAXにメインイベンターとして帰ってくるだろう」と、HIROYAを高く評価した。