キックボクシング
インタビュー

【KNOCK OUT】古村匡平「負けるという言葉は大嫌い。米津玄師が大好きなんですけど『LOSER』は聴けないんです」

2020/02/08 16:02
2020年2月11日(火・祝)東京・大田区総合体育館『KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.1』で行われる「無法島GP トーナメント」。同トーナメントに出場する古村匡平(FURUMURA-GYM)のインタビューが主催者を通じて届いた。  古村は11月に開催された『KNOCK OUT 2019 BREAKING DAWN』の育成枠で出場した古村光の実兄で、5歳から空手を始め、中学卒業後に上京。2016年アマチュアムエタイ54㎏級金メダル獲得。2017年に17歳でプロデビュー後、戦績は14勝(7KO)1分と未だ負けなしの20歳。2019年9月にはタイ・ラジャダムナンスタジアム『スックチューチャルンムエタイ』に参戦し、兄弟揃って勝利をもぎとった。  トーナメント1回戦ではREBELS63kg級王者・丹羽圭介(TEAM ニワールド)との対戦が決まっている。 ■自ら売り込んで無法島GP出場権を手にする  古村匡平は「青春のすべてを格闘技に捧げた男」だ。  絶対に達成すると決めている「大きな2つの夢」がある。 「1つは、タイのラジャダムナンスタジアムのチャンピオンになること。もう1つは、日本のトップ団体で活躍することです。これまでの時間は、今年から始まる巨大な波に乗るための頑丈な船を作る準備期間だったと思っています」  まだ二十歳の若さながら、常に「強くなること」だけを考え、そのために生きてきた。 「目標」を見据えて進学はせず、中学卒業後に単身上京。3年間の格闘技修行を経て、故郷の佐賀県に拠点を移した。その後もタイで1か月間の合宿を敢行するなど、同級生たちが学校生活や友人たちとの時間を楽しく過ごすのを尻目に、古村は「強くなること」にすべてを費やした。 「死ぬほど負けず嫌いなんです。負けるという言葉が嫌いで、負け=相手に屈服した感覚で、我慢ができない。負けないためには、強くなるしかなかった」  古村はトラウマのような「屈辱的な敗北」の経験がある。 「小学5年生の時、体格の大きな子と喧嘩したんです。その時、馬乗りになられて殴られて。今、思い出してもイラつきます(苦笑)。『なんでこんなヤツに! 自分の方が空手の練習をたくさんしているのに!』と。ものすごく悔しかったです」  以来、古村は「敗北、負ける」といった言葉を自分の中から一切排除した。 「負けるという言葉は大嫌いです。音楽は好きですけど、歌詞の中に『負ける』とか『ルーザー(敗者)』が入っていると、その歌は二度と聴かないです。米津玄師が大好きなんですけど『LOSER』は聴けないんですよ(苦笑)。タイトルが『WINNER』なら聴きまくったと思うんですけど(笑)」  そんな古村だけに、入場曲にも強いこだわりがある。 「LDHが大好きで『ダンスの練習してLDHに入ろうか』と考えたことがあるぐらい好きです(笑)。だから、LDHのアーティストの曲をいつも聴いてるんですけど、登坂広臣さんの『LION KING』(HIROOMI TOSAKA feat. CrazyBoy)という曲の歌詞にグッと来た部分があって。『俺らがNew kings 譲れない王座』とか、うわ、この言葉強いな!と思って。それで入場曲に使わせて貰っています」  今回の「無法島GP」出場は、自ら「出たいです」と売り込んで実現させたものだ。  弟の古村光が、次世代スター発掘企画「K.Oトライアウト」に参加して見事に合格。昨年11月1日の「KNOCK OUT 2019 BREAKING DAWN」(後楽園ホール)のオープニングマッチに出場し、2RTKO勝利を飾った。  その2週間後、今度は古村が福岡で開催された「大和」に出場。大和MUAYTHAIスーパーライト級王者・晃希に挑戦し、2RKOで勝利して、無敗のままプロ初タイトルを奪取した。  古村は試合動画を山口元気プロデューサーに送った。動画を見た山口プロデューサーは、古村のアグレッシブなスタイルと高速の右ストレートによる一撃KO勝利を高く評価。「無法島GP」の残り2枠の1つに古村を起用することを決めた。  また、そのKOシーンの動画をツイッターにアップ。すると、再生回数はあっという間に1万回になった。  この反響には古村自身も驚いたという。 「先に弟がトライアウトに出てきっかけを作って貰った形ですけど(笑)、山口プロデューサーにアップしていただいた試合動画の反響は大きかったです。これまでインスタ中心でほとんどツイッターは使っていなかったんですけど、これからはツイッターでもプロモーションをしていこう、と思いました(笑)。動画を見て『合成じゃないか』なんてコメントも来たんですけど、そんな技術は持ち合わせてないです(笑)」 ■見せるのは圧倒的なKO。スピードもパワーも、誰にも負けていない  古村にとって、晃希戦はとても重要な位置づけの試合だった。 「実績は晃希選手の方が上です。だから、晃希選手との試合は『日本のレベルで自分はどれくらいなのか?』を知る査定試合のつもりでした。ただ、練習するうちに『負けるはずがない』と確信を持って、その通りにKOしてタイトルも取れました。  今回の無法島GPの出場が決まった時も、実は同じ感覚があって『倒して勝てる、絶対に優勝する』と。晃希選手との試合を『まぐれで倒した』なんて言われるんですけど、あのKOがまぐれかどうかも無法島GPを見て貰えば分かると思います」  無法島GP出場全選手の分析を早々に終えると、タイから招聘した名門チュワタナジムのレックトレーナーに鍛えられて、古村は「無法島GP制覇」を確信している。 「僕は試合が決まった瞬間から対戦相手を徹底的に研究して、めちゃめちゃ考えながら試合をするんです。鈴木千裕選手が『相手の動画を100回見た』と言ってますけど、鈴木選手の比じゃないです(笑)。僕の方が試合動画を見ているし、研究しています。やはり『負けること』が大嫌いなので。  レック先生はサオエーク選手(昨年11月のKNOCK OUT 2019 BREAKING DAWNで小笠原瑛作を2RKOしたムエタイのトップ選手)のトレーナーで、お願いしたら『本気でやるなら見る』と日本に来ていただきました。練習は本当にキツいです(苦笑)。それが根性論ではなく、理論に基づいた練習のキツさなので『そりゃサオエークもあれだけ強くなるよ』と納得しました(笑)。今は自信しかないです」  小学校5年生で味わった「屈辱」から、ずっと「強くなること」だけを考えて日々を過ごしてきた。痛みや苦しみや辛さに何度も挫折しそうになりながらも、コツコツと培ってきた実力がとうとう無法島GPで爆発する。 「見せるのは圧倒的なKOです。スピードもパワーも、誰にも負けていないので、他を寄せ付けない勝ち方をして無法島GPを制覇します。  動画で見せた右ストレート? はい、対戦する人には十分に警戒して貰って(笑)。倒せるパンチはあれだけではないので。  KNOCK OUT出場が決まって、記者会見や練習風景がテレビで放送されて、いろんなところで『映ってたね。KNOCK OUTに出るの?』と言われて嬉しいですね。やはり『KNOCK OUT』という名前は大きいですし、発信力もあるので、ここで派手な勝ち方をして、もっと目立つ存在になります。  自分の直感で『2020年はデカいことが起こる』と感じているんです。弟の光は、REBELSの53.5㎏王座決定リーグに出場が決まっているので、自分がまず無法島GPに優勝して火を付けて、2020年は『古村兄弟の時代』にします。  しっかりと、圧倒的なKOを見せるので、ぜひ、会場で応援をよろしくお願いします!」 文/撮影=茂田浩司
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