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【Lemino修斗】年間ベストバウト! 齋藤奨司との死闘を制した野瀬翔平「目が見えなかったけど、生き残るために前に出続けた」

2026/10/21 15:10
【Lemino修斗】年間ベストバウト! 齋藤奨司との死闘を制した野瀬翔平「目が見えなかったけど、生き残るために前に出続けた」

(C)GONG KAKUTOGI

 2026年10月19日(月)東京・後楽園ホールにて『Lemino修斗.9』(Lemino見逃し配信)が開催された。

 メインイベントは、2月から開幕したバンタム級サバイバートーナメントの決勝。8カ月をかけて行われた同トーナメントには、決勝に進出した齋藤奨司(FIGHT FARM)と野瀬翔平(MASTER JAPAN FUKUOKA)のほか、中島陸や内田タケルら日本勢以外に、シンバートル・バットエルデネ(モンゴル)、ジョン・オルニド(フィリピン)といった海外勢も参戦した「vs.世界」を見据えたもので、勝てば、『ROAD TO UFC』にアピールできる、まさしく“生き残り”のトーナメントだった。

▼バンタム級(61.2kg)サバイバートーナメントリバイバル2026 決勝戦 5分3R
×齋藤奨司(FIGHT FARM)9勝4敗1分 61.15kg
[3R 2分56秒 TKO] ※バックマウントからパウンド
〇野瀬翔平(MASTER JAPAN FUKUOKA)17勝7敗2分 61.15kg
※野瀬がトーナメント優勝

 齋藤は、国体優勝のボクシングベースで、キックでもKAMINARIMON全日本大会優勝、RISE2勝1敗。24年7月の修斗で“激闘王”藤井伸樹(ALLIANCE)との大激戦を制し、世界バンタム級王座を戴冠。

 25年9月大会で暫定王者・永井奏多との王座統一戦に敗れたが、26年2月の今トーナメント1回戦で、モンゴルの23歳の怪物シンバートルを迎え打ち、判定3-0で勝利。26年8月の準決勝では中島陸の組みからの寝技を凌ぐとトップも奪い、打撃で攻勢となり判定勝ち。決勝行きを決めた。

 対する野瀬は、柔道ベース。高校時代に団体戦で100kg級の相手と68kgで対戦し、頭から落ちて頚椎損傷、頚椎脱臼骨折の大怪我を負い、ドクターヘリで緊急搬送。足の骨を削って頸椎をつないで固める大手術を行い、車椅子に乗るためのリハビリから開始。奇跡的に1年後に痛みや痺れが和らいだものの、1年経っても懸垂1回もできず、腕立て伏せ10回もできない状態から、「一度拾った命、身体だからやりたかったMMAをやろうと思ってやった。本当はもうあのときにずっと車いす生活になると言われていたのが、お医者さんたちののおかげで動けるようになったので、それならやりたかった好きなことをやろうと」決めて、MMAを始めた。

 修斗等で4連勝後、2022年の『ROAD TO UFC』では準決勝で中村倫也に敗れ、2023年はシャオ・ロンにスプリット判定負け、2024年は現UFC3勝1敗のユ・スヨンに判定負けで3度RTUに跳ね返されている。

 今回は、2月のトーナメント一回戦でジョン・オルニドに1R、キムラで一本勝ち。青井心二に腕十字で一本勝ちした内田タケルと準決勝で対戦予定も、内田が『ROAD TO UFC』に参戦(※1回戦でエロス・バルーヤットに1R RNCで一本勝ちも準決勝で計量ミス)へ。3月大会のリザーブファイトで神田T800周一に判定勝ちした青柳洸志が準決勝に繰り上がり、野瀬と対戦。野瀬が青柳を1R 肩固めに極めて決勝進出した。

 MMAの軸を打撃に持つ齋藤と、極めのある寝技が軸の野瀬。2025年10月にはシンバートルにまさかのギロチンチョークを極められ涙をのんだ野瀬と、1年前の修斗王座戦で最終回に一本負けを経験した上でここまで積み上げてきた斎藤。3Rの消耗戦でより削れるのは打撃か組みか(※前日インタビュー)。

 試合は、初回から野瀬がスタンドでも立ち合い、テイクダウンを仕掛け続けるなか、尻は着くも立ち上がる齋藤が、左フック、右ストレートを当てる展開に。ジャッジは3者10-9で齋藤を支持。

 2Rも、齋藤が右フック、左ジャブ、右ボディスレートをヒット。打ち合う野瀬はシングルレッグから引き込み。潰してマウントになりかけた齋藤に右で差してブリッジ、亀からトップを奪い返した。パウンドを打つもそのスペースで齋藤が蹴り上げて立ち上がり。そこに野瀬は左右フックからテイクダウン、パウンドを入れた。2者が10-9で齋藤。1者が野瀬を10-9で支持している。

 最終回。ワンツーを当てる野瀬に、左フックを返す齋藤。齋藤の打ち返しにシングルレッグも引き込む形になった野瀬は下からストレートアームバー狙いも腕を抜く齋藤が立ち上がり。

 右、左を当てて前に出る野瀬。右フックは空振りもその圧力で右で差してケージに押し込むと、クリンチアッパーからヒザを突き、齋藤が距離を取るために伸ばした左手を右手でオーバーフック、左手で手首を掴むと、腋固め!

 またいで外した齋藤が上、腕を解除した野瀬はオクトパスガードから脇を潜り、トップへ。

 ついに齋藤に背中をつかせた野瀬はハーフから手首を掴んでキムラ狙い! 自身の左腿を掴み、右手で自身の左腕を掴んで防ぐ齋藤。齋藤が背中を向けると、野瀬は腕がらみからバックマウントに移行、左右パウンド、右ヒジ連打! 齋藤の身体が伸びて、打たれるままとなるとレフェリーが間に入った!

 野瀬が逆転のTKO勝ち! 野瀬は大の字になりながら右手を挙げてひとさし指で一番を作った。

 左目下に加え、右目下も大きく腫らせている。弘中邦佳・マスタージャパン代表、SASUKE、荒牧誠福岡代表、黒部三奈らに迎えられた野瀬。

 試合後、リング上で「まず、去年、この日にシンバートルという相手に何もできず一本負けして、“もう辞めたい”“逃げ出したい”と思ったところで、松根代表、岡田代表からチャンスいただき、このトーナメントに参戦して、全試合怖かったけど、1年前の自分に『お前は良かったぞ』と胸を張って言えます。ほんとうに応援してくれている人たち、ありがとうございます。この先、どんなチャンスがあるか分かりませんが、Lemino修斗でタイトルマッチがあるなら、最初にこの階級だと思うんで僕にチャンスをください。Lemino修斗でもしタイトルマッチをやるなら、最初はやっぱりこの階級だと思うんで。松根代表も岡田代表も巻いていたベルトなので、よければ僕にチャンスが欲しいです。ぜひ検討してください。あと、次の引っ越し費用が必要なんでよろしくお願いします」と語った。

 やるべきことをやり続け、勝利を手中にしかけた齋藤の熱闘もあり、互いに死力を尽くした年間ベストバウト級の決勝。最後に手を挙げられた野瀬は、優勝賞金200万円を獲得。さらにファイトボーナスも受賞したことが発表された。

 試合後に、齋藤に「ありがとうございました」と挨拶する野瀬は、「強かった」と言われ、「途中まで、心折れそうだったけど」と返して握手。

 控室に向かう廊下では、「最初で左目が見えなくなって」と吐露し、「無意識で戦っていた?」と問われ、「今回は意識があった。根性でのみ込んでやろうと思って」と語り、氷嚢を持とうとして「ごめんなさい、手が上がんないです」と倒れ込んだ。

「夢みたい、夢じゃないですよね。1カ月くらい、勝つ夢・負ける夢を交互に見ていたから」と目を閉じて腫れた顔を冷やした。

 酸欠状態で寝込んだままの野瀬を見ながら、弘中代表は、「最後に繋がる脇固めは、あいつが瞬時に出たもので初めてかな。だって練習じゃなかなか(危険で)やれないですし(笑)。打撃で削られながらも、野瀬も相手にテイクダウンディフェンスさせて削ってたので、それが最後に出たと思います。打撃は、野瀬ももらっちゃうんで。師匠に似てる(苦笑)。これまでの試合を踏まえて練習してきて、今回は本当に努力が最後に勝ったと思ってます」と語る。

 起き上がった野瀬との一問一答は以下の通りだ。

野瀬翔平「ここで負けたら夢が終わるし、1年前の自分に面目が立たないと思ってやってきた」

「(試合後の一番ポーズは)ずっと1回戦からこうやって、自分を信じて、ですかね」

──話せそうですか?

「大丈夫です」

──酸欠で苦しそうでした。試合展開は覚えてますか。

「覚えてます。もう1(ラウンド)絶対取られたなって思って、テイクダウン切られ続けて。キツかったけども、自分を信じることしかなかったんで。最初の片足タックル行った時の掌底かなんかで、こっちの左目がもう、半分見えなくて。ずっと打撃の距離が狂ってもらってたんで、もう詰めて組むしかないなと思って、キツいけど行き続けました」

──これまでだったら、打撃に引いてしまうところあありましたが、今回は打ち合いの中でもちゃんと自分も当てて、下がらなかったですね。

「もうここで負けたら、事前のインタビューでも言ってた通り、もう夢が終わるし、1年前の自分に面目が立たないというか……2年連続で誕生日に悔しい思いすると(※昨年はシンバートルに一本負け)もう、さすがに僕も辞めたくなるだろうし……生き残ったなって感じです。生き残るために前に出続けました」

──試合前から「ここで勝たなかったら、その先の道はない」と退路を断つような言葉でした。

「本当そうですね。もうこれでダメだったら──引退するかは分かんない、好きなんで続けるかもしんないけど『世界と戦う』とかそういうこと言ってられないなって。なので、もう自分のために根性で、最後はもう根性だけで行き続けました」

──1、2Rはかなり相手のペースでした。3Rはどんな気持ちで臨みましたか。

「取るしかないけど、目が見えないし……。事前に『目が潰れても』と言っていた通りになってしまって(苦笑)、見えなかったんで、根性でもう前に出て、なんとか自分のところ(組み)に持っていくとしか思えなかったです」

──拳を振って前に出ることでケージに詰めて、あそこで右で差して左手首を掴んだ。あれは……あの腋固めは、柔道から?

「練習じゃ(出来ないから)柔道の時からあの脇固め、得意だったんです。なんというか、思いつきというか発想で。正直あそこで“極まれ! 折れろ”ぐらいの感じでやったけど、最後に上を取って、アームロック取れたら、僕は絶対(一本)取れるんで、それで齋藤選手が焦ってバックを、もう焦ったらバックを見せてくると思ってたんで、そこのワンチャンス逃さなかった。自分を褒めたいですね」

──腋固め自体は極まらなかったですが、あの際でオクトパスからのトップを取って背中を着かせたことがすごいと思いました。

「結果オーライというか、本当自分を信じて練習してきたから、その神が味方してくれたじゃないけど、本当勝負はもう時の運みたいな感じであのまま下になっちゃってたら負けてたし、運も絶対あると思うし、自分を信じてやり続けて、あとは天運に任せるという……」

──でも、試合前に言っていた通り、どんな局面でも、最終ラウンドでも動ける自分を作ってきたからこそ、あのフィニッシュに繋がったかと思います。

「そうですね。去年の誕生日にシンバートルに負けて、追い込まれたことによって、練習をより追い込むようになったんで、それで体力も……もう酸欠でヤバいけど、なんとか相手より上回ったかなと思います。最後は根性で」

──「最悪のことも想定して」と言ってました。

「目が見えなくて、最悪の状態が起こったんで。でもセコンドの声が聞こえて、追い込まれることも想像してたんで行くしかないと」

──優勝して、MVPボーナスは?

「いや、まだ分かんないです。発表待ちで。今から来てくれないかな(笑)」

──引っ越しは地元で?

「飼い猫と住んでるんで、もうちょっと広い部屋に引っ越すことも決めてたんで、優勝するつもりで。引っ越します!」

──試合前に勝って引っ越し資金も得ると決めていたと。今後は、ケージ内で言っていた通り、修斗世界バンタム級のタイトルを目指すこと、そして『ROAD TO UFC』のチャンスを掴むことも……。

「そうですね。『ROAD TO UFC』は今からすぐにオファーが来るっていうのは、ほぼないだろうと思ってるんで正直、分かんないけど、それ(RTU)があればちろん年齢的(29歳)にもチャンスが少ないんで、『これまでのチャレンジといまの自分とは違う』と思っていて、できれば出たい。それが厳しいとしても、できればタイトルマッチを……僕は、シンバートルを当ててもらったときから、Lemino修斗にすごく感謝してるんで、このトーナメントを組んでいただいた時から出続けていて、Leminoでタイトルやるならこの階級が一番だと思うし、トーナメントもやったし、代表2人が持っていたベルトだし、どんな形でタイトルマッチになるか分かりませんけど、Leminoのベルトでもいいし、何でもいいんで、形が欲しい。今、そんな気持ちです」


【写真】インタビュー後、岡田代表からボーナス獲得を告げられた野瀬。

──最後にファンにメッセージを。

「月曜日の平日の夜に、貴重な時間を使って会場に来てくれた人、配信で見てくれた人にすごく感謝を伝えたいです。僕自身、昔からすごく挫折がいっぱいあって、辛いこともいっぱいあったんですけど、1年前も誕生日に得意なところで負けて、諦めようと思ったけど諦めなくて、今、この瞬間がきてるんで、その勇気を与えれたらと思います。今回の試合も是非、見逃し配信でも見ていただいて、何か感じていただけたらと思います」

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