どうなる? 朝倉vsチロン──強打の影に被弾も。組まない両者が引き出しを開けるか
アオリ・チロンは、スタンスの広い半身気味の構えから、対グラップラーには手の位置は低く、細かい前後のステップで右の強打、近い距離でも右アッパー、左ボディと、基本はスモザーマン同様にパンチの選手。
蹴りは左右下段と三日月蹴り、跳びヒザ蹴りはその場跳びでも前進しても打っており、注意が必要だが、直線的な攻撃が多い。
2戦前のコディ・ギブソン戦では、ギブソンのスイッチしてのインローにカウンターの右ストレートでダウンを奪うなど、半身の遠い奥手を踏み込んで真っすぐに突き刺して初回TKO勝ちを収めている。
一方で直線的な動きで顔の位置が変わらないこともあり、パンチも蹴りも打ち終わりを狙われるなどディフェンス面に課題があり、UFCスタッツでは、1分間の被弾した有効打数は5.56と少なくない。
また、前後に大きく開くスタンスのため、前足をダニエル・マルコスにカーフで蹴られてダウンを喫するなど、散打スタイルのリスクも孕んでいる(その後は互いにローブローの蹴り合いでノーコンテストに)。
スピード、コンビネーションともに朝倉海が上で、5月の前戦では、ケージに詰まっての組み際にハドンのボディヒザを受けてダウン、TKO負けを喫しているように、朝倉のカーフキック、速い飛び込みで角度のある攻撃、近距離でのパンチ、ヒザと、朝倉の武器がハマる相手だ。
わずか21秒🤯🤯🤯
— UFC Japan (@ufc_jp) October 18, 2025
一撃で仕留めたアオリ・チロン👊💥
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そしてこれまでの相手が示してきたアオリ・チロン攻略のひとつに、テイクダウンからの削りがある。アオリ・チロンのUFCテイクダウンディフェンスは60%と高くなく、15分の平均テイクダウンは1.11。つまり、自ら組むことはあまりなかった。
互いに種類の異なるストライカーのなか、これまでのスタッツを越える動きがどうみられるか。テイクダウンプレッシャーがその後のスタンドにも影響してくるため、ここまではあまり見ることができなかった「進化」した朝倉のMMAグラップリングが見られる可能性もある。実際、朝倉はスモザーマン戦でもテイクダウンを狙っていたことを明かしている。
5月30日のバンタム級初戦から「すぐに試合を」望んだ朝倉にとって、8月29日の上海大会は、時差が1時間とほとんどなく、近くて理想的な調整が可能な場所。
同時に、前日の『ROAD TO UFC』も含め、地元での戦いに、UFC PIを上海に持ち、アリゾナのFight Ready MMAでも練習するアオリ・チロンは、エディ・チャコーチらとの対戦相手の徹底研究と、地元の利を活かしたコンディションで臨むだろう。そして何より“ホーム”のファンの応援は、ファイターを強く鼓舞することになる。
朝倉はYouTubeで、「アオリ・チロンはマカオの大会も出ていて、当日は見れてなかったんだけど、試合終わって同じバンタム級の選手だから後でチェックして、その試合では負けてるんだよね(コディ・ハドンに2R TKO負け)。勝った選手が来るかなと思ってたけど、まさか、中国上海でやるってことで、相手の地元の選手とやるってことで、“ドアウェイ”になりますね」とアウェイ戦に覚悟。
その上で、「今年の初めに『3試合やって3試合勝つ』っていう目標を立てていて、今回いいペースで試合組んでもらえたんで、しっかり勝って(年内に)もう1試合っていうのを目標にやっていきたい。相手もしっかりUFCでも10戦やって、すごい経験もある侮れない選手。自信はあるけど、しっかり戦略立てて準備して、また今回もKOを狙っていきたいと思います。これはもう100%、絶対面白い試合になると思います」とKO決着を予告した。
そして、「RIZINの頃のバンタム級の俺の実力じゃなくて、もうその時よりはかに強くなってる。金原(正徳)さんがコーチになってくれてから、この期間ずっと成長してるんで、そこを楽しみにしてもらいたいなと」、成長を見せたいとした。
同じ1993年生まれで、散打・空手というそれぞれのストライキングバックボーンからMMAに転じたアジアの2人は、UFC3戦目で適正階級に戻して勝利をあげている。異なるのは、アオリ・チロンがそこから7試合をこなしていることだ。互いのMMAの進化が問われる、上海決戦だ。









