2026年8月29日(土)中国・上海の浦東発展銀行上海オリエンタルスポーツセンターで開催される『UFC Fight Night: Nurmagomedov vs. Song』(U-NEXT/UFC Fight Pass配信)に、朝倉海(JAPAN TOP TEAM)の出場が決定。UFCバンタム級転向2戦目で、アオリ・チロン(Fight Ready MMA)と対戦する。
朝倉は自身のYouTubeで、調整のしやすい上海大会での試合を希望していたとし、散打出身のアオリ・チロンとの対戦について、「UFCとしても“打ち合ってくれよ“と“やり合ってくれよ”っていう相手を用意してきたなと。ストライカーということで、もう一番俺的にはやりやすい相手できたな」と、相性がいいと語った。
そして「打撃が強い選手だけど、そこは絶対負けないと思ってるし、総合力でも上回れるかなと思うんで色々見せていきたい。多分バンタム級のストライカーの中では本当にトップクラスの相手だと思うんで、そういう選手をしっかり倒して“やっぱり朝倉海の打撃やばいぞ”と世界に証明する試合になればなと思います」と意気込んだ。
▼バンタム級 5分3R朝倉海(日本/JAPAN TOP TEAM)22勝6敗(UFC 1勝2敗)アオリ・チロン(中国・内モンゴル自治区/Fight Ready)26勝13敗(UFC 4勝5敗1NC)
元RIZINバンタム級王者の朝倉海は、2024年12月のUFCデビュー戦で1階級下げたフライ級で参戦。いきなり王者アレッシャンドリ・パントージャのベルトに挑戦するも、2R リアネイキドチョークで一本負け。25年8月の2戦目で当時フライ級11位のティム・エリオットと対戦し、2Rにギロチンチョークで一本負けで2連敗。
26年5月30日の前戦でバンタム級に戻すと、UFC1勝2敗のキャメロン・スモザーマンと対戦。右カーフキックを効かせて1R1分50秒、左フックでKO勝ち。オクタゴン初勝利を飾っている。32歳。
対するアオリ・チロンも、UFCではフライ級からの転向組。朝倉海と同じ1993年生まれで、モンゴルの遊牧民として育ち、その名はモンゴルで「宇宙」を意味するという。
散打ベースのストライカーで、MMA26勝13敗と戦績は多く、9KO・TKO、1一本勝ち、16の判定勝ち。黒星は2つのKO・TKOと3一本負け、8判定負けとなっている。
2009年に散打を始め、中国の西安体育学院で、中国人初のUFCファイター・ジャン・ティエチャンやヤン・シャオナンを育成した趙学軍(ジャオ・シュエジュン)コーチの下でトレーニングを始めた。
2012年内モンゴル全国運動会52kg級、2013年内モンゴル散打トーナメント56kg級優勝などの実績をあげて、2013年にMMAに転向。2015年には、CKF(Chinese Kungfu Championships)でプロMMAを戦っていることが確認されている(中国の地方大会で20勝9敗)。
2016年に100%Fightのバンタム級ワンデートーナメントで優勝すると、2019年にWLFでもバンタム級王者に。WLFライト級王者のロン・ジューとともに防衛に成功すると、21年4月にUFCデビュー。
フライ級でジェフ・モリーナとファイト・オブ・ザ・ナイトの激闘も判定負け。同年11月に堀口恭司の盟友コディ・ダーデンにも判定負けでオクタゴン2連敗。
朝倉海と同様に、UFC3戦目でWLF時代のバンタム級に戻すことを決意。スモザーマンとは異なる“キャメロン”エルスと対戦し、右アッパーから左ボディ、右ストレートでダウンを奪いパウンドアウト。UFC初勝利を飾っている(このエルスも、スモザーマン同様にこの試合を最後にUFCをリリース)。
バンタム級2戦目でもジェイ・ペリンとの打ち合いを制して判定勝ち。
現在、UFCバンタム級では4勝3敗1NCの勝ち越し中で、敗れた相手は、メディアパネルランキングで現在6位のアイマン・ザハビと12位のラウル・ロザスJr.、そして、26年5月の前戦、朝倉海が初勝利を挙げたマカオ大会で2R TKO負けしたコディ・ハドンの3選手。ヘンリー・セフード率いるFight Ready MMAで練習する。
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どうなる? 朝倉vsチロン──強打の影に被弾も。組まない両者が引き出しを開けるか
アオリ・チロンは、スタンスの広い半身気味の構えから、対グラップラーには手の位置は低く、細かい前後のステップで右の強打、近い距離でも右アッパー、左ボディと、基本はスモザーマン同様にパンチの選手。
蹴りは左右下段と三日月蹴り、跳びヒザ蹴りはその場跳びでも前進しても打っており、注意が必要だが、直線的な攻撃が多い。
2戦前のコディ・ギブソン戦では、ギブソンのスイッチしてのインローにカウンターの右ストレートでダウンを奪うなど、半身の遠い奥手を踏み込んで真っすぐに突き刺して初回TKO勝ちを収めている。
一方で直線的な動きで顔の位置が変わらないこともあり、パンチも蹴りも打ち終わりを狙われるなどディフェンス面に課題があり、UFCスタッツでは、1分間の被弾した有効打数は5.56と少なくない。
また、前後に大きく開くスタンスのため、前足をダニエル・マルコスにカーフで蹴られてダウンを喫するなど、散打スタイルのリスクも孕んでいる(その後は互いにローブローの蹴り合いでノーコンテストに)。
スピード、コンビネーションともに朝倉海が上で、5月の前戦では、ケージに詰まっての組み際にハドンのボディヒザを受けてダウン、TKO負けを喫しているように、朝倉のカーフキック、速い飛び込みで角度のある攻撃、近距離でのパンチ、ヒザと、朝倉の武器がハマる相手だ。
そしてこれまでの相手が示してきたアオリ・チロン攻略のひとつに、テイクダウンからの削りがある。アオリ・チロンのUFCテイクダウンディフェンスは60%と高くなく、15分の平均テイクダウンは1.11。つまり、自ら組むことはあまりなかった。
互いに種類の異なるストライカーのなか、これまでのスタッツを越える動きがどうみられるか。テイクダウンプレッシャーがその後のスタンドにも影響してくるため、ここまではあまり見ることができなかった「進化」した朝倉のMMAグラップリングが見られる可能性もある。実際、朝倉はスモザーマン戦でもテイクダウンを狙っていたことを明かしている。
5月30日のバンタム級初戦から「すぐに試合を」望んだ朝倉にとって、8月29日の上海大会は、時差が1時間とほとんどなく、近くて理想的な調整が可能な場所。
同時に、前日の『ROAD TO UFC』も含め、地元での戦いに、UFC PIを上海に持ち、アリゾナのFight Ready MMAでも練習するアオリ・チロンは、エディ・チャコーチらとの対戦相手の徹底研究と、地元の利を活かしたコンディションで臨むだろう。そして何より“ホーム”のファンの応援は、ファイターを強く鼓舞することになる。
朝倉はYouTubeで、「アオリ・チロンはマカオの大会も出ていて、当日は見れてなかったんだけど、試合終わって同じバンタム級の選手だから後でチェックして、その試合では負けてるんだよね(コディ・ハドンに2R TKO負け)。勝った選手が来るかなと思ってたけど、まさか、中国上海でやるってことで、相手の地元の選手とやるってことで、“ドアウェイ”になりますね」とアウェイ戦に覚悟。
その上で、「今年の初めに『3試合やって3試合勝つ』っていう目標を立てていて、今回いいペースで試合組んでもらえたんで、しっかり勝って(年内に)もう1試合っていうのを目標にやっていきたい。相手もしっかりUFCでも10戦やって、すごい経験もある侮れない選手。自信はあるけど、しっかり戦略立てて準備して、また今回もKOを狙っていきたいと思います。これはもう100%、絶対面白い試合になると思います」とKO決着を予告した。
そして、「RIZINの頃のバンタム級の俺の実力じゃなくて、もうその時よりはかに強くなってる。金原(正徳)さんがコーチになってくれてから、この期間ずっと成長してるんで、そこを楽しみにしてもらいたいなと」、成長を見せたいとした。
同じ1993年生まれで、散打・空手というそれぞれのストライキングバックボーンからMMAに転じたアジアの2人は、UFC3戦目で適正階級に戻して勝利をあげている。異なるのは、アオリ・チロンがそこから7試合をこなしていることだ。互いのMMAの進化が問われる、上海決戦だ。