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【UFC】パンツ脱ぎか勝利のマイクか──無敗ホキット「俺がフェイクかどうかは、対戦相手たちに聞いてみな」×ルイス「大統領には聞かない、勝手にやる!」=6月15日(月)『UFC Freedom 250』ホワイトハウス大会

2026/06/12 16:06
 2026年6月14日(日本時間15日朝8時30分~)、米国ワシントンD.C.のホワイトハウス敷地内で開催される『UFC Freedom 250: Topuria vs. Gaethje』(U-NEXT/UFC Fight Pass)に向けて、メディアデーが11日、同地にて行われた。 ▼ヘビー級 5分3Rジョシュ・ホキット(米国)9勝0敗(UFC3勝0敗)デリック・ルイス(米国)29勝13敗(UFC 20勝11敗)  ホキットは、MMA9勝0敗・UFC3勝0敗(3KO勝ち)ディヴィジョン1オールアメリカンレスラーで、大学アメリカンフットボールでは4年間で51試合に出場し、ラッシングで1,260ヤード(平均4.2ヤード)と17タッチダウンを記録し、4年生時にはチームのキャプテンを務めた。2020年にドラフト外フリーエージェントとしてサンフランシスコ・フォーティナイナーズと契約したが、2020年から2021年シーズンをプラクティス・スクワッドとして過ごし、2022年8月15日に解雇された。8月22日にはアリゾナ・カージナルスと契約したが、5日後に解雇された。プロMMAデビュー前からBellatorと契約し育成されるが、PFL買収後は離脱し、フィーダーショーからDWCSでのTKO勝ちを経てUFCデビュー。  25年11月の初戦は同じUFCデビュー戦のマックス・ジメニスに56秒 KO勝ちで、2カ月後に組まれた2戦目もUFC1勝0敗のデンゼル・フリーマンを1R 残り1秒でTKO。3戦目でランキングは5位のカーティス・ブレイズを相手に年間ベストバウト級の激闘を制し、判定3-0(29-28×3)で勝利。無敗をキープし、ランク外から一気に5位にジャンプアップ。長期戦を戦えるだけのスタミナも証明した。28歳。  ルイスは、MMA29勝13敗・UFC20勝10敗(16KO勝ち)。ボクシングベースで2010年にMMAデビュー。14年からUFCで戦い、18年7月にはフランシス・ガヌーに判定勝ち。11月に王者ダニエル・コーミエーに挑戦も一本負けで戴冠ならず。2021年2月に2位のカーティス・ブレイズを2R KOに下し、21年8月にシリル・ガヌとヘビー級暫定王座決定戦に臨むも3R TKO負け。以降は黒星先行も24年、25年に2連勝で復活。26年1月の前戦でワルド・コルテス=アコスタに2R TKO負けを喫した。UFC最多KO勝ち、2度の王座戦を経験も、41歳になった。  会見でホキットは、人気コメディ番組『Kill Tony』のスタンドアップコメディ形式を真似て、「ダウン・バト(Down Vato)」のキャラクターなどで滑り倒す奇妙なパフォーマンスを展開。「デリック・ルイスをマイムの集団に誘拐させて、言葉にできないような(酷い)ことをしてやる」と予告した。  その言葉に対し、格闘技界きってのユーモアと下ネタの天才であるデリック・ルイスは、全く動じずに「俺はちょっと変わったタイプの男だからよ。マイムの連中に俺のケツの穴(booty hole)をいじくられるのも、別に構わないぜ」と返して、ホキットの不気味な脅迫を変態アピールによって無効化している。 ジョシュ・ホキット「ファウルカップを大統領執務室に飾れるように」 ──キャラクター作りとかについて、色々と批判の声も上がっていますが、結局のところ、このビジネスは人々に話題を提供することも重要です。あなたにとって、結果は手段を正当化しますか? 周囲がどれだけ批判しようとも、現にこうして話題になっている。 「そうだね、みんな『フェイクだ』って言いたがるけど、俺はそれが気に入らない。フェイクかどうかは、俺の対戦相手たちに聞いてみろよ。ギレルメ・ウリエルを古いシリアルみたいに噛み砕いて吐き出した時がフェイクだったかってな。マックス・ジメニスに“Semenとは何か”を教えてやった時もだ。デンゼル・フリーマンを地獄に送った時はフェイクだったか? カーティス・ブレイズに爆弾や手榴弾を浴びせた時はフェイクだったか?  デリック・ルイスをおバカさん(Clueless)にしてブッ飛ばす時、それがフェイクになるかってんだ。6月に……あ、今ちょっと言い間違えそうになったな……6月14日、チャンネルを合わせてくれよ。本物ってやつを見せてやるからさ。おいみんな、頼むよ、拍手とかさ、何かないのかよ」 ──アレックス・ペレイラが、あなたが何をしようが何を言おうが、一切そういうやり取りに乗ってこないことに、少しイライラしたりしますか? 彼はまったく関わりたがらないようですが。 「いつか戦うのは避けられないことさ。俺も分かってるし、あいつも分かってる。アレックス・ペレイラと、あいつのBBL(豊尻手術したケツ)なんて地獄に落ちちまえばいい。俺はライオンで、あいつは弱いガゼルだ。腫れ上がるまでブチのめしてやる。あいつの頭を電子レンジにぶち込んでやるよ。ピザの匂いがしてくるだろうな。“カニカーニのピザは、お前と俺のためのピザ?♪”ってな。スポンジボブのファンはいないのか? ほら、そこのお前。おいみんな、頼むよ、目を覚ましてくれ」 ──ジョシュ、「ダウン・バト」や「インクレディブル・ハルク」などベストを尽くしていましたね。ウケを狙うには厳しい空気でしたが、こうした人格はどのようにして生まれるのですか? それとも、ただその瞬間の気分で出てくるものですか? 「信じられないかもしれないけど、これが俺なんだよ。俺はそういう“チョロ”(メキシコ系ギャング)みたいな奴らがたくさんいる地域の出身でね。だから昔からあの声でよく遊んでたんだ。アメフトをやってた頃、ロッカー室にちょっとしたグループ、まあギャングみたいなものがあったんだよ。フレズノ州立大学のランニングバックの部屋の連中で、俺たちは“バト・ローカルズ(地元のバトたち)”って名乗ってた。それで、ラインバッカーだろうがタイトエンドだろうが、かかってきたい奴には誰にでも突っかかっていったんだよ、おい。かかってきたい奴には誰にでもな、相棒」 ──アルバカーキの街についてはどう感じていますか? 「アルバカーキも全く同じだよ。コーチも『よお、元気か?』って感じだし、どこも同じさ」 ──以前のインタビューで「サイズは関係ない、戦術とアプローチがすべてだ」と言っていましたね。ということは、カーティス・ブレイズの方がデリック・ルイスよりも実力のある相手だと思いますか? 「そう思うよ、そう思う。でも、これが巡ってきたチャンスだからね。デリック・ルイスのことは、マイム(パントマイム=喋らない)の集団に誘拐させてやる。そいつらがルイスにする事は、とても口には出せないような事さ。……おっ、何人かくすっと笑ったな。今のがおそらくベストだ。考えてみろよ、マイムだぞ? マイムに誘拐されるんだ。あいつらは喋れないんだから、『口に出せない(unspeakable)』ってことさ。おいおい、言葉遊びだよ(笑)」 ──来年の今頃には、UFCヘビー級のチャンピオンベルトを腰に巻いていると思いますか? 「そうだね」 ──あなたはXで、イリア・トプリアに対してジャスティン・ゲイジーやショーン・オマリーを擁護していましたね。記者会見では何を仕掛けるつもりですか? 「何をするつもりかって? それは本番を見てのお楽しみさ。それも含めてショーの一部だからね。俺のことを嫌ってくれてもいいし、愛してくれてもいい。俺が戦う時の、そのすべての体験を肌で感じてほしいんだ。多くの人は悪役側の顔を見せたがらない。みんな、結局のところ誰からも好かれたいと思っているのが人間の本性だからね。でも俺は、俺の試合を見る時にあらゆる感情を味わってほしい。だからファイトウィーク中、俺が何をしでかすか分からないぞ。だからこそ、見逃さないでくれ」 ──日曜の夜、観客が一番見たいものはどちらだと思いますか? デリック・ルイスがオクタゴンでズボンを脱ぐことですか? それとも、あなたがマイクを握ることですか? 「俺がズボンを脱いで、マイクを握ることだな。ドナルド・トランプにファウルカップを投げつけてやる……いや、それはやめておこう(笑)。おい、今のところはカットしておいてくれよ、みんな、すまない。投げるにしても良い意味でだよ。彼がそのカップを大統領執務室に飾れるようにさ、変な意味じゃなくて。おいおい、勘弁してくれよ、俺が悪者みたいに見えるだろ(笑)」 ──「バッドガイ」のチェール・ソネンからはどんなアドバイスをもらいましたか? 「アドバイスか……。彼と話した時は、試合への準備について話して、それは良い知見になった。特に多くのアドバイスをもらったわけじゃないし、その件について彼とそんなに深く話したわけでもないんだ。でも、準備についての話はすごく参考になったよ」 ──「ヒールになるなら、悪党は絶対に謝罪しないものだ」というような話はしなかったのですか? 「それには同意するよ。俺が自分のしたことに対して謝る姿なんて、絶対に拝めないさ。威勢のいい口を叩いておいて、後からみんなや対戦相手に謝るなんて、本当に臆病者のすることだと思う。対戦相手たちは、俺と戦うことで俺の敬意を勝ち取るチャンスがあるんだ。だからカーティス・ブレイズ戦の後だって、俺が歩み寄って彼と話す姿は見なかっただろ。それがこのゲームってやつさ。彼に悪気があるわけじゃない。でも、もし俺が逆の立場だったら、対戦相手にハグされて『大丈夫だよ』なんて言われたくないからね」 ──あなたに会って少し気後れして声をかけたり写真を頼んだりするのを躊躇してしまうファンに向けて、何かメッセージはありますか? 「ああ、俺は普段、ファンにはみんな親切だよ。バッグから大量のグローブを取り出して『全部にサインしてくれ』なんて言ってこない限りはね。数枚ならサインするし、『調子はどう?』って他の誰とでも同じように接するよ。分かったか、よし。みんな、さっきよりは少し良くなったな。少しはな」 [nextpage] デリック・ルイス「俺が最後に屋外でファイトした時は、3年半も刑務所にぶち込まれた」 「一体今の何だったんだ? ああ? お前ら、今の何だったんだよ? みんな、俺がずっとクリーン(薬物をやっていない)だと思ってただろ。言っとくけど、俺はドラッグに反対しちゃいない。たまに大麻を吸うのは助かるしな。クソ、お前らが俺にメダルをくれるって言うなら、ありがたくもらっとくよ。質問どうぞ」 ──前の登壇者が、あなたのことを「子供たちの模範」と呼んでいました。そんな称賛を受けると思っていましたか? 「誰がだって?」 ──あなたのことを世界中の子供たちの模範だと言ったのです。 「おいおい、俺なら『クソ食らえ、そんなガキども』って言うところだけど……いや、そんなことはしないな。でも、まあ、そう言ってもらえるのは結構クールだな。なかなかいいじゃないか」 ──これまでに受けたドーピング検査で、一番おかしなタイミングだったのはいつですか? 「なぜかいつも、俺がウンコをした直後なんだよ。そうなると、俺が尿意をもよおすまで、あいつらは俺の家で3、4時間も待つ羽目になる。悲しい話だよ」 ──先ほどジョシュ・ホキットがここにいて色々と語っていきました。彼はあなたを「マイムに誘拐させて、口にできないような事をさせてやる」と言っていました。他にも色々言っていましたが、彼の一連のパフォーマンスについてどう思いますか? 「おお、それはなかなかいいな。俺は結構変態(フリーキー)な奴だからさ。マイムの連中が俺のケツの穴を弄ろうが、別に構やしないよ」 ──(笑)経験があるのですか? 「いや、嫁が見てるから……いや、何も言わん。そんな経験一度もねえよ。忘れてくれ」 ──ホキットのカーティス・ブレイズ戦を見た上で、彼は今回も同じように戦ってくると思いますか? それとも、それは彼にとって破滅への道(致命的なミス)になると思いますか? 「いや、あいつはそんな風には戦ってこないと思う。あいつはレスリングとかをしっかり使おうとするはずだ。打撃で付き合うのは少しだけで、俺を疲れさせようとしてくるはずだ。ボディをたくさん狙ってきたり、クリンチを多用して、とにかく俺をスタミナ切れにさせようとするだろうな」 ──さて、私たちはあなたの試合後のパフォーマンス(ファウルカップを投げるなど)をとても楽しみにしていますが、今回の会場(ホワイトハウス)の性質上、少しトーンダウンしなければいけないと思いますか? 「ここは初めて来る場所だから、思い出に残るものにしなきゃな。だから先に謝っておくよ、すまん」 ──デリック、先週あなたが受けていたインタビューを見たのですが、「今回の試合は、ファンから『あいつの股間を蹴り上げろ!』という声が聞こえない初めての試合になるだろう」と言っていましたね。日曜日の、この非常にユニークな観客の前での雰囲気について、どんなことを期待していますか? 「さあな、誰が来るのかすら知らねえし、どんな雰囲気になるかも見当がつかない。ただ、ヤバいことになるのは分かってる。映画とかじゃなくて、本物のホワイトハウスを見るのは俺の人生でこれが初めてだからな」 ──ホワイトハウスに来てみたいと思っていましたか? 「どんな場所か見てみたかったし、ビル・クリントンが中でやったような事をして、『俺もやったぞ』って言ってみたかったな」※ホワイトハウス執務室でのルインスキー事件 ──(笑)トランプ大統領には会いましたか? 「まだ会ったことはないけど、電話で話したことはある。いや、話そうとしたんだけど、テネシーでの試合の後で観客の声がうるさすぎて、彼が何を言ってるかよく聞こえなかったんだ。でも、彼の声が『サウスパーク』のキャラクターにそっくりだったのは分かった」 ──別のインタビューで、今回の試合について「拳をケツに突き立ててやる(go fist to ass)」と言っていましたね。詳しく説明してもらえますか? 「言葉通りの意味だよ。クソ、もしあいつが俺を掴もうとしてきたら、オイルチェック(ケツの穴に指を突っ込む行為)して、必要ならケツを殴ってやる。勝つためには何でもやるさ」 ──デリック、彼はあなたを……(別の女性記者が手を挙げているのに気づく) 「お前が喋ってる間、彼女が手を挙げてたぞ。そういう(順番の)ルールかと思ったが。まあいいや、続けてくれ、どうぞ」 ──わかりました。ジョシュ・ホキットは、あなたを引退させて「老人のケツ拭き紙」を売らせてやると言っていました。デュード・ワイプスと、ウェザーズ・オリジナル(高齢者が好む飴)のコラボについて話したことはありますか? 「ああ、デュード・ワイプスをもらえるなら最高だな。俺、実際にデュード・ワイプスを使ってるんだよ、コーヒーフレーバーのやつな。だからあいつが俺にそれを用意してくれるなら最高だ。よろしく頼むよ、ありがとう」 ──この試合に向けてジョン・アニクと素晴らしいインタビューをしていましたね。そこでお金を稼ぐこと、家族を養えることについて話していましたが、同時にそれによって人生における人間関係のいくつかが壊れてしまったとも言っていました。もし、同じような目標を持つ若いファイターから「周りの人々のケア」についてアドバイスを求められたら、何と言いますか? 「そんなことするな(金をばら撒くな)、って言うね。俺はそれをやったけど、誰も決して満足しやしない。何をしてやろうが、何を言ってやろうが、奴らは絶対に満足しないんだ」 ──少し軽い質問を。テキサス出身のあなたですが、(NBAで)スパーズに優勝してほしいですか? それとも来年ロケッツが再挑戦するのを待ちますか? 「いや、来年まで待つよ。ヒューストン、サンアントニオ、ダラスの奴らのことを知ってるなら分かるだろ、俺たちはお互いに嫌い合ってるんだ。だから、そういうこった」 ──もしあなたが大統領なら、自分の誕生日を「誰も仕事に行かなくていい祝日」にしたいですか? それとも、自分の顔を硬貨のどれかに載せたいですか? あるいは紙幣になりたいか? 「いや、そんなものには載りたくないね。『食べ放題の無料ビュッフェの日』とか、そういうのがいいな。ありがとう」 ──デリック、会場の雰囲気については「誰が来るかも分からない」とのことでしたが、屋外での試合は少し異なる体験になります。何か特別な準備はしましたか? また、屋外特有の天気や虫などの影響についてどう予想していますか? 「全然。俺が最後に外でファイト(喧嘩)した時は、3年半も刑務所にぶち込まれたからな。だから屋外での経験ならあるよ。それに俺はテキサスに住んでるんだ。あそこには一日中、お前よりデカい蚊や虫がいて、年中ケツを噛んでくる。だから慣れっこさ」 ──ジョシュ・ホキットにも同じ質問をしたのですが、「ファンは、デリックがホワイトハウスでズボンを脱ぐ姿と、ジョシュがマイクで喋る姿、どちらを見たいと思うか」と聞きました。あなたはどう思いますか? 「俺はあいつのことが嫌いだからどうでもいいが、お前がそう言ったからには、意地でもズボンを脱ぎたくなったな。頼むからズボンを脱がせてくれ」 ──私じゃなく大統領に許可を取ってください(笑)。 「いや、あいつ(大統領)には聞かない。勝手にやる!」 ──あなたはニューオーリンズ生まれですが、ヒューストンが故郷になりましたよね。デリック・ルイスが選ぶ「サザン・ラップ(南部ヒップホップ)のラッシュモア山(歴代トップ4)」は誰ですか? 「もう一回言ってくれ。俺のラッシュ……ああ、サザン・ラップね。そうだな、Pimp C、Scarface、Bun B、そしてFat Patだ」 ──大統領が、今回の対戦カードにあなたを直々に指名したと聞いた時、あなたにとってどんな意味がありましたか? また、彼がなぜそこまであなたのファンなのか、何か理由は聞いていますか? 「さあな、でもめちゃくちゃクールだと思ったよ。その意味っていうのは、要するに『俺の人生は映画みたいだ』ってことさ。俺のストーリーを聞いて、これまで俺が潜り抜けてきたこと、考えうる限りのどん底から這い上がって、こうして頂点まで上り詰めたことを知ればな。本当に、誰か俺の人生についての本を書くか、映画でも作るべきだよ※」 ※ルイスは、ルイジアナ州ニューオーリンズで、7人兄弟の2番目としてシングルマザーの家庭に生まれた。子供の頃、実の母親が義理の父親から毎日激しい暴力を受けているのを目撃していたが、当時まだ幼く、母親を助けられなかった無力感が、彼の心に深い怒りとトラウマとして植え付けられた。13歳の時、家庭内暴力から逃れるために家族でテキサス州ヒューストンへと夜逃げ同然で移住。しかし、心に怒りを抱えたルイスは新しい街でも荒れ続け、日常的にストリートファイトに明け暮れるワイルド・ボーイとなった。  高校卒業のわずか2週間後、19歳だったルイスの人生を揺るがす決定的な事件が起きる。夜の街で、白人至上主義団体・KKKのメンバーから酷い侮辱を受けたルイスは、相手が散弾銃を持ち出して脅したため、身の危険を感じて逆襲。相手が血まみれになるほどの激しい暴行を加え、加重暴行罪で逮捕された。  当初は執行猶予付きの判決だったが、当時はアメフトの特待生として大学(キルゴア・カレッジ)に通っていたものの、生活が困窮し裁判所に支払うべき罰金や手数料を払えずに条件を違反。これにより、5年の実刑判決を受けてテキサス州の刑務所に収監され、最終的に3年半を服役した。 「このままでは死ぬか、一生塀の中だ」と改心を決意したルイスは、出所後に格闘技の道へ進む。レッカー車の運転手として働きながらボクシングを始めると、ボクシング界の伝説的ヘビー級王者ジョージ・フォアマンから直々に才能を見出され、指導を受けた。車を買い与えられ、ジムに隣接するマンションの提供も受けてボクシングに誘われると、ボクシングに気持ちが傾きかけるが、2010年にMMAデビューするとフォアマンに車を返却してMMAに専念。圧倒的なパワーで頭角を現した。 これまでにUFCで「16回のノックアウト勝利」を挙げ、UFC全階級を通じて歴史上最多のレコードとなっている。現在の素顔は、妻と3人の子供を愛するマイホームパパ。「俺が戦う理由はただ一つ、ファイトマネーを稼いで家族に自分のような不遇な子供時代を絶対に過ごさせないためだ」と公言している。 刑務所上がりの粗暴な男から、アメリカの象徴であるホワイトハウスのサウスローンで直々に試合を要請されるほどの国民的人気アスリートへ。デリック・ルイスの人生は、まさにアメリカン・ドリームを体現している。
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