MMA
インタビュー

【MMA】新団体設立のスコット・コーカー代表「日本は間違いなく計画の重要な一部、RIZINの榊原氏といずれは話し合いの場を持つ」

2026/06/08 13:06

RIZIN、DEEP、PANCRASE、修斗といった団体と有益な形で協力する機会があれば、前向きにコラボレーションしていきたい

―あなたは、かつてK-1 USAの代表を務められていました。当時の思い出はありますか?

「K-1は大好きでした。日本で働くことも、共に働いた人々も大好きでしたし、その経験は私に大きな影響を与えています。とくに日本のファンが格闘技に対してどれほど情熱的であるかを、実際に目の当たりにしたのは、まさにその時が初めてでした。日本のファンからは、非常に特別な敬意、エネルギー、そして理解が感じられます」

――K-1での経験が基板にあるようですね。

「1990年代から2000年代初頭にかけてのその時代、私はK-1を含め、格闘技史に残る最高の試合やイベントのいくつかが日本で行われるのを目の当たりにしました。それらの思い出は常に私の中にあり、格闘技プロモーションの構築、選手の売り出し方、そして意義あるイベントの創出について考える上で、間違いなく私の考え方を形作っています」

――K-1からスタートし、PRIDEやDREAMにも関わっていきました。

「K-1、PRIDE、DREAM、そして日本で働いた期間から私が得た最大の教訓の一つは、日本のファンがファイターや格闘技をどう捉えているかという点です。多くの地域では、勝つか負けるかという単純なもので、それが人々の評価を左右します。

 しかし日本では、正しい精神で戦えば、敗北にも名誉があります。勇気、情熱、敬意、そして武士道精神を示せば、ファンはそれを理解し、評価してくれるのです」

――武士道精神を見たと。

「それは私にとって大きな影響を与えました。格闘技とは単に結果だけではないこと、戦い方や振る舞い方、そしてファンとの固い絆を築くことこそが重要だと教えてくれたのです。日本では、懸命に戦い、全力を尽くせば、結果がどうであれファンはあなたを尊敬し、愛してくれます。その哲学は、私のキャリアを通じてずっと心に留めてきました」

――日本のメディアからは、あなたが日本に対して特別な思い入れを持っていることについて関心が寄せられています。世界的なプロモーターとして、なぜ今も日本との強い絆を持ち続けているのでしょうか。

「日本とのつながりは、何よりもまず私がファンだったことに遡ります。1998年に大阪ドームで行われたK-1の大会に行ったことは、一生忘れません。トンネルを歩いて行き、見上げると、5万人の観客がいて、その周囲には壮大な演出が広がっていました。

 人生であれほどの光景を見たことがありませんでした。正直、衝撃を受けました。鳥肌が立ちました。その体験が心に刻まれたのは、日本が格闘技を全く別の次元へと引き上げていたからです。演出、ファンからの敬意、会場のエネルギー、選手への扱い――そのすべてが、それまで見たどんなものよりもスケールが大きいと感じられました。

 そしてスポーツの枠を超えて、私は常に日本やアジアに対して個人的なつながりを感じてきました。私はアジア系の血を引いているため(※母が韓国人)、人々や文化に深い共感を抱いています。日本のファンが格闘技に注ぐ敬意、規律、伝統、そして情熱が大好きです。ですから、なぜ日本が私にとって重要なのかと聞かれると、それは単なるビジネス上の理由だけではありません。それは個人的なものであり、長い間、私という人間の一部となっているのです」

――現在、日本にはRIZIN、DEEP、PANCRASE、修斗など多くのMMA団体があります。提携については、どうお考えですか?

「私は常にコラボレーションを信じてきました。それが私のキャリアを通じてのビジネススタイルであり、スポーツとはそうあるべきだと考えています。

 結局のところ、重要なのはファイターたちがステップアップし、自らに挑戦し、最高の相手と対戦して実力を試すことです。RIZIN、DEEP、PANCRASE、修斗といった団体と、ファイターやファン、そしてスポーツ全体にとって有益な形で協力する機会があれば、もちろん私たちは前向きにコラボレーションしていきたいと考えています。

 日本には格闘技の深い伝統と強固なMMAのエコシステムがあり、私はそれらの団体が築き上げてきたものを大いに尊敬しています。私たちの目的は、その歴史を無視して参入することではありません。その歴史を尊重し、理解し、共に有意義なものを生み出す方法を探ることなのです」

――RIZINの榊原信行CEOは、スコット代表の新リーグに興味があるようです。

「まだ彼と話す機会はありませんが、榊原氏がRIZINで築き上げたものや、格闘技界での長い経歴には大きな敬意を抱いています。いずれは話し合いの場を持ち、ビジネスとして成立するかどうかを見極めることになるでしょう。双方にとって、そして何より選手やファンにとって理にかなった機会があれば、私は間違いなくそれを実現する用意があります。RIZINとは、Bellator MMAと共に行った取り組みの過去がありますし、今でもあの時のことを誇りに思っています」

       *

 アリエルのインタビューでもコーカー代表は、榊原CEOとの歴史と関係を語っている。下記に紹介したい。

「2006年当時、Strikeforceでフランク・シャムロックがシーザー・グレイシーと戦い、それからカン・リーが戦い、私たちは次のスターを築き始めただろう? 若いキッズたち、ギルバート・メレンデスが戦い、ジョシュ・トムソンが戦い(vs.クレイ・グイダ)、私たちはそこに素晴らしい一連の試合を持っていた。そして2回目の試合の時、私は『フランクが怪我をしてボロボロだ、次のメインイベントは誰だ?』となった。試合が終わった翌日、アリーナから電話がかかってきて『6月にもう一回やりたいんだ』と言われた。3カ月後だ。私は『1年くらい休みが欲しい、1年ほど休ませてくれ、君たちは私を使い果たそうとしているのか?』と言ったよ。すると彼らは『いやいや、やりたいんだ』と言った。飲食(F&B)の売り上げが桁外れだったからだろうね。あの夜、彼らはビールを売り切らしたんだ。だから彼らは大金を稼いだに違いない。ちなみに、その分け前は私には一銭もくれなかったけれどね(笑)。

 とにかくメインイベントが必要だった。だから私は榊原(信行)に電話して、『頼みがある、メインイベントが必要なんだ』と言った。私は日本語を話せないから、当時K-1のケン・イマイを通じて、彼が榊原に電話した。彼はミルコ・クロコップをマネジメントしていた。そこで榊原は、アリスター・オーフレイム)をヴィトー・ベウフォートと戦わせるために送り込んできてくれたんだ。それがサンノゼでのストライクフォースMMAの2回目の試合だった。それは人々が期待していたようなダイナミックな試合にはならなかったと思うけれど、最終的には『これはかなりクールだ、榊原に連絡を取ることができるんだから』と思った。

 そして今、私たちが世界中に持っている、複数の地域における複数のプロモーターとの関係、そしてBellatorを世界中に連れて行った時にそれらの関係はさらに成長した。ハンガリーへ行き、アイルランドへ行き、イングランドへ行き、ロシアへ行った。あれは本当に素晴らしい旅だった。日本へ行って試合をし、榊原のRIZINと対抗戦をやったことも。テルアビブ(イスラエル)で試合をしたのも素晴らしかった。そのレセプションを見るのは本当に素晴らしかった。なぜなら彼らは、アメリカの主要なMMA会社が自分たちのテリトリーにやってきて、彼らの場所にそれをもたらしてくれることを、とても喜んでくれたからだ。(この新しいプロモーションでもそれをやるつもり?)その通りだ。世界中で、それはグローバルなものになる。

 いま、RIZINはアメージングなことをやっているよ。彼が2016年に始めた時(日本時間2015年年末)、彼は7年間の競業避止義務(ノンコンピート)が明けたところだったんだ。考えてみてほしい、7年間だ。だが、彼は戻ってくる能力を得た。私は彼に『よし、あなたは過去に私に素晴らしいファイターを連れてきてくれた。だから私はそのお返し(レシプロケート)をするよ』と言った。だから私たちはキング・モーをトーナメントのために送り、それからできる限りのファイターを送り始めた。なぜなら私はいつも、日本のMMAが健全である必要があると感じていたからだ。

 私は非常に多くの素晴らしい試合を見てきた。格闘技の黄金時代は、本当に1997年(PRIDEが始まった年、K-1はすでにビジネスを行っていた)から、PRIDEが売却された2007年までだと思う。それが私にとっての格闘技の黄金時代だ。あの時代は信じられないものだった。なぜなら、PRIDEとK-1という2つのライバル会社が激突していて、それがブランドと格闘技を、あの1回の『Dynamite!!』のショーで90,000席を売り切ることができるところまで引き上げたからだ。

 彼らは少し(業界を)揺るがした。PRIDEが売却された後、日本のMMAは少し……榊原が戻ってくるまで人々は落ち込んでいたと思う。だから私は彼を助ける必要性を感じ、SPIKE TVで彼のショーを放送させてもらったんだ。ケビンに『彼に便宜を図ってくれないか』と頼んでね。だから私は本当に彼を助けようとした。そしてそれが、2022年の大晦日に彼とやった試合(※RIZINvs.Bellator全面対抗戦)へと繋がった。信じられないものだった。君もそこに行ったことがあるだろう、あそこにいると……本当に、他に類を見ないものだよ。あのトンネルを歩き抜けて見上げ、“おお、マイ・ゴッド、これは信じられない”となる、あの感覚に勝るものはない。そしてプロダクション(演出)は誰のビジネスとも違っていた。テレビで見たことがあるだろう、本当にオーバー・ザ・トップなんだ。私はただ日本のMMAと彼らのやり方に恋に落ちた。私たちがやろうとしていることの中に、そういう要素をたくさん見ることになるだろう」

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