MMA
インタビュー

【MMA】新団体設立のスコット・コーカー代表「日本は間違いなく計画の重要な一部、RIZINの榊原氏といずれは話し合いの場を持つ」

2026/06/08 13:06

このスポーツは少し低迷している。問題は新たなスターが十分に育っていないこと

――今回、MMAビジネスに復帰することを決めた理由を教えてください。

「Bellator MMAが売却された際、私は少し距離を置いてリセットし、振り返り、次に何をしたいのか真剣に考える時間を取りました。その休養期間中、このスポーツにおいてまだやり残したことがあると気づいたのです。自分にはまだ多くのものを捧げられると感じています。その思いは一度も消えることがなく、それが最終的に復帰へと私を駆り立てることになりました」

――Bellator MMAを離れてからは、どのような活動をしてきましたか?

「この業界から一歩引いてリフレッシュし、キャリアの次の章をどうしたいか真剣に考える時間を持ちました。やがて団体へのアプローチ、何を成し遂げたいかについて頭に浮かんできたロードマップを書き出し始めました。その休養期間は、精神的にも肉体的にも私にとってとても重要でした。今は十分な休息を取り、集中力を取り戻し、明確なビジョンを持って前進できることにワクワクしています」

――今回の新団体と、以前あなたが社長を務めていたBellator MMAやStrikeforceとの明確な違いは何ですか。

「基盤は、StrikeforceやBellator MMAを築き上げた時と非常に似ています。つまり、ゼロから組織を構築し、才能ある選手を発掘・育成、その上でトップクラスのフリーエージェントを適切に補強してロースターを強化するというものです。このアプローチは、私にとって常に成果を上げてきましたし、新団体でも続けていくつもりです」

――新しい才能を開花させる機会を設けると。

「そうです。目標は、これまでと変わりません。我々の仕事は、次なる大スターを発掘し、育て上げることです。以前と異なるのは、目の前にさらなるチャンスが広がっていること。新たなプラットフォーム、新鮮なビジョン、これまで培ってきた知見をすべてこの新たな章に活かすチャンスがあると思っています」

――つまり、過去の経験が新団体に生かすことができると考えているわけですね。スコット代表は、過去にロンダ・ラウジー、ダニエル・コーミエー、クリス・サイボーグ、マイケル・“ヴェノム”・ペイジといった才能あるファイターを次々と発掘し、世界に送り出してきました。今、新たな才能を見出す自信と根拠はどこにあるのでしょうか。

「才能の発掘と育成は、私がキャリアの初めから携わってきたことです。StrikeforceからBellator MMAに至るまで、私たちは常に世界が彼らのスター性に気づく前から、才能ある選手を見抜く確かな目を持ってきました」

――なるほど。

「私自身も格闘家ですから(※テコンドー黒帯)、その視点から才能を見極めています。単に戦績やハイライトだけでなく、スキルセット、規律、メンタリティ、市場性、そしてその選手がどれだけ成長できるかという可能性に注目しています。それが、このプロセスに対する私たちの自信につながっています。

 そして多くの点で、私たちはかつてのチームを再結成しているのです(※)。過去に実績があり、何を見極めるべきかを知り、ファイターをスターへと育て上げる方法を理解している人材がここには揃っています。その経験こそが、私たちが前進する上で大きな自信を与えてくれています」

※グリフィン・ゲーミング・パートナーズのピーター・レヴィンが共にCEO兼共同創業者として就任(※The Nerdistオーナー。2007年にスコットにトム・フォックスを紹介)。最高コンテンツ責任者(COO)にケヴィン・ケイ(元Spike TV社長でTUF担当)、チーフ・オペレーティング・オフィサーにトム・フォックス(COO)。4人の副社長のうち、タレントリレーションズにリッチ・チョウ(元Bellator MMAマッチメーカー)、欧州担当にパオロ・ボコッティ、ローレンス・スチュアート、クリス・デブラシオの陣容が発表されている。またPRチームに元BellatorのCJ・トゥトル(元Sherdog)も加入。『Fight Night at the Tech』のギルバート・メレンデスとも提携。マイク・コーガンに関してコーカー代表は「コーガンには仕事がある。彼は(別の)格闘技会社にいるからね。引き抜きはしない」とアリエルの番組で語っている。

――スコット代表が不在中、MMAの現状をどのように見ていたのでしょうか? UFCは圧倒的な勢力となり、ONEのMMAは縮小傾向、Bellator MMAを買収したPFLの状況も含めての分析をお願いします。

「UFCが、このスポーツにおける圧倒的な勢力であることは明らかですし、彼らが築き上げたものには称賛を送るべきです。彼らはグローバルブランドを確立し、一貫性を保つという点で素晴らしい仕事をしてきました。

しかし、MMAの全体像を見ると、このスポーツは少し低迷しているように思います。私の見解では、問題は新たなスターが十分に育っていないことです。それが今、欠けているもののように感じられます。かつてはMMAを頻繁に観ていた友人たちに話を聞くと、多くの人が以前ほど観なくなっていると言います」

――そこが、スコット代表が戻ってきた理由でもあるわけですね。

「StrikeforceやBellator MMAの時代を振り返ると、ファンが名前を知り、関心を持ち、追いかけていた選手たちがいました。そこには絆があったのです。彼らが誰なのか、どんな背景があるのかを知り、次に何が起こるのかを見たいと願っていました。今日では、トップレベル以外のカードを見ると、ファンが『あの人、誰?』と首をかしげるような状況があるように感じます」

――マンネリ化してきていると。

「これは才能の問題ではないと思います。素晴らしい才能を持った選手はたくさんいます。問題はスターの育成にあるのです。そこに私はチャンスを見出しています。このスポーツには新しい顔、新しいストーリー、そしてファンが関心を寄せるための新たな理由が必要です。まさに、それが私をワクワクさせるような挑戦なのです」

この会社の利点の一つは非上場企業であること、決断を下す柔軟性が得られる

――ファンが関心を寄せるための新たな理由ですか……。MMAビジネスに復帰した今、あなたが何をしたいのか、何ができるのか、そしてあなたの役割について教えてください。

「そうですね、私の役割はこの新事業のCEOですので、会社の構築、ビジョンの策定、そして適切なチームと人材の配置に注力しています。この会社の利点の一つは、非上場企業であることです。これにより、迅速に動き、ビジネス、ファイター、そしてファンのために最善だと信じる決断を下す柔軟性が得られます。上場企業で運営する場合に付きまとうような制約やプレッシャーの一部は、私たちにはありません」

――フットワークがあって機動力があると。

「はい。それにより、我々は積極的かつ創造的、そして戦略的に行動ができます。才能を見出し、スターを育成し、重要な選手を獲得し、適切なイベントを構築し、市場が今まさに求めていると我々が考えるようなMMAのコンテンツを作り上げることができるのです」

UFCとは特にビジネスを行うつもりはないし、敵対関係にある必要もない

――ファンの多くの関心は、UFCを含む既存のMMA団体との関係性です。現段階で、どのように捉えていますか?

「UFCとは、特にビジネスを行うつもりはありません。例えば、私がBellator MMAに在籍していた時も、UFCとはビジネスを行いませんでした」

――たしかに、そうでしたね。

「だからといって、敵対関係にある必要はないです。彼らが築き上げたものや、このスポーツにおける彼らの地位は尊重しています。しかし、我々の焦点は彼らと協力することではなく、独自のプラットフォームを構築し、独自の才能を育成し、ファイターやファンに何か新しいものを提供することにあります」

――UFCに依存するのではなく、新団体のブランド力をつけることに注力するわけですね。

「他の団体に関しては、常にオープンな姿勢を保つことが重要だとこれまで示してきました。会社、ファイター、そしてファンにとって理にかなった機会だと判断すれば、どこの団体であろうと検討するつもりでいます。しかし、最優先事項は、このビジネスを正しい方法で築き上げ、自分たちの方向性を示しコントロールすることです」

――来年から本格的な新リーグを開催するとおっしゃっていましたが、名称、開催回数、テーマ、時期、会場について、お話しできる範囲で教えてください。

「名称、会場、詳細なスケジュールなど、現時点ではまだ発表できる段階にはありません。もう少しお待ちください。ひとつだけ言えるのは、私たちが構築しているフォーマットにより、非常に有意義な形で現地に根ざしたイベントを展開できるということです。

 つまり、日本に進出する際、単にありきたりなMMAイベントを持ち込んで市場に放り込むことは考えていません。日本のファンが理解し、共感し、惹きつけられるようなものを創り上げたいと考えています。これはヨーロッパ、米国、その他の主要市場にも当てはまります。各イベントがその地域に根付いていると感じられることが重要なんです。まだすべてを明かすことはできませんが、日本は間違いなく計画の重要な一部であり、そこで何を作り上げられるか、私たちは非常に楽しみにしています」

――今回の復帰について、周囲からの反応はいかがでしたか?

「反応は好意的な意見が多数です。多くのマネジャー、トレーナー、ファイター、そしてこのスポーツに関わる様々な人々から、私の復帰を喜んでくれているという連絡をいただきました。これは私にとって大きな意味があります。なぜなら、彼らはこのビジネスを理解し、アスリートを理解し、私たちが以前に築き上げてきたものを知っている人たちだからです。

 もちろん、懐疑的な声は常にあります。何か野心的なことを成し遂げようとすれば、人々は『不可能だ』と批判するものです。以前にも同じようなことを言われました。ストライクフォースやベラトールMMAについても同様の声が上がりましたが、私たちは両方を、ファイターとファンにとって意義あるプラットフォームへと育て上げることができました。

 ですから、私は皆さんの意見を尊重しますが、今は前向きな反応と、これから待ち受ける仕事に集中しています。私を知っている人なら、特別な何かを成し遂げる真のチャンスがあると確信していなければ、私は戻ってこないことを理解してくれているはずです」

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