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2026年5月9日(日本時間10日)米国ニュージャージー州ニューアーク・プルデンシャル・センターで開催される『UFC328』(U-NEXT/UFC Fight Pass配信)にて、コメインのジョシュア・ヴァンvs.平良達郎に続き、メインイベントでは無敗の現王者ハムザト・チマエフvs.元王者ショーン・ストリックランドによる「UFC世界ミドル級タイトルマッチ」(5分5R)が行われる。
▼UFC世界ミドル級選手権試合 5分5R
ハムザト・チマエフ(UAE)王者 15勝0敗(UFC 9勝0敗)※UFC9連勝中
ショーン・ストリックランド(米国)挑戦者 30勝7敗(UFC 17勝7敗)
15戦無敗のチマエフは、ウェルター級からミドル級に戻して、25年8月の前戦で王者ドリカス・デュ・プレシに挑戦。初回からテイクダウンを奪うとデュ・プレシをクルスフィックスにとらえるなど5Rに渡り完封。新ミドル級王者となった。
元王者のストリックランドは、26年2月の前戦で8連勝中のアンソニー・ヘルナンデスと対戦し、3R 首相撲ヒザを効かせて左右ラッシュでTKO勝ち。1年前のデュ・プレシ戦の判定負けからの再起を遂げている。
すでにSNSで舌戦を繰り広げている両者は、ニューアークで厳戒態勢のなか、6日(日本時間7日)にメディアインタビュー、7日(同8日)に公開記者会見に臨んだ。まずは、比較的冷静なメディアインタビューから紹介したい。
ハムザト・チマエフ(ミドル級王者)「(ストリックランドは)デュ・プレシに10回くらい倒されてるんだ。レベルの差がある」
──あなたたちをお互いに近づけないようにしているようですね。どこへ行くにも警備がついています。ショーン・ストリックランド(ミドル級3位)を見かけましたか?
「いや、見てない。誰かが、あいつがホテルから逃げていくのを見たって言ってたよ。俺を撃つとか、あれをするとかこれをするとか言ってた男だろ。なのに、なんで別のホテルにいるのか分からない。あいつは俺をコントロールできると思ってたんだろうけど、ここにいない。俺たちがあいつをコントロールしてるんだよ」
──ところで、スパーリング映像を投稿したのはなぜだったのでしょうか? なぜ投稿しようと思ったのですか?
「映像とかいろいろ見つけたから投稿しただけだよ。あいつが、俺は『弱いやつとしかスパーリングしない』って言ってたからな。あの映像では、軽く当てるだけのスパーリングだった。100%じゃない。いつもの俺みたいな感じじゃない。あいつが『激しいスパーリングはしたくない』って言ってたからだ。俺が強く当て始めたら、あいつはコーチのエリックに文句を言ってた。『この男が強く殴り始めた』ってな。俺が強く殴ったから、あいつはコーチのエリックとも少し問題になってた。いつもエリックに、『こいつを止めてくれ』って言ってたよ。あいつは本当に嘘ばかりつく。クレイジーだよ。あいつは嘘をついてる。ジムにいた人たちに聞けばいい。あいつの友達に聞けばいい。あいつらが本物なら、そのことを答えられるはずだ」
──今のあなたにとって、何がより重要ですか? あなたはチェチェンを代表していて、ベルトを国に持ち帰りたいという思いがあります。その一方で、ショーンはあなたの国やそこにいる人たちについて、あまり良い言い方をしていません。あなたにとってより重要なのは、ベルトを持ち帰ることですか? それともショーンを黙らせることですか?
「関係ない。俺はここに来て仕事をするだけだ。金を稼ぐために、誰かを倒すために来てる。もしあいつが姿を見せないなら、別の誰かと戦うだけだ。そんなことはどうでもいい。俺たちはベルトを手にして家に帰る。それでハッピーだ」
──記者会見では、彼と対面させるよりも試合当日まで待った方がいいと考えている人もいるようです。そのことについてはどう思いますか?
「なぜそうしなきゃいけない? 俺はあいつを恐れてない。戦えるなら嬉しいし、向き合えるなら嬉しいよ」
──以前、あなたはUFCを無敗のまま去ることにこだわりはなく、大きなことをやりたいだけだと話していました。この試合の後、ミドル級であなたにやりたいことはまだありますか?
「ショーンは俺にとって大きなことじゃない。俺が前に倒した相手、ドリカス・デュ・プレシ(ミドル級1位)は、あいつに2回勝ってるからな(※チマエフのデュ・プレシ戦=2025年10月『UFC 319』で判定勝ち、ストリックランドのデュ・プレシ戦=2024年1月『UFC 297』、2025年2月『UFC 312』で判定負け)。俺は5ラウンド全部取って勝った。
ナッソージン・イマボフ(ミドル級2位)はショーンに負けているし、そこで戦う意味は何なんだ(※2023年1月『UFCファイトナイト・ラスベガス67』でストリックランドがイマボフに判定勝ち)? ビッグネームと戦えて、ビッグマネーが得られるほうで戦うよ。俺は大きなことをするために来たんだ。楽な試合を選ぶためじゃない」
──大きな試合であれば、ヘビー級に上げることも考えているということですか?
「もちろんだ。間違いない」
──あなたの周りには、強くて若いファイターたちがいます。彼らのリーダーのような立場にいること、そして若いファイターたちを育てながら一緒に練習することは、あなたにとってどんな意味がありますか?
「俺は誰かのリーダーじゃない。ただ、彼らと一緒にいるのはいいことだ。いいエネルギーがある。才能があって、俺と同じように努力する。だから俺達は助け合っているんだ」
──今回のキャンプには、カリル・ラウントリー Jr.(ライトヘビー級5位)もずっといました。彼は、あなたがライトヘビー級に上げたら大きな問題になる、誰でも倒してしまうだろうと言っていました。彼からそう評価されることをどう感じていますか?
「俺はカリルみたいなブラザーとは戦えない。本当のブラザーならな。ストリックランドみたいなくだらないことはしない。ある日ブラザーと呼んで、次の日に戦うなんてことはできない。俺は本物でいたいんだ」
──先ほども話題に出たように、今週は警備が強化されています。制服姿の警察官もあなたについて回っています。こういう状況は面白く感じますか?
「いや。俺はチェチェン出身だ。だから、ここでどれだけ警備がいても気にしない。これはショーンの安全のためだろ」
──普段とは違う対応をされていることについて、何か感じることはありますか?
「デイナ・ホワイトに聞いてくれ。俺はUFCの人間じゃない。ただのUFCファイターだ」
──先ほどヘビー級に上げる可能性について話していました。ヘビー級のファイターたちを見ることはありますか? 今のヘビー級はやや層が薄い階級だと言う人も多いですが、大きな相手を見て、自分ならいけると思うことはありますか?
「キャリアの最初の頃から、アレクサンダー・グスタフソン、ジミ・マヌワ、グーカン・サキと練習してきた。俺は170ポンドで戦っていた頃から、トップの連中と練習していたんだ。だから問題があるとすれば体重だけだな。俺は食べるのが好きだから、方法は見つけるよ」
──コナー・マクレガーが、あなたとショーンが戦うのは自分のベルトだ、というメッセージを出していました。見ましたか?
「あいつのベルト? あいつは10年前にベルトを失っただろ。だから分からないな。あの男は少しドラッグをやめた方がいい。いつも何かを飲んでるんだろ? 普通に戻って、仕事をして、戦えばいい。ボクシングでも俺は構わない。ズッファ・ボクシングの人たちにも言ったけど、みんな俺のことをただのレスラーだと思ってる。MMAの試合だからボクシングを使わなくても戦えるってだけで、ボクシングの試合ならそれはそれで戦えるよ」
──ボクシングの話もあり、ヘビー級に上げる話もあり、さらに今年後半にはレスリングにも出る予定があります。カイル・スナイダーとレスリングすることはありますか?
「団体がいい金を払うなら、もちろんだ。でも、大した金じゃなければ戦わない。オリンピック王者とレスリングしたいなら、本来はオリンピックに行くべきだろ。ただ、ひとつの可能性ではある」※カイル・スナイダー=レスリング男子フリースタイル97kg級で、2016年リオデジャネイロ五輪で金、21年東京五輪で銀メダルを獲得。現RAF(2025年設立のプロ・フリースタイルレスリング団体)ライトヘビー級王者。
──あなたのコーチのアランと話したところ、RAFと契約した後、将来的にUAE代表としてオリンピックに出る可能性もあると言っていました。それは興味がありますか?
「もちろんだ。今はまずこの試合に集中している。できればその後、アブダビに戻って、そこで戦いたい。その後で考えるよ」
──オリンピックの金メダルは、UFC王座と比べてどのような意味を持つと思いますか?
「分からない。俺は人生の中で、誰かと競い合うためにやってるんだ。そこに向けて努力するのは大変だと思う。あそこには強いやつがたくさんいる。俺の階級にも、技術のあるやつがたくさんいるからな」
──あなたは自分に非常に自信を持っていますし、この試合でも明らかに有利と見られています。ただ、ショーンの武器の中で、あなたにとって危険になり得るものはありますか?
「分からないな。試合でわかるだろう。もしあいつが俺を驚かせるようなものを見せてくれたら、俺はすごく嬉しいよ。試合がきつければきついほど、自分の最高のスキルを見せられるからな」
──警備強化について、ホテル周辺だけでなく、あなたのフロアにも警備がいるそうですね。今週の準備に何か影響はありますか? たとえば移動するときに逐一伝えなければいけないなど、何か影響はありますか?
「警備の人たちはいつもいるよ。他の試合でもそうだった。何人かは知ってるし、何度も会ってると思う。彼らが俺たちをコントロールする必要があるのか? なんで俺たちが彼らをコントロールしなきゃいけないんだ? 俺たちは俺たちのことをして、彼らは彼らの仕事をしてるだけだ」
──ファンは、ショーン側からのトラッシュトークも含めて、今回あなたがどんなアプローチを取るのか気になっています。元王者にやったように25分間圧倒して痛めつけたいのか、それとも早くフィニッシュしたいのか。今回の試合のアプローチはどう考えていますか?
「特別に何かを計画してるわけじゃない。起こることが起こるだけだ。いつも通りに試合に臨む。準備して出ていくし、神の助け、アラーの助けがあれば、どうなるか見てみよう」
──先週、オープンワークアウト後にショーンと話しました。試合後、結果に関係なく握手をするつもりはあるかと聞いたところ、彼は握手はしない、おそらく敵同士のままだと言っていました。同じ質問です。勝っても負けても、試合後に彼と握手するつもりはありますか?
「それは俺がいま考えることじゃない。立ち止まって考えるようなことでもない。握手するかしないか、友達になるかならないか、人生でまた会うことがあるのかどうか、俺にとってはどうでもいい。俺たちと友達でいるのはいいことだし、俺たちと友達じゃないのはいいことじゃない」
──前回のデュ・プレシ戦では、アクションを促すためにレフェリーが2度立たせる場面がありました。相手にスタンドから再開するチャンスを与えるような形にも見えました。今はまた時代が変わり、ファンはよりエキサイティングな試合を求めています。ショーンは基本的にスタンドで戦うタイプです。レスリングが続いた場合にレフェリーがブレイクして、スタンドから再開させる可能性については考えていますか?
「またテイクダウンするだけだ。何をすればいいんだ? レフェリーが立たせるなら、レフェリーは自分の仕事をしてるだけだ。立って戦えと言うなら立って戦うし、倒していいなら倒す。俺たちにできるのはそれだけだ。試合にどう入るか、どんな戦略でいくかはあるけど、何が起こるかは試合が見せる。考えとしては、出ていって支配することだ」
──もしアルマン・ツァルキャン(ライト級2位)がミドル級に上げたら、ショーンに勝てると思いますか?
「もちろん勝てる。今でも勝てるよ」
──ナッソージン・イマボフとは、同じコーカサスのブラザーとして戦わずに済んでよかったと思いますか? そして彼は、あなたの後にミドル級の次の王者になると思いますか?
「彼と戦うことになったら、どうすればいい? 俺たちは職場で働いてるようなものだ。求められればやるしかない。でももちろん、お互い戦いたいわけじゃない。同じ宗教で、ほとんど同じ国のようなところにいて、お互いを知っている。彼はいいやつだ。次の王者になると思うよ」
──あなたとショーンのスパーリングについて、ジムであなたが彼から一本を取ったという噂が多くあります。一方で、ショーンはUFCの試合で一度も一本を仕掛けられたことがありません。ケージの中であなたが一本を狙ったとき、彼はどう反応すると思いますか?
「分からないな。あいつがいいレスラーとやっているところを見たことがない。考えてみろよ。デュ・プレシに10回くらい倒されてるんだ。俺が誰かを倒そうとしたら、そこにはレベルの差がある」






