パディ・ ピンブレット(ライト級5位)「みんな俺を過小評価して、簡単に勝てると思う。でもオクタゴンに入った瞬間に、それが間違いだって分かる」
──UFCの世界王座には届かないと言う人もいましたが、あなたはそれを覆し、今回タイトルマッチに臨みます。今、この舞台を迎えてどんな気持ちですか? 特別ですか、それともいつも通りの試合ですか?
「ただの一試合だよ。特別扱いはしてない。いつも通り試合に出て、勝って、できればフィニッシュする。それだけだ」
──ここまで比較的リスペクトある雰囲気でしたが、ジャスティン・ゲイジー(ライト級4位)は先日のインタビューで「パディを徹底的に痛めつけたい」と言っていました。その発言は聞きましたか?
「聞いたよ。正直、笑った。『お漏らしさせるくらいビビらせたい』みたいなことも言ってたろ?あれは面白かったな。でもこれが俺たちの仕事だ。殴り合いに来てるんであって、枕投げしてるわけじゃない」
──彼は「この試合に負けたら引退も考える」とも言っています。その重圧は影響すると思いますか?
「いい質問だな。慎重になる可能性もあるし、最後の勝負だと思って一気に来るかもしれない。ラファエル・フィジエフ(ライト級9位)戦の1Rは少し慎重だったけど、その後はいつも通りだった。ウィットマンは名コーチだし、いいプランを用意してくるだろう。でも俺のプランの方が上だと思ってる。正直、俺が負ける展開が見えない」(※フィジエフ戦=2025年3月『UFC 313』でゲイジーが判定勝ち)
──王座が目標なのはもちろんですが、ゲイジーのようなレジェンドと戦えること自体については?
「最高だよ。俺の戦績にまた一人レジェンドが加わる。長年見てきた選手と同じオクタゴンに立てるのは名誉だ。でも、この世界は憧れの相手と戦って、倒すためにあるんだ」
──王者のイリア・トプリア(ライト級王者)が4月から6月の復帰を示唆していましたが、そのスケジュールはどうですか?
「4月は無理だな。来月は休暇だ。6月の終わりか7月の頭ならいい。1年も待たされたんだから、これ以上待つ気はない」
──年末年始のキャンプは大変だったのでは?
「最悪だった。もう二度と1月の試合はやらない。クリスマスも誕生日も台無しだ。でも仕方ない。これは初のParamountイベントのメインで、UFCが俺とゲイジーを信用してる証拠だし、タイトルマッチだからな」
──ダスティン・ポイエー、エディ・アルバレス、マイケル・チャンドラー(ライト級12位)らを表す“暴力の三角形”という表現があります。あなたはチャンドラー、トニー・ファーガソンに勝っていて、そこにゲイジーが加われば、同じような“暴力の三角形”が作られますね。
「それもいいな。ただ、どうせ俺が勝ったら『ピークを終えた相手だった』って言われるんだ。でもそれはいつものことだ。数日後に俺が勝てば、また同じことを言われる」
──ゲイジーは「彼と戦えば、勝っても負けても身体はボロボロになる」と言っていますが、その覚悟は?
「ボロボロになるのはあいつだけだ。俺は何ともない。今までで一番のダメージを与える。約束するよ。オファーが来た時も、ただの一試合だと思った。俺は誰との試合も断らないしね。そもそも当初は10月にアブダビでゲイジーと戦う予定だったけど、あの時は王座戦じゃなかったから、あいつが断ったんだろ。ようやく実現するって感じだ」
──コーチは「キャリア最高のキャンプ」だと言っていましたが?
「間違いなく、今が今までで一番いいキャンプだ。最高だったよ。よくある言い方だけど、人生で一番いいコンディションだと思ってる。ここ何年かで一番体重管理も楽だったし、体の調子も抜群だ。正直、誰にも負ける気がしない。ゲイジー相手でもな」
──最後にもう一つ。前回の試合以降、ロンダ・ラウジーがパネルで、あなたを「今一番好きなUFCファイター」に挙げていました。史上最大級のスターからそう言われたことについては?
「彼女はMMA史上でも最大級のスターだし、女子では間違いなく一番だ。そんな人から評価されたって聞くのは、やっぱり最高の気分だよ」
──もし今回勝って王者になったら、どんな王者になりたいですか?
「何度も防衛したいんだ。みんなが俺がすぐウェルター級に転向するって騒ぐけど、そんなことは言ってない。最低でも3回は防衛するべきだと思ってる。だからまずはライト級でしっかり防衛する。それから歳を取って、体も大きくなったら、その時にウェルター級を考える」
──歴史上で、目標にしたい王者はいますか?
「いや、特にいない。俺は俺だ」
──世界的な人気を持つ数少ないファイターの一人ですが、もし一か所だけ選べるなら、どこで試合をしたいですか?
「簡単な質問だな。リバプールのスタジアム。それ一択だ」
──ロンドンで、あなたとモリー・マッキャン(元UFC女子フライ級ファイター)が同日に勝って大騒ぎになった夜は、キャリア屈指の瞬間でした。もし今回王者になったら、あの時のような瞬間は再現されますか?
「モリーは来ない。来月ボクシングの試合に出るから、同じような形は無理だ。でもチームとは盛大に祝うよ。そこは心配するな」
──アルマン・ツァルキャン(ライト級1位)戦が、MMAと大食い対決で実現したら、勝つのはどっちですか?
「楽勝だ。どっちでも俺が勝つ」
──『スカウサー(リバプールの住民)はKOされない』とよく言っていますが、それはなぜですか?
「特別な人種なんだよ、俺たちは。そういう作りなんだ」
──今回、オッズではあなたがフェイバリットのままでした。もっと多くの人があなたを信じていると感じますか?
「そうかもしれないな。正直、オッズはひっくり返ると思ってた。でも変わらなかった。それって、賢い連中が俺を選んだってことだろ。昔の世代の連中は、次の世代が台頭するのが気に入らないからゲイジーを選ぶ。でも俺が勝てば、また言い訳が始まるだけだ」
──最近は、あなたがマイケル・チャンドラーに勝ったことで、コナー・マクレガー戦の名前も出ています(※チャンドラー戦=2025年4月『UFC 314』でピンブレットがTKO勝ち)。キャリアの流れとは別として、魅力はありますか?
「意味があるかどうかは別だ。でもコナー・マクレガーと戦えるなら、ノーと言うやつはいないだろ。あれがMMAで一番大金を稼げるファイトだ」
──今はビジネス面も非常に順調に見えますし、試合結果に関係なく多くの選択肢があるように感じます。今後数年のストーリーラインや対戦候補については、どう見ていますか?
「常に試合はある。みんな俺を過小評価して、簡単に勝てると思う。でもオクタゴンに入った瞬間に、それが間違いだって分かる。まずはこのタイトルを獲ること。それからイリアを倒す」
──キャリア初期にデイナ・ホワイトが、あなたの規律やライフスタイルについて疑問を呈していました。今回のキャンプや減量、犠牲を見て、もう誰にも疑われるべきではないと思いますか?
「人は好き勝手言うさ。何を言われようが気にしない。俺がどれだけ努力して、どれだけ犠牲を払ってきたかなんて、SNSからは見えないからな」
──計量後も規律を保つ必要はありますか?
「計量が終わったら、いつも通りアイスとミルクシェイクを食べるよ。それが俺のルーティンだ」
──15歳からトレーニングを始めたそうですね。その頃から、ここまで来ると思っていましたか?
「もちろんだ。それが目的で始めたんだからな。15歳の時にジムで『俺はUFCの世界王者になる』って言ったら笑われた。でも今、ここにいる」
──もし勝ったら、次は誰と戦いたいですか? アルマンか、イリアか?
「正規王者になる必要があるから、間違いなくイリアだ」
──ファイトナイトのメインを挟まず、いきなりナンバーシリーズのメインを務める形になりましたね。
「最初からそうなると思ってた。ロンドン以外のファイトナイトにはほとんど出てないし、2022年以降はずっとPPVイベントで戦っているんだよ。UFCも馬鹿じゃないからね(笑)」
──ゲイジーの首の感染症の噂については?
「見たよ。でも関係ない。何があろうが、俺はあいつの頭をぶっ飛ばす。どうせ俺が勝ったら、また言い訳に使われるだけだ。いずれにせよ、誰も俺に勝つことはできない」
──王座統一戦はどれくらい早くやりたいですか?
「6月の終わりか、7月の頭が理想だな」
──勝ち方の予想は? KOか一本か?
「KOをイメージしてる。でも現実的には一本になるかもしれないな」
──試合後、会場の外でどんな声を聞きたいですか?
「みんなが『オー・パディ・ザ・バディ』って歌ってるはずだ」
──もし勝ってジョー・ローガンのマイクを持ったら、イリアに何を伝えますか?
「戻ってこい。もし6月や7月にやらないなら王座を返上しろ。そうなったら、俺はアルマンかマックス・ホロウェイ(ライト級3位)、もしくはチャールズ・オリベイラ(ライト級2位)とタイトルマッチをやる。でも多分、相手はイリアになるだろ」
──双子の娘さんの話をする時、いつも笑顔ですね。将来、夢を叶えた話を聞かせてあげられることについては?
「本当に特別だよ。娘たちが生まれてから、人生が全部変わった。精神的にスイッチが入って、ファイターとしても良くなった。正直、あの子たちがいなかったら、今ここにはいないと思う」



