MMA
インタビュー

【ONE】無敗のサルチェードと対戦する澤田千優「レスリングを武器にしつつ、レベルアップした打撃を当てて効かせたい」「日本大会で三浦彩佳選手とできたら一番いい」

2026/01/22 15:01
 2026年1月24日(土)タイ・バンコクのルンピニー・スタジアムで開催される『ONE Fight Night 39』(U-NEXT配信)に、日本から澤田千優(IDEA ASAKUSA)と黒澤亮平(THE BLACKBELT JAPAN)が参戦する。黒澤インタビューに続いて、女子アトム級MMA(5分3R)で無敗のナタリー・サルチェード(米国)と対戦する澤田の言葉を紹介したい。 ▼ONE女子アトム級(※52.2kg)MMA 5分3R澤田千優(日本)10勝1敗1分ナタリー・サルチェード(米国)4勝0敗  元修斗王者の澤田は、レスリングベースで2023年2月にONEに参戦して以来、キャリア通算10勝1敗1分、ONE5勝を挙げている。  ONEデビュー戦ではサナーズ・ファイアズマネシュをアメリカーナに極め、経験豊富なジヒン・ラズワン、ノエル・グランジャンにも判定勝ちし8連勝をマーク。2025年1月にメン・ボーに敗れて初黒星を喫するも、7月に柔道ベースのマカレナ・アラゴンに腕十字で一本勝ちで再起。11月の前戦日本大会では平田樹をドミネートし、判定勝ちで再び連勝街道に乗った。  女子アトム級で存在感を増す28歳の澤田の相手は、MMA4勝無敗の33歳・ナタリー・サルチェード。同級で注目の新星の一人で、米国コロラドを拠点とする33歳のファイターは、アマチュア時代も5戦無敗。  グアダラハラ出身のメキシコ人の父とエルサルバドル人の母を持ち、父の兵役に伴い家族でカンザス州ジャンクションシティに移住。10代の頃、地元のテコンドー教室でムエタイに出会って以降、長年格闘技から遠ざかっていたサルセドだが、22歳でコロラドスプリングスに移住した際にムエタイに回帰するとブラジリアン柔術にも出会い、ベン・ウェストリッチの指導のもとで黒帯を取得、同時にアマチュアムエタイで12以上の勝利を収め、様々なグラップリングトーナメントにも出場した。  サルチェードは2017年にMMAへと転向し、アマチュアで5勝0敗と白星を重ねるも、プロへの転向は予想外の困難に直面した。新型コロナウイルスの影響でnvicta FCでのプロデビューが2021年8月に延期され、さらに2度目のプロ試合前に前十字靭帯(ACL)手術からの回復という難題に直面した。  格闘技のキャリアを築きながら、2021年にアリゾナ州立大学で心理学の理学士号を取得し、25年はサウスウェスト大学でもスポーツ心理学の理学修士号を取得。プロ3連勝後、2025年9月にONE Championshipアトム級MMA部門に参戦。澤田が3分52秒、腕十字に極めたアラゴンを相手にそれより速い2分42秒で三角十字に極め、タップを奪っている。  MMA4戦全勝で、Invicta FCでの判定勝ち以降は、リアネイキドチョーク、腕十字、三角十字での一本勝ち。ブラジリアン柔術黒帯でムエタイのバックグラウンドを持つサルチェードは、オーソからの首相撲を含む思い切りのいい打撃と寝技に長けるが、組みの部分でテイクダウンの攻防では澤田が上。  しかしトップ、ボトムでもMMA柔術の動きで足が効くため、澤田はポジショニングで相手にいい形を作らせずにドミネートできるか。  サルチュードは「この階級のレスラーの多くは、私にとって素晴らしいテストになると思います。変化をつける意味でも」と、上位陣に割って入る自信を見せている。  同級は王者がデニス・ザンボアンガ。1位が空位で、2位が日本大会でキックルールでKANAに敗れたスタンプ、3位に三浦彩佳、4位にONE契約終了のハム・ソヒ、5位に澤田がつけていた(※ONEは2026年に新ランキングシステムを作成中)。  ONE公式は、「もし澤田がサルチェードにプロ初黒星を付けることができれば、デニス・ザンボアンガが保持するONE女子アトム級MMA世界王座への挑戦権獲得に大きく前進することになる」と伝えている。  IDEA ASAKUSAやJTTで伊澤星花とも練習する澤田は、自身のXに「試合発表されました。新年1発目はタイです!」「コンスタントに試合組んでもらえてありがたいです! 何がなんでも勝って、4月にタイトルが欲しい」と投稿。12月6日には、兄・澤田龍人がBLACK COMBATでジョン・ドゥハンを相手に判定勝ちしたばかり。澤田千優は無敗のサルチュードに勝利し、2026年4月29日に東京・有明アリーナで開催される『ONE175』でのタイトル挑戦をアピールできるか。 澤田「この試合を勝ってベルトに手をかけられる位置まで進みたい。4月29日の日本大会で三浦彩佳選手とできたら」 ──昨年11月以来の試合が決まりました。 「私がONE Championshipに参加した理由は、ONEの女子アトム級が世界最高だと信じているから。ONEに参戦させてもらって、2年ちょっとになります。少しずつ、その自分が目指す場所――ベルトに近づいている実感があります。今年はしっかりベルトに手をかけられるように、できればベルトを獲れるように、着実に進んでいきたいです」 ──日本大会では緊急参戦で平田樹選手と対戦し、15分間コントロールを続けて完勝だったと思います。ご自身では? 「日本の女子格闘技の中でも有名で、ONEでも日本人の中では引っ張っている存在の平田選手が相手でした。急きょの参戦でしたが、自分のやるべきことをやって勝てたので、そこは良かったと思います。ただ、反省が残る試合にもなったので、もう少し進化を見せられる内容にしなければいけなかったと、コーチ陣とも話しています」 ──反省点とは? 「当初の作戦としては、ただドミネートするだけではなく、もっと展開を崩していくイメージがありました。スタンドもそうですし、テイクダウンしてパウンドアウトで決める、というプランでしたが、そこまで持っていけなかったのは反省点です。あとは、スタンドの打撃をもう少し出すべきだったと思っています」 ──続けて打撃を強化していますか。 「自分の得意なレスリングに持っていくためのMMA、そして自分らしいMMAをするための打撃、という位置づけで強化しています」 ──新しいジム、浅草のIDEA ASAKUSAでのトレーニングはいかがですか? 「拠点の練習場所自体は大きく変わっていませんが、新しい環境になって、他の場所から練習に来てくれる人や遠くから来てくれる子もいて、すごくありがたいです。自分のトレーナーでセコンドの良太郎コーチも、わざわざ自分のジムまで来てくれて一緒に練習できているので、自分にとって良い練習環境になってきていると感じています」 ──ところで愛犬のゾーイくんも練習に来ることも? 「私の練習中は、ゾーイが吠えたりして集中しづらくなることがあるので、基本的には練習中には連れてきません。ジムのクラスの時など、私が見られるタイミングに連れてくるようにしています」 ──なるほど。さて今回の対戦相手は、MMA4勝無敗のナタリー・サルチェード選手との対戦になりました。 「試合を見ていて、柔術家というのが分かりやすい選手だと感じました。マカレナ・アラゴン戦だけでなく、過去に公開されている試合もいくつか見ましたが、下からのアプローチがしっかりできる、柔らかい選手という印象です」 ──そのBJJ黒帯を相手に、今回はどのような試合にしたいと思っていますか。 「相手も、私がレスラーだということは分かっていると思います。ただ、私はレスリングを武器にしつつ、レベルアップしたところを見せたいので、スタンドの打撃をコツコツ当てて効かせたいです。最終的にはテイクダウンを取って、パウンドアウト、もしくは一本を狙います」 ──フィニッシュへのこだわりも? 「泥臭くても確実に勝つのが一番だとは思います。ただ、海外でONEの試合をしていく中で、それだけだと評価されにくいことも実感しています。一本、もしくは圧倒的なパウンドアウトで、自分の強みを表現していくのが私らしさだと思うので、そこにこだわりたいです」 ──サルチェード選手はアマチュアMMA5戦、プロMMA4戦すべて勝利している無敗の選手です。 「彼女が無敗のファイターだということは知っています。でも、私のスキルは彼女より優れていると思っています。でも、彼女が無敗だということはあまり考えていません。ただ、自分のスキルに自信を持っているだけです」 ──2026年の目標は? 「この試合を勝って、次のステップとしてベルトに手をかけられる位置まで進みたいです。日本大会で三浦彩佳選手とできたら一番いいと思っています。三浦選手は暫定王座戦の権利を持っていると思うので、もし私が出られるなら、日本大会で日本人対決になりますし、注目も集まると思います。だから実現できたら一番いいんじゃないかなと思っています」 ──対戦を目指す三浦選手の印象は? 「三浦選手は、自分の強い部分をしっかり出せる選手だという印象です」 ──もし戦うことになった場合、勝つ自信は? 「もちろん。戦うことになっても、勝つ自信はあります。自分のMMAをしっかり出せば、勝てると思っています」 ──その試合を実現させるためにも、サルチェード戦を越えなければいけません。 「2026年の良いスタートを切れるように、必ず勝ちます。その先にタイトルマッチ、さらにその先に、私がONEで戦いたいと思ったきっかけでもあるスタンプ・フェアテックス選手や、デニス・ザンボアンガ選手と戦えるところまで、レベルを上げて存在感を示していきたいです」 [nextpage] サルチェード「いつも体格の大きな男性と練習してきた」 (C)natnatmma 「私が通ってたジムには女性がほとんどいなかった。確かもう一人だけ黒帯の女性がいて、でも彼女はここの大学の教授でもあったので完全に趣味でやっている人でした。ほかの女性たちも一般会員ばかりでした。そしてたまにしか来ない。だからほとんどがサンドバッグを相手に練習してました。でも多くの点で、それは私にとって本当に有益だったと思います。私を気にかけてくれて、追い込んでくれる素晴らしい男性のトレーニングパートナーがいたから。彼らと練習することを強いられたことで、多くの点で確かに肉体的に強くなったと思います。  だって、たとえ相手が優しくしてくれても、体重105ポンドの私が155ポンドの相手を動かそうとするんだから。それに自信もつきました。試合に出る時、『この子も105ポンドしかないんだ』って思えるようになったから。でもデメリットもありました。違う体格の人と練習するのは常に良いことですが、最初は試合で負けることもあったんです。だって、155ポンド(約70kg)くらいの男性を三角絞めで捕まえるのに慣れちゃっていて、同階級の小さな女の子にも同じように三角絞めをかけようとしたら、突然肩が抜けちゃって。“マジか、この子たち本当に小さいな”って思ったんです。だからデメリットも確かにあったけど、メリットの方が常に上回ってたと思います。誰と組んでも、どんな体格やスキルレベルの人と練習するにもメリットはある。  MMAを始めた頃は、色々な意味で、実際、より快適に感じていたと思います。MMAでは、グラップリングに持ち込めるし、コントロールもできているという実感があるので、いつも少しストレスが少なかったんです。  練習はとにかくやるだけ。我慢してやるだけ。頭を下げて働くだけ。優先順位を決めて。これは絶対に譲れない。それがすべてです」
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