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2025年12月31日『RIZIN師走の超強者祭り』(さいたまスーパーアリーナ)にて、ライト級王者ホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術)と対戦するイルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)が29日、インタビューに応じた。
当初サトシと対戦予定だった野村駿太(アメリカン・トップチーム)は、練習中の怪我でドクターストップにより欠場。ノジモフは、大晦日出場のためにフェザー級から階級を上げてライト級で“ブラックパンサー”ベイノアと対戦予定だったが、急遽、サトシのベルトに挑戦することとなった。
▼RIZINライト級(71.0kg)タイトルマッチ 5分3R
ホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術)王者 20勝3敗
イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)挑戦者 12勝3敗
※野村駿太は怪我で欠場、ベイノアは雑賀ヤン坊と対戦に、新居すぐるは秋元強真と対戦
サトシは9月に堀江圭功を挑戦者に迎え1R 1分40秒にリアネイキドチョークでタップを奪い、5度目の王座防衛に成功。
フェザー級で身長182cm、リーチが189.5cmもある危険なストライカーのノジモフは、23年11月、RIZIN初参戦となったアゼルバイジャン大会でホアレス・ディアに判定勝利。24年4月、日本でのデビュー戦を山本空良を相手に2R TKO勝利で飾ると、25年6月には新居すぐると対戦し、強烈な右前蹴りをアゴに突き刺し、1R、KO勝ちを決めている。一階級上げて臨む大晦日の舞台で期せずしてビッグチャンスを掴んだ今回、RIZIN屈指のストライカーとして、絶対王者サトシからベルトを奪うか。
──持参したテディ・ベアは?
「日本の私の友人の会社が作っているテディ・ベアです。いつもサポートしてくれています」
──現在の心境は?
「本当に素晴らしい気分でいます。新しいチャンピオンになったような気分さえしています。RIZINで試合させてもらえてそのたび、幸せが最初はペットボトル一本分くらいでしたが、タイトルマッチで十本分、10倍くらい感じています。キャリアにとって非常に重要な試合になると思っています」
──ライト級で戦うことに驚きましたが、王座挑戦となりよりびっくり。ご自身の試合がタイトルマッチになることを聞いたときの心境も教えてください。
「みなさんにとってはライト級で試合することもタイトルマッチになったこともショックだったかもしれませんが自分にとっては全くショックではありません。いつもそれに向けて準備をしていたからです。最初にオファーいただいた相手との試合に向けても最初からチャンピオンんと戦う覚悟で準備していました。頭のなかでは王者と対戦することをイメージしてきました。いつもベルトに向かって全て自分は進めている。サトシの相手が怪我をしたと聞いた時すぐに自分がタイトル挑戦するというオファーに同意しました。人生をかけた戦いです。自分のキャリアをベルトに向けていつも準備してきました。アゼルバイジャンでも札幌でも東京でも、全ての試合でベルトをとる覚悟をもってチャンピオンと戦うことを想像しながら、準備してきました」
──王者サトシの印象を教えてください。
「サトシのことは非常にリスペクトしています。長年王座を守ってきました。ただし自然の法則があり、百獣の王ライオンでも、年老いたものより、新しいものが勝つという法則があると思います。彼のことは非常にリスペクトはしていますけれども、自分が1Rか2Rめでフィニッシュしたいと思っています」
──RIZINは10周年。10年前はどうしていましたか。
「自分がデビューしたのはMMAというよりストリートファイトで、それが17歳の頃。10年前はスポーツでキャリアを築こうと決めた頃。厳しい生活に置かれていました。ロシアに移民としていかなくてはならない、そうせざるをえない状況にありましたし、両親は市場で働いていてそれを手伝っていました。そのなかでも自分は、ここは自分がいるべき場所ではないと思っていましたいつか脱却して自分の居場所を見つけたいと考えており、そういうことをできるという信念を持てたのがスポーツでした。スポーツというなかだけで自分のキャリアを築き、東京のような大都市に出て活躍できると自分を信じる気持ちがずっとありました。そうでなければ、移民という立場として、荷物を運ぶポーターや市場しか働く場所の選択肢はありませんでしたから、自分はこのスポーツの世界で生きていくのだと信じていた、そういう時代でした」
──コレスニック選手からアドバイスは?
「アドバイスはありました。いつもと同じで『とにかくぶちかましてこい!』というものでした」
──防衛のためにRIZINで長期間戦っていくことは自身として望んでいることですか。
「もちろんです。その準備はできていますし、その時が満ちたと言うこと。サトシ選手は本当にいい選手だと思うけど彼の試合を見ることに皆さんが退屈でつまらないと思っているのでは。新しいチャンピオンを迎える時が来たと思うし、それは自分だと思っています。ファン、観客のみなさんにとっては、新しい、美しい、おもしろい試合が必要です。何度も見た映画はもう退屈で見なくなりますよね。私が試合をすれば何度も会場に足を運んだり配信で見たくなるような試合を見せられると思います。おもしろく、見応えのある試合をすることが自分の仕事であり、自分の仕事を最大限にやるだけです」
──もし勝利した場合はライト級で防衛していくことになりますが、引き続きライト級で戦っていく想定ですか。
「もし王者になったら、とのことですが、“もし”ではないです(笑)。ライト級でタイトルをとったらぜひ2階級制覇したく、フェザー級王座も狙っていきたい。今はとにかくライト級に集中しています。今回、準備もそのつもりでやってきたけれど、ライト級が自分に合っていると思い気に入っています。たくさん食べれるし、自分にとってはラクだなと思っています。2階級制覇も狙っていますし、平本蓮選手がとったベルトにも興味があります」
──SNSで、日本食が好きでツナマヨがおにぎり好きだと。今回食べましたか?
「計量前に日本に来てセブンイレブンやファミマにはいるのは非常に辛いです。たいでの減量は全然問題ないけど、日本での体重調整は辛い思いを毎回しています。ツナマヨおにぎり大好きなのですが、まだ食べていません。なぜかわからないけどものすごいすきなので、いる間は1日20から30個食べます。一緒にいる妻と観光したりするけど、15分に1回くらいコンビニに入り、2、3個ずつツナマヨおにぎりを買って食べる。それくらい好きです。以前札幌で試合したときもフェイスオフのあと、日本のファンの皆さんがコンビニで買うところを撮影してInstagramにあげてくれました。ツナマヨおにぎりなしで、自分は生きていけません」
──聖地さいたまスーパーアリーナで戦うことについてを実際に想像してどんな心境ですか。
「さいたまSAというのは本当に自分にとって聖地で試合が決まったとき、ちいさな子供のように、幸せで大喜びしました。いつか伝説の聖地に出られると信じていたけど、今回それが決まって嬉しかったです。決まってすぐ、これまで大晦日に行われたさいたまの試合をすべて見直しました。ヒョードルvs.ミルコなど、多くの伝説的試合がまさにこの場で行われてきました。自分も今回このアリーナでチャンピオンになりたいと思っています。大晦日という日付に、このアリーナで試合ができるという、この2つは自分にとってよりモチベーションを高めてくれる要素となります」
──ウズベキスタンのボクサー、アフマダリエフが「ウズベキスタンパワーがある」という発言をしていました。ウズベキスタンの格闘家が持っている特別な力はどういったものなのでしょうか?
「ウズベク人は歴史的に見てもさまざまな戦いをしてきていて、遺伝子レベルで戦士の性質が受け継がれています。ここ数年、ベストなパフォーマンスを見せているスポーツ選手がたくさんいて、もしブラジル人が柔術というなら、ウズベキスタン人はボクシングという構図に今後なっていくと思います」
──正直、サトシの打撃の評価をどのようにしてますか?
「5点中3点であり“優・良・可”の可、だと思います。それは、彼の打撃はテイクダウンするために特化された打撃だからです」
──タイガームエタイには、サトシの寝技対策をしてくれてる要員が?
「準備は普段から対戦相手がストライカーであっても組みの練習は必ずしています。なぜかというと、相手がストライカーであっても自分と2歩くらい戦ったあとはどの相手も組んでくる。自分が相手だと打撃ではかなわないとみんな思うからです。1週間ほど集中してファイトキャンプをやりますがそのなかで打撃も組みも練習してきました。サトシが組んできた場合にとるポジションを本当に細かく詳細に研究して、それぞれのポジション、動きについて対策練習してきました」
──その練習相手は?
「世界レベルのグラップラーで、コーチのベン・ロイル(ADCC覇者)さんと言う方がいて、彼は最強のグラップラーでプーケットでは一番ですし、プーケットアカデミーグラップリングというジムを持っていて彼と練習してきました。サトシと試合をしたことがあるスパイク・カーライルも彼のもとで指導をうけていたことがあります」




