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インタビュー

【UFC】ロック様も立ち合い! マスヴィダルvsネイトは世紀の死闘となるか!? 高阪剛「両者のただならぬ殺気を感じるはず」

2019/11/02 17:11
【UFC】ロック様も立ち合い! マスヴィダルvsネイトは世紀の死闘となるか!? 高阪剛「両者のただならぬ殺気を感じるはず」

【写真】(左より)ホルヘ・マスヴィダル、ネイト・ディアス/Getty Images

2019年11月2日(日本時間3日)、米国ニューヨーク州ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンにて『UFC244』が開催される。

メインイベントは、ホルヘ・マスヴィダル(米国)vsネイト・ディアス(米国)の5分5Rのウェルター級戦。『UFC239』でベン・アスクレンを跳びヒザ蹴りでわずか5秒でKOしたマスヴィダルと、コナー・マクレガーと1勝1敗の激闘を展開したネイト。本物の“UFCギャングスター”はどちらか。

アンソニー・ペティス戦後、ネイトは「この業界にはもうすっかりギャングスターがいなくなった。俺とヤツ(マスヴィダル)くらいだ。ただしヤツはウェストコーストのギャングじゃない」と対戦をアピール。

さらに、ネイトが自身を「BMF」(“Baddest Motherf*cker”)と呼んでいることを受けて、ファンの間では、今回のマスヴィダルとの試合は、ネイトが持つ「BMFベルト」の防衛戦であるとの声が高まり、ダナ・ホワイト代表は急遽、この試合の勝者に贈呈するための「BMFベルト」を制作。

今回の公開計量で、かねてから「MSGでこの試合の勝者の腰にベルトを巻いてみたい」と語っていたザ・ロックことドウェイン・ジョンソンが、ほんとうに「BMFベルト」を持って登場し、ファンを沸かせた。

この注目の一戦の見どころを、WOWOW『UFC-究極格闘技-』解説者としても知られる“世界のTK”高阪剛に語ってもらった。

――「UFC244」では、マスヴィダルvsネイトという、今最も旬なカードが組まれました。

「選手同士の対戦機運が盛り上がり、ファンも“この試合が観たい!”と思ったところですぐ組まれたので、期待は相当高まっていますよね」

――あのマクレガーと2度にわたる激闘を展開したネイトが、3年ぶりの復帰戦となった『UFC241』で元ライト級王者アンソニー・ペティスを下して直ぐに、アスクレンをわずか5秒で下したマスヴィダルを次のターゲットとして指名するという。

「しかも、それがニューヨーク・マディソン・スクエア・ガーデン大会のメインですから」

-―-ナンバーシリーズのメインがタイトルマッチじゃないというのは、UFCでは異例ですけど、それぐらいこの試合の注目度は高い。

「UFCって、今はトップアスリートによるハイレベルな戦いが常に展開されていますけど、これをメインに持ってくるあたり、黎明期にあった血生臭さがまだ残っている感じがして、ちょっと嬉しいですよね(笑)」

――MMA(ミックスド・マーシャル・アーツ=総合格闘技)というより、初期の呼称であるNHB(ノー・ホールズ・バード=なんでもありの戦い)が似合うという(笑)。

「とはいえ、当然のことながら、両者とも高い技術を持っているからこそ、これだけの結果を残せているわけで、そういう2人の戦いだからこそ、これだけの注目が集まっているんだと思います」

――では、この試合のポイントはどこになりますか?

「マスヴィダルもネイトも共に、高いレベルの打撃を持っていることが挙げられます。まずマスヴィダルの方は、“相手を倒せる打撃を持っている”ということを認識した上で試合を組み立てていると思うんです。非常に拳が硬くて、パウンドでも相手をTKOするぐらいの強い打撃があります。2019年3月にやったダレン・ティルとの試合では、2ラウンドまではティルの方が、スタンドの距離設定もうまくいって、ダウンも奪っているのですが、3ラウンドにマスヴィダルがサウスポーに変えて、左フックで逆転KO勝ちした。これなんかは、“当てれば倒せる”という強い思いがあるからこそ、できることなんですよ」

――劣勢に見えても、しっかり自分の戦いを貫けると。

「また、マスヴィダルは非常に近い距離で戦う選手で、自分から前に出るからこそなんですけど、けっこう打撃をもらうんですよね。だから正直、目の良さはそんなにないんですけど、自分の攻撃力が高いものだから、そこはあまり気にしてないかもしれない」

――近距離でのどつき合い上等なわけですね。

「多少殴られても、最後は自分が仕留めればいいという。裏を返せば、そこの気持ちがものすごく強い。また空振りが多くて、空振りをするとすごく疲れるのですが、その疲れた状態でも倒す力が残っている。相手からすると、体力を削っても削っても最後まで油断ができない、ちょっと普通のくくりでは考えないほうがいいタイプですね」

――“根性のスタミナ”がハンパじゃないという。ネイトもまた、そのタイプですよね?

「だから似た特性を持った者同士の戦いなので、殴り合いになる可能性が高いと思います。ネイトも距離を詰めて戦うタイプですから。本来、ネイトは手足が長くてジャブもうまいので、離れた距離でも戦えるはずなんですよ。でも、それをやらないっていうのは、なんか殴られたほうが本人の気合が入るんじゃないかと思うくらいで(笑)」

――殴られれば殴られるほど強くなる、漫画の世界ですね(笑)。

「だからネイトもまた、普通では考えられないタイプですよ。みんな、なるべく打たれないように戦うわけですから」

──実際、マクレガーも殴っても殴ってもネイトが倒れないから、殴ってるマクレガーの方が削られていきましたもんね。

「攻めてるほうが疲れちゃうという、不思議な現象が起こるんですよね。あのダメージはどこにいってるんだという。だから打たれ強さでいえば、ネイトの方が上だと思います。マスヴィダルは回復早いですけど、ダウンしますからね」

――ネイトはあれだけ殴り合い上等の闘いで、MMA31戦を行なって、KO負けは一度だけです。

「だから自分的には、『どつき合いに適した身体を持った2人の不思議な戦い』という感じですよ(笑)」

――常識では考えられない。根性の張り合いになりそうです。

「そういう感じになるんじゃないかと思いますね。ただ、倒すパンチはマスヴィダルの方が持っているので、もしかしたらネイトがパンチでノックダウンされる珍しいシーンが見られるかもしれない。一方で、もしグラウンドになったら、圧倒的にネイトのほうがコントロールするテクニックはあるので、そうなるとさすがのマスヴィダルも削られていくんじゃないかな。マスヴィダルはデミアン・マイアという柔術のトップ選手との試合も経験していますが、ネイトとマイアはタイプが違うので」

――一番の違いはなんですか?

「ネイトは寝技でコントロールしながらその途中途中でバンバン打撃を入れてくるので、相手はいちいちそれに反応しなければいけないから、余計に疲れるんですよね」

――なるほど。綺麗な柔術ではなく、文字通り“暴力柔術”という。

「だから、マスヴィダルが削られるシーンが見られるとしたら、そこかなと思いますね」

――では、意外とグラウンドの攻防もポイントになるかもしれないですね。

「ただ、観客からしたら“殴り合ってくれよ”と思うかもしれないですが(笑)。そうなると、2人ともプロ意識が高い選手だから、もちろん勝つための戦いをするのですが、“MSG(マディソン・スクエア・ガーデン)でどえらいことをやってやろう”という気持ちの方が強いかもしれない」

――「いっちょ、伝説の死闘を残してやろうか」と。

「2人ともそういう意識は高いと思います。マスヴィダルも勝ちだけにこだわる試合、ポイントを取ることを考える戦い方をしないじゃないですか。そしてネイトもそうですよね。そういう選手同士だから、グラウンドだろうが、スタンドだろうが、決着をつけるつもりで試合をすると思うので」

――いやー、楽しみですね。

「だからこれは、本当に見た方がいい試合ですね(笑)。格闘技の目が肥えている人でも、うならせる展開を見せてくれるだろうし、格闘技ビギナーでも、両者のただならぬ殺気みたいなものは伝わってくるはず。とにかく、テレビの前の人たちも盛り上げてくれると思いますよ!」(取材/文・堀江ガンツ)

【放送スケジュール】
『生中継! UFC‐究極格闘技
UFC244 in ニューヨーク 激戦区ウェルター級、
喧嘩屋同士の一戦!殴り合いを制するのは!?』

11月3日(日・祝)午前11時[WOWOWプライム]生中継
WOWOWメンバーズオンデマンドにて同時配信)

11月10日(日)午前7時05分[WOWOWライブ]リピート
WOWOWメンバーズオンデマンドにて同時配信)

【メインカード】

▼ウェルター級 5分5R
ホルヘ・マスヴィダル(米国/169.6lbs/76.93kg)
ネイト・ディアス(米国/170.4lbs/77.29kg)

▼ミドル級 5分3R
ケルヴィン・ガステラム(米国/184lbs/83.46kg)
ダレン・ティル(英国/186lbs/84.37kg)

▼ウェルター級 5分3R
スティーブン・トンプソン(米国/170.4lbs/77.29kg)
ビセンテ・ルーケ(ブラジル/170.2lbs/77.20kg)

▼ヘビー級 5分3R
デリック・ルイス(米国/265lbs/120.20kg)
ブラゴイ・アレクサンドル・イワノフ(ブルガリア/257.4lbs/116.75kg)

▼ライト級 5分3R
ケビン・リー(米国/155.6lbs/70.58kg)
グレゴール・ガレスピー(米国/155.4lbs/70.49kg)

【プレリム】

▼ライトヘビー級 5分3R
コーリー・アンダーソン(204.6lbs/92.80kg)
ジョニー・ウォーカー(204.8lbs/92.90kg)

▼フェザー級 5分3R
シェーン・ブルゴス(145.8lbs/66.13kg)
マクワン・アミルカーニ(145.4lbs/65.95kg)

▼ミドル級 5分3R
ブラッド・タバレス(184.6lbs/83.73kg)
エドメン・シャバージアン(185lbs/83.91kg)

▼ヘビー級 5分3R
アンドレイ・アルロフスキー(244lbs/110.68kg)
ジャルジーニョ・ホーゼンストライク(246.2lbs/111.67kg)

【アーリープレリム】

▼女子フライ級 5分3R
ケイトリン・チョケイジアン(125.4lbs/56.88kg)
ジェニファー・マイア(127.2lbs/57.70kg)※

※マイアは体重超過。マイアはチョケイジアンに報奨金の25%を支払う

▼ウェルター級 5分3R
ライマン・グッド(169.6lbs/76.93kg)
チャンス・レンカンター(170.8lbs/77.47kg)

▼フェザー級 5分3R
フリオ・アルセ(145.4lbs/65.95kg)
ハキーム・ダオドゥ(145.8lbs/66.13kg)

【収録日・収録場所】
2019年11月2日/米国ニューヨーク州ニューヨーク
マディソン・スクエア・ガーデン

【出演】
解説:高阪剛、堀江ガンツ
実況:高柳謙一
進行:渋佐和佳奈

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