足りないものは歩きながら拾っていく
「12月1日から北海道のニセコに行って、4ヶ月くらいリゾートバイトみたいな感じで接客英語などを学んで過ごして、来年の4月中旬頃からニュージーランドに行こうかなと思っています」
――それは1年くらいですか?
「そうですね。1年行けたらいいなって感じですね」
――現地に行ってからお仕事を決めるんですか?
「現地に行って仕事と家を探してという感じです」
――家もなんですね。
「そうなんですよ」
――それも良い経験になりそうですね。
「一人暮らしもした事がないんですけど、家の契約とかも全部英語でしなければいけないし、自分が何を優先して家を選ばなければいけないのかという部分でも、自分のことを知れるなと思っています」
――海外に興味を持ったきっかけは?
「小さい頃は海外に興味があるタイプではなかったんですけど、海外の選手と戦うようになってからだったり、周りの友達もワーキングホリデーに行っていて、SNSなどを見てすごく楽しそうだなっていう風には思っていました」
――なるほど。周囲の影響もあって思い切ってチャレンジしてみようと思ったんですね。
「そうですね」

――引退会見の時に『20代で得た知見』という本を読んで背中を押されたと仰っていましたけど、具体的にはどういう内容でどんな部分に感銘を受けたんですか?
「その本の1ページに『60代の貴婦人に人生でやり直したいことはありますか? という質問を尋ねました』って書かれていて、その60代の貴婦人さんが仰っていたことが“いつかお金を貯めてから海外に行こう”とか“いつか英語ができるようになってからこういう事をしたい”とか、それ以外にもこういう事をしたいっていう風に思っていたけど、“そのいつかは来ないと知った”“事前完璧主義になるんじゃなくて、足りないものは歩きながら拾っていくしかないからすぐ行動するべき”っていう事を書かれていて、そこに感銘を受けました。
私は結構事前完璧主義になっちゃうタイプなので、事前に100%の準備をしてから行動したいタイプなんですけど、それでは遅いなと思って。英語がもっとできるようになってからワーキングホリデーに行くという選択肢もあったと思うんですけど、自分がいつ死んでしまうか分からない世界で生きていて、明日が来るという保証もないのにこれができるようになってからっていうのは遅いのかなとも思ったし、そういう風に考えていて行動できずにもし自分が事故とかに遭って死んでしまったらすごく後悔するなと思って、その1ページに感銘を受けて行動しようって思いました」
――なるほど。これをご家族に話した時はどういう反応でしたか?
「反対されたりとかは特になくて、留学に行く時も肯定的で、新しい世界を見て色々な経験をしてきなっていう感じで背中を押してくれました。実際に『引退しようと思うんだよね』って話した時も、何かを辞めることは決断力がいることで簡単なことではないし覚悟も必要なことだけど、本当にやりたい事でその覚悟があるんだったらいいと思うよって背中を押してくれました」
――ご家族は背中を押してくれたんですね。
「はい」



