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2025年10月25日(土)23時からアラブ首長国連邦のアブダビ・エティハド・アリーナにて『UFC 321: Aspinall vs. Gane』(U-NEXT配信)が開催される。
第11試合では、バンタム級で18連勝から1月にメラブ・ドバリシビリとの王座戦で初黒星を喫したウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)が再起戦。6月にパッチー・ミックスに判定勝ちするなどUFC8連勝中のマリオ・バティスタ(米国)と対戦する。
▼バンタム級 5分3R
ウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)18勝1敗(UFC6勝1敗)136lbs/61.69kg
マリオ・バティスタ(米国)16勝2敗(UFC10勝2敗)※UFC8連勝中 135.5lbs/61.46kg
同大会をライブ配信するU-NEXTから、メディアとの一問一答が届いた。
ウマル・ ヌルマゴメドフ(バンタム級2位)「レスリングとグラップリングで上回る自信がある」
──マリオ・ バティスタ(バンタム級9位)がニューアークでパッチー・ミックスに勝ったあと、次はあなたとの試合だと多くの人が予想していました。(※ミックス戦=2025年6月『UFC 316』で判定勝ち)
「そう思ったよ。彼の勝ち方を見て“次はこいつだな”って感じた。実際、たぶん俺からもメッセージしたと思う。この相手が次だってね」
──バティスタのここ2試合の印象を教えてください。アルド戦はレスリング中心、いっぽうでミックス戦はほぼスタンドでした(※アルド戦=2024年10月『UFC 307』でスプリット判定勝ち)
「ジョゼ・アルドはレジェンドだけど、全盛期からだいぶ時間が経ってるし年齢も重ねた。パッチー・ミックスは何が原因かは分からないけど、いつもの彼じゃなかった。確かに、マリオ・バティスタはその二人より出来が良かった。アルド戦は接戦だったけど、ミックス戦ではすごく良いパフォーマンスを見せた。他の試合でもそうだけど、打撃が上手いし、常に動いてる。才能があると思うよ」
──前戦のドバリシビリ戦から、完全にコンディションが戻って本格的にキャンプに入るまで、どれくらいかかりましたか?(※ドバリシビリ戦=2025年1月『UFC 311』で判定負け)
「夏からずっとトレーニングキャンプはしているよ」
──アブダビのイベント出場を狙っていましたか。バンクーバーでの5R案も噂されましたが、準備環境としてはどちらが良かったですか?
「ドバイやアブダビで準備できるのは、もちろん俺にはベストだ。みんなが来やすいし、手伝ってくれる仲間も多い。友達も応援に来られるから、俺には向いてる。でも大きな違いがあるわけじゃない。どこでも戦える」
──いまでも“メラブ・ ドバリシビリ(バンタム級王者)に勝てるのはウマル”と言う声が多いです。メラブもインタビューであなたの名前を出すことが多い。今回勝てば、再戦は理にかなっていると思いますか?
「もちろん。お互い勝てば、ファンにとってもUFCにとっても興味深い試合になる。ただ、俺は待ちたくない。できるだけ早く試合をしたいんだ。だからこの試合のあと、状況次第では1月か2月にでも戦いたい」
──メラブはあなたについて聞かれると、少し苛立っているようにも見えます。「2~3連勝してから話をしろ」といった発言もあります。なぜあなたの名前が出ると、彼は熱くなるのだと思いますか?
「彼に聞けば“10連勝してからだ”って言うかもしれないね。まあ、それが彼の考えで、彼の意見なんだろう。好きなことを言えばいいさ。でも現実は違うと思ってる。彼が苛立つ理由も、みんなわかっているだろう。再戦すればどうなるか予想がつくからだ。あの試合も非常に僅差だったしね」
──ヘッドコーチのハビエル・ メンデスに、あなたがメラブ戦で犯した一番のミスは何かと聞いたところ「手を骨折したのにコーナーに言わなかったこと」と答えていました。自分では最大のミスは何だったと考えていますか?
「言わなかったのは、コーナーに余計なエネルギーを背負わせたくなかったからだ。俺もコーナーに立つことがあるし、仲間が“手を折った”って言ってきたら、結局“まだ行ける”って背中を押すしかないって分かってる。だから黙って戦った。言わなくても、とれる手は全部使って勝ちをもぎ取ろうとしたんだよ」
──メラブのコーリー・ サンドヘイゲン(バンタム級4位)戦についてはどう思いましたか?打撃の進化を見せたという評価もあります。
「10回、20回と足にタックルを仕掛けられたら、打撃で戦う側はすごく難しくなる。俺もよくやるから分かる。だから驚きはない。結果にも驚いてない。グラウンドでの長いコントロールとか、サブミッションの仕掛けとかはなかったはずだ。倒しては立たれ、また倒す──勝ちは勝ちだし、やりたい戦術で勝った。それだけだ。驚きはなかった」
──メラブとピョートル・ ヤン(バンタム級2位)の再戦はどう見ますか。ヤンが前回の敗戦を返す可能性は?
「もちろん誰にでもチャンスはある。ヤンはこの階級でも屈指のタフなファイターだ。あとは両者の仕上がり次第だね。1年ぶりの試合を体がどう受け止めるかも大きい。俺の予想は、KOとかが起きない限り、メラブはショーン・ オマリー(バンタム級1位)やサンドヘイゲンのときと同じ作戦で戦って、彼が勝つだろう」
──仮にメラブと10回戦ったら、あなたは何回勝つと思いますか?
「彼は“50歳まで戦う”って言ってるらしいから、じゃあ俺は彼が50になるまで勝ち続けてやるよ」
──「あなたは謙虚だけど、今回のマッチアップは実力差が大きい」と言う声もあります。私自身、この試合はあなたのほうがはるかに上だと思います。マリオ・バティスタを“格下”として見てしまわないよう、どう保っていますか?
「打撃では俺が“はるかに上”だなんて思ってない。ほぼ同じレベルだと思ってる。彼は打撃もフットワークもいいし、スマートにポイントを取る。無駄にスタミナを使わないし、強振ばかりもしない。なのに“1Rで俺を倒す”なんて言っていたが、最近の8試合で彼が誰かを倒したことがあったかな。俺はレスリングとグラップリングで上回る自信がある。打撃は相手も上手いよ」
──メラブ・ ドバリシビリがピョートル・ ヤンとの試合を早々に受けたのは、あなたとの対戦を避けるためだと思いますか?
「分からない。向こうの事情だし、好きにすればいい。こっちが“なぜそうしたか”を推測で語るのは難しい。今回の試合のあとで、どうなるか見ればいいさ。もし相手が俺を避けようとしても、俺は待たない。とにかく試合をしたいんだ」
──今回、イスラム・ マハチェフ(ライト級1位)はセコンドにつきますか?
「いや、イスラムはもうニュージャージーに移動して自分の試合に向けた準備をしてる」
──あなたの敗戦は“ハビブ・ ヌルマゴメドフの指示(テイクダウン)を聞き、ハビエル・ メンデスの指示(距離を保って打撃)を聞かなかったから”だ、という声があります。実際のところは?
「誰の言うことを聞いたとか、聞かなかったとかが原因じゃない。要因はいくつかある。その一つは手を骨折したのにプランを変えなかったこと。もう一つは、レスリング面での集中と規律をもっと高める必要があったこと。結局は俺自身の問題だよ」
──キャリア初黒星の直後という事実は、今回のメンタリティに影響しますか?
「全くない。負けは起こり得ることだし、それで引退だなんて言い出すなら、それは挫けたってことになる。でも俺は何も変わってない。同じウマルで、同じ夢を追ってる。王者になるためにハードに練習するだけだ」
──ハビブは“敗戦後の選手には、それぞれに合った声掛けが必要だ”と言います。あなたの敗戦直後、彼は何と言いましたか?
「“必ず復活する”って言われたよ」
──あなたは多くの試合を戦いたいと言いました。もし自分が王座を取ったら、防衛頻度はどれくらいを考えていますか。メラブのように年4回ペースで守るつもりですか?
「コンディションやケガの有無などの要素次第だけど、すべてが順調なら年に3試合はまったく普通にできると思う」
──「同じウマルで、同じ夢を追ってる」と言いましたが、歴史に永遠に名前を残すには、王者として何度くらい防衛すべきだと考えますか?
「まず何より王者になることが一番大事だと思ってる。そこから先のことは、その後に決まっていく」
──仮にピョートル・ ヤン(バンタム級2位)が今後勝ち続け、あなたと王座を懸けて戦う形になったら、UFCにロシア、あるいはロシア近辺での開催をリクエストしますか?
「いまの状況でロシア開催は難しいと思う。おそらくアブダビなら多くの人が来られるし、サポートも受けやすいだろう。とはいえ、どこでやるかは最終的にUFCが決める。選手の要望でどうこうなる話じゃない」
──あなたの元対戦相手のベクザト・アルマハンが、イリア・ トプリア(ライト級王者)の兄アレクサンドレ・トプリアと対戦すると聞きました。アレクサンドレには、いずれあなたの階級でタイトル戦線に絡む可能性を感じますか?
「どんな選手にもチャンスはある。大事なのは勝ち続けることと、アクティブに戦い続けること。その道を進めばベルトに近づく」
──イリア・ トプリアがイスラム・ マハチェフ(ライト級1位)について辛辣な発言をした件で、カタールのイベントではセキュリティを強化すべきだという声もあります。
「マニー・パッキャオが以前に、他人を見下していると、結局はリングの中で痛い目を見ると言っていたが、そういうものだよ。同じテンションで言い返すこともできるけど、俺たちはわざわざ自分をそのレベルに落とす必要はない。イスラムにはイスラムの生活もあるし、ファイトとは別の話だ」
──あなたのスパーリングパートナー、マゴメド・マゴメドフはセルジオ・ペティスに厳しい形で敗れました。彼にはどんな言葉を掛けましたか?(※ペティス戦=2025年10月『PFL Champions Series 2』でKO負け)
「支える言葉をかけたよ。相手は一度だけ勝つチャンスを掴んだ、それが当たっただけだ。10回ケージに入れば10回ともお前が勝つってね。今回はラッキーパンチに捕まっただけだ、って」
──今回勝ったら、イスラム・ マハチェフ(ライト級1位)のキャンプにすぐ合流してニュージャージーで準備を手伝いますか?
「もちろん。試合のあと、チームに合流するつもりだよ」
──ハビブ・ ヌルマゴメドフは「ファン対応のプレッシャーから解放される一番の方法は“次の試合で負けることだ”」と冗談めかして言っていました。初黒星のあと、ファンが離れたと感じましたか?
「いや、何も変わらない。違いは感じてないよ」





