ネットでカルト的な人気を誇る山際、王座を奪還すればお祭り騒ぎとなりそうだ(C)K-1
2025年10月25日(土)東京・後楽園ホール『Krush.181』にて、「第11代Krushウェルター級王座決定トーナメント」準決勝で大石昌輝(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)と対戦する山際和希(谷山ジム)のインタビューが主催者を通じて届いた。

山際は2009年に全日本学生キックボクシング連盟ウェルター級王者となり、プロデビュー後も順調に勝ち星を積み重ね、2015年6月にBigbangウェルター級王座を獲得。2017年2月まで11連勝を記録した。K-1 JAPAN GROUPには2013年から参戦し、2020年8月の第7代Krushウェルター級王座決定トーナメントで連続KO勝ちして悲願だったKrush王座に君臨したが、2021年1月の初防衛戦に敗れて王座を失った。2025年1月には“DARUMA”健太にKO負け。近年はホームのBigbangのリングで戦い、2025年6月に松下大紀を判定で破り連敗を脱出した。戦績は41勝(14KO)24敗6分。
今回は約4年ぶりの王座奪還に挑む。
有望株の中におじさんが一人みたいな
──少し前になりましたが、カード発表会見の時には思わぬ主役になった感がありましたが、あの時はどう思いましたか?
「本当に『思わぬ』でしたけども(笑)。しかも会見の記事にも、『山際が主役となったインタビュー記者会見だったが』みたいな感じで書かれてて。僕は全然イジってもらって構わないんですけど、もうちょっと若手の方は色を出してもいいんじゃないかなとは思いましたね。僕も別に色はないんですけど」
──いやいやいや、あの会見を見ちゃうと、あれが山際選手の色ですよね。
「そうですかね。僕なんかはもう全然、『好きなようにお願いします』みたいな、そういうスタイルだから、みんながうまくイジってくれてるんですけど」

──その会見の後に、8月末にBigbangで試合があって、判定勝利しましたが、格闘技サイトの記事では「際どい勝利、セコンドの城戸康裕は渋い顔」と書かれていました。
「もう書かれ放題ですよね(笑)。試合が終わった瞬間はけっこう差をつけて勝ったなと思ってて。最初、相手に一票入った時は『嘘でしょ?』って思って。それで結局、山際だけに際どい勝利みたいな。もうネタですよね」
──ただ、勝ったこと自体はよかったですよね?
「自分としては普通にやって『勝ったな』と思いましたし。相手の腕をしっかり壊して、僕の試合を作って勝ったので。実際、最初は動きがよかった相手が、後半は手詰まりになったというのはすごく感じましたし。終わった後、相手選手とも話したんですけど、『ミドルが効いて動きが落ちちゃった』って言ってたので、やっぱり僕のゲームだったな、ちゃんと勝ったなと思ったんですけど、『際どい』って書かれちゃってて。実際、ジャッジも2-1で割れちゃって『嘘でしょ?』って感じですけどね。だからまあ、ラッキーとは思ってないです」

──しっかり実力で勝ったという認識だと。Bigbangでは連勝中ですが、K-1 GROUPでは連敗中です。K-1 GROUPでの連敗脱出もかかる準決勝だと思いますが。
「確かにKrushで勝ってないなとは思います。だから本当に個人的な話、やっぱりK-1のタイトルは獲りたいので、やっぱここはしっかり勝ちたいです。K-1 GROUPでもしっかりアピールしたいというのは、もちろんありますね。ただ現状は『Bigbangだから勝てるんでしょ』って言われてもしょうがないので、『いやいや違うぞ』と。どこ行っても強いんだぞっていうのを見せたいです。
──改めて調べてみたら、今回勝てばK-1 GROUPでは2020年8月以来、5年ぶりの勝利になるんですよ。
「そんなですか! まあ、出てなかった時期もありますからね」
──確かに前回の“DARUMA”健太戦も約3年ぶりでしたからね。ただKrush王座だけでなくK-1王座も見据えて、ここから勝っていきたいという気持ちは強いですよね。
「そうですね。やっぱり内容も問われると思うので。ここ2試合は倒せなかったですけど、試合内容はよくなってますし、自分の中では明確に変わったなというポイントもあるし、それがちゃんと結果に出てるので。それをしっかり今回も出していきたいです」

──今回はKrushウェルター級王座決定トーナメントですが、この4人の顔ぶれについてはどう感じていますか?
「いやもう、若手の有望株という感じで、僕はDARUMA選手に負けてますしね。大石選手や齋藤選手もみんな勝ったり負けたりの関係で、その有望株の中におじさんが一人みたいな感じで」
──だからこそ負けたくないという気持ちも、もちろんありますよね。
「そうですね。前回Krush王座を獲った時はマグレみたいな獲り方だったので。『チャンピオンになっちゃったよ!』みたいな感じというか。ずっと欲しいものではあったんですけど、実感もなくて。で、獲ったからにはハデな試合をしないといけないななんて思って、パンチもできるわけじゃないのに、変に狙っちゃって空回りもして。それであっという間にベルトを獲られちゃって、獲られてからけっこう後悔したんですよね。だからそれを取り戻す。ただ取り戻すだけじゃなくて、ちゃんと自分が納得できる試合をして取り戻すというのは、すごく意味のあることかなと思いますね」
──本当の意味で、ちゃんとチャンピオンになると。そのお話を伺っていると、しっかり自分のスタイルで戦えば大丈夫という自信も大きい?
「はい。特にキックですね。キックは誰にも負けないと思ってますし、4人の中でもナンバーワンだと思ってます。さらにパンチも、しっかりボクシング技術も取り入れて、向上させているので、今はトータル的に負けないかなとも思っています」
──なるほど。
「あと、本当に個人的な話で申し訳ないんですけど、1年半ぐらい前に自分のジムをオープンして。ジムの運営とかでやっぱり波があるので、心が安定しなくて。『ケガしたらどうしよう』みたいな感じでリングに上がってたんですよ。そしたら引き分けも挟んで4戦勝ちなしで。やっぱ考えちゃうんですよね、やっぱリングに上がる前も。でも、1年経って経営が安定して、試合に集中できるようになってきたんです」
──それはよかったです。
「それがリングの上で明確に分かって、全然メンタルのブレが違うんですよね。全く焦らないというか。次の動きも読めるし、こんなに違うんだなって思うぐらい違いましたね。そこから2連勝で、動きを見ても明らかにいいんです。今回も不安なくリングに上がれるので、今の調子のいい状態がまた今回もしっかりリングで出せるんじゃないかなと思ってます」





