尊敬する先輩との対戦に複雑な心境を打ち明けたロッタン(C)ONE Championship
2025年11月16日(日)東京・有明アリーナで開催される『ONE 173』(U-NEXT配信)にて、ONEフライ級(※61.2kg)ムエタイ世界王座決定戦3分5Rでノンオー・ハマ(タイ)と王座を争うロッタン・ジットムアンノン(タイ)がONE公式サイトのインタビューに答え、ムエタイ界の先輩であるノンオーに敬意を表した。

ノンオーは38歳で267勝57敗10分の驚異的な戦歴を誇り、ルンピニースタジアムでスーパーバンタム級からライト級まで四階級制覇、ラジャダムナンスタジアムのベルトも獲得している、まさにムエタイの伝説的存在だ。2019年2月にONEムエタイ世界バンタム級王者となり、鈴木博昭、セーマペッチ、ロードレック、リアム・ハリソンらを相手に7度の防衛に成功して絶対王者と呼ばれていたが、2023年4月の8度目の防衛戦でジョナサン・ハガティーにKOで敗れ王座陥落。
12月にはニコ・カリロにもKO負けしてまさかの連敗を喫したが、2024年4月にクラップダムを技術で封じ込めて判定勝ちで再起したのも束の間、9月にカムラン・ナバティ、2025年2月にゴントーラニーに連敗。しかし、5月のゴントーラニーとの再戦ではこれまでにないアグレッシブファイトでリベンジに成功した。38歳。

そのノンオーに対し、ロッタンは「ノンオーがONE Championshipと契約して以来、彼は常に(格闘技の)面でも人生観でも、私のロールモデルでした。彼の身体のケアの仕方は最高です。彼は、誰もが彼の足跡を辿るべき、まさに模範的な人物です。私は常に彼を尊敬しています」と尊敬の念を口にする。
2人はONEが拠点を置いていたシンガポールで一緒に食事をする中で親しくなり、2019年にプーケットで行われたファイトキャンプでさらに仲が深まった。その関係から、ロッタンはノンオーといつか対戦することになるとは想像もしていなかったという。
「最初から彼と戦う気はなかった。シンガポールで試合をした時に初めて会って、一緒に食事をした。シンガポールにいた間は、どの試合でも一緒にいた。会うたびに、いつもお互いを尊敬し合っている。ノンオーとは絶対に戦いたくないってずっと言ってきたんだ。6年前、ONE ChampionshipがONEのスーパースター全員を招いてプーケットへの遠征を企画した時でさえ、僕はノンオーとは絶対に戦いたくないと言いました。彼を尊敬しているからです」と、ノンオーとの対戦を拒否し続けていたと明かす。

しかし、ノンオーがバンタム級からフライ級に階級を下げたことで、タイトルを懸けて彼らは対戦することになった。プロフェッショナルファイターとして、ロッタンはこの運命を受け入れたとする。
「もし道が交わるなら、僕たちには義務がある。全力を尽くさなければならない。勝てば勝つだけみんなと同じように嬉しいと思うよ。しかし、他のタイ人選手と戦うとなると話は別だ。特にノンオーは私がとても尊敬している選手だから」と複雑な心境を吐露しながらも、「僕はただ、それぞれの試合でベストを尽くし、みんなに誇りに思ってもらいたいだけ。戦う時は自分のためではなく、ファンのため、僕を愛してくれる人たちのために戦うんだ」と、ファンのために尊敬する人物とも戦うんだとした。



