2025年5月3日(土)タイ・ルンピニー・スタジアムにて『ONE Fight Night 31: Kongthoranee vs. Nong-O II』(U-NEXTにてLIVE配信)が開催された。
『ONE Fight Night 31: Kongthoranee vs. Nong-O II』速報
▼第7試合 ONEフライ級 ムエタイ 3分3R×ゴントーラニー・ソー・ソンマイ(タイ/同級3位)[判定0-3]○ノンオー・ハマ(タイ) ゴントーラニーは2018年にラジャダムナンスタジアム認定スーパーバンタム級王座、2022年に同ライト級王座に就いているサウスポー。サオトーとサオエークにも勝利し、2021年4月にギンサンレックに敗れるも2022年3月の再戦ではTKO勝ちで制している。2023年2月の『ONE Friday Fights 6』に初参戦すると、ギンサンレックを左フックでKOして返り討ちにし、その後は内藤大樹やジャオスアヤイを相手に破竹の6連勝。しかし2024年6月、スーパーレックに判定で敗れて連勝がストップ。その後はタギール・カリロフ、ナックロップに再び連勝している。71勝16敗。同級4位。
ノンオーは38歳で266勝57敗10分の驚異的な戦歴を誇り、ルンピニースタジアムでスーパーバンタム級からライト級まで四階級制覇、ラジャダムナンスタジアムのベルトも獲得している、まさにムエタイの伝説的存在だ。2019年2月にONEムエタイ世界バンタム級王者となり、鈴木博昭、セーマペッチ、ロードレック、リアム・ハリソンらを相手に7度の防衛に成功して絶対王者と呼ばれていたが、2023年4月の8度目の防衛戦でジョナサン・ハガティーにKOで敗れ王座陥落。12月にはニコ・カリロにもKO負けしてまさかの連敗を喫したが、2024年4月にクラップダムを技術で封じ込めて判定勝ちで再起したのも束の間、9月にカムラン・ナバティに判定負けを喫した。
両者は2025年2月の『ONE Fight Night 28』で対戦し、この時はゴントーラニーが判定2-1でレジェンドのノンオーから勝利を収めている。しかし試合後、ファンからはジャッジに対する不満の声が上がり、ゴントーラニーはたくさんの中傷メッセージが届くなどの批判を浴びたという。そのため、今回の再戦はゴントーラニーが強く望んだもので、完全決着を目指すとした。
1R、サウスポーのゴントーラニーが左の蹴りからの左ストレート、ノンオーは右ローと右ミドル、右インロー。積極的に攻めるノンオーが右インローを多く蹴っていき、ゴントーラニーは左インロー。ワンツーで前に出るゴントーラニーが左ミドル、ノンオーもすかさず右ミドルを返す。両者ともアグレッシブに打ち合い、蹴り合った。
2R、ノンオーの右ミドルにゴントーラニーは左ミドル、ゴントーラニーが左ストレートで一気に入り込む。右ミドルを蹴るノンオーにゴントーラニーはパンチで勝負をかける。これにノンオーも打ち合いつつ、右ミドルを蹴る。ノンオーのワンツーに左を被せるゴントーラニー。右フックからの左ストレートがノンオーを捉え、グラつかせる。
一気にパンチをまとめたゴントーラニーだったが、ダウン寸前になりながらもノンオーは回復。逆に前へ出ていって右ストレート、右フック、ヒジで逆襲。ノンオーの右ミドルをスネブロックして左ストレートを打つゴントーラニー。エキサイティングなラウンドとなった。
3R、ノンオーがワンツーから右ミドル、ゴントーラニーも左ミドルを返すがノンオーが右ミドルを多く当てる。さらに右ストレートにつないで顔面とボディへ打つ。手数が多いノンオーは首相撲に持ち込むとヒザ蹴り。
どんどん前へ出るノンオーに大歓声が沸き起こり、ゴントーラニーは下がりながらの左ミドル、左ストレート。ノンオーが右ミドルでゴントーラニーの左腕を蹴り続ける。ゴントーラニーは逃げ切り態勢か、ノンオーのミドルをスネブロックすることに集中している様子。
この消極的な姿勢が仇となった。判定は3-0でノンオーが勝利。ゴントーラニーへのリベンジに成功した。5万ドルのボーナスも獲得して大喜びのノンオー。場内からは「ノンオー」コールが沸き起こった。
試合後、ノンオーは「私は彼がとても強くて、少年だったことを知っています。今日はチーム全員が私を応援してくれました。それが私がここまでこうしてきた理由です。(ボーナス獲得に)私は今38歳ですが、若い人(28歳)に負けなかった。本当にありがとうございます。ここにいる皆さんが世界の一員であり友人であったことに感謝します。みなで頑張りましょう」と語った。
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▼第6試合 ONEウェルター級 サブミッション・グラップリング 世界タイトルマッチ 10分1R〇タイ・ルオトロ(米国)[判定3-0]×ダンテ・レオン(カナダ)※タイが2度目の王座防衛
世界ウェルター級サブミッション・グラップリング王者のタイ・ルオトロ(米国)は、双子の兄弟ケイド(世界ライト級サブミッショングラップリング王者)とともにONEでベルトを巻く。史上最年少のIBJJF黒帯世界王者でONE6連勝中。
マラット・ガフロフ、ライニアー・デ・リダー、ダギ・アサラナリエフら階級違いのMMAファイターを下した後、マゴメド・アブドゥルカディロフ、アイザック・ミシェルに一本勝ち。2024年7月の前戦『ONE Fight Night 23』ではジョゼフ・チェンとのキャッチウェイト戦で判定勝ち。8月のCJIトーナメントでは準々決勝でレヴィ・ジョーンズに判定負け。弟のケイドがジョーンズを破り、優勝している。
カナダのダンテ・レオンは、IBJJFノーギ世界黒帯王座に2度、ADCC銅メダルを2度獲得2024年8月のADCCではジャンカルロ・ボドニを破り3位に。2024年12月の『ONE Fight Night 26』でONEデビュー。ブルーノ・プッチを三角十字に極めると、2024年1月の前戦『ONE Fight Night 27』でトミー・ランガカーに判定勝ち。ルオトロとは2020年に対戦し判定勝ち、21年のリマッチではルオトロが判定勝ちで1勝1敗。
タイがダブルレッグテイクダウン。ロープ際でサイドに。すぐに足を戻すサイド。足をピンしてパスを狙うタイ。ダンテはハーフからリバースデラヒーバの動きから足関節狙い、
そこにアンクルを狙うタイに、ダンテは右肩口にかかとを乗せてヒザ十字狙い。組ませないタイは飛び込みパスへ。インバーテッドで足を効かせるダンテ。そこに上四方を狙うタイに、ダンテは再び足を戻す。
中腰から首を押さえてパスを狙うタイ。レッグドラッグのタイに、右足をたぐるダンテを潰すタイ。下からデレヒーバで足をからめ足首を持つダンテに、タイは自ら座って正対してトップへ。そこについていってバックを狙うダンテ。ニースライクから割って入るタイに下からサドルを狙うダンテ。
両者立ち上がり。足もとに滑り込むダンテに、残り時間少ないなか、タイは前転パスから左足を踏んで背中を見せながらヒザ十字の大技ムーブでゴング。判定3-0でタイが勝利した。
2度目のウェルター級サブミッション・グラップリング王座防衛に成功したタイは「本当にありがとう。ダンテに拍手を。素晴らしい。柔術を代表する素晴らしい選手だ。いいパフォーマンスだった。サブミッションを取れたかもしれない。そのためにここに来たんだ。でも、またマットに立てたことに感謝している。長い間、リングに上がっていなかったし、ルンピニーにもいなかった。ここがとても恋しかった。僕はここが大好きだ。故郷のようだ。
(ケイドはMMAに挑戦している。あなたの次の目標は?)僕たちはたくさん戦ったから、すぐにでもMMAデビューする準備はできているよ。全てがうまく行きさえすれば。ここルンピニーでやりたい。できればね」と、あらためてMMA挑戦を示唆した。
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▼第5試合 ONEライト級 ムエタイ 3分3R×リアム・ノーラン(英国)[1R 0分59秒 KO]※右ハイキック○アボルファズル・アリポランディ(イラン) ノーランは詠春拳(ブルース・リーが学んだことで有名な中国武術)とテコンドーを学んだ後ムエタイに転向。2019年3月からONEに参戦し、これまで4勝2敗。前戦は2024年7月にアリ・アリエフに判定勝ち。また、2021年11月にはオランダでユセフ・ブガネムに判定勝ちでWBCムエタイ世界ミドル級王座を奪取している。
アリポランディはTeam Mehdi Zatout所属のイラン人。クンルンファイトなどに出場し、ONEには今回が初参戦。
1R、アリポランディは左右フックを繰り出して突進、サウスポーのノーランは左インロー、左ミドル。どっしりと構えて余裕を感じさせるノーランだったが、アリポランディが右手を伸ばしてからの右ハイキックを鮮やかに決め、一発KO勝ち。
アリポランディが番狂わせの衝撃ONEデビューを飾った。
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▼第4試合 ONEライト級 MMA 5分3R×ジャン・リーポン(中国)[判定0-3]〇ルーカス・ガブリエウ(ブラジル)
中国のジャン・リーポンは、MMA35勝13敗2分け。元UFCでONE4勝2敗。2023年10月にティモフィ・ナシューヒンを1R TKOに下すと、2024年5月にモーリス・アベビに判定負け。2025年2月の前戦では手塚裕之に1R TKO勝ちしている。35歳。
ブラジルのルーカス・ガブリエウは、MMA9勝1敗。『ONE Friday Fights』3連勝中で、『ONE Fight Night』初参戦。地元で4連勝後、2023年5月にウズベキスタンのイブラヒム・シャイマノフに判定勝ち後、同年11月にクルバナリ・イサベコフにも判定勝ち。2024年10月の前戦『ONE Friday Fights 82』では、ザキムラッド・アミルジャノフを3R 肩固めに極め、4つ目の一本勝ちをマークしている。
ガブリエウのセコンドにはマルロン・サンドロがつく。
1R、先に中央を取るオーソのリーポン。外を取るリーポンに、左回りのサウスポー構えのガブリエウは左ボディストレートから組みの圧力で左ハイをヒット。さらにダブルレッグテイクダウン。尻を着きながらもスイッチ狙うリーポンの返しに、際で上を取り続けたガブリエウ。
背中を着いたリーポンは左足でラバーガード。抜けるガブリエウはクローズドの中に。リーポンは足を解いての立ちではなく、下からボディトライアングルで引き付けてヒジ。ガブリエウが鼻から出血。
2R、リーポンの右をかわして左オーバーハンドからシングルレッグでロープに詰めてダブルレッグテイクダウンのガブリエウ。尻を着いてコーナーまで這うリーポンはスイッチ狙いから立ちに。その際でバックを奪ったガブリエウは4の字ロック。背後から細かいパウンド。リアネイキドチョークを狙う。
3R、圧力をかけるリーポンに、先にに右ジャブ、左ミドルはガブリエウ。右を狙うリーポンにカウンターのシングルレッグテイクダウンはガブリエウ。背中を着くリーポンはここも立ち上がりよりクローズドで下からヒジ。再び出血するガブリエウに、リーポンの胴体に落ちた血が拭き取られる。
ゴングに両者が手を挙げるが……判定は打撃をもらわずテイクダウンからトップで攻めたガブリエウが3-0で勝利。リング上に彼女と子供を上げてプロポーズ。快諾を得て笑顔でハグも、血だらけのため、遠慮がちに抱き寄せた。
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▼第3試合 ONEバンタム級 ムエタイ 3分3R×セーマペッチ・フェアテックス(タイ)[TKO 2R 1分44秒]※レフェリーストップ○アブドゥラ・ダヤカエフ(ロシア) セーマペッチは17歳でタイの「タイガー・セメント・トーナメント」で優勝。2018年4月には、英国を拠点とした団体「ムエタイグランプリ(MTGP)」ウェルター級世界王者に。2018年7月にONEに参戦。これまでロドレック、クラップダム、リッテワダ、ジャン・チェンロン、ガオナーらに勝利し、2024年2月のモハメド・ユネス・ラバーとの再戦で初回KO勝ちでリベンジを果たすも、7月にニコ・カリロにKO負け。2025年2月にはフェリペ・ロボとの再戦でもTKO負けと苦戦が続く。 ダヤカエフは2023年11月の『ONE Friday Fights 39』から参戦すると4連勝を飾ったが、2024年10月の『ONE Friday Fights 82』にてヨッドIQにONE初黒星を付けられた。2024年12月の再起戦では日本でもお馴染みのシップムーン・シットシェフブンタムを1RでKOしている。セーマペッチにとってはまたも厳しい相手が用意されたといえよう。
1R、サウスポーのセーマペッチにダヤカエフは右前蹴り、右インロー。セーマペッチが左ボディストレートを打つとダヤカエフは右ストレートを打ち、右ボディストレートも。ダヤカエフはカカト落としも繰り出す。セーマペッチが攻撃を出すとそこにパンチを合わせるダヤカエフ。セーマペッチは頭を遠くに置いての左ミドルを蹴り始めるが、コーナーに詰められて左右フックやボディへの攻撃を浴びる。右ストレート、ヒジ、ヒザでセーマペッチを圧倒するダヤカエフ。
2Rが始まってすぐ、セーマペッチの蹴りに右を合わせたダヤカエフ。セーマペッチは仰向けに倒れるがダウンにはならず。しかし、ダヤカエフが右をフルスイングしていく中、セーマペッチが左ミドルからの左ストレートでダウンを奪う。盛り上がる場内だが、セーマペッチが同じ左ミドルからの左ストレートを打ったところでダヤカエフが右ストレートを合わせてダウンを奪い返す。
左右フック、ヒジ&ヒザでラッシュをかけたダヤカエフの一方的な展開となり、レフェリーが試合を止めた。
ONEでの戦績を7勝1敗としたダヤカエフは「セーマペッチはとても強かった。だけど自分は諦めないし、世界のビッグネームと戦っていきたい」とコメントした。
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▼第2試合 ONEフライ級 ムエタイ 3分3R×ショーン・クリマコ(フィリピン/米国)[判定0-3]○アキフ・グルザダ(アゼルバイジャン) クリマコは2024年5月の『ONE Fight Night 22』に初参戦すると、ホスエ・クルスを1RでKO。9月の『ONE 168』で本戦初出場を果たすもジョハン・エストゥピニャンにKO負け。2025年2月のディエゴ・パエス戦では判定2-1で辛勝を収めている。 グルザダは2024年7月の『ONE Friday Fights 72』に初参戦すると、スイッチを多用、左ストレートを始めとするダイナミックなパンチを繰り出して安本晴翔から判定勝ちを奪った。その後はサミンダンに初回TKO勝ち、プンルアンにも2RでKO勝ちと強さを発揮しており、今回がFIGHT NIGHT初登場。
1R、サウスポーのクリマコに対して身体を上下させながら前後にステップを踏むグルザダ。ワンツーから右カーフを蹴るグルザダは、クリマコが左ローを蹴ると蹴り足をキャッチしてヒザを蹴る。グルザダが右三日月から右ストレートを打ち、ダウンを奪う。ステップで追いつめるグルザダが左右フック、左ボディ、後ろ廻し蹴り、コーナーへ詰めての左右フックとラッシュを懸けるがクリマコはステップで回り込んでこのピンチをしのいだ。
2Rもじりじりと小さいステップで近付いていくグルザダ。クリマコもステップを踏んで左右ロー、左ミドル。動きが遅くグルザダの左右フックをもらうクリマコ。しかし、グルザダは慎重だ。クリマコの蹴りにグルザダはカウンターを狙う。
3R、クリマコが蹴ってくると攻撃を返すグルザダだが、すでにダウンを取っているからか無理に自分から攻めには行かない。右の三日月、右ボディストレートとボディを攻めていくグルザダ。クリマコは距離を取ってジャブ、左ミドル。グルザダはノーガードになって挑発、飛び込んでの右ストレートをヒットさせる。ノーガードで前へ出ていき右の三日月、ワンツーを繰り出すがクリマコは打ち合わず試合終了。
ダウンを奪ったグルザダが判定3-0で勝利した。
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▼第1試合 ONEフライ級 ムエタイ 3分3R○ジョーダン・エストゥピニャン(コロンビア)[判定3-0]×アリ・サルドエフ(ロシア)※サルドエフは体重超過のため罰金。 エストゥピニャンは2025年1月の『ONE 170』に初参戦し、フレディー・ハガティーから右ストレート、右フックで2度のダウンを奪って勝利した。優れた身体能力からトリッキーに繰り出す攻撃が持ち味。 サルドエフは2024年3月にONE初参戦、ザカリア・ジャマリを2RでKOしたが、7月のブラック・パンサー戦ではハイキックでKO負け。MMAとの二刀流選手。
1R、サウスポーのサルドエフは左インロー、エストゥピニャンは右インローを蹴る。右を細かく動かしてフェイントをするサルドエフ、エストゥピニャンは右ハイと左ミドルの蹴りを多用。サルドエフの左ストレートにのけ反るエストゥピニャンだが、首相撲になるとサルドエフを軽々とコカす。サルドエフが左ボディストレートからの左ストレート、エストゥピニャンが右ミドルを蹴るとすぐに左ストレートを返すサルドエフ。
2R、右ミドルを多用するエストゥピニャンにサルドエフは縦ヒジ、左ボディストレート。前へ出て左ハイを蹴るとエストゥピニャンも左フックを返す。サルドエフの左ストレートにエストゥピニャンはワンツー。2回転蹴りも見せるエストゥピニャン。一進一退の攻防が続く。
3R、サルドエフがフェイントから左を打つところにエストゥピニャンがワンツーを合わせてサルドエフをのけ反らせる。サルドエフの左ボディストレートには右ハイを合わせようとするサルドエフ。背中を見せて走って離れようとしたエストゥピニャンの後頭部にサルドエフのパンチが当たったてしまい一時中断。再開後、派手な蹴りを連発し、右ハイをヒットさせるエストゥピニャン。右ストレートも当てる。サルドエフは右ヒジ、右カーフ、左ストレートで対抗するが、躍動感のある動きのエストゥピニャンが優勢のまま試合終了。
エストゥピニャンが判定3-0で勝利した。