回転系などトリッキーな技も大森の武器(C)RISE
2025年10月19日(日)東京・後楽園ホール『RISE 192』にて、「フェザー級(-57.5kg)王座次期挑戦者決定トーナメント」3分3R延長1Rで、同級6位・翔(REVOLT)と対戦する同級4位・大森隆之介(EX ARES)のインタビューが主催者を通じて届いた。
大森は2020年1月のプロデビュー後、2021年7月に有井渚海に負け連勝がストップするもその後は格上を次々と撃破。2022年12月に加藤有吾に判定で敗れ連勝がストップ。しかし2024年3月、13戦全勝の山田虎矢太をバックハンドブローでKOする大番狂わせを起こした。8月にはバンタム級王者・大﨑孔稀に挑戦したが判定で敗れ王座戴冠ならず。2025年4月、鈴木真彦からダウンを奪っての判定勝ちで名を挙げた。戦績は10勝(6KO)3敗。
僕だったら“ワンチャン”みたいなのは

――最近はおとなしい印象があるのですが、何か意図があるんですか?
「意図もあるというか、自分の中でSNSを使っていっぱい盛り上げた感はあって、続けていった方がよかったなっていう考えもあるんですけど、それに対して自分の力というか今の発信力に限界を感じたんですよね。それで『もっと別のやり方があるんじゃないか。どうしたらいいんだ』って悩んでいる時期です」
――まだ方向性が定まっていないという事ですね。
「そうなんです。毎日めっちゃ悩んでます」
――講演会などにも行ったりしていると思うのですが、発信する一つの手段として行かれているんですか?
「僕の声が届くのって結局オフラインなんですよ。講演会も全くお金は出ていなくて、むしろこっちから『よかったらこういうのどうですか?』って営業しているような感覚なんですよね。ちょっとでもオフラインで触れ合う人が多くなってきたら良いなという思いで、今は活動しています」
――今まではSNSを使って発信して、プラスアルファでオフラインで発信をしてみて、声の届き方などに違いや手応えは感じていますか?
「それで言うと、オンラインでやった時は言い方が悪いですけどミーハーが多いというか、格闘技をちょっと見ていた人達に届くんですよね。だからなんて言ったらいいか分からないんですけど、格闘技に理解のある“金のなる木に届く”みたいな感じだったんですよ。だけどオフラインだと、全然格闘技を見た事がない人達ばかりに講演をしているので、受け取り方も全然違うし、小学生とかにも講演をするので伝わり方も全然違うんですよね。
僕はSNSとかマイクを通して話しましたけど、小学生に話をした時に思ったのは、『どうやってこの格闘技を盛り上げてやろうか』って難しい事をいっぱい考えて、かっこよく自分の中で言葉を選んで喋っていたなと思ったんですよね。だけど小学生は『ファイターに質問』っていうコーナーになった時に、『家はいくらしましたか?』とか『車はいくらの乗っていますか?』とか『金は持っていますか?』みたいな質問が多かったんですよ。皆んなが気になるのってそういう所だよなって思ったんですけど、ただ現状そこまで裕福な生活ができるわけではないし、何をどう発信したらいいのかいっぱい悩んでいます(笑)」
――発信する側としてシンプルさも大事だなっていうのを感じたという事ですね。
「それはめっちゃ思いましたね。前回で言うと鈴木選手が言っていたような事も必要だなと思いますし。ただ、やっぱり僕の意思としては黙っているだけではあかんなと思うので、オフラインで動いてみようかなと行動している感じです」
――まだまだ今後も色々模索しながらやり続けて、さらにいろんな手法が増えていく可能性もあるという事ですね。
「本当にいろんな方向に動きたいなと思っています」

――今回はフェザー級のトーナメントに出場が決まりましたけど、このオファーがあったという事は、ご自身ではどういう風に捉えていますか?
「かき回してほしいという意図はすごく伝わるし、安本チャンピオンが不動みたいな感じになっちゃったじゃないですか。なので、梅井泰成が優勝候補の筆頭にはなると思うんですけど、チャンピオンに1回負けているし『もう1回やって勝てるのか』って言われた時に皆んなの頭にはハテナが浮かぶと思うんですよ。じゃあ『翔選手が勝てるのか』って言われたら、ハテナではなくてむしろ無理なんじゃないかなって僕も思うので。そうなった時に僕だったら“ワンチャン”みたいなのはちょっと思ってもらえるかなっていうのはあって、僕が1番掻き乱していくダークホースにならないといけないなっていう思いはあります」
――大森選手的にも“何か大森ならやってくれる”という期待に応えたいという事ですね。
「そうですね。特に1回戦は可能性を見せないといけない試合だなと思っています」
――逆にそういう意味で1回戦は、プレッシャーなどのやりづらさはありますか?
「プレッシャーは全然ないですね。そういう感覚はないんですけど、フェザー級なのでなんか不安はあります。平野凌我選手とやった時ももっと楽に勝てると思っていたんですよ。ただ思っていたより苦戦したなっていうのがあって、試合だけ見たら翔選手の方が平野選手の事をボコボコにしているし、やっぱり1階級違うだけでかなり違うなっていうのは感じます」
――それで言うと、今回はフェザー級、前回も鈴木選手とは55kgで元いた階級、その前はまたフェザー級で試合をしていて試合毎に階級が変わっている状況ですが、今後も変わらず55kgでも57.5kgでも両方やっていく感じですか?
「さっき『1階級でかなり違う』って言ったんですけど、じゃあ全然できないのかと言われたらそういうわけではないんですよね。ナチュラルで60~63kgなので、適正階級は55kgだと思うんですけど、どっちもやれたらなと思います」
――自分が求められる場所で常に戦っていくスタンスですね。
「僕らはそういうもんかなと思っています(笑)」
――門口佳佑選手も先日試合が発表されましたが、60kgだったじゃないですか。あれも役割だと思いますか?
「いやいや、あれは違いますよ(笑)。僕は本当に求めらているところにあるべきなのかなって思うんですけど、佳君の場合は行きたいところに行っているだけですからね」
――自らそこの道に進んで行っているような感じですね。60kgでやってみたかったり、この間は55kgでやってみたり。
「そうです。そんな感じしないですか?」
――門口選手は自分が思うままにその都度やっているんだろうなって思っています。
「僕だってできるなら55kgでタイトルマッチをやりたかったですけど、悔しいけど大﨑孔稀が頭2つくらい抜けちゃっているので、すぐにはできないだろうなという思いもありました」
――その間で55kgでも57.5kgでもベルトを狙える位置に着々と近づいているような感じもありますね。
「55kgでも1位、57.5kgでも1位になったらおもろいですよね」



