10代デビューは気持ちのブレ方が顔で分かる

――今回の対戦相手が翔選手に決まりましたけれど、「会場とかでも話したりするような仲」と前回の会見で仰っていました。一方で「天敵のような相手」という事も仰っていたのが印象的だったのですが、相手としては大森選手のファイトスタイルからすると、翔選手のスタイルはやりづらいと感じる部分があるんですか?
「あまり言いたくないですけど、やりにくいですよね。誰が見てもやりにくいと思うので、けっこう嫌なタイプですね。逆に梅井と吉田君だったら吉田君の方がスタイル的に楽やなと思います。梅井は嫌だなと思うので、嫌な組み合わせを組んできたなと思っています(笑)」
――それぞれスタイルが違う選手が集まっていますが、それぞれに“やり辛さ”や“やり易さ”があって、この選手が上がってきたらいいなというのは大森選手の中にもありますか?
「勝つ負けるの勝率で言うと、吉田君が上がってきた方が楽に勝てるなと思っています。那須川さんに怒られそうで嫌なんですけど、吉田君は若いし、僕は若いファイターが得意なんですよね。スパーリングしていても若さってどこかに出るじゃないですか。僕10代でプロデビューするの反対なんですけど、10代でデビューしたファイターってスパーリングとかでも10代でデビューしたなって思うんですよ。20代でデビューしているやつと気持ちのブレ方が顔で分かるので全然違うんですよね。それは吉田君からも試合中に感じるだろうなって想定しています」
――20代で色んな経験をしてデビューしているからこそ、頭を使って考えて戦うことができるというイメージですか?
「20歳より上のやつってある程度諦めてきたやつだと思うんですよ。なので試合中でも『これじゃ無理だからこの戦い方に変えよう』っていう諦めができるんですよ。割り切りが見えるというか。けど10代のやつはずっと悩みながら迷いながらやっているイメージなんですよね」
――迷ってくれていた方が大森選手としては翻弄しやすいということですか?
「そうですね。彷徨っていると思うので」
――梅井選手とは家に泊まりに行くくらい仲が良いじゃないですか。
「仲良いですね」
――仲が良い選手と試合をするとなったら、やりづらさはないんですか?
「僕は全然親友でも思い切り殴れるんですけど、梅井は逆にやりにくいと思いますね。本当に僕はファイターの中でも1番大好きな先輩で、向こうもそれぐらい思ってくれていると思うんですよ。梅井は『りゅうを思い切り殴られへん』みたいな事を言っていたので、試合中に俺のこと殴れるのかとコソコソと言ってやろうかなと思います(笑)」
「自分に分がありますね」
――では仮に試合が決まったとしても、大森選手は気にせずいけるという感じなんですね。
「ただやっぱり複雑ではありますね。このトーナメントってどっちかがタイトル戦線から外れるじゃないですか。決勝で絶対にやりたいという思いはありますけど、複雑ではありますね」
――今回のトーナメントは勝って優勝しても内容が問われる事も可能性としてありますが、それでも勝ちに徹しますか? それとも魅せなければいけない所は魅せにいきますか?
「トーナメントに関してはめっちゃタチ悪いなって思いますけど、勝ちに徹するとか倒しにいくっていうのはどっちも意識したことがないんですよね。僕は自分の楽しいように戦っているだけというか、これが当たるなと思ったらそれを当てにいくっていう感覚でやっていて、いつも相手が倒れてくれているんです。そこに自分の魅力があるのかなと思います。例えば良星選手や京谷選手に膝を当てて倒したりとか、山田選手にバックブローを当てて倒したり、『うわ、そこで倒す?』みたいなタイミングで倒していると思うんですよね。なのでそういう所が自分の魅力だと思っているので、意外性にかけたいなと思っています」
――トーナメントに関しては、どのようなテーマを持って挑んでいますか?
「今のところ2回戦は全く考えていないので、『1回戦は間違いなく圧倒する』っていう事をテーマにしています。翔選手はランキングが7位で僕より下の位置付けになるので、しっかり上下がはっきりするような試合をしたいです」
――最後にいつも応援してくれるファンの皆さんにメッセージをお願いします。
「10月19日は57.5kgのトーナメントで、僕が“安本に勝つんじゃないか”と思わせるような試合ができると思うので、ぜひ楽しみにしていてください」



