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2025年10月4日(日本時間5日朝7時~)、米国ネバダ州ラスベガスのT-モバイルアリーナにて、『UFC 320: Ankalaev vs. Pereira 2』(U-NEXT配信)が開催される。
▼UFC世界ライトヘビー級選手権試合 5分5R
マゴメド・アンカラエフ(ロシア)20勝1敗(UFC12勝1敗)※UFC3連勝中 204.5lbs/92.76kg
アレックス・ペレイラ(ブラジル)12勝3敗(UFC9勝2敗)204.5lbs/92.76kg
メインは、25年3月に対戦したライトヘビー級タイトルマッチのダイレクトリマッチとして、新王者マゴメド・アンカラエフ(ロシア)に、前王者アレックス・ペレイラ(ブラジル)が挑戦。
コメインでは、バンタム級絶対王者メラブ・ドバリシビリ(ジョージア)に、同級4位のコーリー・ サンドヘイゲン(米国)が挑む5分5R戦が組まれた。
メインのライトヘビー級王者アンカラエフは、ダゲスタン国立大学時代に始めたグレコローマンレスリングがバックボーン。その後コンバットサンボを経てMMAに転向。2014年にプロデビューし、9連勝でUFCに参戦。オクタゴンデビュー戦でポール・クレイグの逆転の三角絞めで一本負けがキャリア唯一の敗戦。そこからさらに9連勝で、当時王者だったイリー・プロハースカの負傷による王座返上に伴い、22年12月にヤン・ブラホビッチとの王座決定戦に出場したが、まさかの判定ドローで王座獲得ならず。ジョニー・ウォルケルとのNCを含む2戦、アレクサンダル・ラキッチ戦の判定勝ちなど下位ランカーとの試合を経て、2025年3月の前戦でようやくペレイラの王座に挑戦。判定3-0で悲願のベルトを手にした。33歳。
前王者ポアタン(石の拳)ことペレイラは、2023年11月にイリー・プロハースカを2RTKOに下して、ミドル級に続く2階級制覇を達成。24年はジャマール・ヒル、プロハースカ、カリル・ラウントリーJrの3人を連続KO・TKOで3連続防衛を果たし、3月のアンカラエフとの試合に臨んでいた。
UFC PIのラウンジで鉢合わせして、それぞれが翻訳アプリを通して会話を交わした動画は衆知の通り。最後にペレイラがいつもの「Chama!」を発すると、アンカラエフは「No Chama!」と返して小さな因縁を生んでいる。
😳👀 Magomed Ankalaev and Alex Pereira ran into each other at the UFC PI.
— Home of Fight (@Home_of_Fight) September 25, 2025
Alex called Ankalaev a coward:
M: "You just keep throwing words around. Let's settle it in the octagon."
A: "I never said anything, they're the ones who are always talking. And now when he shows up in… pic.twitter.com/58uxtFJI2t
前戦ではオーソドックスのペレイラに、サウスポー構えのアンカラエフはテイクダウンのプレッシャーをかけながら、外足を取って、ペレイラ得意の左をさばいた。再戦となる今回は、パレイラがいかにアンカラエフにいい形で組ませず、自身の間合いで戦うか。アンカラエフはスイッチスタンスでも戦うが、実は右利きサウスポー構え。近い距離のラッシュでの右の動きにも注目の王座戦だ。
U-NEXT配信の同大会の試合前の両者とメディアの一問一答は以下の通り。
マゴメド・ アンカラエフ(ライトヘビー級王者)「ライトヘビー級でレガシーを固めて、ベルトを何度か防衛する。その後はヘビー級に上げてベルトを獲る」
──ファイトウィークの過ごし方や仕上がりはいかがですか? それから、昨日はアレックス・ ペレイラ(ライトヘビー級1位)にも聞いたのですが、UFC PIの件や“グリース疑惑”、それからアレックスとの初対決(=2025年3月『UFC 313』で判定勝ち)について質問が続くせいで、今回は少し面倒になっていませんか?
「正直、あまり気にしてない。大事なのはこの1週間を安全に、ケガなく、問題なく終えること。それ以外の煽りや話題は、基本的にはエンタメだと思ってる」
──こうした経緯が、結果的にファンの注目を集めた面もあります。話題にしたくはなくても、関心が高まったこと自体には感謝していますか?
「お互いの側からいろいろな発信があったし、その途中で誤解も生まれた。その積み重ねが試合に“攻撃性”を加えたのは確かだ。前回よりもアグレッシブな再戦になると思うし、それはファンが望むところだろう。きっと失望させない」
──もし相手が本当に前に出てきたら、あなたにとっては好都合でしょうか? 実際、どんな展開をイメージしていますか?
「前に出てくるなら、俺にとっては歓迎だ。プレッシャーをかけられる展開は俺のプランに合う。ただ、俺も下がって待つつもりはない。こっち主導で前に出る。試合では互いにアグレッシブな戦いになるはずだし、みんなが期待しているものを見せられると思う」
──トレーニングキャンプでなく、日常の面ではいかがですか。UFC王者になってからは、地元での注目も一段と高まっているようです。ハビブ・ヌルマゴメドフが“すでに母国において偉人の一人だ”と評する動画もありました。
「いろいろ変わったよ。良い面も悪い面もある。以前みたいに自由に動けないし、顔も覚えられている。でも個人としては大きな出来事だし、家族、チーム、コーチのみんなが誇りに思ってくれているのを感じる。王者として見られる分、確かに新しいレベルのリスペクトも生まれた」
──カーロス・ アルバーグ(ライトヘビー級3位)が先日大きな白星を挙げ、同じメインカードにはイリー・プロハースカ(ライトヘビー級2位)とカリル・ラウントリーJr.(ライトヘビー級4位)も出場します。あなたは以前、アルバーグは“タイトル戦線では新顔だから面白い相手”と言っていましたが、彼の勝利をどう見ましたか? それとプロハースカ対ラウントリーJr.の試合については?
「プロハースカ対ラウントリーJr.に関しては、同じイベントで俺が戦うし、正直そこに意識を割く時間はない。詳しく追うつもりもないよ。アルバーグに関しては、連勝中で面白い存在だと思う。勝った試合のハイライトも見た。とはいえ、あいつはまだこの荒波を本格的には経験してない。ここにいる連中は元王者に倒されたり、ノックダウンを食らったりしてきた連中だ。アルバーグは新しく上がってきた側だから、だからこそ興味はあるってだけの話だ」
──前回ラスベガスでは、会場がアレックス・ペレイラ寄りで、あなたにはブーイングも多かった印象です。今回も同じ雰囲気だと思いますか? それとも、あなたが勝てると証明したことで少し変わるでしょうか?
「正直、観客の反応には意識を向けない。応援があればもちろん力になるし嬉しいけど、ブーイングがあっても気にしない。俺は集中してリングに出ていくだけ。サポートには感謝してるし、どうなるかは当日見ればいい」
──今回、アブダビ開催を強く希望していたと聞きました。ラスベガス開催に戻る形になった経緯は?
「そう、俺はアブダビを推した。時差ボケもないし、家からも近くて圧倒的にやりやすいからね。でもUFCが今回はベガスと決めた。それで問題ない。俺はチャンスにノーとは言わないタイプだし、正直ベガスは第二のホームみたいなもの。キャリアの中でもここで戦ってきた時間は長い。だからここでもしっかりやるだけだ」
──王座挑戦前は「もっと派手に」「もっと話せ」と言われ、いま王者になってからも「大物になるには、さらに発信して盛り上げるべきだ」と言われ続けています。黙々と勝ち続けているのに、まだ色々と求められることに傷つくことはありますか?
「リスペクトという点では、俺を王者として尊重しない人間に会ったことはない。出会う全ての人からリスペクトを感じている。発言については、俺は思いついたことを何でも口にするタイプじゃない。考えて、必要なことだけを言う。無駄にしゃべるつもりはないし、俺が静かで慎重なのが気に入らないなら――それはもう、俺の敵ってだけだ」
──前回のタイトルマッチの会見で、あなたが携帯ゲームをしている映像がバズりました。明日の会見でも、また何かプレイする予定は?
「普段から好きでやってるゲームはある。でも明日は無理だと思う。前回の一件もあったし、質問が山ほど来るはずだからね。もし会見が退屈で質問も来ないなら……そのときは絶対プレイするだろうな(笑)」
──あなたの地元ダゲスタンでは試合開始が朝7時頃、ロシア全体でもかなり早い時間になります。ファンに向けて、早起きして見る価値がある理由を伝えるとしたら?
「俺は彼らの同胞だし、ロシアを代表して戦っている。だからきっと応援してくれるし、起きて見てくれるはずだ。感覚的にはロシアの70?90%は、俺の試合を見るためだけに起きると思ってるよ」
──あなたは10代で父を亡くし、家族を支える立場になりました。そうした重い責任は、王者になる道のりでどんな励みになりましたか?
「世界の王者たちを見れば分かるが、名のあるアスリートの多くは自分で道を切り開いた人間だ。孤児だったり、貧しい環境だったり、何かを背負ってきたからこそ、誰よりも働き、誰よりも貫き通して、ここまで来た。俺も同じだ。ここにたどり着くまで、とにかく努力を積み重ねてきたんだ」
──あなたのコーチがアレックス・ ペレイラについて「年季の入ったキックボクサーで動きが遅く、本当の意味での一撃必殺の打撃はない」と話していました。その評価に同意しますか?
「コーチがそう言ったなら、俺も同意する。試合でそれを証明するだけだ」
──もし今回勝てば、UFCで15連勝無敗。イスラム・マハチェフ(ライト級1位)やカマル・ウスマン(ウェルター級5位)に並ぶ、そしてジョン・ジョーンズ、アンデウソン・シウバに次ぐ連勝記録になります。ハビブ・ヌルマゴメドフからは、ロシア史上屈指のファイターと言われていますが、この試合で連勝を伸ばしたら、UFCの歴代の中で自分はどの位置につけると思いますか?
「歴代で自分がどの位置だってのは、正直いまは考えてない。まだ達成したい目標がある。ライトヘビー級でレガシーを固めて、ベルトを何度か防衛する。その後はヘビー級に上げて、そこでベルトを獲る。そしてしかるべき休養に入る――今はそこまでの計画に集中してる。歴代どうこうは、周りが決めればいいさ」
──仮にライトヘビーに続いてヘビー級の王者にもなって、そのベルトも防衛できたら、UFC史上1位と言えるのでは?
「それがプランだ。あとはやるだけだよ」
──いつも自信に満ちていて、とても落ち着いて見えます。どうやってその冷静さと自信を保っているのでしょう? 逆に、これまでの入場や試合前で自信が揺らいだり、怖さが芽生えたことはありますか?
「この落ち着きは、キャリア序盤に喫した唯一の敗戦から学んだことが大きい。あの負けから必要な教訓を拾い上げた。それ以降の自信は、準備とハードワークから来ている。キャリアを重ねる中で、誰もが冷静さや落ち着きを身につけていくものだと思う。“全く緊張しないか?”と言われたら、それは嘘になる。怖さというより、背負う責任の大きさでナーバスになる試合はあった。でも最終的にはその緊張を鎮めてケージに入る。今回はとくにいいキャンプを積めたし、仕上がりに自信がある。だから落ち着いてるし、試合が楽しみだ」








