アレックス・ ペレイラ(ライトヘビー級1位)「向こうが俺の存在を気にしているように見える」
──前回は「40%の出来だった」と話していました。今回は何が違ってきそうですか?
「休暇を取って体を休めて、コンディションと小さなケガを治してきた。何%かは分からないけど、今回はすごく良い状態で戦えると言っておく」
──いまのモチベーションは、ライトヘビーにとどまることと、ヘビー級へ上げることのどちらにありますか?
「UFCに来たときから、目の前のことに集中して一歩ずつ進んできた。今はまずベルトを取り返すことに集中して、その先のことはそれから考える」
──いわゆるダイレクトリマッチでベルトを取り戻す前王者は多くありません。その傾向をどう破りますか(※ペレイラの前戦=2025年3月『UFC 313』でマゴメド・ アンカラエフに判定負け)
「俺は他と違うファイターだと思ってる。二階級で王者になったのも、その一つの証拠だ」
──ブルース・バッファーが「ザ・ワン、ジ・オンリー(唯一無二)」と紹介したのは、これまでコナー・マクレガー、ジョン・ジョーンズ、そしてあなたの3人だけです。あのアナウンスを受けた瞬間は特別でしたか。
「正直、その場では英語が分からなくてピンと来てなかった(笑)。でも後で人から聞いて、どれだけ特別なことか理解した。MMAの世界に入って日が浅い自分にとっても、あれは大きな意味があったよ」
──マウスピースを付けた息子さんたちの写真が話題になりました。彼らのトレーニングの本気度は? 将来プロを目指していますか。
「真面目にやってるし、順調だよ。俺自身が一緒に動くこともある。いつもではないけどね。ちゃんとジムに通って、やる気もある。このまま続ければ道は開けると思う。俺が現役のときは何の見通しもなかったけど、もし本気でやるなら、父親の俺が環境やコネクションを含めて手助けできる分、あいつらのほうが少しやりやすいはずだ」
──言葉の壁のせいで誤解が生まれている面もあると思いますか? それとも、この2週間で起きた出来事のせいで、マゴメド・アンカラエフ(ライトヘビー級王者)との間に本当に“因縁”ができたと感じますか。
「ライバル関係はあると思う。俺のほうじゃなく、向こうが俺の存在を気にしているように見えるんだ。PIでの件もあったし、会場で顔を合わせたときも向こうがスッと別の場所へ動いたりね。そういう様子を見ると、彼がイラ立っているのかなと感じる。でも彼の気持ちまでは俺には分からない」
──あなたは“ビッグイベントでUFCを救うためなら緊急参戦を厭わないファイター”という評判があります。もし来夏「ホワイトハウスのイベントで頼む、アレックス」と呼ばれたら、常に準備しておくつもりですか?
「その可能性はあるよ」
──この2週間は、マゴメド・ アンカラエフとのすれ違いやSNSでのやり取りが続いて、少し面倒でもあったと思います。ただ、そのおかげで前回より今回のほうが注目度は高まったと感じますか?
「そうだね。以前俺が王者だったときは、向こうが“俺から逃げてる”みたいなストーリーを作ろうとしてたよな。今は小さくてもライバル関係ができて、語れる“物語”が生まれた。だから関心は高まったと思う」
──あなたは試合中いつも冷静で自信に満ちています。今回はダイレクトリマッチでベルトを取り戻しに行く立場ですが、何か発奮材料みたいなものは感じますか?
「特にないね。俺は勝つためにここにいる。全部をコントロールはできないけど、勝ちに来た。前回は自分の持ち味をあまり出せなかったから、今回はしっかり準備の時間を取って、積み上げてきたものを見せられると思ってる」
──UFCのタイトルマッチに挑戦者として臨むのは今回が3度目で、王者としては4度経験しています。より大変なのはどちらの立場ですか?
「一番大変なのは“ケージの中にいること”そのものさ。良い試合をして、勝ちたい。その一点に集中するだけで、余計な重荷は背負わない」
──同じカードで、かつて戦ったイリー・プロハースカ(ライトヘビー級2位)がカーロス・アルバーグ(ライトヘビー級3位)と対戦します(※プロハースカ戦=2024年6月『UFC 303』、2023年11月『UFC 295』でともにペレイラがTKO勝ち)。どちらが勝つと思いますか? タイトル挑戦者決定戦の可能性はありますか?
「2人とも良い試合にするはずだし、可能性はある。俺はまず自分のベルトを取り返すことが最優先で、どっちが次かを俺が決めるつもりはない。ただ、アルバーグは勢いがあるし、ここまでいい仕事をしてきてるね」
──アンカラエフは「オクタゴン外のいざこざはもう片付いた。試合後に握手するのも全く問題ない」と話していました。あなたは試合後、握手に応じる準備はありますか?
「わからないな」
──昨年の公開練習で見せた“弓矢のルーティン”は、いまやあなたの代名詞です。今回は挑戦者として先に入場しますが、入場演出に何か新しい要素はありますか。
「変えるつもりはない。先に歩いて入場した経験もあるし、俺が矢を放つのは相手じゃなく“これから戦う場所”、つまりオクタゴンにいる戦士達へ向けてって意味だから、そこは同じだよ」
──トム・ アスピナル(ヘビー級王者)は「あなたは有利なマッチアップが続いてきたが、マゴメド・ アンカラエフに当たって厳しさが露呈した」と分析していました。この見方は公平だと思いますか。
「ここは世界最高の組織だ。俺はキックボクシングから来て、MMAのグラップリング経験なんてほとんどない状態でこの舞台に上がった。極端に言えば、UFCで一番下の相手を当てられても、当時の俺には不利な点が山ほどあったはずだ。だから“ぬるい相手が続いた”って論法は筋が通らないね」
──もし今回アンカラエフに勝てば、あなたのこれまでのタイトルマッチの中で最も大きな証明になると思いますか。
「いや、証明したいんじゃない。俺はただ勝ちに来てるだけだ」
──ベルトを取り返したら、UFCに“ブラジル開催”をリクエストしますか? それと、あなたが思う“ブラジル史上最高のファイター”は誰でしょう?
「どこで戦うかは俺のコントロール外だ。もちろんブラジルで戦えたら最高だけど、決めるのは俺じゃない。それより俺はブラジルの選手たちをみんな応援している。最近だとカルロス・プラテス(ウェルター級9位)を観るのが好きだね。スタイルが好みなんだ」




