(C)GONG KAKUTOGI/Zuffa LLC/UFC
2025年11月22日(日本時間23日)カタールの首都ドーハで開催される『UFC Fight Night: Tsarukyan vs. Hooker』にて、堀口恭司(アメリカン・トップチーム)が、同級12位のタギル・ウランベコフ(ロシア)と仕切り直しのフライ級(5分3R)で対戦することが公式発表された。
当初、両者は25年6月のUFCアゼルバイジャン大会で対戦することが決まっていたが、堀口が練習中の怪我により欠場。ウランベコフは代役のアザト・マクスム(カザフスタン)に接戦の末に判定勝ちしている。
堀口は、2010年にプロデビューして以来、KO・TKO勝ち15回、一本勝ち5回を挙げている日本有数のMMAアスリートの一人。
修斗で世界王者に輝いた後、2013年10月にUFCデビューすると4連勝で当時の王者デメトリアス・ジョンソンと対戦。5R残り1分で腕十字で敗れ、UFCフライ級王座戴冠ならず。しかしその後も3連勝。2016年11月にアリ・バガウティノフに判定勝ち後、当時のUFCフライ級戦線縮小に伴い、オクタゴンを離れ、2017年4月からRIZINに参戦していた。
この間、20試合を戦い、RIZINとBellatorでバンタム級王座を戴冠。現在5連勝中で、24年大晦日の前戦でエンカジムーロ・ズールーに判定勝ちで王座防衛後、RIZINフライ級のベルトを返上。今回、11カ月ぶりの試合で9年ぶりのオクタゴンカムバックとなる。
対するウランベコフはMMA戦績17勝2敗、UFC6勝1敗の強豪。元UFC世界ライト級王者のハビブ・ヌルマゴメドフに師事し、一本勝ち8回を記録しているダゲスタンレスリングのエースで、イーグルスMMA/AKAで練習。2020年10月にUFCに初参戦するとブルーノ・シウバに判定勝ち。22年11月にネイト・マネスをギロチンチョークで下すと、23年12月にコーディ・ダーデンにもリアネイキドチョークで一本勝ち。25年1月にキャリア8戦全勝だったクレイトン・カーペンターに判定勝ち、そして前述の通り、6月にマクスムに判定勝ちで現在、UFC4連勝中。
UFC唯一の黒星の相手は、朝倉海に一本勝ちしたティム・エリオット。22年3月にエリオットと対戦したウランベコフは、初回にエリオットの左オーバーハンドでダウンを喫し、テイクダウンも奪われ判定負け。
また、堀口負傷により対戦相手変更となった6月のアゼルバイジャン大会でウランベコフはマクマンのテイクダウンディフェンスに手を焼き、打撃で上回るも最終回には逆にテイクダウンを奪われるなど苦戦。復帰2戦のデータを得たことで、ATT堀口陣営はどんなプランで臨むか。
本誌の取材でもUFCランカーを語っていた堀口は、ウランベコフを「俺的にはベスト10に全然入っていて、もしかしたら5位以内の実力なんじゃないかなと思っています。身長高くて打撃も寝技もできる。グラップリングが強い」と高く評価。自身のYouTubeでは「怪我は全然ないんで、全然大丈夫。ここでしっかり勝って、ベルトを獲れるように突っ走る。『復帰戦は大事』と言われますが、全部の試合が絶対に落とせないので、同じ気持ちでしっかり勝ちに行こうと思っています」と意気込みを語っている。
ウランベコフは、身長170cmでリーチ178cm、幼少時からレスリングを学び、2014年の世界コンバットサンボ選手権57kg級で優勝。オーソから懐の深い打撃と四つ組みからの強いテイクダウンを武器に、ギロチンチョークなど9つの一本勝ちを誇る。フライ級ランカー内で対戦を嫌がられる選手の一人で、近年MMAグラップリングの比率を増やしている堀口にとって、その力を見せる試合になりそうだ。
堀口の目標は、アジア人初のUFC世界王座獲得。その頂に現在立っているのは、同門のパントージャだが、堀口は本誌の取材に「チャンピオンとすごい仲いいんですけど、『お前、俺が行ったらブッ飛ばすから』なんて、すごい言ってます。で(パントージャも)『いいよ。いつでも来い』みたいな感じで」と、勝ち進んでいった場合の同門対決が、ATT内で織り込み済みであることを語っていた。その再出発の第一歩が、堀口にとってはアウェイのドーハで刻まれることになる。
現在、UFCフライ級には、堀口を含め3人の日本人選手が名を連ねており、5位の平良達郎(THE BLACKBELT JAPAN)が年内に試合を希望。UFC1勝1敗の鶴屋怜(THE BLACKBELT JAPAN)は8月の試合を負傷欠場し、3月のジョシュア・ヴァン戦以来の再起を目指している(※2連敗の朝倉海はバンタム級転向を表明)。
同階級には、元RIZINのマネル・ケイプ(7位 ※12月13日にブランドン・ロイヴァルと対戦)、ラマザン・ テミロフ(14位 ※禁止薬物検出で26年7月まで出場停止中)がランキング入りしており、堀口恭司の加入により、さらにフライ級戦線が激化することは間違いない。






