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【RIZIN】「強くなりたいです。元谷さんや堀口さんみたいに」──悔し涙の神龍誠がATTマイク・ブラウンコーチに出稽古を直訴。元谷「米国に行ってもっとレベルアップしたい」

2025/10/01 12:10
 RIZINフライ級GP準決勝で元谷友貴(アメリカントップチーム/ATT)に判定負けした、神龍誠(神龍ワールドジム)がATTのマイク・ブラウンコーチに出稽古を申し入れ、快諾された。  2025年9月28日(日)愛知・IGアリーナにて『RIZIN.51』(U-NEXT見逃し配信)が開催され、「フライ級GP」準決勝2試合が行われた。  ひとつは、扇久保博正(THE BLACKBELT JAPAN)がアリベク・ガジャマトフ(ダゲスタン)に判定勝ち。その1試合前では、元谷友貴が、神龍誠に判定勝ちし、決勝進出を決めている。  試合は、フライ級カムバック2戦目で減量に苦しんだ元谷だが、しっかりリカバリーしてリングイン。1Rの序盤こそスロースターターで、神龍のいきなりの跳びヒザから詰めてのテイクダウンやボディロックテイクダウンを受けたものの、左右で押し戻してゴング。  2Rにヤマを作ったのは元谷。神龍のシングルレッグテイクダウンにノーアームのギロチンチョークを合わせた元谷がクローズドガードに入れて右脇で絞めると、神龍も中腰で右肩を押し込んで極めさせず。腕を外した元谷は右ストレートを突いて四つからボディロックテイクダウン。上の取り合いから4の字バックを奪取。残り20秒で正対した神龍だが、元谷のラウンドに。  3R、インロー連打の元谷にシングルレッグは神龍。しかしここもリバースの三角からアームインギロチンを仕掛けた元谷。極めさせない神龍だが、コーナーまで這う元谷は、巧みにコーナーに背中を着けてハイエルボーのギロチン。首を抜いてともにスクランブルから最後にトップは神龍も決定打は当てられず。  判定は3-0でジャッジは、ニアフィニッシュに近い場面を作り、バックを奪った元谷を支持、元谷が扇久保との決勝進出を決めた。  試合後、元谷は「やっぱり神龍選手強くて、自分の課題が見えて。勝ったので次、アメリカに行ってもっとレベルアップしたいと思います。僕が優勝します」と、ATTに戻って決勝戦を勝つと宣言。  敗れた神龍は、前述の通り、バックステージで、ATTのマイク・ブラウンコーチのもとに向かい、「強くなりたいです。元谷さんや堀口さんみたいに」と、ATTでの練習を直訴している。  ブラウンコーチは、「光栄です。素晴らしい。(ATTには)日本人の多くの偉大なファイターがいる。たくさんのスパーリング相手がいるし、君がいてくれたら助かるよ。君は若くて才能がある。ぜひ来るといい。今日も接戦だった。本当に接戦だった。レスリングもすごくよかった。連絡をください」と、神龍の加入を歓迎している(※【追記】堀口恭司は「ジムのマネージャーやダン(ランバート)とかに了承を得ないと難しい」とコメント)。  その模様を伝えた神龍のトレーナーの杉林貴宏氏は「試合が終わってすぐに彼は決めていました。一番素直な言葉をマイク・ブラウンに伝えていました。彼はプライドを捨てるというプライドを持っています。そんな神龍誠を心から誇りに思います」と記している。  試合後の会見での両者の一問一答全文は、以下の通りだ。 [nextpage] 元谷友貴「正直、賞金よりもベルトが欲しい」 ──フライ級GP準決勝での神龍誠選手との試合を終えた、率直な感想をお聞かせいただけますか。 「いやあ、本当に嬉しいです」 ──神龍選手と実際に手を合わせた印象はいかがでしょうか。 「やっぱり想像以上に強かったというか……うん、ほんと、本当に強いと思いました」 ──扇久保vs.ガジャマトフの準決勝を見て、扇久保選手の勝ち上がりにどんなことを感じましたか。 「やっぱり強いなっていうのと、自分の形を持っているなというか、どの試合も同じように強い部分で勝っていく」 ──大晦日に決勝戦でその扇久保選手と当たることになりました。その意気込みをお願いします。 「久しぶりに扇久保選手と戦うことになるんですけど、何年か前は判定2-1で負けたんですけど、ここはしっかり僕が成長して、しっかり越えたいなと思っています」 ──神龍選手が相手だとテイクダウンを取られることはある程度想定していたと思うのですが、テイクダウンされた後その後の対処についてはどう考えていましたか。 「テイクダウンを取られることをそんなに予想していなかったというか──」 ──そうなんですか(笑) 「そんなに取られないだろうと思っていたんですけど。まあ思った以上にテイクダウンが強くて、ケツをつく展開とかもあったりして、ちょっと思った展開とは違いました」 ──なるほど。フロントチョークも神龍選手相手に極めるのはちょっと難しいと思って見ていましたが、やっぱりちょっとスイープやひっくり返すことを意識していたのでしょうか。 「もし入ったらそのまま極めようと思って、ちょっと深く入る場面も何回かあったので、ちょっと時間をかけながら相手が疲れたときにガッと極めるか、ひっくり返そうかなと考えて使っていました」 ──打撃の攻防はいかがでしたか。効いたパンチであるとか、手応えのあった打撃であるとか。 「自分が何かもらったという打撃はなかったです。フラッシュとかもないですし。ただ、最初から自分がペースを取りに行きいと思っていたんですけど、最初、あっちがバッと来たので、ちょっとペース取られて……」 ──ギロチンが勝負の鍵になったと思います。序盤の1回目のギロチンがかなり深く入ったと思います。その後のギロチンでスイープ含めて評価されるかどうかを、ご自身はどう感じていましたか。 「そうですね……あれがどう取られるのか、神龍選手極まらないからあまり判定に影響しないとかはあると思いますが、感覚的には、まあまあ深く入っていたので“取って欲しいな”と、ニアフィニッシュ近くまで行っているので、思っていました」 ──組み直して、という展開も何度もあったと思います。それは極めること、取ってほしいという気持ちのなかでやったということですか。 「相手も逃げよう、逃げようとしていましたが、自分もちょっとずつ深く入ってきて、“これ力を入れれば極まるかな?”と思ってやっていました」 ──今年RIZIN3試合目でフィニッシュボーナスを獲得できていませんが、神龍選手から一本取るのは至難の技ですか。 「そうですね。神龍選手から一本取るって、本当にすごいと思います。堀口恭司選手がそこでしっかりバチっと極めているので、すごいなと思いました」 ──大晦日に向けて再びアメリカのATTに行かれると伺いました。扇久保対策として堀口選手に色々聞いたりしますか。 「そうですね。自分個人的には色々質問したり、ATTのコーチのマイク・ブラウンらにもアドバイスもらったり、ATTにレスラーもたくさんいるので、対策したいと思っています」 ──今回同じATTからダニー・サバテロ選手も大会に出ましたが、交流はありますか。 「あります。結構気さくに話しかけてくれるというか。“おー!”という感じなので。そうですね、普通に喋ったりはします」 ──そのサバテロ選手は井上直樹選手のベルトへの挑戦をアピールしていますが、井上選手と戦ったことのある元谷選手から試合についてアドバイスしたりしますか? 「うーん……、アドバイスっていうほどのことは自分はできないと思いますけど、サバテロはサバテロで自分の強みをぶつけて勝っていくスタイルかなと思っています」 ──トーナメント決勝進出が決まり、最低でも準優勝賞金500万円は確定、優勝すれば2000万円の賞金です。モチベーションになりそうですか。 「そうっスね。モチベーション……優勝したらモチベーションというか、やっぱ上がりますよね(笑)。やっぱ優勝ですね。正直、賞金よりもベルトが欲しいです」 ──ほか、よろしいでしょうか。 「ちょっといいですか。最後にみなさん、(立ち上がってスポンサーロゴを見せながら)たくさんの応援をいつもありがとうございます。また頑張ります」 [nextpage] 悔し涙の神龍誠「めっちゃ追い込んだけど、足りなかった」 ──元谷選手との試合を終えた率直な感想を教えてください。「うーん。まあ悔しいですね。負けました」 ──今回「DEEP新旧対決」ということで注目度の高い試合でした。実際に元谷選手と戦った印象を教えてください。 「印象……、やっぱ試合展開の作り方がうまかったなって思います。休むところ休まれてる感じしたし。素材というか、能力値的には負けてないけど、ゲームプランの作り方とかが上手いなあって。はい。そこを突かれたなって思います」 ──いま試合を終えたばかりですが、今後の目標・展望を教えてください。 「そうですねえ、負けたんで……。今回も死ぬほど追い込んだつもりだったんですけど、まだまだ修行が足りないということで。ちょっと、まだもっと頑張らないとなって。修行します」 ──テイクダウンはできたと思いますが、その後なかなか相手の背中をマットに着けられずに、ちょっと膠着するような形になってたと思います。そこはやはり元谷選手が上手かったのか、テクニックかパワーとか、どちらの差を感じたのでしょうか。 「まあ、うまく攻めさせないような形を作るのが上手かったなと思います。で、フロントチョークとかも入ってないけど、微妙に行き過ぎるとひっくり返されそうな展開とか。だからこっちも動けずに、まあコツコツ殴ってポイント取るしかないというか。そこら辺が極める気ないけど攻めてるような感じで見られちゃったと思うんで、印象とか。そこら辺が上手かったんですね」──神龍選手としては、テイクダウンしてからどういった展開が理想でしたか。 「テイクダウンして……寝かせるとかですかねえ。寝かせてパウンドであるとか」──ハーフで削る、といった? 「あ、そうですね。そういうふうにやりたかったけど、やっぱ立つのすごい上手いし……うん、ってとこですね」 ──打撃の攻防はどうでしたか? 「打撃はまあ、パンチとかに関して差はあったと思うんですけど。やっぱりその中間でローキック蹴られたりとか、前蹴りとか要所の手数とか上手いなって思います」 ──神龍選手が判定で負ける時は、スプリット判定でご自身が納得いっていしない時が多かったのではないかと思いますが、今回はフルマークということで完敗したと感じていますか。 「まあ負け……そうですね、攻めてるとあんまりわかんないですけど、上を取っていても自分が取ってない、ポイントにしたら。まあ、負けてますよね。フロントチョークかけられたあれがどっちのポイントなのかわかんなかったんですけど、僕は。まあでも、セコンドのチームとも話して。まあ負けても仕方ないっていう感じなんで、全然。今回は結果を受け入れてます。自分が持てる全てを出しきりました」 ──能力では負けてないというところがある、ということでしたが、そこに経験の差を感じましたか。 「経験なんスかねえ。わかんないなあ……経験はしているつもりではありますけど僕も。まあでもやっぱ、なんだろう。いつもここで躓くんですよね。このトップの壁で。やっぱ何かが足りないんですよね、僕に。本当に地獄見て行くしかないですね」 ──日頃もすごく追い込んで練習されていらっしゃると思いますが、それでもまだ足りないですか。 「もっと……どうなんスかね。めっちゃ追い込んだっすね、マジで。(涙ぐみ)まあでも、めっちゃ追い込んだけど、足りなかったですね」
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