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【ボクシング】武居由樹が王座陥落、挑戦者メディナのアッパー7連打で4R TKO負け。井上尚弥が完璧なボクシングの技術戦で完封勝利「アウトボクシングもいけるでしょう?」中谷潤人へ「来年東京ドームで盛り上げましょう」

2025/09/14 19:09

▼メインイベント WBA・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ 3分12R
〇井上尚弥(大橋ジム/王者)
判定3-0 ※118-110×2、117-111
×ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン/WBA世界同級暫定王者/挑戦者)
※井上が5度目の防衛に成功。


【写真】最強の挑戦者と謡われたアフマダリエフを技術で翻弄した井上(写真は以前の計量時)

 4団体統一世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥が5度目のタイトル防衛戦として、14勝(11KO)1敗のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)を挑戦者に迎えた。アフマダリエフは2016年リオ五輪バンタム級銅メダル、元WBAスーパー・IBF世界スーパーバンタム級統一王者。

 1R、両者とも広いスタンスで向かい合い、フェイントのかけ合い。井上がジャブから右ボディストレート、サウスポーのアフマダリエフも左ボディストレートを放つ。互いにジャブ。終盤、井上がワンツー、アフマダリエフの左ストレートをかわすと井上が下がりながらの左フックを合わせた。

 2R、井上が右ボディストレート、ジャブ。1分30秒を過ぎると前に出てくるアフマダリエフはジャブ、井上は左へ回り込みながらのジャブ。再び見合ってフェイントをかけ合う両者。それだけでどよめきが起こる。ジャブを打つ井上。

 3R、右ストレートを伸ばす井上。ジャブをボディに打った井上は右フック。ジャブを打ちながら左へ回り込んでいく井上は右ストレートも。アフマダリエフが詰めてくるとステップで大きく回り込む井上。ジャブと右ボディストレートを当てていく井上は、アフマダリエフが左ボディアッパーを打つと右を返す。

 4R、井上がジャブから右ボディストレート、前へ出てくるアフマダリエフには左フック。入り込もうとするアフマダリエフのガードの上から井上はワンツーを打つ。前へ出て右を打って来るアフマダリエフに井上は回り込んでジャブ。コーナーに詰まる井上だが、アフマダリエフが右フックを打って来るとステップでかわして離れる。井上のワンツー、左フックへの右フックがヒットするが、アフマダリエフの右ストレートを被弾。すぐに足を使って回り込む井上は連打を許さない。

 5R、カモンゼスチャーのアフマダリエフに井上は右ストレート。アフマダリエフが詰めて来るとステップで離れる井上。右フックをもらうと井上も“来い”。ブロックを固め頭を下げて前へ来るアフマダリエフに井上はジャブ。左フックをかわしての右ストレートを狙う井上。ワンツーからの左フックに歓声が起こる。さらにジャブから右ショート。アフマダリエフが前へ来るとステップでかわす。

 6R、再び広いスタンスで向かい合う両者。アフマダリエフのジャブは井上がかわし、逆に井上はジャブを当てる。井上は右フックからのジャブ。ロープを背負った井上はガードを固め、アフマダリエフのフックを受けて打ち終わりにパンチを返す。左ボディがヒットするとアフマダリエフが下がり、井上が攻勢に。

 7R、向かい合った井上はノーガードで挑発。ジャブを突く井上が右ストレートで前へ出る。空振りが続くアフマダリエフに井上は右ボディアッパー、下がりながらの左フック、そして右ストレート。井上がジャブを当て、アフマダリエフが出てこようとするとステップで回り込む。

 8R、アフマダリエフの前進に合わせて井上はワンツー、ジャブ。ワンツーからの左ボディ。アフマダリエフが前へ出てくると左へ回り込む井上。右ストレートをヒットさせる。ガードを下げて誘う井上はアフマダリエフのフックをかわしてみせる。

 9R、井上が内側・外側からのジャブ。アフマダリエフが入ろうとするとそこへジャブを合わせる。ワンツーからの右アッパー、右ストレート。井上は左右に身体を振り、アフマダリエフが入ってくると華麗に回り込む。そしてジャブ。ジャブから右ストレート、左フック。アフマダリエフのジャブをかわしての右アッパー。右ストレートを連続ヒットさせる井上。

 10R、井上がジャブから左ボディ。軽快なステップでアフマダリエフの前進をかわし、ジャブを打つ。いきなり前へ出ての連打からステップで回り込む。さらにワンツー。アフマダリエフのフックはかわす。ジャブで詰めるアフマダリエフだが、井上は右のカウンターを狙う。ジャブを打ちながらステップで回り込み、完全にアフマダリエフを翻弄する。

 11R、井上は左へ動きながらジャブ、右ストレート。井上の左アッパーが空を切ると場内からはどよめきが起こる。ジャブを突き続け、ステップで回り込む井上は余裕さえ見える。最後に井上がワンツーを連打。完璧なボクシングで井上が圧倒した。

 12R、井上がワンツー、ジャブ。アフマダリエフがワンツーで前へ出てくるが、井上が両腕ブロック。そして“来い”と挑発してワンツー、右ストレート、ジャブからの右ボディ。アフマダリエフのパンチをかわし、すぐにジャブを突く井上のスピードは最終Rでも全く落ちずに動き続ける。アフマダリエフは井上のスピードについていけない。右フックをかわしての右。残り10秒、アフマダリエフの右フックを被弾した井上だが、ステップで追撃を許さなかった。

「皆さん、ありがとうございました。アウトボクシングもいけるでしょう? 誰が衰えたって? そんなことは冗談にしておいて、応援ありがとうございました。今回この試合は自分にとってモチベ―ションが高い試合になりました。それは対戦相手のアフマダリエフ選手の実力を評価していたからこそ、このパフォーマンスをすることが出来ました。ありがとうございました。

 1Rからアフマダリエフ選手の戦い方をしていたら正直この試合は分からない試合になっていたと思います。ですがチーム井上で戦術を練ってきて、当日体重、スピードを生かした戦い方にフォーカスを向けて挑んできた結果だと思います。

 もちろん倒しに行きたい気持ちはあり、そんな気持ちをグッと抑えながら判定決着というものに考えをおいて戦っていたので今日こういう結果になりました。ただ中盤、倒しに行こうと思って打ち合いに挑んでいたらまた違う結果が今日この夜、訪れていたと思うので、今日はこの戦い方が大正解だと思います」と勝利者インタビューに応える井上。

 ボブ・アラム氏からの「こんなに賢いボクサーは見たことがない」との言葉に自覚はあるか、と問われた井上は「大ありですね」と答えて笑いを誘い、「賢いボクシングを選択すれば出来るんだということを今日証明できたのかなと思います」とした。


 次の目標を聞かれると「具体的な話で言いますと、次、12月にサウジアラビアであると聞いているので、また精進してまた素晴らしいボクシングを見せられるように頑張っていきます」と言うと、リングサイドで観戦していた中谷潤人が歩いて行く姿を見つけたか、その背中に「中谷くん! あと1勝。12月お互い頑張って、来年東京ドームで盛り上げましょう」と語りかけ、中谷も笑顔で応えた。

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