弥益「戦いの根本の部分で勝ちに行きたい」
──いつぐらいから試合に向けたファイトキャンプという形で取り組みましたか。
「試合が決まるか決まらないかみたいな時間が長かったので、完全に決まってからは、たぶん2カ月ぐらいですかね、ガッツリ作り始めたのは。
──それは通常の仕事をこなしながら、ですね。
「ああまあ、それはそうですね(笑)。あくまで仕事をしながらにはなりますが。練習環境は変えずに、強度を高めて。いつもだったら例えば、週1でオフの日というか。少なくとも格闘技の練習はしない日みたいなのはあったんですけど。今回はもう時間があれば、週7で格闘技の練習をしてっていうのをちょっと試しにやってみて」
──週7? 休み無しで仕事終わりに練習を毎日?
「そうです。週7です。休み無しでやってみて、ちゃんと体を壊したりもしましたけど(苦笑)」
──練習できる時間が貴重なのでしょうけど、無理がありますよ……でも、それが今日の身体なのですね。
「それで、いつも以上に練習も少なくとも量と質というのはこなせてきたかな、と思っています」
──さきほど計量で向かい合ったら、弥益選手が大きいなと正直思いました。
「そうですね……まあ白いから膨張色で大きく見えたんじゃないですか(笑)。まさに体格差は出るなっていうのはもちろんわかっていましたけど体重は同じで、だからといってじゃあ組んだら違うのかっていうのは、もちろん岡田さんと組んだこともあるので、サイズだけの力の差っていうのはないっていうのは認識してるんで、過剰に大きく見ることもないですけど、小さく見ることもなく備えているつもりですね」
──今回はDEEPから初めて修斗に乗り込む形で、相手の引退試合でもある。弥益選手にとってやりにくい状況なのではないかとも考えましたが、でもここで復帰を決めたのは?
「いや、もうこれじゃないと受けられないなと。あの……何ですかね、情けないですけど、仕事もありますし、家族もいるし、格闘技にリスクがある中で受けるっていうのは、どんどん自分の中でハードルが上がっていって、それは正直、見る人が増えてそのプレッシャーっていうのももちろんあります。個人的な環境の中でもやっぱり正直、脳みそのリスクですとか、怪我のリスクとかも練習の中でもある上で、試合に出ることのハードルの高さっていうのは、年々上がっていってる自覚もあります。
そういう中で、ただ、自分の格闘家としての立ち位置っていうのは──競技面で言うと高さを失っている。2連敗という状況です。いいオファーをいただける立場ではないことも分かっているんで、その自分の中のハードルの高さと立ち位置っていうのがそぐわない状況です。今回は、その無駄に上がってしまったハードルを飛び越えてくる試合でした。
(復帰戦に向け)ある程度の“飛び道具”じゃないと無いな、このままもしかしたら試合しないのかなって思ってた中でやっぱり、こんなにいい歳した、お父さんとして普段生きてる、会社員として生きてるような人間が大人気なく、大汗かきながら殴られながらね、大人気ない姿を晒せるのは──やっぱり大人気なく頑張ってる同学年の岡田遼がいたからこそなので、そういう意味ではほんとに、一緒にファイトキャンプを誘ってもらったくらいの気持ちで受けさせてもらいました」
──改めて岡田遼選手の試合を見直したかと思います。どういうファイターですか?
「もちろん自分も直接肌を合わせたこともあるし、めちゃくちゃ強い選手だっていうのは分かっていて、ここ3試合で連敗をしているのは、日本でトップクラスの選手と対戦をしてきたから。それでもやっぱり後半の失速が感じられるのは、1R目はすごくいい展開が作れていると思いますが、だんだん後半に行くにしたがって失速が目立つなっていう印象はあって、そこにはバンタム級の減量が多少影響しているのかなというのはあって、じゃあフェザー級に上げて、過去最強の岡田遼が出てきてしまうかもしれないし、それを念頭に入れた中で仕上げてきたつもりです」
──怖い弥益ドミネーター聡志が見られそうでしょうか。
「それを出せない勝てないと思います。格闘家として向き合ったら、向こうの方が格上だと思っています。あの“格闘家”じゃない部分で、格闘技だけじゃないファイトの根本の部分で勝ちに行きたいと思います」
梅田恒介 そういえば、ユニファイドルールは初なんですよね。
──あっ、DEEP育ちで15試合、RIZIN5試合。「PANCRASE vs DEEP 大阪大会」で中村晃司選手に勝利した試合は……DEEPルールだったんですね。いつかの海外も試合も見据え、弥益ドミネーターのユニファイドルールも興味深いです。
「だから……蹴っちゃったら、本当ごめんなさい、です(笑)」
RTU帰りの山内渉が柔術黒帯デウジヴァン・ソウザと対戦
▼第6試合 フライ級(56.7kg)5分3R
山内 渉(FIGHT FARM)7勝2敗 56.65kg
デウジヴァン・ソウザ・シウバ(GRANOLA JIUJITSU TEAM)5勝4敗 56.60kg
山内は、修斗で6連勝後の2023年11月の修斗世界フライ級王座決定戦で、新井丈と年間ベストバウト級の死闘を繰り広げるも3R TKO負け。怪我とダメージを抜いての11カ月後の2024年10月に髙谷裕之が旗揚げした『POUNDOUT』第1回大会で松場貴志に判定勝ち。26歳。
前戦は、2025年5月22日の『ROAD TO UFC シーズン4』フライ級に出場。現UFCのニャムジャルガル・ドゥメンデムベレルにしか敗れていない7勝1敗のモンゴルのナムスライ・バトバヤルと対戦し、カウンターの右でダウンを喫してTKO負け。3カ月を置いて再起戦に挑む。
計量後、山内は「体調はいつも通りバチです。(RTUからの再起戦でLemino修斗の国際戦に臨むことについて)ほんとうに国際戦を組んでいただき、ありがたいなって気持ちですね。すごいモチベーションで練習してこれましたし。頑張りたいなって思ってます」と意気込み。
またソウザ戦に向け、タケ大宮司トレーナーについてもらい、身体の使い方、スタンドのポジショニング等を練習してきたことを明かし、「いろいろ変えてきた部分があって、出したい部分もいっぱいあるので、それは明日試合見て、前戦からの成長を感じてもらえたらなって思ってます。そして、明日は試合を楽しむことを目標に頑張りたいなと思っているんで、皆さんよろしくお願いします」と語った。
山内は、『ROAD TO UFC』以来、2試合目の国際戦で対海外勢の圧力のなか、再起を飾ることができるか。
対するデウジヴァン・ソウザは、柔術黒帯でMMA5勝4敗の32歳。グラノーラ柔術所属で、地元ブラジル大会から現在は中国WLFを主戦場としており、5勝中4つの一本勝ちでは、RNC、三角絞め、腕十字の極め手を持つ。
中国WKGでは、オーソからパワフルな右オーバーハンドで組んでテイクダウン、ガードパス、腕十字を極める姿が確認できるソウザ。
23年4月にはBLACKCOMBATにも出場経験のあるフェン・ティエンハオにWLFで判定負け。そのフェンはWLFで風我と神酒龍一を下し、駒杵嵩大とフライ級王座決定戦を戦ったユン・ホヨンには判定負けしており、デウジヴァンにとっては、戦い慣れたアジアで、もう一つの主戦場を作ることが出来るか。
計量後、ソウザは「私はこの試合に向けて準備してきました。修斗のメダルを取るためにここに来ました。皆さん、明日、素晴らしい試合を見ることを準備していてください。日本、ありがとう」と語っている。









