「ベルトを守る方が辛い」とか言われてるけど逆だなって(若松)、やっと「そのとき」が来た(三浦)
──TRIBE TOKYO MMA所属の同門として、大会までにどんな準備をして臨もうと思っていますか。
若松 三浦さんとはよく同じ日に試合をしてきたんで、こうして一緒にタイトルマッチをできることがすごく嬉しいですし、昨日もちょっと三浦さんの“あやかロック”というか首投げを教えてもらいました(笑)。
三浦 いや全然、試合前に皆さん「いいですよ。組みましょう」とかって言ってらえたり、中でも佑弥くんはTRIBEの中でも本当にトップレベルの選手なんで、気持ち的に大先輩なんですが、声かけてもらえたりとか。あと今回は、先に佑弥くんがタイトルマッチが決まっていて、前回のタイでの試合の前に『絶対に勝って、一緒にタイトルマッチをやりましょう』と声をかけてもらったり、普段日常生活とかでも、佑弥くんがいることでモチベーションが上がったりしたので、今回絶対、11月に2人でベルトを取りたいと思ってます。
――3月の日本大会はキックやムエタイの試合が多かったですが、今大会はMMA色の強い大会になりそうです。MMAの面白さなど、魅力を伝える試合をしたいという思いもありますか。
若松 そうですね。ヘビー級のMMAのタイトルマッチ(オマール・ケインvs.アナトリー・マリキン)もありますし、プラス(リングではなく)ケージでもあるんで、MMAの面白さを。ONEの世界的なレベルの高さを見せられるんじゃないかなって思っています。
三浦 今回はケージと聞いてすごくびっくりしたんですけど、前回の日本大会では佑弥くんの試合から、MMAの面白さっていうのが、またバン! って上がったと思うんですよ。だから、キックを見ている人に対しても、今回の大会で、MMAの面白さが広がってくれたらなっていうのもあります。佑弥くんは打撃ですごく光って、私は寝技で極めて。MMAの面白さをいろいろ知ってもらえたらなと思っています。
──三浦選手は先日のフライ級GPで、パートナーの山本アーセン選手が力を出し切れずに一本負けしてしまったことで、今回の試合の発奮材料になることもありますか。
三浦 私は(7月18日と)2試合分やる気持ちでいて、私の試合が終わった後、彼は本当に追い込みというか、減量期だったんで『良かったね』という風には言ってもらえたんですけど、試合に集中してもらっていて。(27日にアーセンは)負けてしまったんですけど、勝ち負けは絶対つくものなので。彼は負けてしまったけど、私はベルトを獲って背中を見せたいっていう風には思ってます。もうハチャメチャでも、最後にベルト獲るのは自分だよっていうのを。
──若松選手に伺いたいのですが、ベルトを追う立場と、守る立場はやっぱり気持ちが違うと思うんですけど、そういう中で思ってなかったような感情などが沸いてくることもありますか。
若松 あまり変わらないですが、ただ、そのベルトがやっぱり力を貸してくれるじゃないですけど、前よりも追い込めるし、より強くなるような、力になってくれるっていうか──よく「ベルトを守る方が辛い」とか言われてますけど、逆だと思ってて。「絶対これがプラスして強さになるな」って感じてます。
──三浦選手、22年にストロー級でション・ジンナンに挑戦してから、今回アトム級で王座に挑戦するまでに時間もかかったと思います。その思いを。
三浦 やっと来たなっていうのはあるんですけど……やっぱり、いろんな経験をしたからこそ、今があるっていう風に思ってますし、『タイトルマッチをしたい』ってずっと言い続けて、そして『もうベルトを獲る』って言い続けて、やっとそのときが来たかなって思っています。だからこのチャンスを絶対モノにしようって思っています。
──今、目の前に(若松の)ベルトを見てどうですか?
三浦 いや、まだベルトを触ってなくて……、あの、自分が取るまで触らないようにしていて、裕也君の試合、すごく感動したんですけど、それと同時に“うわ、すごい悔しいな”って思ったんですよ。日本大会でベルトを獲って、めっちゃかっこいいなって思ったのと、“自分もベルト欲しいなあ”っていう思いがすごく強くなったんで、私もしっかり自分自身でベルトを獲りたいって思っています。
若松 三浦さん“チャンピオン”なんですよね、なんか常に。私生活からチャンピオンを意識していて、こう、サングラスつけて歩いてるんで、なんか「引き寄せの法則」をすごい学んでます。もう心はチャンピオンだなっていう。
──そのサングラスや今日のコーディネートはご自身で?
三浦 当初はちょっとまた違った服装だったんですけど、アーセンの妹のミーアちゃん、美憂さんがいろいろ選んでくれて、その中で今日着たのがこれだったっていう感じです。すごい気に入ってます。普段着ないので。
──若松選手は具志堅用高さんともYouTubeで交流する機会があったようですね。
若松 はい。やっぱり、13回防衛したレジェンドっていう、そのことを成し遂げた人にしかないオーラがあると僕は思っていて。僕も防衛するにあたってどういう心境で挑めばいいかなども学びたいと思って会わせていただきました。技術的にはコンビネーションだったりは僕も出来ているので、なぜ連続防衛できたのかとか、映像で見るのとお会いするのとでは全然違いますし、人として素晴らしいなあって。ジムの会員さんでも誰にでも気さくに握手して、態度も謙虚で、肉体的な強さだけじゃなくて、やっぱりチャンピオンとして大事なもの、ベルトなんてもう本当にただの物体だけだなって感じました。
──チャンピンになって周囲の目は変わりましたか。
若松 結局他人っていうのはそうやって変わるものですし、自分にしか真実は分からない。ほんとうに試合とかすべてが“自分次第だな”と改めて気づかせてくれました。試合は相手どうこうじゃなくて、本当に自分に打ち勝てるかどうか。周りがちやほやしてくるんですけど、それに乗っかって自分が知らずに天狗になっちゃったりすることも多いと思うんですけど、そこをいかに惑わされず、崩さないっていうことが大事なんだなって、ベルトを獲って改めて感じましたね。
──日本大会でKOボーナスも獲得しましたが、それは家族のことに使ったりしたのでしょうか。あるいはご自身へのご褒美など。
若松 ご褒美……あの車は買いましたね、でも試合前に予約していて、別にチャンピオンになったからとかじゃなくて。その前に予約していたら、引き寄せましたね(笑)。前回の日本大会後には、家族とのリラックスする時間も取れた感じですかね。いつも試合前には僕、別居するんで。この時期は日曜日は完全に家族の時間ですし、できる時は子供の送り迎えをしたり、早く起きて遊んだりとかしています。




