2025年11月16日(日)、東京・有明アリーナにて開催の『ONE 173』にて、「ONEヘビー級MMA世界タイトルマッチ」(5分5R)として、同級王者オマール・ケイン(セネガル)と、元同級王者でライトヘビー級&ミドル級MMA世界王者のアナトリー・マリキン(ロシア)の再戦が決定した。
▼ONEヘビー級(120.2kg)MMA世界選手権試合 5分5Rオマール・ケイン(セネガル)王者アナトリー・マリキン(ロシア)挑戦者/元王者
24年11月以来の再戦。前回は、三階級王者マリキンにセネガル相撲王者のケインが挑戦し、1Rにマリキンの左フックをかわしたケインがダブルレッグテイクダウン。立つマリキンをさらにテイクダウンする際に、マリキンがロープを掴んだことで、イエローカードで20%の減点に。これが響き、マリキンが右のパンチで反撃し、テイクダウンを狙うも、ケインがコーナーを背にして防御する展開のなか、5R判定2-1のスプリットでケインが勝利し、ヘビー級王座奪取に成功している。
会見冒頭では、マリキンが「ケインはとてもいい選手だが、チャンピオンでいられるのは今だけ。十分にチャンピオンを楽しんでおけ。11月には必ず取り戻す」と王座奪還を宣言。ケインはその言葉を意に介さず「すごくいい気分です」と一言、笑顔で返した。
再戦に向けてケインは「前回、自分は50%の状態だったが、今回は100%。間違いなく打ちのめすことが出来る」と勝利に自信。マリキンは「前回の対戦は、いわば“ダンスのようなもの”だった。試合が始まって相手はすぐにダンスをし始めたと思っている。リマッチでは、彼が何と言おうと必ずKOする」と、KO決着を予告している。
日本で戦うことについて、マリキンは「日本は我々のレジェンドであるエメリヤーエンコ(ヒョードル)が戦っていた場所で、エメリヤーエンコは、日本と日本人について『とてもいい国である、いい人たちである』と言っていました。彼が日本の街中を歩いている映像なども見て、日本の人々に対して敬意を持っている姿や、日本の人々がエメリヤーエンコを求める姿を見て、私もその地で戦うという伝統を私も引き継いでいきたいし、美しいMMA、美しい格闘技を見せたいと思っています。日本の皆さんには暖かく歓迎していただいていることに感謝を申し上げたいです」と、PRIDE時代から活躍を知るヒョードルのように、活躍したいとし、練習環境でも「エメリヤーエンコのもと、ワジム(ネムコフ ※元Bellator世界ライトヘビー級王者、現PFL)のチームとともに行っていきたいと思っているので、その成果も見せられるのではないかと思う」と、ヒョードルチームとともにタイトルマッチに臨むことを明かした。
対するケインも「日本でのファイトはいつも楽しいし、本当に好きです。日本にはMMAの伝統がある、そして素晴らしいファイターたちが生まれてきて、レジェンドもたくさん誕生しているということから、自分もぜひそれを引き継いでいきたい。そして地域を代表するような選手になっていきたい」と意欲を見せ、そのレジェンドの一人、クイントン・ランペイジ・ジャクソンが、ケインのコーナーマンとしてつくとした。
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また、日本滞在中に都内の相撲レストランを訪問し、同店に設置された土俵で、元小結の常幸龍、西十両7枚目の朝弁慶と対戦。
朝弁慶を左の下手で寄り来ると、常幸龍には右で下手、左を足取りの形で崩して寄り切り。見事2連勝を飾っている。ともに力士側が受ける形だったが、そのパワーとテクニックには常幸龍も目を丸くして驚き。
それもそのはず“ログログ”ことオマール・ケインは、セネガル相撲の全国大会で16試合を全勝するチャンピオンに輝いた実績を持ち、そこではスタンドパンチありのルールで戦い、優勝している。
「同じルーツを持つし、とにかくやろうって思いついて土俵に上がってみた。とても楽しかったよ。セネガルでは1日3、4試合を3日連続で戦ったこともあるから問題ない」と本誌の取材に答えている。
一方のマリキンも、会見で片目のだるまを手にし、「日本ではこれに願い事をして、まず一つだけ目を入れると聞きました。願い事がかなったら、もうひとつの目を入れると。次の試合で“ログログ”をKOして、大事なベルトを獲り返して、もうひとつの目を入れたいと思います」と、リベンジに燃えている。
【写真】日本滞在中に道場で居合を体験したマリキン。
「この2人に比べれば、ボブ・サップが赤ちゃんみたい」と日本語で評したチャトリCEOは、「今回はリングではなく“サークル”形式のケージで戦う。2人の実力が白日のもとに晒される」と、逃げ場無しのヘビー級の再戦に期待を寄せた。
両者にとって縁のある日本大会で行われるONEヘビー級タイトルマッチの再戦は、王者ケインが防衛するか、マリキンが奪還するか。