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インタビュー

【UFC】挑戦者ショーン・オマリー、SNS断ち&トラッシュトーク封印「もっと幸せになるには何を減らせばいいかを考えた結果」「俺は“良い状態のメラブ”と戦った。でもあいつはまだ“本当の俺”を知らない」=6月8日(日)『UFC 316』

2025/06/08 01:06

「とにかく相手に触らせるな。触らせなければ俺の勝ち」

──AKA代表のハビエル・メンデスがウマル・ヌルマゴメドフ(バンタム級3位)の敗戦後に「メラブは勝ち方を知ってる。フェンスに押し付けて、支配してるように見せるのがうまい」と語っていました。あなたが“試合は意外と接戦だった”と言ってたのも、そういうスタイルが関係してるんでしょうか

「確かにメラブは“勝てるポジション”を作るのが巧みだよ。でも勝ち続けてるって事実はすごいよな。あれだけの連勝を重ねて、強豪たちを倒してる。文句は言えない。勝ってる。それがすべてだよ」

──あなたのYouTubeで、ネイト・ディアスとコナー・マクレガーのリマッチを観ている映像が出ていましたね。偶然なんですか? コナー本人もその件に反応してました。

「ただ最近いろんな試合を観てるんだ。たまたまだよ。いろんなファイトを見返してるだけ」

──マリオ・バティスタ(バンタム級10位)がパッチー・ミックスをUFCに迎え撃つカードが同日にありますね。どう思いますか?

「バンタム級がさらに熱くなるな。パッチーの参戦はこの階級をもっと盛り上げてくれる。マリオはタフな相手だ。ジョゼ・アルド戦で批判されたけど、今は波に乗ってる。マリオはマジでレベルが高いし、スキルもある。いい試合になると思うよ」

──いろんな変化について話してきましたが、それは勝利のために変えたのですか? それとも、自分自身のための変化だったのでしょうか?

「前にも言ったけど、俺は元々ハッピーな人間だった。でも、“これだけ完璧な生活してるなら、もっとハッピーでもいいはずだ”って思ったんだよ。だから、もっと幸せになるには何を減らせばいいかを考えた結果、邪魔なものを取り除いた。それは“ファイターとして”というより“人として”の話だな。結果的にそれがパフォーマンスにも繋がるかもしれないけど、目的はそこじゃなかった」

──ドミニク・クルーズが「そういう生活スタイルの変化が、キャリアの長さにもつながる」と言っていましたが、その意見には賛成ですか?

「賛成だよ。俺は今30歳だけど、まだ俺のピークは見せてないと思ってる。この試合がその最初になるかもしれないし、長くこの世界にいたいって思ってる。“長くやれる身体でいること”は、いつも頭にある」

──今回の試合、メラブをノックアウトしなくいてはと思っていますか? 判定や一本も視野に入ってますか?

「どんな形でも勝てる自信はある。当日に答えが出るだろうな」

──もし王座を取り戻したら、3戦目、つまりトリロジーに持ち込むのもアリだと思ってますか? それとも他の選択肢を模索しますか?

「可能性はある。オプションがあるのはいいことだからな。試合後にいろんな選択肢が見えるのは、すごくありがたいよ」

──メラブは「今年4度タイトルを防衛したい」と言っていて、すでにあなたとの試合のあとにさらに2試合を考えているようです。そういう発言は、あなたに対するリスペクトや集中が欠けていると思いますか?

「正直、あいつが何考えてるかなんて分かんねぇし、そもそも自分でも分かってないんじゃないか? “年間4試合”ってのはぶっ飛んでるよ。まあ、もし誰かがやれるとしたら──いや、今回あいつは俺に勝てるわけないけどな──ああいうヤツが年間4試合やるのはあり得るかもな」

──勝った場合の話ですが、イズラエル・アデサニヤ(ミドル級4位)とのトレーニングは今後も続ける予定ですか?

「いや、イジーはたまたまアリゾナに来てたから、“ジムに来いよ”って誘って、一緒に過ごしただけ。すごくクールだったよ。でも、住んでる場所が遠すぎるから、たぶん一緒に練習することはそんなにないと思う」

──次の対戦相手として誰か思い浮かんでいますか? たとえばコーリー・サンドヘイゲン(バンタム級4位)とか?

「メラブとの三部作もあり得るし、ピョートル・ヤン(バンタム級2位)との再戦もあるし、コーリーも可能性ある。とにかく、試合が終わってからじゃないと意味ない話だ。試合の翌日に答えられるかもな」

──将来的に、ファンが望めばマルロン・ヴェラ(バンタム級7位)との3試合目も見られる可能性はありますか?

「前回の試合を見たか?(笑)……たぶん、ないな」

──前回負けたあと、あなたはトーマス・アルメイダをKOして、そこから連勝して王座を獲得しました。今回のキャンプでも、そのときの経験を思い出したりしましたか?

「間違いなくしたよ。アルメイダ戦は俺のお気に入りの試合のひとつだったし、あのKOもお気に入りだ。敗戦から立ち直って、ああいうパフォーマンスを見せられたことはすごく意味がある。今回もそれに近い感覚だね。何度もあの試合を見返したし、“メラブをトーマス・アルメイダみたいにしてやりたい”って思ってる」

──ライフスタイルの変化についてですが、格闘技以外の面でも効果がありましたか?

「生活が全体的に“ゆっくり”になった気がする。それがすごく心地いいんだよ」

──“シュガー”というキャラクターから少し距離を置いたことで、家族と過ごす時間にも変化がありましたか?

「100%。たとえば車を運転しながら、無意識にInstagramをいじってる自分に気づくんだ。“俺は何やってんだ?”って。娘と遊んでるときも、気づいたらXを見てたりして、“いや、今ここに集中すべきだろ”って思えるようになった。そういう気づきが増えて、気が散ることが少なくなって、家族やトレーニング、友人との時間にも集中できるようになった」

──今回、お父さんがセコンドに入り、子どもたちとの時間も増えたようですが、30歳を迎えて家族との関係も深まったと感じますか?

「そうだな。20代はめちゃくちゃ楽しかったし、良い時間だった。でも30になって、ちゃんと大人にならなきゃって思った。これまでだって真面目にやってきたし、キャンプを疎かにしたこともない。だけど今は、進化してるって実感がある」

──もし去年9月のメラブ戦で勝っていたら、今のような変化は起きなかったと思いますか?

「いや、起きてたと思う。前から変わろうとは思ってたから。あの敗戦が、ただタイミングを早めただけ。でも、まあ──人生なんて分かんないよな」

──今回リマッチになりますが、マルロン・ヴェラとの再戦経験も踏まえて、前回メラブと戦ったことが今回にどう活きると思いますか?

「お互い25分間ケージで過ごしたから、それが俺に有利なら、あいつにも有利だと思う。でも、あいつは“ベストな俺”と戦ったわけじゃない。メラブが俺を軽視してるとは思わないけど、俺が厄介な相手だってのは理解してるはずさ。ただ、俺は“良い状態のメラブ”と戦ったと思ってる。ウマル戦はキャリア最高のパフォーマンスだったろうし、今がピークなんだろう。でもあいつは、まだ“本当の俺”を知らない。驚かせてやるよ」

──ケージの中でバスケの動きなど、楽しそうにしている姿もありました。今回もそういう“遊び心”は見られそうですか?

「出るときは出るよ。あれは計画してやってるわけじゃない。自然に出てくるもんなんだ」

──SNSやゲームをやめて、時間ができたと思いますが、新しく始めた趣味はありますか?

「ポーカーをちょっとやってるな。仲間とやるポーカーは最高だよ」

──やめるのが難しかった習慣はありましたか? 全部で何をやめたんですか?

「いや、どれもそんなに苦じゃなかった。やめたら、それで終わりって感じだな。ゲームとSNS、それくらいかな」

──以前、“デイナ・ホワイト・プリビレッジ”(※デイナ・ホワイト代表に好かれた選手が、特別な待遇を受けているように見える状況を皮肉った表現)について話してもらいましたが、今もそれはUFCの中であると思いますか?

「どうだろうな。でもUFCはポテンシャルのある選手にはチャンスを与えるよ。派手なKOを決めたら、それはバズるし、UFCも取り上げてくれる。UFCが“作る”んじゃなくて、選手がやってみせたことに対して反応してるだけ。俺がここにいるのは、自分で実力を示してきたからだ。UFCには感謝してるよ」

──あなたのコーチのティム・ウェルチは「メラブはバンタム級史上最高の選手だ」と言っていましたが、あなたも同意しますか?

「ああ、同意する。アルジャメイン・スターリングは、俺が倒したときには“最強”だった。で、今の“最強”はメラブだと思ってる。それだけだよ」

──マクレガーとディアスの試合を観ていた件についても少し聞かせてください。ネットで結構話題になっていました。

「いや、その試合を観ている映像がSNSで公開されていることは知らなかった。SNSを見ていないからさ。ただ、最近はいろんな試合を観てる。俺たち、ジムで常にカメラ回してるから、知らないうちにそういう映像が撮られてたりするんだよ。チャック(リデル)対ランディ(クートゥアー)も観たし、昔の試合もいろいろ観てる。コナーの試合は特にたくさん観てきた。自分の試合の次に多く観てるかも」

──コナーはその件について好意的にコメントしてましたよ。「ショーンの準備は、ネイトとの再戦時の自分と似ている」と。

「マジで? それは嬉しいな」

──彼との関係も良好に戻ったようですね?

「ずっとコナーの大ファンだよ。彼のキャリアをリアルタイムで追えた世代の人間として、すごく感謝してる。振り返れば、あんなクレイジーなキャリアはそうそうない。UFCに入ったばかりの頃、彼の活躍を観ながら“俺もこうなりたい”って思ってた。関係がまた良くなって、本当に嬉しいよ」

──これまでにも豪華なメンバーと一緒にトレーニングしてきましたね。イズラエル・アデサニヤ(ミドル級4位)や、DJ(デメトリアス・ジョンソン)も来ていたとか。とくにDJは体格的にもメラブに近いと思いますし、参考になったのでは

「そうだね、うちのジムの連中にとってもすごく刺激になったと思うよ。イジーが来てクラスに参加したり、DJが道衣を着てローリングしてるのを見ると、みんな“マジかよ”ってなる。俺にとっても本当にインスピレーションになったよ。何よりも、彼らがすごく謙虚で、まだ学ぼうとする姿勢を持ってるってところに感動した。2人とは1回だけ一緒に練習したけど、“メラブ対策にこうしたほうがいい”とかって話じゃなくて、ただ自然に一緒に汗を流したって感じ。すごくクールな経験だったね」

──ちなみに、友人のシュミッティは試合後のアフターパーティに参加できそうですか?

「いや、今回はアフターパーティなしだ。朝3時の便で帰るからな」

──前回のメラブ戦を振り返って、今回の再戦に向けて“これが鍵になる”というような学びはありましたか?

「俺は毎回同じマインドセットで試合に臨んでる。“とにかく相手に触らせるな”。特に相手がテイクダウンを狙ってくるときは、それが絶対条件になる。メラブ戦も、アルジャメイン戦も同じ。触られなきゃ、俺の勝ちだと思ってる」

──試合の雰囲気を再現した練習映像を見ました。あれはモチベーションのため? それともリマッチのプレッシャー対策?

「ティム(ウェルチ)が提案してくれたんだ。今回、いつもより遅い時間に試合があるから、午後遅くにトレーニングを始めた。あんな時間にスパーするのは初めてだったけど、実際にウォークアウトして、ケージに立って、少し待って、試合の雰囲気を全部シミュレーションしたんだ。イメージトレーニングみたいなもんだな」

──あなたは1Rフィニッシュが多いことで知られていますが、メラブはスタミナが武器で5ラウンド戦うタイプ。今回は判定決着になる可能性も考えていますか? それとも早期フィニッシュ狙いですか?

「1ラウンドでフィニッシュしても驚かない。でも25分間の激闘になっても驚かない。どっちでも対応できる。“戦争”になる覚悟はできているよ」

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