RIZINデビュー戦でいきなりグスタボ戦に抜擢されたDEEP王者の野村
2025年3月30日(日)あなぶきアリーナ香川で開催される『RIZIN.50』の選手インタビューが28日、岡山にて行われた。
第10試合のRIZINライト級(71kg)5分3Rでルイス・グスタボ(ブラジル)と対戦する野村駿太(BRAVE)が登壇。インタビューに応じた。
DEEPライト級王者で伝統派空手出身の野村は、RIZINデビュー戦でいきなりタイトルコンテンダーのグスタボと対戦。アップセットを起こすことが出来るか。
中途半端な距離にしないのが大事
「自分が思っていたより、2日前になってもまだまだリラックスしていて。このリラックスをそのまま試合にぶつけたいなと思います」
――対戦相手のグスタボ選手の印象は?
「日本人キラーと言われているように、日本人に強いですし、喧嘩の強さが一番ですね。そこがグスタボ選手の強さかなと思います」
――どんな試合展開になると予想している?
「どっちがどっちの距離に持っていって、どっちが退かないか。そこが大事な試合になると思っています」
――距離は具体的にどう考えている?
「向こうのフック系が強いので、それが当たる距離なのか、僕が伝統派の空手の距離にするのか。僕はその中で組みとか出来るので、そうする距離なのか。そこの選択を間違えなければ僕が行けると思っています。中途半端な距離にしないっていうのが、大事かなと思います」
――それは試合展開の中で瞬時に反応できるタイプなのか、ちゃんとシミュレーションして用意しておくタイプなのか?
「瞬時ですかね。そんな決めてそれ通りに動けるタイプではないので、その時その時に応じて、ちゃんと臨機応変に考えて。それを出来るように日頃練習してきましたし、打撃の強い選手にはこういうふうに持っていくとか、自分の抑え方はこうするっていうのは、散々やってきたことだと思っているので。それはその時の自分の感覚に任せたいなと思っています」
――伝統派空手出身らしく出入りもすごく鋭いし、空手の突きを多用するが、こだわりがある?
「日本人の方が空手に慣れていると思うんですけれど、外国人の方が僕たちのその伝統派空手を使った打撃に一番びっくり驚かせられるんじゃないかなと思っているので。それは海外遠征に行った時にも感じましたし、これが自分の武器なんだ、これを武器にするために他のものを補ってきたという感じに近かったですね」
――青木真也選手や宮田和幸代表に聞くと才能とか体の強さが頭抜けていると。そういう部分は自分ではどう考えているか?
「それを自分に直接言ってくれたら良かったんですけれど(笑)。散々やられまくって、それが悔しくてやってきて、それが今評価してくれてるっていう形に近いので。生まれ持ったものみたいな感じに思われがちだと思うんですけれど、そうなりたくて抗ってきたことが体の強さになっていると僕は感じています。MMAを始めた時点では正直、武田(光司)さんとかに本当ボコボコにされてましたし、最初の1カ月満たないぐらいで耳も沸きましたし、それに抗ってきたからこそ、今の言ってくれている体の強さになってきたのかなと思っています」
――自分はこの世界でやっていける、海外でも自分が充分通用するなって思ったきっかけは?
「MMAを始めた時は自分は組みが出来ないので、その恐怖で自分の空手が活かしきれなかったんですけれど、始めにBRAVEに所属してレスリングをたくさんすることによって、そこにやられない自信がつくことによって空手がどんどん活きてきたって感じなんです。それで打撃が出来だしたら、次は自分がレスリングを仕掛けることも出来ましたし、これが出来るあれが出来るっていうよりも、全体的にこれも出来るんだ、あれもこれも通用するんだっていう感じですね」
――相乗効果でどんどん消化していったと。
「そうですね。足し算というよりは掛け算に近いような感じで、レスリングと空手がマッチしてくることによって、自分の武器が分かってきたという感じです」
――RIZINデビュー戦でいきなりライト級のトップ戦線に君臨している選手と戦うのはどんな気持ち?
「美味しいしかないですね。それ以外ないっすね」
――みんながビックリするような、衝撃的な勝ち方は想像できている?
「そうですね。3、4パターンぐらいこれだったらハマりそうだなっていうのがあるので。それを最初にバーンと行くんじゃなくて、自分がその時々に散らし方、距離、タイミングを大事にして、自分が思っているものが選ぶんじゃなくて自然と出せれば、みんながびっくりするし、会場が盛り上がるKOを出来ると思っています」
――グスタボ選手といえば、嵐のような打撃のラッシュでたくさんの日本人選手がやられてきた。その打撃のラッシュの対策はどのような練習を?
「そのラッシュをさせない距離設定をすることもだし、今回はリングなのでリングでの立ち位置だとかが大事なのがまず大前提で。そこからはそこで打ち合うのか、組みに行くのか、切るのかっていう選択を3つ出来るようにしてきたので余裕があるというか。ここで打ち合うしかないみたいになってとか、みんなそこで怖くて逃げちゃって、それに巻き込まれているので、そこの選択肢を増やすことで相手もやりづらいじゃないですか。選択肢を増やして、自分のやることが詰まらないようにしてきたと思います」
――恐怖心みたいなものは?
「いや、ないです。そういう選手とやりたくてMMAを始めているので。ラクに行って、ラクに有名になろうとか上に行きたいとかはなくて、ああいう選手と戦いたくて。自分がどれぐらいやれるか試したくてMMAを始めているので、本当にこのマッチメイクはありがたいですし、美味しいですよね」
――グスタボ選手は喧嘩の強さが一番と言っていたが、野村選手は小さい頃に喧嘩はやってきた?
「ちっちゃい頃からなんか分からないですけれど、強さみたいなのにずっと憧れはあって、みんなより強くなりたかったんですね。体もみんなより強かったので、喧嘩するとかにはならなかったんですけれど、ちっちゃい頃から強さに憧れています」
――練習パートナーが青木真也選手ということで、先日のONEでの試合でセコンドに就いていたけれども、ああいう試合を間近で見たことで何か感じたことは?
「感じることはたくさんありましたし、強いが故の悩みみたいなものも。まだいけるって多分思っていると思うんです。試合までの葛藤だったり、これからの葛藤だったり、それって自分の中に全然なくて。僕はこの先どうなるんだろうっていうアレしかないんですけれど、青木さんぐらいだと年齢も体もあるので、そういう葛藤とか、戦いながらだけどまだ自分は出来るって思っていると思うんですよ。だからあの領域になるとどういうものが見えていたり感じているのか、僕はあまり分からないですけれど。青木さんの試合に臨むまでの姿勢だったり、試合でのパフォーマンスだったり、その後のパフォーマンスだったりはしっかり背中で見せてもらいました」
――グスタボ選手は3人DEEPのチャンピオンを倒してきて、今回で4人目になるだけと言っていた。そのDEEPの王者として負けられないっていう思いも持っている?
「全然そんなことは意識していなくて。あ、そうなんだって感じなんですけれど。今までの人たちとは違うぞっていうのを、試合で感じとってもらえればなと思います」
――グスタボ選手に勝つと一気にRIZINライト級の中で上位に来ると思うが、チャンピオンのサトシ選手まで行きたい?
「サトシ選手がずば抜けていますし、チャンスがあればやりたいですけれど、そこは2~3年とか1~2年とかの内にやれれば、と」
――グスタボ選手が、自分も剛柔流空手を2年間やっていたと。だから問題ありませんというような言葉があった。それで伝統派空手の野村選手の動きを受けられると思うか?
「ちょっと笑っちゃう感じ(笑)。例えば、さっき名前が出ていたので青木さんの名前を使わせてもらうと、じゃあグラップリングを2年やっていたから青木真也のグラップリングに耐えられますって言って笑っちゃうのと一緒な感じかなと思います」
――青木選手は今回セコンドには?
「つかないです」
――今、今治市の山火事が大変なことになっている。今回、地元の方々も来られる予定だったと思うが、試合をすることで地元の人たちに届けたい言葉とかは?
「そうですね、このタイミングで香川で、元々決まっていたRIZINがあるっていうことで、SNSの呼びかけだったり、それが自分に出来ることだと思っていますし、昨日は雨が降って落ち着いているので、週末に僕がいい勝ち方して、それをきっかけにじゃないですけれど、それが僕に出来ることだと思っているので。落ち込んでた雰囲気を、僕の試合でちょっと取り戻せるだろうなと思っています」
――お知り合いの中で被災された方は?
「じいちゃん、ばあちゃんが住んでいたところが避難地区になってしまって。すぐそこの山が燃えてしまったので、自分の実家の方が離れているのでそっちの方に避難しています」
――どのぐらいの応援が来る予定?
「200人ぐらいですかね」
――グスタボ選手の穴を突ける戦略は具体的に見つかった?
「穴というか、僕との圧倒的な差はスピード感だと思っているので。まあ、そこのスピード感を突けたらいいかな、と思います」
――手合わせをする前から、見た感じでも、その部分だなって思った?
「そこは全然違うかなと思っています」
――ここをクリアした場合、次はどういったものを見ている?
「これから先もvs.外国人で、日本人は無理だみたいな雰囲気を僕が払拭していきたいですね」
――年内にタイトル挑戦のイメージもしている?
「それはRIZINさんにお任せします」